曙太郎

登録日:2015/05/10 Sun 20:46:34
更新日:2025/02/08 Sat 19:03:53
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曙太郎とは、元大相撲の力士である。最高位は横綱(第64代)。
身長203cm 体重233kg ※現役時
帰化前の名はチャド・ジョージ・ハヘオ・ローウェン。
現在はプロレスラーや、タレントとして活躍している。


元々当時大関であった小錦に憧れており、東関親方(元高見山)に見込まれたこともあって東関部屋に入門した。尤も最初は弟の方が期待されていたが。
同期には最大のライバルと言われた第65代横綱貴乃花、その実兄である第66代横綱若乃花、通算白星数歴代1位の記録を作った大関魁皇などがいる。
この年代は何かがおかしい。
また、当時は強豪力士がやたらめったら多く、自身に貴乃花、若乃花、武蔵丸に貴ノ浪を加えた上位組は、屈指の強布陣と言われ、大きな話題を呼んだ。


入門したときから既に200cmという規格外の身長を持ってはいたが、当時はまだ体重が無かった上に、足が長すぎるが故に腰が浮きやすいという弱点があった。
そのため、四股や摺り足といった稽古を他の3倍近くやり、徹底的に足腰を鍛えていたという。
しかし、足長腰高のスタイルはやはり弱点であり自身を苛む怪我の元でもあり、大いに苦戦した。

また、同じハワイ出身の先輩力士の小錦や、後の第67代横綱の武蔵丸などの元に打つかり稽古をしに行くことも多かった。
若貴兄弟の部屋にも行ったこともあったようだが、当時は全く歯が立たなかったという。
しかし、駆け出しの頃に当時前頭筆頭で三役を射程に入れていた若瀬川を張り倒して病院送りにするなどしている。

長身を活かした突き押しを最大の武器とし、組ませないまま相手を土俵外に追いやる突っ張り相撲が得意。調子のいいときは、貴乃花でも3発程度で土俵下へと吹っ飛んで行く。
巨漢力士として有名だった横綱大乃国の進退をかけた場所で張り飛ばして見事に引導を渡したこともある。
別に組んだら弱いと言う訳ではなく、むしろ手が長いため上手を取りに行きやすい、という利点がある。右上手を取られた時の魁皇など、どうあがいても勝てない相手もいたが。

その破壊力は凄まじく、1990年の9月場所で入幕を決めるとわずか2年半で横綱に昇進した。初の外国人横綱の誕生である。
最初こそ躓いたものの、横綱三場所目から3連覇し、自身初の年間最多勝を獲得するとともに、貴乃花(当時貴ノ花)の綱取りを悉く阻止するなどその破壊力は健在。


しかし、200kg以上の体重が及ぼす膝への負担は腰の高さも相まって相当なもので、1994年の5月場所で故障してしまい、7月、9月場所ともに全休。
その間にライバル貴乃花が横綱にリーチをかけ、千秋楽で曙を破り見事昇進を決めた。何なんだこのドラマ。

師匠の東関親方もハワイ出身の人気者だったことや曙自身の日本人以上に慎ましやかで相撲に対する責任感の強い性格、
勝ち越して増えた分の懸賞金をふるさとに送金するなど浪花節的なところもあり「ジェシーの一番弟子」として人気があった。
横綱としても、一門の力士ははもちろん一門以外の部屋からの出稽古に来た力士にも分け隔てなく稽古をつけるなど責務をこなす姿は親方・同輩力士から高い評価を受けていた。
ライバルの貴乃花とは同じ時代を駆け抜けた者として通じるものがあったのか土俵外では友人であり、貴乃花の引退に際しネクタイを贈るなどしている。

しかし、若貴全盛期に外国人横綱でぐうの音も出ないくらい強く、関脇・大関時代の貴乃花を張り倒しまくったことや、東関親方(当時は元関脇高見山)と藤島親方(後年二子山親方、当時元大関貴ノ花)の因縁からヒール扱いされることも多かった。
若貴フィーバーが加速していくごとにその傾向は強まっていった。

その後は若貴の影響や、武蔵丸の台頭により優勝から少しずつではあるが遠ざかって行くこととなる。
その間に相原勇との交際問題が取り沙汰されたりもした。


そしてついに2001年の1月場所の終了直後に現役引退を発表した。
戦績は78場所出場・654勝232敗181休、幕内優勝11回。

引退後

その後、現夫人との結婚問題で後援会が解散となったことで名跡購入資金の目処が立たなくなったことなど紆余曲折あり日本相撲協会を退職。
K-1に転向したが、相撲とのルールの違いや、そもそも膝を壊している上に全盛期をとっくに過ぎていたこともあって、割とあっさりぶっ倒され続けた。
しかし当時のボブ・サップを押し切るパワーだけはやはり本物と言える。
総合格闘技なら…と転向するも、ここでも無様を晒して格闘技ファンから大ブーイングを喰らい、結局プロレスに転向。

しかし、ギミックの塊と言える上にやる気とトレーニングには事欠かず、ついでにノリのいい*1彼はプロレス界では逸材以外の何物でもなく、当初フリーだったこともあり様々な団体で活躍した。
WWEに参戦してビッグ・ショーとスモウマッチをやったり、ハッスルに参戦してインリンから生まれたり*2、暗黒期の新日に参戦してタイガーマスクのマスクを被ったり*3、力皇猛やマーク・ハントと組んでそれぞれ「リキボノ・スプラッシュ63」や「マーボー・ポリネシアン・クラッシュ」なる新技を編み出したりと大いに活躍。
2013年には全日本プロレスに正式に入団し所属選手となった。同じ年には師範代として東関部屋で稽古をつけるなど、現在も彼なりの「横綱の誇り」を胸に活躍している。

彼曰く、曰く色々やったのは「自分なりに相撲を広める為」「いつかは総合格闘技やプロレスでの経験・人脈を使って、アメリカに相撲の団体を作りたい」とのこと。つまりリアルエドモンド本田な訳である。



2024年4月上旬に心不全のため死去。享年54歳。


フィクションに登場した、曙をモデルにしたキャラ

  • 明星山
陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!に登場。
師匠の異常なシゴキに耐えて横綱にまでなったが、師匠の母国侮辱発言にブチ切れて大暴れして、裏格闘技界に落ちた横綱。
膝が悪い、ハワイ出身など共通点が多い。師匠は多分全然違うけど。

  • 明暮野太郎
クレヨンしんちゃんのチビッ子すもう大会エピソードに登場する少年力士。読みはそのままで「あけぼ・のたろう」と区切る。
「土俵の怪物」の異名を持ち、優勝候補と目されている。
稽古の邪魔をしたしんのすけに「俺と当たったらこうしてやる!」と両手で夏みかんを挟み潰して凄む。
そしてついに二人は勝負することになるが…





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  • 1969年生まれ
  • 2024年没
  • 54歳没
最終更新:2025年02月08日 19:03

*1 例として関取時代、マスコミで自分が悪役扱いされているのを知ってからは曙自身がノリノリでヒールを演じていた、など

*2 本人はプロレスのお約束通り「別人である」と主張

*3 やっぱりプロレスのお約束通り「別人である」として扱われた。タッグパートナーの4代目タイガーマスク曰く「佐山聡門下生の一人(=4代目の兄弟弟子)。普段はガス会社勤務」