東葉高速鉄道

登録日:2017/08/12 Sat 18:28:38
更新日:2025/04/01 Tue 05:42:38
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東葉高速鉄道とは、千葉県内で東葉高速線を運営する第三セクターの鉄道会社。本社と車両基地は千葉県八千代市にある。
略称は特に無い。大体そのまんま「東葉高速」と言われる。
本項では同社が運営する東葉高速線についても説明する。路線記号はTR

概要

社名の「高速鉄道」とは新幹線のような高速で走行する列車を意味するのではなく、「都市高速鉄道」を意味するものである*1
全列車が東京メトロ東西線と直通運転を実施しており、東西線が副都心線以外の全ての地下鉄路線との乗換駅がある為、利便性の面では東西線の利点をそのまま引き継いでいる。金額以外は。

間違っても東葉高鉄道と言ってはいけない。



沿革

元々は京成本線の混雑緩和を目的に計画され*2、営団地下鉄東西線の延伸区間として、当初は「営団勝田台線」と呼ばれていた。
しかし京成電鉄が住宅開発に失敗した上、己の正義のためなら社会へ迷惑をかけるのも厭わない過激派のせいで成田空港の開港が遅れ大幅な損失を計上。
これによって運輸省は一旦計画を凍結し、営団も『よく考えてみたら勝田台は東京から離れすぎててテリトリーを大きく外れる』と申請を取り下げた。
当時地元は『新線は営団地下鉄の運営じゃないとイヤだ』と強固に主張したが、一向に埒が明かないため、営団のほかに新京成電鉄東武鉄道・京成が出資した第三セクターとして運営されることとなった。

建設に際し、予定地にかかる土地の権利者が激しく抵抗し、用地買収がなかなか進まなかった。
通常であれば収用委員会が地権者との間に立って土地収用が行われるが、当時千葉県では新東京国際空港方面で一悶着があり、収用委員会の会長が襲撃される事件*3が発生。
収用委員会による土地収用が出来ず、用地買収がなかなか進まなかった。
更に手抜き工事が原因のトンネル陥没事故、バブル期の土地の高騰などが建設費の高騰を招き、当初の予定よりも大幅に高額な建設費がかかってしまった。
着工したのが1984年で、当初は1991年に西船橋~八千代中央間の先行開業を予定していたが、結局開業は1996年にまで伸びてしまった。

京成線と東葉高速線で利用者が被るような地域では、東葉高速線を中心に開発が進み利用者が増加。営業収益147億円、営業利益46億円、経常利益38億円を叩き出してはいるものの、累積赤字634億円、長期債務残高2297億円(いずれも2022年度)と運賃の値下げにはまだまだ時間がかかりそうである。

そのため東京方面へ出る手段として事実上船橋から先が空気な京成線から東西線直結の優位性が大きい東葉高速線にある程度人が流れてはいるものの、やはり金額の面で京成線の利用者はいまだに多い。
また京成本線が成田空港を含めかなりの範囲に敷設されているため、「千葉県内の目的地への移動手段」としては根強く使われているのも人が流れない一因だろうか。

船橋市は夏見地域でメディカルタウンの事業を構想中で、東海神~飯山満間に新駅の開業(2026年度の予定)を請願している。


使用車両

保安装置を搭載していない関係上、自社車両はJR線への直通が出来ず、逆にJR車は当線への直通はできない。

(出典;Wikipedia
  • 2000系
東葉高速オリジナル車両。
開業時に導入された1000形の老朽取り替え用に投入された車両で東京メトロ05系13次車と同一設計。

  • 1000形
開業時に導入された自社車両。
東西線で廃車となった5000系を内外装を大幅に改造したものだが、外観を除いた改造内容は当時実施されていた営団5000系のB修車に準じている。
2000系の導入に伴い2006年までに全車廃車。

(出典:何れもWikipedia

  • 東京メトロ05系・07系・15000系
乗り入れ車両。
05系と15000系は東西線に最初から投入された専用車。
07系は当初有楽町線に投入されたが、ホームドア設置によって東西線へ転属してきた。
東葉高速線・地下鉄線・JR線の3社直通列車は全て東京メトロ車での運行。


種別

快速・通勤快速が設定されているが、東葉高速線内は全て各駅停車である。
過去には線内で通過運転を行う「東葉快速(略称:東快)」*4が運転されていたが、2014年3月のダイヤ改正で廃止された。


駅一覧

TR 01西船橋
JR総武線各駅停車武蔵野線京葉線乗り換え。
起点駅。
ここから東西線へ直通する。
少し離れているが、京成本線京成西船駅とも乗り換えできる。

TR 02東海神
地下駅。
周辺にはマンションや葬儀場がある。
台風接近時等、非常時にはこの駅で折り返し運転を行うことがある。

TR 03飯山満
「はさま」と読む難読駅として有名。覚え方としては音読(はんさんまん)した後、「ん」をどければOK。
高架橋上に対向式ホーム2面2線を持ち、上下線の間には北習志野駅方向に繋がっている留置線がある。

TR 04北習志野
京成松戸線乗り換え。
実は西船橋に次いで線内駅利用者数2位だったりする(2014年度)。

TR 05船橋日大前
日本大学関係者による請願駅として開設された。
そのためか、駅舎の設計は日大の教授が担当している。

TR 06八千代緑が丘
2面4線の高架駅。
駅舎は3階建てで、3階にホーム、2階に改札がある。
追い越し可能な構造で、東葉快速が運転されていたころはこの駅で待避を行っていた。
車両基地最寄り駅。
利用客が多く、朝の上り線ではこの駅の乗客を乗せた時点で電車がかなり混雑する。
世界的にも知名度のある「京成バラ園」の一応最寄りの駅ではあるが、徒歩で15分、バスで5分と少し距離がある。
割と間違えられるが、緑「が」丘であって、緑「ヶ」丘ではない。

TR 07八千代中央
住宅地の高架駅。
八千代市役所や八千代警察署などの最寄り駅。

TR 08村上
高架駅で朱色をメインにしているからか、結構目立つ。

TR 09東葉勝田台
終点駅。
京成勝田台駅とは地下でつながっており、4~5分歩けば乗り換えられる。


運賃

非常に高い。
全線16.2kmを乗り通すと大人で640円もかかる。1kmあたりに換算するとおよそ39円である。
16.2kmはJRで言えば東京駅から蒲田駅と川崎駅のほぼ中間あたりで、運賃は蒲田駅であれば230円、川崎駅であれば320円である。
京成で言えば京成上野から江戸川の橋を渡り切るぐらいで330円の運賃帯、直通先で言えば木場と門前仲町の間の260円の運賃帯。
なお、京成西船~勝田台間は18.1kmで330円なので、東葉高速全線より長い距離にもかかわらず約半額の運賃で乗り通せてしまう。
こんなに運賃が高くなった理由は先述の通り、建設費用の返済がなかなか終わらないためだが、遠い未来、建設費の償還が終われば運賃の値下げが行われる可能性はある。しかしその分東西線は負担は増えることになる。
それこそ、当初計画通り営団の路線だったとしたら、東西線は史実以上に通勤ラッシュが酷かっただろうし、京成は混雑緩和どころか旅客流出過多による運賃収入激減と、お互い不利益なオチだった可能性もなくはない。
同じように千葉県で運賃の高い鉄道といえば北総鉄道があるが、そちらは建設費の償還が進んだことから成田スカイアクセス開業時と2022年10月に運賃の値下げが行われている。


追記・修正は高額運賃に絶句してからお願いします。

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最終更新:2025年04月01日 05:42

*1 国内で似たような例には阪急・阪神・神戸電鉄に直通する神戸高速鉄道がある。

*2 情勢の変化により、開業後は競合路線となってしまっている。

*3 千葉県収用委員会会長襲撃事件。収用委員会会長の小川彰が、成田空港第二期工事阻止と廃港を目論む中核派によって鉄パイプやハンマーで全身を殴打され、両足下腿部や両肘部を複雑骨折するなどの重傷を負わされた事件。小川会長は一命をとりとめたものの重い後遺症に苦しみ、事件から14年後に自殺した。

*4 東葉高速線内の停車駅は西船橋、北習志野、八千代緑が丘、東葉勝田台。