登録日:2025/05/03 Sat 16:07:46
更新日:2025/05/04 Sun 21:06:06NEW!
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海に眠るダイヤモンドとは、2024年10月20日から12月22日までTBS「日曜劇場」の枠で放送されていたテレビドラマ。
【概要】
脚本家は『逃げるは恥だが役に立つ』などのブレイク作品を執筆した野木亜紀子、監督はかつての同番組枠で放送された『下剋上球児』を担当した塚原あゆ子のタッグによるオリジナルドラマ。
主演の神木隆之介は初の日曜劇場ドラマでの主演となった(サブキャラとしては『集団左遷!!』などで出演済み)が、本作のストーリーの設定の都合から1人2役を担当する。
ちなみに主演の1人2役設定は前作『ブラックペアン』のシーズン2にて二宮和也が行っていたため、結果として2作連続での主演の1人2役設定である。
ドラマのストーリーは
端島(軍艦島)をテーマに端島の閉山以前の1955年(昭和30年)と2018年(平成30年)を舞台に、二つの時代が交差して定期的に場面転換する作りとなっている。
かつての端島を再現した映像演出も見所となっているが、現実の端島は上陸制限があるので実際の撮影は全国各地を再現セットと共に転々としていたらしい。
ドラマのジャンルは自称「ヒューマンラブエンターテインメント」となっており、人間愛や複雑な対人関係を描いたほろ苦さや儚さを感じさせる雰囲気である。
脚本の野木曰く「最近の日曜劇場は『半沢直樹』のヒットからスカッと爽快なドラマのイメージが強くなったが、元々はヒューマン系が主流だったので今回はちょっとそっちに立ち返ってみる(意訳)」とのコンセプトがあった模様。
視聴率的には第1話こそ11.0%を記録したが、以降は視聴率が低迷して上がることはないまま苦戦することになった。
結果的に2020年代の日曜劇場枠のドラマとしてはワーストを記録し、歴代全体でも下位の部類に甘んじる結果に終わった。
視聴率苦戦の理由は様々な推測があるが、現代と過去を交差する時系列の転換の多さや1955年の時代設定へ共感できる世代の減少などが指摘されている。
ただし、事実上の地元である長崎県のみでは視聴率は同時間帯トップを記録するなど強い支持を受けている。
【あらすじ】
2018年の東京都、新宿の歌舞伎町で日々を送る青年の「玲央」。
売れないホストとして泥沼に沈んだような生活を送る玲央だったが、そんなある日「いづみ」と名乗る謎の老女と出会う。
大金持ちであること示唆するいづみと交流して長崎県に連れていかれるが、いづみは「軍艦島」として知られる端島に並々ならぬ想いを抱いているようだった。
そして、いづみがかつて端島で過ごしたはるか昔の1955年、生まれ故郷に貢献する為に帰郷した若き青年「荒木鉄平」を巡る人生があった。
どうもいづみのかつての想い人だったらしい鉄平の面影があるらしい玲央は、端島の歴史や鉄平の存在を探ることになる。
玲央は鉄平の謎の調査やいづみの家族の不和に介入していく中で、うだつが上がらない日々を送る自分も変化していき…
【主な登場人物】
2018年の世界
演:神木隆之介
金髪が特徴的な青年で、ホストクラブ「Heaven’s Jail」で働いている売れない底辺ホスト。軽い性格ながらも無気力で屈折した部分がある。
玲央は源氏名で作中で名乗る苗字も母方の苗字を利用した仮名であり、両親に捨てられたことで親族のいない天涯孤独の身分。
「サヤ」という常連客に未払いで逃げられたことで借金を抱えてホストクラブでの立場も悪化するなど、一緒に過ごすホスト仲間こそいたが苦しい日々を送る。
いづみと出会ったことで彼女の秘書として共に日々を送ることになり、いづみの家族からも白い目で見られながらも荒木鉄平のルーツを独自に探っていくことになる。
いづみの経済的に裕福ながらも家族愛に欠けた家庭環境に苛立ちを覚えていたが、鉄平の調査を続ける中で徐々に端島の人々の生き様に影響を受け、いづみの家族とも分かり合うようになっていく。
容姿の都合やはっきりしない身元から作中では玲央と鉄平の関連性を疑う声もあったが、最終回にて実際の鉄平と玲央の容姿はあまり似ていないことが判明する。
つまりは血縁関係すらない全くの赤の他人であり、どうもいづみの1話時点での心情や初恋の相手への美化補正が働いた結果だったようだ。
それでも鉄平の人生を追って彼に影響を受けた玲央は2024年の世界ではツアーガイドに就職している。
演:宮本信子
ある日玲央の前に客として現れ、彼に高額の出費と共にプロポーズした謎の老女。
かつて端島の住民だったようでかなりの思い入れを抱いており、昔の想い人だった荒木鉄平の日記を彼に瓜二つと認識した玲央に共有している。
『IKEGAYA』という大企業の女性社長故にかなり豊かな生活を送っているが、会社を巡って子供達との関係が悪化していたことから自分の人生に疑問を抱いてしまっている。
物語当初はいづみの正体は伏せられていたが、中盤にて1955年の端島における出水朝子だったことが判明する。2018年での本名は「池ケ谷朝子」であり、いづみという名前は旧姓を弄ったもの。
演:酒向芳
いづみの付き人として彼女に従っている老齢の男性。10年以上前は和馬の秘書だったらしいが、現在はいづみの忠実な部下である。
玲央からは「サワダージ」とからかいながら呼ばれている。
玲央が鉄平の日記の事情をいづみに告げようとした際に動揺して彼を車で轢こうとするなどの奇行に出てしまう。
いづみに叱咤されたこともあって澤田は全てを明かし、自分こそが進平とリナの息子であることや名乗っていた苗字は妻の物だったことが判明する。
端島時代の父親や逃亡生活の記憶は赤子だった影響で一切覚えておらず、後に母親から自身の出生に関するエピソードを聞いていた。
50代で会社を退職に追い込まれたことや自身の家族としての役割も果たした状態のところにIKEGAYAが秘書の求人を出しており、両親の行為に対する罪悪感もあっていづみの役に立とうとして再就職した。
しかし、鉄平の日記を託されたことで過去や罪を晒されることを恐れるようになり、日記の一部を金庫の中に隠すことにした。
演:尾美としのり、二ノ宮陸登(幼少期)
いづみの息子であると同時に『IKEGAYA』の役員でもある中年男性。端島出身だが、幼かったのであまり覚えていない。
妻とは離婚して息子と共に別居しており、会社経営を巡って母親と対立中で母が連れてきた部外者の玲央にも不信感を抱いている。
いづみを自身と繋がりのある医院で認知症認定をさせることで失脚させようとしたが、澤田や玲央によって陰謀がバレて阻止される。
策略が露呈した後は色々と吹っ切れたらしく、やがて玲央との関係も深くなっている。
演:美保純
いづみの長女で和馬の姉。和馬と同じくIKEGAYAの役員でもある。全体的に感情的な人物。
弟と同様に母親の失脚を目論んでいたが、それに失敗すると母親の叱咤の影響もあって後に夫と独立をする。
和馬と同様に実の母親を陥れようとしていたが家族に対して人間的な感情に欠けているという訳ではなく、父親が母親と結ばれた経歴も把握していたことから父親への肩入れもあって鉄平に対して嫌悪感を覚えていた。その際の様子から見るにお父さんっ子だったのかもしれない。
後に鉄平の真相が判明した際には母親のことを哀れんでいた。
演:豆原一成
和馬の息子でいづみの孫の男性。法学部を目指す浪人生。
祖母が連れてきた玲央の存在に家族が不信感を抱く中において年代が近いからなのか玲央に対する拒否感はなく、玲央の端島の調査への協力や借金に追われる彼を心配する様子を見せていた。
最終回の2024年時点では弁護士になっていることが語られている。
演:片岡凛
鹿乃子の娘でいづみの孫の女性。医学部に現役合格しているなど頭は良い。
ところがホス狂であることを玲央に目撃されてしまい、悪質ホストに入れ込んでいたことなどから玲央によって家族に告げ口をされてしまい、400万円の売掛金を溜めていたことも判明する。
売掛金を一括で親が払ったことは玲央が池ヶ谷家を見下す原因になったが、この後はホスト通いを止めており、星也と同様に玲央の調査に加担することもあった。
演: 安斉星来
高級キャバクラ店の嬢で玲央が働くホストクラブ「Heaven’s Jail」でミカエルの常連客。
玲央はアイリがキャバ通いを止められないことや自分がホスト離れを引き留めたことによる罪悪感などから共感を覚えられていた。
最終的に風俗店で働く状況に悪化しかけるが、鉄平の人生や吹っ切れた和馬から影響を受けた玲央によって警察署に連れ込まれて救出された。
演: 内藤秀一郎
玲央が働くホストクラブ「Heaven’s Jail」の先輩ホストで同店のナンバー2に君臨する男性。
玲央を初めとする同業者からは「ミカさん」と親しげに呼ばれているが、その実態は強欲な悪質ホスト。
さらに玲央が回収出来ない売掛金を借金として貸すことで彼を縛り付け、汚れ仕事なども押し付けてパシリのように扱っている。
無断で仕事をサボって借金の回収も用意しない玲央に対していづみの家に襲来して仲間と共に暴行するなど反グレのような行動にすら出るが、ホストクラブ自体の警察への密告と逃亡を決意した玲央に「生きてて楽しいんすか?」と説教まがいの質問をぶつけられた末に取り逃がしてしまった。
1955年の世界
演:神木隆之介、川原瑛都(幼少期)、百蔵充輝(本当の姿)
長崎県の端島で生まれた青年で、1955年パートにおける主人公と同時に物語の謎として扱われる人物。
中学卒業後は長崎県の本土で大学生活を送っていたが、地元愛から鷹羽鉱業の外勤職員として帰郷して暮らすことにした。
基本的に明るく地元愛に溢れた性格で、現在は幼馴染の朝子に思いを寄せているが本編前は百合子に好意を寄せていた。
最終的に賢将の百合子へのプロポーズに触発されて自身も朝子に告白、両想いとなったはずなのだが…。
朝子と両想いとして結ばれて彼女からコスモスの種を託されるなど順調に楽しく過ごしていた一方、炭坑の事故で兄が無くなったことや取り残されて未亡人となったリナや母親を抱えることになった。
その最中に誠が病気になるとリナが出生届や婚姻届を出していないことを知ると代わりに出生届を出すが、その際にリナと同行することが多くなったせいで島ではリナと恋仲という噂が出始め、しかも書類的には完全否定できない関係だったことから複雑な状況になってしまう。
最終的に兄が犯した殺人が原因で端島に報復にやってきた博多のヤクザの一味に誠を人質に取られるが、島の住民や誠への報復を避けて報復対象を集中させるために兄の殺人の罪を被ることにした末に一味を煽りながら端島から逃走する。
事情が複雑すぎることから当時の警察でも事件化して鉄平を救うことは出来ず、無実の罪で全国各地を日雇い労働で転々としながらヤクザの報復から命からがら逃げ続ける散々な日々を送る。
端島ではごく一部の人物以外は行方不明と化した鉄平の真実は知らずに多くの人に誤解され、鉄平自身も全国各地が端島での生活ほど充実感を感じなかったことや逃亡生活のストレスから荒んでしまうが、それでも端島や朝子への愛情や賢将への友情は持ち続けており、自分の日記に工作を施して賢将に託した。
1990年代に逃亡生活が終焉を迎えたようで表社会に顔出しするようになり、長崎県の端島が見える場所を居住地として多忙な親を持つ子供相手のボランティア生活や世界遺産登録以前の端島への訪問などを行っていた。
2010年に既に亡くなっていたことが判明し、少なくとも晩年の鉄平は遺産を託すような身寄りや実子と思われる人物はいなかったらしい。
演:杉咲花、小野井奈々(幼少期)
1955年パートにおけるヒロイン及び実質的なもう一人の主人公。「銀座食堂」という端島の食堂の看板娘だが、食堂は裕福ではない。
幼少期から幼馴染の鉄平(ただし、鉄平とは2歳年下で同年代ではない)に想いを寄せていた。
映画のオーディションという形の詐欺に巻き込まれた後、結婚を求める両親に反発して端島の工員社宅の屋上に庭園を建設する活動を行った。
屋上庭園が完成した後に鉄平の告白を受けて両想いとなり、鉄平を将来の婿としてコスモスの種を託す。
ところが、鉄平とリナの間に男女としての噂が立った後に彼らが端島から姿を消したことで事実上捨てられるような形になり、鉄平の行動の意図が分からずに裏切られた気分のまま虎次郎と結ばれて結婚した。
鉄平に対する複雑な感情を味わったが夫となった虎次郎とは幸せな家庭を築き、端島の閉山に伴って島から去った後は大企業の社長にまで上り詰めたのである。これが2018年の世界における「いづみ」の経歴となる。
演:池田エライザ
ある時(第1話)に端島にやってきたミステリアスな雰囲気の女性。この名前も実際は偽名。
その正体は博多のクラブで働いていた女性で、交際中の彼氏と共にヤクザに狙われた末に自分のみ何とか生き延びながら端島に潜伏していた。
端島ではスナックで勤務するもセクハラに反発したことでクビになるが、鉄平の引き留めによって引き続き端島で過ごすことになる。
進平と徐々に関わりを持つようになり、ヤクザの刺客だった小鉄から命を救われたことや殺人の秘密を共有したことで彼と結ばれて子供の「誠」も生む。
当初は幸せな生活を送っていたが進平を失い、更に誠の病気を機に進平の生前に婚姻届や誠の出生届を出していなかったことが判明。
鉄平が機転を利かせてリナを書類上「栄子」として誠の出生を偽装することで何とか難を逃れるが、弟分の小鉄を殺害されたヤクザが端島のリナの存在に辿り着いたことで報復として誠が誘拐されてしまう。
結果的に鉄平が進平の殺人の罪を被ることや彼の判断力で誠を救ってもらうが、彼と本土に向かって命からがら夜逃げのような逃避行に至る。
その後は本土で「栄子」としてハルや誠とひっそりと暮らすが、恩人である鉄平が逃げ回る必要があったことから再開することはなかった。
誠を無事に育て上げることに成功したようだが、晩年は鉄平や朝子への罪悪感から精神的に苦しんでいたらしく、2006年に肝臓の病気で死去した。
演:斎藤工
鉄平の兄となる男性。太平洋戦争時に学徒出陣で出兵したが、何とか生き延びて端島に帰還した。
かつて「栄子」という妻のいる既婚者だったが、彼女を亡くしてからもその現実を受け入れられておらず、微妙に病んでいる節がある。
弟の鉄平との関係は良好だが、妻を失った現実を認めずに妻帯者用の鉱員社宅の部屋に居座っているので他の労働者からは反感を持たれている。
リナとは互いにパートナーを失った過去を持つ者という共通点から関係を深め、リナがヤクザの刺客である小鉄に襲われた際には逆に小鉄を殺害する。
小鉄の殺害後はリナと夫婦関係になって子供も生まれたが、炭坑内火災の密閉消火作業後の撤退中に一酸化炭素中毒に襲われて帰還できずに死亡。
そして、リナとの関係を持った際に婚姻関係の諸々の手続きを後回しにして死去したことが、鉄平の人生を狂わせる遠因になる。
演:清水尋也
鷹羽鉱業の幹部職員である古賀辰雄という男性の息子。小学生の頃に父親の転勤で端島に居住し、鉄平や朝子とは幼馴染として友情を築く。
性格自体は軽いノリを見せているが、本当に好きな女性に対してはウブになってしまう。
親の離婚による父子家庭であり、島におけるストライキや父親の都合で序盤は端島で肩身が狭い状態に置かれていたが、鉄平の助太刀でその状況は改善していった。
百合子と交際していながらも本心では朝子に好意があったことから鉄平とは恋愛面でもライバル関係にあったが、最終的には百合子とプロポーズして結ばれた。
端島が鉱山の閉山で衰退する中でも末期まで島に残り続けており、端島の住民の再就職先の確保に追われていた。
鉄平の失踪の真相も把握している数少ない人物であり、本土で彼に再会した際には情報のやり取りや日記の保護なども託されている。
結果的に鉄平とは端島を出てからも彼の秘密の共有を続けて友情を保ち続けており、2017年にこの世を去っている。
演:土屋太鳳、野田あかり(幼少期)
鷹羽鉱業の職員の娘。家族がキリスト教徒。賢将と交際しているが、彼の本心が別の女性にあることを把握している。
一見軽い態度の女性に見えなくもないが、子供時代に本土の長崎市で不幸にも一家で原爆の被爆者となって姉を亡くしたことからキリスト教に対しても否定的だった。
その被爆の原因が朝子が遠因だったことから、彼女に対しては嫌味をぶつけるようになってしまった。
キリスト教を信じる母も亡くなってしまうが、最終的に立ち直って朝子とも和解し、以後は彼女達の友情は強固に続いた。
やがて賢将からプロポーズされることになり、結ばれて子供にも恵まれた。
作中で被爆の影響を心配する用があったが、少なくとも子供などの血縁者に被爆を匂わせる様子がない一方、百合子は1998年に病死している。しかし、この病死が被爆が影響しているかは不明。
演:國村隼
主人公鉄平の父親。鉄平と仲が悪い訳ではないが、息子が端島の鉱業で働くことに否定的だった。
自分が馬鹿だと自負しながらも「お互いの顔が見えないと相手を人間だと思えなくなる」という独自の理論を持っていたり、太平洋戦争の経験による戦争に対する怒りも残っている。
元々長年の劣悪な労働環境で肺が弱くなっていたことから労働時間は既に減っていたが、不幸にも引退寸前の時期に炭坑内火災に巻き込まれてしまう。
不幸中の幸いにも軽傷で済んだと思われたが、弱くなっていた肺が炭鉱粉塵によって肺炎を患ったことで最終的にこの世を去った。
演:中嶋朋子
一平の妻で鉄平の母親。典型的な昭和の頑固親父である一平にも強気に出れる。
息子たちを支えているが、その一方で進平が亡くなってからはリナや孫の誠の心配を理由に鉄平がリナの再婚相手になってくれないかと促す一面も(ただし、当時としてはこのような頼みは珍しくも無かったりする)。
誠がヤクザに誘拐されたことが原因でリナの秘密を知り、リナに対して怒りをぶつけるも鉄平に止められる。
鉄平が端島から逃走した後は、真相を朝子にも伝えられずに肩身の狭い状況で彼女に謝ることしかできなかった。
後に本土に移住してリナや誠と暮らすことになるが、結果的に息子の鉄平とも別れることになるなど悲しい事態になった。
冷静に考えると落ち度がないのになかなか悲惨な経歴になったのだが、戦争で息子が二人生き延びて孫も元気に生き延びた時点で当時の母親としては相対的にマシな立場でもあった。
演:沢村一樹
鷹羽鉱業の幹部職員で賢将の父。端島に転勤した際に妻が生活への苦痛を訴えたことで離婚して父子家庭。
息子には将来のことを考えて端島の住民と仲良くしないように釘を刺していたが、それが息子の反感を買ってしまっている。
冷徹な対応をすることから端島の住民のヘイトを溜めていたが、実際には端島に対しても想いは持っていて勤め人の立場から決断しているところもある。
会社でも信頼されているなど基本的には善人なのだが、自分が家族に対する対応が上手くないことを自覚していて自虐する発言も。
頻発する炭坑内火災への対応では指揮を担当しており、東京本社への転勤後は端島の最期も見届けている。
演:前原瑞樹
銀座食堂の若手料理人の男性で、朝子に好意を持っている。
鉄平を妬んで朝子にそれをぶつけるような小物らしさを感じなくもない言動をしたこともあったが、基本的には誠実な人物。
最終的に念願が叶って鉄平が端島から消えた後は朝子と結ばれ、端島から出て行った後は朝子と共に大企業を築き上げるに至った。
2018年時点では亡くなっていて池ヶ谷一族の家庭環境は悪化しているが、朝子と結ばれた後の端島での生活の様子や子供達の発言から察するにかなり良き父親だったらしいので彼がいなくなったことも家庭の不和の一因だったのかもしれない。
いづみ自身も鉄平への心残りを再発しているが、墓参りの際の虎次郎への発言から夫として慕われていたことが分かる。
演:さだまさし
端島に唯一ある寺の和尚で「説教和尚」とも呼ばれている。
鉄平たちのことは幼少期から認識しており、作中では原爆へのトラウマを持つ百合子の話相手としても大きく寄り添った。
寺の和尚だが「神も仏も何もしない、人を生かすも殺すも人間のすること」と考えており、戦争についても「子供たちに大きな禍根を残してしまった」と罪悪感を抱いている。
演:若林時英
博多から端島に働きに来た若い男性で「小鉄」と呼ばれておる。人懐っこい性格で部分ストライキでも活躍したことから周囲の評判も良いが、不穏な一面も見え隠れする。
病気の母がいるとしていたが、実際の正体は博多の興行主に依頼されてリナを殺害しようとしていた反社の人間。
夜に誰もいない状況でリナを見つけると、本性を現して護身用の銃を奪って彼女を殺害しようと試みるが、介入してきた進平によって逆に殺害させられる。
遺体も海流に流されて母親を理由に帰ったことにされるなど完全に死を無かったことにされるが、彼の兄貴分を初めとした仲間達が端島で消息を絶ったことを不審に思って報復に来たことが後の悲劇に繋がる。
【余談】
- 第2話における台風のシーンでは、端島の実話を元に建物が半壊する事態を再現するつもりだったが、ドラマのエピソードでセットを壊せないということで脚本が書き直しになった。
その代わりに浸水シーンを入れることにしたらしいが、その表現方法が「スタジオのセットをプール状に作る」というかなり無茶な手法だったことから脚本の野木は「本当に苦労をかけています」と振り返っている。
最終更新:2025年05月04日 21:06