コンラッド・ケロッグ(Fallout4)

登録日:2025/04/27 (日) 20:01:40
更新日:2025/04/29 Tue 08:22:52NEW!
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少なくともバックアップはまだある…

コンラッド・ケロッグ(Conrad Kellogg)はゲーム『Fallout4』の登場人物。序盤の目標となるキーマン。
額から頭頂部にかけて見事に禿げ上がった髭面の中年男で、左目を上下に渡るような傷跡が目立つ
連邦でも指折りの実力を持つ傭兵であり、しかしながら雇い主が不明という怪人物。そして主人公の仇敵。


活躍

初登場はFallout4のプロローグ部分。大戦争が勃発し、Vault111で「居住者」が冷凍された後のパートで現れる。
クリーンルームスーツ姿の謎の集団と共にVault111に侵入し冷凍睡眠を解除し、伴侶を殺し息子をさらう。
さらに主人公に向かって「少なくとも予備はまだある」と言い残し、この時(ガラス越しに)正対したため容姿を記憶されている。

その後、主人公はダイヤモンドシティへと辿り着き、そこに住む探偵ニック・バレンタインの協力によりケロッグの痕跡を辿り、連邦の西端に近い『ヘーゲン砦』で直接対決に及ぶ。
砦の捜索中も対面時も「引き返せ」という旨の発言を交えつつ挑発してくる他、対面直前に「部下の人造人間は非番」と言うが、きっちり周囲に控えているのが憎たらしい。

直接対決

主人公のレベルを大きく上回る(1.5倍)強敵である。部下の人造人間も援護に回り、本人はステルスボーイを起動。得物のリボルバー(後述)もかなり痛い。ゲームの導線に素直に従っている場合は相当な激戦になるはず。
どうにも勝てない(あるいは急ぎの)場合、武器庫で拾えるヌカランチャーで会話イベントごと消し飛ばしてしまおう。
舞台に用意してあるのだから、あとは自由だ。

死後

彼は普通の人間ではなかった。
倒された彼の亡骸、恐らく主人公の攻撃によって出来た傷口から覗いていたであろうソレは、様々な機械装置であった。
「サイバネティック・ペイン・サプレッサー」「サイバネティック・リム・アクチュエータ」「サイバネティック・ブレイン・オーグメンター」なるインプラントがインベントリ内に存在しており、彼は身体を機械化したサイボーグであることが判明する。

ケロッグを倒しはしたが、ショーンは彼の雇い主“インスティチュート”の手元にいるらしく、場所もアクセス方法もわからずじまいであった。
しかしニックが提示した逆転の一手、それが『メモリー・デン』。記憶再生装置を利用できる娯楽施設である。
埋め込まれた機械のせいか無事に残っていた海馬(先述のブレイン・オーグメンター)から記憶を引き出すことで、インスティチュートへ至る手がかりを得ようというのである。
ニック自身を再生媒体として主人公に読み取らせるという二重に無茶な策により、ケロッグの記憶を再生することに成功。
これにより「インスティチュートへは転送装置で出入りする」「脱走した要人が『輝きの海』という場所にいる」という手がかりを得られた。

ここからがFalloutの中盤、ということになる(正確には、ケロッグ撃破時点で第二部に入っているという扱い*1のようだが)。


遍歴とその記憶

+ クエスト『Dangerous Mind』ネタバレ
2179年ごろの生まれ、後のNCR領出身。『4』劇中では推定108歳。
最初の記憶のラジオが「ハブがNCRに参入」というニュースを流す点で2189年であることがわかり、そこから逆算できる。
インスによる雇用ですらFallout2より十数年は早い、年季の入った人員だったりする。

酒浸りで粗暴な父親と、DVに耐える母親といういびつな家庭に生まれ育つ。
コンラッド少年は十歳頃に母親から「もう自分で身を守る年齢だ」としてリボルバーを与えられ、後にそれを手に家を出奔している。以来、両親とは音信不通。
母親の本音はその銃で父親を殺してほしかったのではないか、母親を失望させたのではないか、という疑問をコンラッドは引きずり続けることになった。

レイダーに参加するなどの殺し屋稼業を続ける内に十年以上が経ち、名が売れてきたころ。
まだふさふさのコンラッドはサラという女性と出会い、結婚してサンフランシスコに落ち着いていた。
娘のメアリーも設けて幸せな家族だったが、サラはコンラッドの危険な家業を心配していた。
コンラッドは「シャイ*2に雇われて警備の仕事をしているだけだから心配ない」と答えた*3のだが――

結局、過去の悪名に追い付かれ、コンラッドは家族を殺された。
犯人たちのアジトに単身殴りこんだ彼はドア越しに散々煽られるのだが、その構図は後にヘーゲン砦で逆の形で再現されることになる。
交戦する際の動きはまるでカバーを取らずにマシンガンを乱射しており、怒りのほどが伺える……

……復讐を終えたケロッグは東へと旅立つ。その路程でさらに殺しの腕は磨かれ、名も上がっていく。
代金を踏み倒さんとする客もいたが、それを「多少(取り立ての)仕事が増えるだけ」と評する程度に精神面も荒んでいった。

そして、現在と変わらない容姿になった頃には連邦にたどり着いていた。
そこでも傭兵として仕事を続けていたケロッグは、散々なまでにインスティチュートのたくらみを潰して回っていたらしい。
対応してインスが直接圧力をかけてきたところに、実力を見せつける形でのプレゼンにより自らを雇わせることに成功。
(この時のアクションは作品からして違わないかという見事なものである。必見)

そしてVault111襲撃があり――

さらにその後。指令によりダイヤモンドシティでショーンという十歳くらいの少年と共に生活することになる。当然ながらこの時期は一般の人目につく生活を送っており、これが後に追跡される原因(のひとつ)となった。
インスティチュートの研究者であるバージルの出奔により状況が変わり、同居生活は打ち切りに。この時の“つなぎ役”の出没とその発言内容が極めて有用だったため、記憶走査もここで打ち切られている。

その後はバージル追跡の布石としてヘーゲン砦の制圧任務を請け負い、制圧後そのまま対決に至る。


装備品

  • ケロッグ・ピストル
レジェンダリ効果『冷酷無比の』を持ち、クリティカルヒットでアクションポイントを回復する.44リボルバー。クリティカル型の成長をしているならば非常に有用な戦利品なのだが、ロールプレイ的にはどうしたものか
配偶者を射殺した因縁の武器*4であり、恐らくは幼少期に母親から贈られた品。

  • ケロッグの服
こちらもユニーク品。インスに雇われて以降の、比較的新しい持ち物となる(それまでは一般的な防具を使用)。
アーマー込みなためか、下手な防具一式よりは硬く仕上がっている。しかし改造不可で伸びしろが無いのが難。一番の難点は着こなし。普通の面構えではなかなか似合わない

他にはサイバーウェアの類が埋め込まれているが、ピストルの仕様からVATS相当の機能もあったのではないかという考察もある。
脳機能拡張装置が海馬に埋め込まれていたのは何の因果か。


関連人物

  • 両親
アル中で暴力的なレイダーの父親と、それに耐え続けている母親の夫婦。父親はドア越しの声だけの登場。
しかしながら家や家具はそれほど痛んでおらず、息子は(一応)学校へと通い、漫画も複数与えられている。
このことから経済的にはさして困窮していないことが伺える。レイダーの稼ぎが案外良かったのか、母親が稼いでいたのか?

  • 妻子
ハブで出会った妻・サラと、その間に設けた娘のメアリー。
ケロッグは自身に人の親になる資格など無いと思っていたとのことが、警備員に鞍替えする程度には身の安全を図り、束の間とはいえ幸せな生活をしていた。
二人を失った、曰く「人生最悪の経験」から逃げるように東へ向かい、本格的に悪党への道を歩むことになった。

  • Sole Survivor夫妻
片割れを殺害し息子を誘拐した仇敵。冷凍食品(TVディナー)呼ばわりしながらも、追い付かれたことには素直に敬意を表し、追って来たこと自体には『それでこそ親』と賞賛した。
また内心では気の毒にも思っていた上、実はいろいろな意味で似た者同士だった……というのがキャラクタ造形の肝か。主に漫画の好み

  • ショーン
その誘拐した子供。後に同居人。曰く「もう赤ちゃんとは言えないかもしれない」「思ったよりは少し年上」。
得られなかった「父親」という立場を疑似的に得たことで情が移り、この同居には満足感もあったようだ。
なお、このショーンと幼少期のケロッグはほぼ同齢で対応した描かれ方をしているのだが、ケロッグの読んでいた『グロックナック』に対してショーンは医学雑誌や科学雑誌。
色々な意味でケロッグとは隔絶した存在である、という描写になっている。逆に、(幼少期の)髪色は連動している≒(Vault脱出時点の)111と同じであるようだ。

彼に関する本音の部分では言い回しに「疲れ」が滲んでいる。

  • ニック・バレンタイン
ダイヤモンドシティの私立探偵。主人公の持つ少ない情報からケロッグ(とインス)に繋げた名探偵。
さらに撃破後は、自らがインスティチュートのプロトタイプ人造人間であることを逆手に取ってケロッグの海馬を接続し、記憶の再生に成功する。
その後は後遺症なのか、ケロッグの声と口調で一度だけ「(Vaultで)殺しておけばよかった」と発した。これがケロッグの最後の言葉となる。
彼に言わせればケロッグは「ゴマ塩頭」(grizzled)、しかし実際のケロッグの(残っている)髪は黒い。エッジの効いた皮肉である。

  • ドッグミート
四代目犬肉。ニックとは知り合いで、ケロッグ追撃の助っ人として呼び出され、さして迷うことなく111を誘導した。
葉巻*5の匂いを追跡していたので、ケロッグは相当タバコ臭かったのであろう。
ほうぼうでタバコ休憩して灰皿ごと放置しているので、わざと手がかりを残していた可能性は否定できない

  • Dr.アマリ
メモリー・デンの技術者。ケロッグの記憶を暴露せしめた、最大最後の敵とも言える人物。
主人公とニックの提案にかなり強い調子で反対するも押し切られ、記憶再生をやりとげる。
Vault111襲撃のくだりでは主人公を気遣って先を急ぐ、善良なひとである。ちょっぴり裏はあるけど、今回は横に置く

  • ママ・マーフィ
ミニッツメンに保護された難民の老婆。本物の予知能力『サイト』を持つ。
直接の絡みはないが、彼女の『サイト』がヒントレベルでなく複数回刺さるのはケロッグだけである。
 ・ケロッグの家の鍵 ※このフラグがないとアイテムとしての鍵が出現しない仕様
 ・ケロッグからの被ダメージを25%軽減するPerkを取得
いちいちサンクチュアリまで戻る必要はある(ので、鍵はこちらの方が手間が大きいくらいだ)が、実に的確な予言をもたらす。ある意味天敵。

  • インスティチュートの面々
"Heh. Haven't you been paying attention? You don't find the Institute. The Institute finds you."
(おいおい、聞いていなかったのか。インスティチュートは見つからない。インスティチュートが見つけるんだ)
交渉下手な雇い主。ショーン誘拐をオーダーしたのも当然彼ら。
彼ら自身が改造した結果ではあるのだが、サイボーグ化して不老不死に近い体を得たケロッグを妬み疎んでいる。*6「主人公が始末してくれて清々した」と明言する者もいるほど。
特にリーダーからは嫌われており、ダイヤモンドシティでの生活にせよヘーゲン砦制圧にせよ、主人公をおびき寄せてケロッグを殺させるための布石だった(そしてケロッグもリーダー個人の策だと感づいていた様子)。
金の切れ目がなかったために切れなかっただけの関係であり、ケロッグからの評価は割と辛辣。上述のロシア式倒置法も結構な当て擦りだし。

  • Dr.ブライアン・バージル
インスティチュートから脱走した科学者。専門はバイオ系だが、他分野でもかなりの知識を持つ。
外部に居ながらインスへの侵入手段を持ちうる、ケロッグからインスへと繋がるよすがとなる人物。ケロッグが追手となることを警戒していて、主人公がケロッグを撃破した事実は交渉の糸口となる。
逆に、彼のせいでケロッグはショーンとの生活を打ち切られてしまった。多少は恨まれているかも?


外部出演

Magic:the GatheringのFallout統率者コラボにおいて、のレアカード《危険な男、ケロッグ/Kellogg, Dangerous Mind》として登場している。
3マナ3/2、速攻、先制攻撃とまずまずの基礎スペック。加えて(宝物トークン五つとかなり重い起動コストで)クリーチャーのコントロールを奪う(=誘拐)能力まで備えている。タイプは人間・傭兵とほぼそのまま、カード名もクエスト名を参照した粋なもの。
……が、イラストが構図の都合で若干面白いことになっていたりする。そっちは奥だ。 あと、MTG次元の将軍はママ

他にはSecret Lair版の《憤怒/Anger》にも描かれている。
S.P.E.C.I.A.L.のAgility枠ということでPip-Boyの絵柄となっており、カード名の割に妙に楽しそう。他にも背景に対決クエスト『Reunions』のアイコン(の一部)が描かれていたりと芸が細かい。


余談

  • 間違いなく悪党で憎むべき仇敵ではあるのだが、それだけで終わらない奥行きを持つことから人気の高いキャラクターである。
    ただ、連邦的にはクソ強いだけで“平均的悪党”の部類。死体を食料や玩具にするようなサイコ野郎ではないし、喫煙マナーも比較的良い。

  • 名前が名前だけにプレイヤーからはシリアル食品(コーンフロスティ)呼ばわりされることも多い。冷食vs朝食
    原語でも完全一致なために、シリアル食品“シュガーボム”のパッケージを彼の顔に変えるMODまで存在したとか。さすがにケロッグ自身を虎の姿に差し替えるMODは無い……はず。

  • 扱いの大きさの割に、S.P.E.C.I.A.L.はオール4といい加減なまでの設定になっている。この数値だけなら雑魚ガンナーと変わらないので、弱すぎるくらいである。
    おそらくバランス的な都合だとは思われるが、四肢駆動装置とはいったい……と思わざるを得ない(もう一つの痛覚抑制装置は、やけに高いHPとして表現されている)。

  • 他のVault111"住人"は(Vault-Tecの思惑と無関係に)ケロッグらに生命維持装置を停止されて死亡している。*7
    これは彼の意思や判断ではなくインスのオーダー。片親を射殺したのはやむを得ない現場判断というところであろう。

  • Vault111襲撃(=ケロッグの顔)をメモリーズ・デンで見る機会は、もう一回存在する。
    ケロッグ撃破以前に訪れた場合にミニイベント(クエスト)として体験することが可能で、これを実行すると彼の出番が一度増える。
    ちょこっと経験値を貰えるのと、激昂するブルーや宥めるDr.アマリを見られるので一度は見るのをおすすめする。

  • かなり大きい情報を、死後の脳内ですら握り潰している守秘義務の鬼。少なくとも“墓場まで持っていく”つもりだったと思われる。


What's the cliche? "Please add or revise this page?" That's Shaun.
(使い古された表現ってあるよな。『追記・修正お願いします』か? それがショーンだ。)


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最終更新:2025年04月29日 08:22

*1 撃破直後、連邦にBoSが出現していることからも伺える

*2 原語ではShi。『始(シ)』、『始帝国』とも訳される。中国軍の原潜『始皇帝』の乗組員がサンフランシスコに築いた都市国家。ShiをShyと間違えた?

*3 コンラッドは稼ぎの心配をされていると思ったようで「いずれ自身の傭兵団を旗揚げする」と続けていた

*4 この時何故か『薬莢が床に落ちる音』がする。もともとは10mmピストルの予定だったらしきことが、SEの音声ファイル名からわかっている

*5 銘柄は『サンフランシスコ・サンライツ』。昔を偲んでいるのか、単に出回る葉巻がこれしかないのかは不明

*6 だったら自分らも改造すりゃいいんじゃないか、と思われそうではあるのだが、心身両面の副作用が警戒される上に「人類の再定義」という目的から外れる身体改造は忌避されるのであろう。また、サイバネ系の研究も放棄したらしい

*7 ケロッグもハッキングは専門外らしく、同道していたインスのスタッフが実行役