レムコ・ヤーロブ

登録日:2025/04/30 Wed 17:00:42
更新日:2025/05/02 Fri 08:09:07NEW!
所要時間:約 14 分で読めるネ




キミ グッドファイターとして認めるネ



レムコ・ヤーロブはワールドワイドな人気マンガ『高校鉄拳伝タフ』の登場人物。
“ヤーコブ”ではないので注意。



【人物】

佐竹部屋に所属するハワイ出身の力士。
階級はまだ序の口だが、身長2m・体重260kgと非常に恵まれた体格を誇る*1

地元の人間ですら近寄らないスラム街で生まれ育った哀しき過去を持つ。
酒に溺れた母親にいい暮らしをさせるため格闘家を志し、レスリングの選手を経て力士となった。

こうした経緯から一刻も早く大金(ビッグマネー)名声(フェイム)を得ることを望んでおり、下積み期間が長い相撲界の制度には不満を持っている。
その実力は最凶の格闘家を作るための施設『デビル・ファクトリー』からも目を付けられており、やがてレムコ自身も強さへの執着から禁断の力に手を出してしまう…。

モデルはアメリカの総合格闘家エマニュエル・ヤーブローではないかと言われている。
見た目的には曙太郎が入っている可能性もある。

【戦闘力】

その巨体から繰り出される張り手は、アイアン木場をして「人間のそれをはるかに超えている」と言わしめるほどの破壊力を誇る。
豊富に蓄えた脂肪は鉄壁の防御力を持ち、半端な打撃ではびくともしない。
またレスリングの経験があるため、寝技への対処法も心得ている。
一方で力士の宿命として、体重を支える下半身を狙われるとバランスを崩してしまうという弱点もある。

デビル・ファクトリーでの改造後はさらに身体能力が強化され、ボクシングの歴代ヘビー級チャンピオンを超える数値を叩き出した。

【使用技】

  • 掌爆(パームボム)
鉄を歪ませる威力を持つ強烈な張り手。レムコの代名詞とも言うべき技である。
上位版と思われる“超掌爆”(スーパーパームボム)も存在するが、ぶっちゃけ違いはよくわからない。
実際のところ超掌爆は最初しか使われないので、途中で設定が変わったものと考えられる。

  • デーモン・スラップ
デビル・ファクトリーで新たに身につけた必殺技。
掌爆の強化版のような技で、アッパー気味の掌底とほぼ同時に打ち下ろしの掌底を放ち、初撃をかわしたと思った瞬間に二撃目が炸裂する。
クリーン・ヒットすれば死に至らしめる破壊力を誇るとのこと。

【活躍】

初登場は第76話『鉄の手形』。
アイアン木場と会食をしていたようで、後には大量の食器が残されていた。
キー坊を倒して木場への挑戦権を得るため、宮沢静虎の後をつけて張り手で宮沢家の玄関ドアに手形を残す。
普通に器物損壊なんスけど…いいんスかこれ

翌日はキー坊を尾行するが、彼には気づかれており人気のない工場地帯に誘い込まれる。
ここで初めて姿を現し、戦闘開始となる。

VS.キー坊(1戦目)

先に仕掛けたのはレムコ。
ガードごと吹っ飛ばすほどの強烈な張り手や、“ぶちかまし”の頭突きでキー坊を圧倒する。
さらにキー坊の反撃も意に介さない頑丈さを見せ、「ハハハハハ キミごっつうタフやね」と驚愕される。なにっタイトル回収
ここでキー坊は、

「ブタはカッコ悪いけど打たれ強いちゅうわけやね ブヒブヒ」
「ハイ!しつもーん ウンコしたあとケツ拭けるんですか?オ〇ニーできんの?*2

と明らかにライン超えの愚弄を繰り出しレムコを挑発。
これにキレたレムコは「KILL YOU!」と襲い掛かるが、弱点である下半身への蹴りを受けて膝をつき、顔面蹴りからのチョーク・スリーパー(首絞め)で続けざまに攻め立てられる。
そのまま一気に絞め落とそうとするキー坊。しかしレムコはレスリングの経験を活かし、喉を軸に時計回りに身体を回すことで脱出する。
すかさず関節技に移行するキー坊だが、どこからか飛んできた謎の声により腕ひしぎ逆十字を極めようとしていることを看破され、体勢が逆転。
全体重をかけたボディ・プレス、“260kgの肉爆弾”が炸裂する。
その声の主こそ、デビル・ファクトリーの責任者ショーン・J・亜久津であった。

満身創痍のキー坊に“超掌爆”(スーパーパームボム)でとどめを刺そうとするレムコ。しかしキー坊は紙一重で攻撃をかわし、手首の動脈にがっちり噛みつく。
これを無理やり引き剥がした瞬間、顎を狙った蹴りがクリーンヒット。
バランスを崩したレムコは積まれていた資材の山に激突する。
さらに追撃をかけるキー坊だが、戦いの余波で資材が崩れ、諸共に巻き込まれてしまう。

巨体のレムコはなんとか無事に済んだ一方、小柄なキー坊は下敷きになってしまっていた。
ところがそれを見たレムコは、軽々と資材を持ち上げキー坊を救出。
「なんでワシを助けたっ!?」と尋ねるキー坊にレムコは、

「キミ グッドファイターとして認めるネ」
「でも ボクが本気になったらいつでも簡単につぶせるネ」

と言い残し、亜久津とともにその場を去る。
一人残されたキー坊は、地面に刻まれた手形を見て身を震わせるのであった。

悪魔の誕生

場面は変わって佐竹部屋。
忠告を無視して亜久津と会っていることを親方から詰められ、今は辛抱して雑用から精進するよう説得されるが、レムコは先場所序の口で優勝したのに横綱と戦えない*3ことに不満を垂れ、「チャンコ番する時間があったらトレーニングしたいネ」と吐き捨てる。

稽古部屋へ向かったレムコは先輩力士たちからのしごきを受け、さらに神魔関(じんまぜき)という無駄にかっこいい名前の先輩力士からはバットでの制裁を受けそうになるが、逆上したレムコは“掌爆”(パームボム)でバットごと神魔を粉砕。
さらに襲いかかってきた他の力士たちも次々となぎ倒していく。
駆け付けた親方が目にしたのは、血だらけで倒れる力士たちとその横で平然とトレーニングを続けるレムコの姿であった。

「ボク…スモウやめるネ」
「ここにはグッドファイターいないネ」
「ボク 本気でストリートファイトやってビッグになるネ!」

相撲に見切りをつけたレムコは、佐竹部屋を飛び出しデビル・ファクトリーへと向かう。

デビル・ファクトリーでの改造、それは極限下における恐怖感を与えることで狂気を芽生えさせるというものであった。
自分の身体も見えない暗闇で凶暴な犬の群れと戦うトレーニングをこなしたレムコは、戦意を喪失し震える犬に対して優しい言葉で近付き、安堵させたところで殺すという残忍性を身に付ける。
さらに新技“デーモン・スラップ”も習得し、計器が振り切れるほどの異常な数値を発揮。


「デビル・ファクトリーの門を開けろ!完全なる悪魔の誕生だっ」


VS.キー坊(2戦目)

亜久津が戦いの舞台として用意したのは、重機で地面をくり抜いた一辺6m70cm・深さ3m30cmの四角形のリングであった。
どちらかが戦闘不能になるまで出られない、地獄の取り組み(デスマッチ)の開幕である。

高石義生との特訓で対策を万全にしてきたキー坊は勇んで勝負に臨むが、レムコの肉体を見て驚愕。
彼は亜久津に薬物を投与されたことにより、筋肉を落とさずに余分な脂肪だけが削ぎ落とされ、パワーもスピードも格段にアップしていたのだ。
狭いリングで攻撃をかわすのも精一杯、頼みの綱であるヨッちゃん直伝“ダルマ落としキック”も不発となり焦るキー坊。
それでも執拗にローキックで足を狙うが、一瞬の隙を突いた“デーモン・スラップ”によりダウンをとられてしまう。

あわや戦闘不能かと思われたが、キー坊は息を切らしながらも起き上がる。
インパクトの瞬間咄嗟にヒット・ポイントをずらし、致命傷を回避していたのだ。
そのまま地面に寝転がり、レムコを挑発するキー坊。
地を這うように転がり回る中国拳法“地功拳(ちこうけん)”の動きで攻撃を避けつつ、足への蹴りで着実にダメージを蓄積させていく。

しかしレムコも負けてはおらず、膝をつく演技でキー坊を油断させ、追撃に来たところをがっちりキャッチ。
“Vクロスアーム・ロック”で首と腕を同時に極め、さらに身動きできない状態での頭突き連打でキー坊に深手を負わせる。

意識が朦朧とするキー坊。しかし薬漬けの力に負け灘神影流の看板に泥を塗る訳にはいかないと奮起し、後頭部への蹴りで隙を作り脱出。
そのまま灘神影流指烈(しれつ)固め”でレムコの右手をホールドする。
もがけばもがくほど指に食い込むこの技で動きを封じたキー坊は、クマに襲いかかるハチの如く針のようなローキックで攻め続ける。
痛みに耐えかねたレムコは膝を曲げてガードしようとするも、これを読んでいたキー坊は無防備となった側頭部に蹴りを一閃。
レムコの巨体はついに崩れ落ちる。

グロッキー状態のレムコに追撃をかけず、立ち上がるよう促すキー坊。
実はローキック連打によりキー坊のスネにも限界がきており、肉が削げ落ちて骨が見えてきていたのだ。
どちらが壊れるのが先か、キー坊はレムコに根性比べを挑む。

「ワシもえらそうなこと言える立場とちゃうけどなァ」
「武道ちゅうもんは肉体はもちろん 精神(こころ)も鍛えるもんやと教えられてきたんじゃあっ」
「薬漬けになってインスタントで強くなろうとするヤツは根性まで腐るんやっ」
「ホンマもんの“強さ”をその腐った心に叩き込んだらあっ」

頭部への連撃を受けたレムコは撃たれたクマのように倒れ伏す。
額から血を流し虫の息になりながらも、レムコの脳裏にはある光景が浮かんでいた——。

哀しき過去、そして決着

レムコの母親は酒に溺れ、酒場に入り浸って暴れるなど自暴自棄になっていた。
連れ戻しに来た幼いレムコに対しても酒瓶を投げつけ、頭から血を流す様を見て笑い声をあげる始末。

「みんなアタシから逃げていく…男も…金も…」
「アタシが好きなものはみんな逃げていくんだ」
「だからアタシはお前を好きにならない お前なんか愛さない」
「お前なんか大嫌いだあっ」

しかし言葉とは裏腹に、彼女はレムコを強く抱きしめる。
あらゆるものを失った彼女は、暴力で息子を繋ぎ止めるように歪んでしまったのだ。
レムコもそんな彼女の不器用な愛情を察していたのか、自らが強くなって母親を幸せにすることを決意する。

そして旅立ちの日、レムコは一刻も早く横綱になることを母親に約束するが、彼女には「アタシから逃げたかったんだろう」と拒絶されてしまう。
失意のままバスに乗り込むレムコ。しかしバスが動き始めたその時、背後の人影に気づく。


「レムコ!行かないでおくれーー!!レムコーー!!」


振り返ったレムコが目にしたのは、泣き叫びながらバスを追ってくる母親の姿だった。
レムコは涙を流し、必ず強くなって帰ってくることを誓って故郷をあとにする——。

母親への想いで奮起し、再び立ち上がるレムコ。
それを見たキー坊はレムコの根性を認め、真っ向勝負で決着をつけようと必殺技の構えをとる。
“デーモン・スラップ”をかわしたキー坊はレムコの肩に飛び乗り、灘神影流奥義一寸棒死(いっすんぼうし)を発動。
針で鬼を倒した一寸法師の如く、耳の中の急所を狙うことで致命的なダメージを与える。
それでも立ってこようとするレムコだったが、

「もうやめとけレムコ…」
「お前の目指すものはこんな暗い場所にはないで…」
「お前の闘う場所は神聖な土俵の上やろ」
「もうええんや」

と、穏やかな笑みを見せるキー坊を見て、レムコも安堵したような表情を浮かべる。
次の瞬間、レムコの身体は糸が切れたかのように崩れ落ちるのであった。

こうして試合は決着。
あと一撃蹴り込めば膝を壊せるのになぜ壊さなかったのかと尋ねるレムコに対し、キー坊は相撲取りの命である膝まで壊すつもりはなかったことを伝え、レムコに敬意を表して握手を交わす。
…が、ここで空気を読まない亜久津が乱入し、敗者は不要とばかりにレムコの膝を蹴り壊してしまう。
これにはキー坊も逆上するが、亜久津はキー坊を潰すべくデビル・ファクトリーの精鋭3人を召喚。
しかしその前に立ちはだかったのは我らがヨッちゃん。数的不利をものともせず、あっという間に3人を片付けてしまう。
そのままヨッちゃんはキー坊に宣戦布告し、戦いは次の舞台へ移っていく——

——と、ここで出番が終わってしまったためレムコのその後の消息は不明。
なんとか復帰し母親と再会できたことを願うばかりである。

【余談】

キー坊VSレムコの試合が始まる第86話『デスマッチ』の扉絵は、ゲーム画面のように互いのステータスが表示されるという演出になっている。
…のだが、そこに表示されている値はHPとまさかのMP
HP(ヒット・ポイント)はともかく格闘漫画でMPってなんだよえーっ!?とツッコまれているのは言うまでもない。
一説にはモンキー・ポイントの略であり、貯まると猿空間に送られる指標ではないかとも言われている。


「アニヲタ・ファクトリーの門を開けろ!完全なる追記・修正魔の誕生だっ」


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最終更新:2025年05月02日 08:09

*1 ちなみに現実にはさらに重い力士も存在する。

*2 原文では伏字ではなくそのまま表記されている。

*3 序の口は6つある階級の一番下。当然横綱と戦えるはずもないので、これに関してはレムコがせっかちを超えたせっかちと言える。