登録日:2025/05/03 Sat 23:19:50
更新日:2025/05/05 Mon 10:21:31NEW!
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『1・2の三四郎』は、1978年(昭和53年)から1983年(昭和58年)まで『
週刊少年マガジン』にて連載されていた小林まことの漫画作品。
単行本は全20巻。(ワイド版、復刻版は全12巻)
直接の続編として『1・2の三四郎2』と『格闘探偵団』が存在しており、本項目では続編の情報の一部も記載してゆく。
他、それらの続編作品にて作者のもう一つの代表作である『柔道部物語』とも世界観が共通していることが後付けされている。
【概要】
小林まこと初の連載作品であり、代表作の一つ。
氏のデビュー作である『格闘三兄弟』を下敷きとしている。
連載前半は主人公達の高校時代が描かれ、ギャグ要素を多分に含む学園スポ根漫画と呼べる内容であった。
しかし、連載後半からは主人公達が根性で肉体改造を成し遂げた末に就職先としてプロレスラーを選択。
連載当初からプロレス愛やプロレスネタは頻発していたものの、本当にプロレスラーになってしまったことはリアルタイムで本作に熱中していた読者にも大きな衝撃を与えたのだとか。
連載時期がプロレス黄金時代の一つに重なっていることもあってか、当時のプロレス・格闘漫画としても代表的なタイトルの一つである。
氏の才能を開花させた作品でもあり、連載当時は勿論、連載終了後もメディアミックスの機会に恵まれる程の影響力を得た。
【物語】
新賀田県新賀田市の天竜学園にヒロインの北条志乃が転校してくる所から物語は始まる。
お互い遅刻しそうになっていた所でぶつかった上に揃って遅刻するという、ベタな展開で初遭遇を果たした北条志乃と東三四郎。
これを機に三四郎との腐れ縁が出来た志乃は、割と自分から乗っかる形で三四郎と、その仲間達の巻き起こす騒動に関わってゆく。
やがて、卒業間際のトラブルにより三四郎は本気でプロレスの道へと進む。
まともな稼業ではないプロレスラーを目指されてはさすがに腐れ縁も終わり……と思いきや、なんと志乃が就職先とした保育園は三四郎達の師匠となった桜 五郎が副業として経営していた“ひまわり保育園”だった。
デビュー後も相変わらず騒動の中心となる三四郎達は、大手団体・新東京プロレス主催のタッグトーナメントに参戦。
数々のライバルと対決&和解をする中で、遂に決勝戦へ駒を進める。
果たして、タッグトーナメントの行方といい加減にお互い素直になろうと決めた三四郎と志乃の恋の行方や如何に……?
【主要な登場人物】
■東 三四郎(あずま さんしろう)
本作の主人公。天竜学園のお騒がせ男。
柔道部に入ろうとした所でたった一人の部員にして主将の大橋に逃げられ、新入部員にして柔道部の主将となったことから部の存続のために互いに数合わせで馬之助、虎吉と共に総合格闘部を立ち上げることとなった生粋のトラブルメーカー。根っからのプロレス好きにして度を越したスケベ。
元々は体格こそ普通だが、驚異的な身体能力と反射神経の持ち主である天才肌。
また、勉強こそ出来ないものの地頭は悪くないタイプでもあり、志乃を巡る恋のライバルになるかと思われた望月学園の優等生で柔道部の主将であった阿星 健の裏の顔を見抜いて退散させるなど人間観察にも優れる。
超美人の姉の幸子がおり、複雑な家庭事情から姉弟のみの2人暮らしとなっており、幸子を狙う野郎共から羨ましがられている。
元々は県下に名前を轟かせる天竜学園のラグビー部に所属しており、飛鳥と並ぶツートップとして最多得点記録を誇った部の花形だった。
しかし、ある時の練習中にスクラムが崩れて多数の部員が怪我を負った事件にてPTAと教師の間に起こったラグビー部廃部問題の中で生徒にも関わらず会議の場に乱入。
そこで自ら全ての汚名を引き受けることを宣言し、有無を言わせずに退部してラグビー部を存続させた。
……勿論、生まれついての優れた身体能力を持つ上にラグビーを知り尽くした三四郎がそんなミスをするはずがなく、他に犯人が居るのを誰とは知らずに庇っていただけだったのだが、そんな事情に気付く人間は少なく一転して学園の嫌われ者となってしまっていた。
そうして自分で引っ被ったとはいえ、元は家庭の事情もあってか荒んだ生活を送っていた自分を救ってくれたラグビーへの未練と、表向きには強がっていたがやっぱり悪名に押しつぶされそうになっていたものの、腐れ縁となっていく志乃や生徒会長の礼子の活躍もあってか学園祭でのエキシビションとしてラグビー部との精算マッチに臨むことに。
急造の素人ばかりのチームにも関わらず、馬之助をはじめとして意外な活躍を見せた岩清水など海千山千の総合格闘部の面子によるダーティな活躍もあってか食らいついていく。
そして、スクラム事故の真犯人であった宇ノ井の告白により試合中に汚名を晴らすこととなり、一転してラグビー部を救った英雄と見直されると共に、今度は他の面子もラグビーに慣れたからか正々堂々とした戦い方で試合を終えた。
試合後は当然のようにラグビー部に戻ることを懇願されるが自らのケジメとしてラグビー部には戻らず、新たな仲間と共に総合格闘部を続けることを告げる。
そして、今度は新入部員にして県下でも有数の柔道家である参豪の依頼を受けて柔道の団体戦に出場。
全くの素人だったにも関わらず、ここでも優れた身体能力とラグビーを元にした奇策とプロレス愛で名だたる実力者達を破って団体戦優勝を成し遂げてみせるのであった。
その後、卒業後の進路を考える中で憧れの新東京プロレスを見学しに行くが、その際のトラブルでアマレス出身の大型新人・五頭との間に因縁が生じ、さらにたった一人で新東に喧嘩を売る五郎の姿に衝撃を受けて本気でプロレスラーになることを決意。
ド根性による徹底した肉体改造により僅か数ヶ月で規定を超える肉体を手に入れ、本当にプロレスラーとなる。
デビュー戦こそ仲間割れもあってかグダグダの黒星発進に終わったが、その後は相変わらずの優れた素質と五郎直伝のテクニックで“ひまわり軍団”のエースとして連戦連勝。
空位だったTWWAタッグ王座が賭けられたタッグトーナメントでは頁二と組んで出場、五頭と柳を破り和解した上に、ラグビーに打ち込んでいた頃は雲の上の存在であったオズマとノーランをも常識外れのパワーを見せつけて粉砕、見事に優勝を成し遂げた。
続編となる『2』で、志乃と入籍だけは済ませた状態で海外修行に出発。
新東プロレスの新エースとして迎え入れられるはずであったが、海外にいる間に新東プロレスは無茶なサイドビジネスがたたって崩壊しており、やむなくファミレスの雇われ店長をしていた。
五頭との再会により、ずっと目を背けてきたプロレス界の現状と、その悪い意味での中心にかつての付き人である赤城が居ることを知り、その横暴に立ち向かうことを決意。
現役復帰により世間の注目を集めると共に、プロレスラーとしてビッグマッチで赤城を降す。
更なる続編『格闘探偵団』では、TV中継を得るために八百長試合で負けることを受け入れたものの、余りの強さに一瞬で相手をKOしていたのが丸解りだったにも関わらず強引に負けようとしたことから八百長が衆目にも知れ渡ってしまい、やむなく私立探偵に転職する。
『2』も暗い展開を含むので賛否両論があったが、この『格闘探偵団』は(主に上記の舞台設定の件にて)ファンとしても更に複雑な評価がされる作品ではあるのだが、三四郎の強さばかりでなく無印時代から地味に発揮されていた地頭の良さや人間観察眼が発揮されている興味深い作品ではある。
ちなみに『JJM 女子柔道部物語』では、無印準拠の現役時代の三四郎達が時間軸を現代に移してゲスト出演して話題となった。
都合によっては、問題なく新東プロレスが存続した世界線が描かれる可能性もあるのかも知れない。
作者の小林まこと曰く三四郎は“誰にも真似できない男”であり、自分の思い描く“強い男”の代表格とのこと。
実際、彼の描く格闘系漫画の頂点に立つ存在であり、真剣勝負においても最強の存在となっている。
『2』で語られる戦績では、上記のデビュー戦以外での敗北記録には海外修行含めて一度もフォール・KO敗けが存在しないと説明されている。
実際の実力についても、まず一人で座れるようになった赤ん坊の頃に姉の落としたお手玉を回避したという伝説を持つ生まれつきの敏捷性、プロレス界一と評されるタフネス、どんな小技でも一発が強烈になる底知れぬパワーと、あらゆるステータスが常識はずれの高さ。
得意技は垂直落下式ブレーンバスター、ラリアット、ルー・テーズ式バックドロップ、ジャーマンスープレックスなど。
非常にオーソドックスながらどれも他者の同じ技とは別格で、決まった時には傍目にも「終わった」と思わせる威力と迫力を誇る。
特にブレーンバスターは高校生時代からの得意技で、ラグビーや柔道の試合ですら決めている。
『2』ではブレーンバスターの要領でゴミ捨て場のバイクを持ち上げるという怪力まで見せつけていた。
■北条 志乃(ほうじょう しの)
本作のヒロインにして随一のネタキャラ。天竜学園に転校してくる前は望月学園にて生徒会長をしていた。
当人の間抜けな性格もあってか、三四郎達にはギャグ展開の中で散々に貶されることが多いものの、反対に距離がある人間ならば瞬く間に虜にしてしまう豊満ボディの美少女でもある。
実際、本人を前にしては頑なに貶しているものの、三四郎達も志乃を餌に参郷などを釣っているので内心では美人なのは認めていたと思われる。
実際、志乃の側から好意を示したのは三四郎と阿星くらいだが、それ以上の男達から興味を示されていた描写も多い。
成績優秀だが運動神経は悪く、見た目に反して並外れた大食いだったりとキャラが濃い。
オシャレにも気を遣っているのだが、髪の毛を切りたいと言って三四郎に紹介された床屋のプロレス好きの親父に「プロレス中継を観ながらでいいか」と聞かれたのを快諾したせいでザンギリ頭にされてしまい、しばらくはカツラを被って生活する羽目になったりと歩くだけでトラブルに遭遇する不幸体質でもある。
天竜学園では新体操部に入部するつもりでいたのだが自信満々の口ぶりとは大違いの演技でプライドをへし折られ、強引に総合格闘部のマネージャーとなる。
両親からは進学を望まれていたのだが卒業後は就職を選び、横浜のとある保育園に保育士として勤務することに。
……が、件の就職先が三四郎達の拠点“ひまわり保育園”であったために今度は同僚として腐れ縁が継続する。
英会話が堪能だったためにダンやスノウマンとも意思疎通が可能と、ここでも三四郎達の助けとなった。
そして、今度は寝食まで共にする中でやっと自分の気持ちに素直になっていき……と、無印時代は三四郎と志乃のラブコメとしての面も大きかった。
『2』では三四郎と入籍を果たすも、直後に三四郎が海外修行に出発してしまったと語られるなど相変わらず順風満帆とはいかない姿が。
帰国後、三四郎に新東プロレスの崩壊を伝えつつ念願の新婚生活を開始。
以降は「無印時代はなんだったのか」というレベルのバカップルと化し、雇われ店長の三四郎と出勤前に激しく乳繰り合って遅刻の原因になるなどしていた。
一方では、当人にはその気はなくとも相変わらずの魔性の女ぶりも発揮しており、志乃の存在が赤城が三四郎を恨む(妬む)最大の理由として描かれていた。
だが志乃の方は三四郎への想いについて「出会った時からずっと好きだった」と答える一方、赤城には数々のプレゼントを受け取りつつも最終的に指輪まで贈られたことで気味悪がり、その後は風呂を覗き見た疑いまでかけ、対三四郎のために赤城が山籠もりを始めたと知るや「人間の先祖は猿だから山に帰りたがる」と暴言を吐き、三四郎が赤城によって再起不能にされた場合のことを聞かれると包丁を取り出し「これで赤城くんを刺すわ」と答えるなど、むしろ極端に嫌悪の念を見せるほどであった。
■西上 馬之助(にしがみ うまのすけ)
三四郎の同級生で大阪出身。天竜学園ではレスリング部所属。
三四郎が入部しようとした柔道部が部長兼唯一の部員だった大橋が女にモテたいあまりラグビー部に鞍替えしたせいで無人になったのを受け、部室の柔剣道場を奪おうとしたのを阻止される中で数合わせ的に総合格闘部に組み込まれ、以降は三四郎の悪友にして相棒と呼べる関係に。
小柄な体格と普段の飄々としてスケベな態度からは想像もつかないが、実はアマレスでは国内有数の実力を誇る優秀な選手で、インターハイでも優勝経験がある。
参豪の依頼を受けての柔道大会でもレスリングのテクニックを駆使して活躍。卒業後はオリンピックを目指そうとしていたものの、本気でプロレスラーになることを決めた三四郎に何も言わずに付き合って共に肉体改造に励み、同じく五郎の弟子として“ひまわり軍団”に参加。
プロレスラーとしては相変わらず小兵ながら、優れたレスリングテクニックと飛び技をミックスさせたファイトスタイルで活躍する。
『2』では三四郎より早く海外修行を終え、メキシコ帰りのマスクマン“オコノミマン”として人気を得たものの、新東プロレス崩壊後は元ミス沖縄の嫁を得て沖縄に移住、ついでにお好み焼き屋に転職していた。
まだ若いのに幸せの中で中年太りまでしていたものの、五頭が死んだと勘違いする中で三四郎達と再会。
やっぱり三四郎に感化されて現役復帰し、赤城戦までを支えることになる。
得意技はジャーマンスープレックスからレッグクラッチホールドで抑え込んでいくコンボ。『2』からは普段息を呑んで引っ込めている腹を解放してのダイビングボディプレスも加わっている。
高校時代の柔道の試合ではサイドスープレックスを決めていた。
■南小路 虎吉(みなみこうじ とらきち)
ゴツい体格と濃ゆい顔に似合わず元美術部員で、色々あった末に一人で空手研究会を立ち上げていた。
馬之助と同じ理由で柔剣道場を占拠しようとしたのを三四郎と馬之助に阻止されて総合格闘部の一員となり、悪友として彼らと行動を共にするようになる。何故か九州訛りがある。
空手歴こそ不明というか実は浅いのかもしれないが、体力面そのものでは三四郎や馬之助に劣るものではなく喧嘩の腕前も互角というレベル。
体格もあってか、初期には三四郎以上のパワーも誇っていた。
初期には柔剣道場の所有権を賭けて“格闘技世界一決定戦”と称したバトルロイヤルを始めては志乃に止められるお約束があった。
元々は少女漫画志望で、高校生にして既に将来が嘱望されるほどの実力があったのだが、三四郎に付き合って新東プロレスを見学に行った際の騒動を経て少年漫画を志望するようになる。
卒業後は別にプロレスラー志望でもないのに取材も兼ねて三四郎達と寝食ばかりかトレーニングにまで付き合いながら漫画修行をしており、三四郎と馬之助は言うに及ばず、頁二からも同じ釜の飯を食った仲間として認められていた。もし漫画家になれなくてもプロレスラーにはなれていたはず。
『2』では人気漫画家として登場。代表作は『ウッシャーマン』で、タイトル的に少年向け格闘漫画と思われる。
金銭面で苦戦する三四郎達を援助……はしないが、返還された税金で移動・宣伝用の自動車やウインドブレーカーを提供するなど、スポンサーとしてそれなりの存在感を見せた。
……が、ドリームチーム初勝利時に揚げろと渡した旗が漫画の広告(曰く「タダで車を寄付するやつなどいない」)であり、そのことで三四郎に追い回される羽目に。
■参豪 辰巳(さんごう たつみ)
坊主頭のイモ臭い転校生だが、実は県下有数の柔道の実力者で以前の学校では主将も務めていた。
例の如くで天竜学園ではラグビー部の人気が高すぎるのか他の部活は人手不足であり、柔道部改め総合格闘部に足を向けた所で三四郎達と出会う。
当初はあまりにカオスに魔改造された柔剣道場の様子に呆れて去ろうとしたのだが、ラグビー部との対決を前に人手が欲しかった三四郎に志乃のヌード写真を餌に対決を申し込まれ快諾。
ここで、ハンデとして純粋な柔道ルールではなかったものの素人のはずの三四郎に敗れてしまい、そこで三四郎達が只者ではないと知ると共に自分からつるむようになる。
真面目そうな顔をしているが、上記の経緯からも解る通り実態は三四郎達に負けず劣らずのスケベであり、変な所でノリのいい性格。みんなが無言になった所で臭い屁をこく悪癖がある。
実際、参豪の見立ては間違っておらず、後に個人大会のみでは出場できなくなった全国大会に出場するため挑んだ柔道の県大会団体戦では素人にも関わらず三四郎達の活躍で優勝させてもらっており、それによって晴れて出場した全国大会でも念願の個人優勝を成し遂げている。
卒業後は柔道の名門として知られる京都の山嵐大学に進学。三四郎達とは惜しみつつも別れることになったが、デビュー戦を観戦に訪れるなど友情は変わっていない。
……のだが、色気づいてパーマにしていたのを丸刈りにされたことから報復として三四郎達に罪を被せる形で悪さをするなど、相変わらず抜け目のない一面を見せている。
『2』では三四郎が海外にいる間にオリンピック出場でも果たしたのか、現役選手として全日本強化選手となっていた『柔道部物語』の主人公である三五 十五と西野 新二をコーチとして指導している姿が描かれており、現役復帰した三四郎の復帰戦(ピラニアマッチ)を観戦しに来た他、終盤にも三五と西野を連れて赤城戦の観戦に訪れていた。
■飛鳥 純(あすか じゅん)
天竜学園ラグビー部のキャプテンで、かつての三四郎の相棒格。
爽やかイケメンで「在籍しているだけでモテる」と言われるラグビー部でも別格的な人気を誇るが、当人はそばかす美人の奈緒子一筋の生真面目な性格。
融通が利かなかったり不器用な部分があり、スクラム事故の件で三四郎が一人で罪を被った上に全くの相談も無しに部を去ったことが信じられず、そのショックもあってか率先して三四郎を目の敵にするようになっていた。
志乃に煽られたのが許せずに三四郎の記録を塗り替える得点記録を出すなど発奮していき、最終的にはエキシビションマッチとはいえ文化祭で総合格闘部との試合に挑む。
三四郎以外は素人の集まりと侮っていたものの、海千山千で各々の得意分野を活かしたダーティな試合運びをする総合格闘部に苦戦。その中で再び三四郎を責めるが、三四郎が責められることに耐えきれなくなったPTA会長の息子である部員の宇ノ井が自分が事故の原因であり、ラグビー部潰しの急先鋒であった母親(会長)もそれを知って隠した上でラグビー部自体の問題にすり替えようとしていたことを打ち明けたことで、三四郎への疑念が晴れると共に罪悪感にも苛まれる。
試合後、これまでの態度を詫びて宇ノ井と共に三四郎にラグビー部に戻るよう持ち掛けるも固辞され、以降は普通の友人関係をやり直していく。
卒業後はラグビーの名門で有力なOBも多数在籍しているUN大に進学。三四郎達のデビュー戦も観に来てくれた。
『2』では髭を生やしてダンディな見た目に。
夢を叶えてプロになったのか、奈緒子と結婚していい暮らしをしている姿が描かれていたものの、参豪同様に三四郎の復帰を知りショックを受けつつも観戦に訪れる。
かつての新東プロレスとは大違いの場末のインディー団体の雰囲気に呑まれつつも参豪と共にデスマッチの雰囲気に興奮を覚えていた。
終盤にも三四郎と赤城の試合を見に会場を訪れており、かつての天竜学園の同窓生達との再会を喜ぶ場面が描かれている。
■岩清水 健太郎(いわしみず けんたろう)
真夏でも白いトレンチコート姿という特異なスタイルを貫く男子生徒。
いわゆるカメラ小僧(というか盗撮魔)で、暑苦しい恰好は撮影セットと護身用のギリギリ合法な凶器を隠すためのコスチュームという側面がある。
主に可愛い女子生徒のハプニングシーンばかりを撮影してはコレクションしていた。
名前と元ネタは当時のマガジンの人気漫画『愛と誠』の岩清水 弘と歌手の清水 健太郎。なので口癖は「死ねる」で前述の美少女の写真と名簿を「死ねるコレクション」としてまとめている。
志乃に一目惚れして総合格闘部に誘われ、イヤイヤながら付き合わされている風であったものの、ラグビー部との試合後は自ら柔剣道場に居着くようになり三四郎達との関係も続いていくことに。
戦力としては見込まれていなかった柔道編でも何気に活躍し、三角絞めで勝利するなど侮れない男である。
卒業後は芳賀田スポーツのカメラマン兼ライターとして三四郎達の活躍を追う一方、風俗ライターを任された時にはストイックな生活を送っていた三四郎達を羨ましがらせた。
『2』の時代では界隈の有名人となったらしく、著作まで出版していた。
この頃には独立しているようなのだが、参豪達とは別口(に個別)で三四郎の復帰戦の取材に訪れており、その際の只者では無さから同じケを持つ河口の心の師匠となり、以降も三四郎の試合に訪れていた。
作者お気に入りのキャラクターとして単発作品『それゆけ岩清水』も描かれているものの、当該作の主人公は厳密には健太郎ではなく、瓜二つの兄の金太郎である。
■笠原 礼子(かさはら れいこ)
天竜学園の生徒会長。容姿端麗で成績優秀なクールなメガネっ娘。
成績に関しては志乃が転校してきて以来トップから陥落しており、生徒会の認可無しに立ち上げられた総合格闘部にきつく当たっていたのもその腹いせかと思われていたのだが、実際には周囲が思うほどにはショックを受けておらず、寧ろ当人としては志乃と親しくなる口実として利用していたほど。
実は過去に三四郎に告白してフラれており、表向きには気にしていないとしつつも実際には後々まで(というか永遠に)想いを寄せ続けていたのが伺える負けヒロイン枠。
志乃に三四郎達が只者でないことを知らせ、共にラグビー部とのエキシビションマッチを実現させる。
卒業後は進学せず看護師に就職。初の有給で三四郎のデビュー戦を観に訪れ、志乃と三四郎の仲が狭まっていることに意外とも複雑ともとれる顔を見せていた。
■倉持 トミ子(くらもち とみこ)
三四郎と志乃のクラスメート。
事情通のお喋り好きで、ラグビー部との対決では実況まで担当していた。
卒業後はクラス会をまとめ上げて三四郎の応援に訪れている。
■工藤先生(くどうー)
顔面に残る大きな傷跡に五分刈り、サングラスに着崩したスーツ姿とどう見てもカタギには見えないが、実際には天竜学園の教師で少し前まではラグビー部の顧問も務めていた三四郎の恩師。
迫力ある見た目だがこれでも20代。
三四郎と同様に例のスクラム事故の責任をとって顧問を辞めており、何も相談されすとも三四郎が自ら罪を被ったことも確信していた。
本編には志乃に痴漢と間違われる場面にて初登場。総合格闘部を立ち上げた三四郎とも久々に顔を合わせたのを機に、自ら総合格闘部の顧問を買って出てつるむようになる。
また、それと共に美人として有名だった幸子と出会い、一目惚れして猛アタックを開始。
あまりにも泥臭いアプローチだったので当初は茶化していた三四郎達だったが、工藤の見た目からは想像もつかない純粋さにネタに出来なくなっていった。
三四郎の卒業間近にはアプローチが実り幸子の側からも熱烈な愛情を向けられるようになっており、三四郎がどれだけ工藤の容姿や癖をいじっても通用しなくなった。
『2』では無事に幸子と結婚したらしい姿が描かれており、同じく義弟である三四郎と赤城の対決の観戦に集っていたかつての教え子達に囲まれていた。
■成海 頁二(なるみ ぺいじ)
日本人離れした長身を誇る元空手チャンピオン。
新東プロレスの新弟子入門試験の際に騒動を起こした三四郎達が気になり、彼らを追いかけて同じく“ひまわり軍団”の一員となる。
(より直接的な理由は風呂場で社長の塚原の娘に裸を見られてしまったこと)
プロの漫画家を目指して三四郎&馬之助と道を違えた虎吉の後継キャラクターで、同じトレーニングこそ積んでいたもののプロレスの試合では頁二が“ひまわり軍団”として三四郎達やダンと組んで出場していた。
見た目に反して実は大阪の家具問屋のお坊ちゃんで、しかも可愛がってくれる三人の美人な姉がいる。
そんな経歴ゆえかハングリーな生活に憧れており、空手を始めたのもプロレスラーになったのもそれが理由。
空手を活かした規格外の打撃はプロの世界でも一撃必殺の威力を誇るが、反面寝技が全くの不得意で、これは後々まで改善されなかった。
『2』で新東プロレスが崩壊してからは、実家のコネなのか住職兼プロの格闘家(空手家)となっていた。
五頭が死んだと勘違いして三四郎達と再会したのを機に現役復帰し、かつての最強トリオを再結成してドリームチームを急成長させていく。
無印時代は普通に喋れていたのに
「ウガ」としか喋れなくなっており、それに準えた“有我”のフレーズをトレードマークとするようになっていた。(馬之助にもツッコまれているが“無我”のパロディ)
『格闘探偵団』ではドリームチーム解散に伴い多くの仲間がリングを去る中、ただ一人現役で活動していたが、ボブ・サップとの対決で秒殺されてしまい引退する。
■柳 政則(やなぎ まさのり)
黒崎高校柔道部の主将で、前年の県大会中量級優勝者。
クールなイケメンだが、同時に狼を思わせるワイルドな風貌をしている。
下記の経緯を読めば解るが、見た目や印象に反して子供っぽい性格の持ち主。美人の妹がいる。
必殺技として、自ら生み出した「腕取って逆回って体落し風投げ」、通称“柳スペシャル”を得意としている。
個人戦・団体戦いずれでも優勝候補の最右翼であったものの、素人のはずの三四郎のラグビーのタックルを応用した両手刈り(というかスピアータックル)三連発の奇策の前に敗れてしまい、三四郎を終生のライバルとして定める。
三四郎の個人戦での初戦敗退には怒りを滲ませていたものの、実は三四郎のスピアーの威力が高すぎて受け身の際に手首を骨折しており、それが仇となって自らも個人戦では三四郎に勝った金田に敗北。
負けたこと以上に三四郎と再戦できなかったショックの方が大きかったようで、高校最後の大会が結果だけ見れば不振に終わって恐らくはオリンピック候補や強化選手に選ばれなかったのを幸いとばかりに三四郎との再戦のみを追い続けるようになり、三四郎が新東プロレス入りを目指していると聞いて、自らも肉体改造に励み新東プロレスに入門する。
三四郎達が正規の新弟子ではなく“ひまわり軍団”に入ったことで再びフラストレーションを抱えつつも、五頭に見込まれて実績を積み、三四郎達とライバルとしてぶつかっていくようになる。
プロレスラーになってからは柳スペシャルに加えて噛みつき攻撃を得意とするようになっており、実力者である馬之助を血みどろの失神KOに追い込むなど才能を開花させた。
TWWAベルト争奪タッグトーナメントにて三四郎・頁二と互角の勝負の末に敗れ、事実上の和解を果たす。
『2』で新東プロレスが傾いた後は総合格闘技としての要素が強い「プロ柔道」を立ち上げ、旗揚げ興行に三四郎達を招待。
前述の金田のような、実績だけを見れば柳よりも華々しい活躍をしていた五輪級選手も柳の強さと理念に魅せられて参加していたことから、自ら進んで無冠になったものの柔道家としての実力的にはやはり飛び抜けていたことも伺わせた。
ネームバリューとスポンサー獲得のため赤城に挑むも、実は若手時代に辛酸を舐めさせられた一人である柳はそもそもが赤城のターゲットであり、柳が得意の寝技に持ち込もうとした刹那の肘打ち、さらに息を吐かせぬ打撃の雨あられを受けてKOどころか再起不能レベルの重体に陥る。
しかし、三四郎と赤城の死闘の中で徐々に言葉を発するようになっていき、三四郎の勝利後には自ら車椅子から立ち上がった姿が描かれている。
■五頭 信(ごず しん)
元アマチュアレスリングチャンピオンで、オリンピック候補であったものの日本のモスクワ五輪不参加により夢が絶たれて新東プロレス入りした。
レスリングでの実績から若手にして新東プロレスのエースとして君臨していたものの、見学に来た三四郎に乱闘騒ぎの中でエロ本で鼻を折られて女性ファンを失い因縁が生じることに。
イケメンの部類なのだが、顔の輪郭がぞうりに似ているという理由から三四郎から「ぞうり人間」という屈辱的なあだ名を付けられ、後に同じく三四郎と因縁のある柳とのコンビで三四郎達と抗争を繰り広げていく。
タッグトーナメントでは馬之助組を破るも三四郎組には全力を尽くした末に敗れ、決勝進出は逃したものの実力を認め合い和解。
ラストでは、共に新東プロレスを支える若手スターとなった場面が描かれていた。
『2』では裏主人公とも呼ぶべき存在として活躍。無精髭を生やした上に目付きが鋭くなりワイルドな風貌に変わったが、三四郎からはひと目で五頭と判別された。
新東プロレス崩壊後、理念を引き継ぐ正統派プロレス団体「FTO」を旗揚げしていたものの、そこに本心を隠して参加していた赤城の下剋上を受け、総合格闘技戦法で両膝を壊され選手生命を絶たれることになる。
しかし、それでもプロレスへの情熱と赤城へのリベンジの願いは捨てきれず、帰国していた三四郎に接触。新団体「ドリームチーム」の余りにも悲惨な旗揚げを目の当たりにした三四郎にショックを与えた。
その後、自ら首を括ろうとしたのだがレスリングで培った強靭な首によって失敗。
死んだと勘違いして集った三四郎達の相変わらずの天然ぶりに怒りつつも自らの情けなさに涙を流すが、このことが三四郎達の復帰の理由となる。
三四郎達の復帰後はブレーンとして赤城戦までを支えつつ、最終回では『2』の実質的なヒロインであるJKのほたるへの告白を成功させる。
『格闘探偵団』ではほたるとクリーニング屋を経営。完全にプロレス・格闘技界からは身を引いたものの、友人として三四郎を支える。
■ザ・スノウマン
恐らくは北欧出身と思われる、無口な巨漢の覆面レスラー。通称「雪だるま男」。
誰に書いてもらったのか、日本での活動用に「フライドチキンが食べたい」など複数のメモを用意して携帯しているのだが、常に状況に合わないメモを出しては三四郎達にツッコミを受けるというお約束があった。
素顔は不明で、プライベートでもマスクを外さないために就寝中にマスクが反対になって窒息しかけるなどコメディリリーフとして描かれていた。
とはいえ実力は確かで、持ち前のパワーを活かした戦い方で、基本的に敵だらけの“ひまわり軍団”の一員として活躍。
『2』では世界的に名を知られたトップレスラーとなりながらも、友人である五頭のためドリームチームの旗揚げ戦に参加。
日本語を覚えたのかようやくまともに喋る場面が描かれ、曰く「こんなに少ない観客の前で試合をするのは初めて」と言いつつ礼儀を尽くして全力で相手をすることを宣言し、宣言通りに五頭を血祭りにした。
終盤では、新東時代の外国人レスラー仲間と共に赤城戦に臨む三四郎の激励に駆け付ける。
■ダン・ロビンソン
英国出身の若手イケメンレスラー。英国ジュニアヘビー級王者の肩書を持ち、外国人枠で“ひまわり軍団”に入れられたことで三四郎達との腐れ縁が生まれる。
当初こそ仲間割れする展開となったものの、その後はスノウマン同様、自ら三四郎達と行動を共にするようになる。
イケメンだが実際には女性経験が乏しい生真面目人間のようで、志乃にのぼせ上がったり、女性ファンからキスされて舞い上がって電柱に頭をぶつけたりと情けない一面を見せては三四郎達を呆れさせていた。
タッグトーナメントではタイプが近い馬之助と組んで奮闘するも五頭・柳組に敗れる。
『2』では赤城戦を前に三四郎の激励にスノウマン達と共に参上。
相変わらず志乃にメロメロな様子を見た馬之助に呆れられていた。
■田中 敬三(たなか けいぞう)
新東プロレスの中堅レスラーで、ストロングスタイルの実力者として観客からの人気も高い。
「田中に勝つことが海外修行の条件」と言われるほどの信頼を寄せられており、有望な若手の大きな壁として立ち塞がっている。
カオスなデビュー戦とその後の噂話から当初は三四郎達を侮っており、試合では自分と手四つを組もうとした三四郎に「お前レスリングをやるつもりなのか?」などと発言していたものの、それに応じてみた所で予想外の三四郎のテクニックに驚き、認識こそ改めたもののそのまま敗北。
実力者である田中を破ったことで、新東プロレス内でも一気に三四郎達への警戒が強まることになった。
ちなみに、名前は作者の友人である漫画家の川三番地(代表作は『4P田中くん』や『風光る』)の“本名”から取られている。
『2』では新東プロレスの崩壊後に独立して信頼の置ける後輩や仲間と「田中プロレス」を旗揚げしていたことが明らかに。
社長兼エースとして奮闘していたものの、田中も赤城のターゲットの一人であり、やっぱりネームバリューを得るための試合で敗れた上に大怪我を負わされ、現役復帰こそ成ったものの不在期間の影響は大きく団体の維持が困難な状態となっていた。
起死回生というか、ギリギリの判断として復帰した三四郎達を事情を隠して頼り、ドリームチームとの全面対抗戦に挑むも、リングリーダァやプロ柔道を吸収して選手層が厚くなっていたドリームチームに完膚なきまでに敗れて本人的には有終の美を飾る。
その後は三四郎に赤城戦の経緯を明かしつつもギャラの支払いを待ってもらうよう懇願するという情けない姿を見せたものの、エピローグでは人気団体となったドリームチームに部下と共に拾われる姿が描かれている。
■桜 五郎(さくら ごろう)
プロレス・総合格闘技における三四郎達の師匠。
塚原のかつての相棒にしてライバルで、共にTWWAタッグ王座を保持していたものの、シングル王座への挑戦権を巡るいざこざで袂を分かち海外に活動拠点を移したという過去がある。
その因縁の精算として新東プロレスに挑戦状を叩きつけた際、偶然にも居合わせた三四郎達に衝撃を与え、弟子入りを志願させる切欠となった。
実は、プロレスラーであると同時に帰国後の本業として横浜市鶴見区に“ひまわり保育園”を開園しており、偶然にも志乃の就職先兼三四郎達の修行場となるのであった。
海外遠征中に見つけた北欧系の美人妻・コーキーと歳の差婚をしており、あまりにも犯罪的な見た目の差で三四郎達から総ツッコミを受けていた。
しかも、日本のパジャマだと騙して就寝時にはコーキーにセーラー服やナース服を着せておりコスプレ(でするの)が趣味のようである。
プロレスでは保育園の名を冠した“ひまわり軍団”の総帥としても暴れ回る。
見た目は胴長短足を強調する懐かしの田吾作スタイルに下駄履きという日本人ヒールの典型スタイルで、表向きは凶器攻撃と「うんこー!」と叫びつつの頭突きをフィニッシュとするなどの分かりやすいファイトをしているものの、実際には総合格闘技にも通じるレベルの超絶テクニックを有する超実力派レスラーである。
三四郎達にプロレスラー/プロ格闘家としての全てを教え込んだ男であり、三四郎が持論として掲げる「プロは絶対に素人に負けてはならない」は五郎の教え。
無印では、最後に反則とラフ殺法を封印して塚原に挑むも惜敗。塚原と和解すると同時に、三四郎達を正式に新東プロレスへ移籍させる。
……だが、『2』では塚原が作ってしまった莫大な借金を返すための資金繰りで色々とやらかした末に指名手配犯となってしまっていた。
格闘技の腕前もあってか時効まで逃げ切る覚悟でいるようで、コーキーと共に逃亡生活を続けつつも折々に三四郎達の前に姿を現す。
赤城戦の直前には正体を隠してリングに上がり、馬之助・頁二と共に実戦形式で三四郎の最終調整に手を貸した。
■塚原 巧(つかはら たくみ)
新東京プロレスの社長兼エース。恐らくモデルはアントニオ猪木と藤波辰爾。
TWWAヘビー級チャンプのタイトルを有する正統派/実力派レスラーとして長らく君臨してきたが、過去のいざこざから五郎の対戦要求を受け、それが弟子達と三四郎達との抗争に発展した。
五郎のことは「実力では上を行かれていた」と認めており、内心では未だに友情を捨てていない。
最終的には純粋なテクニック勝負で五郎を降して和解、三四郎達も正式に弟子として迎え入れる。
『2』では無茶なサイドビジネスで会社を潰した戦犯として扱われ、逃げ続ける五郎とは違って実刑判決を受け収監されていた。
数年の務めを経てシャバに出てきたものの、息を吐く間もなく詰めかけた記者達に世間の話題を集める三四郎VS赤城戦の感想を聞かれた挙げ句「とどのつまりはアナタが悪い」とまで言われてしまう……。
■赤城 欣一(あかぎ きんいち)
厳密には『2』の登場人物なのだが、シリーズ最大の悪役として本項目でも言及されることが多いので追記。坊っちゃん刈りなのに格好良く見える稀有なキャラデザをしている。
元々は『無印』終了直後の時期における“ひまわり軍団”の後輩で、一見すると大人しく礼儀正しいが、その実態は異常な母親に育てられた影響で他者に侮られることを最も嫌う、高慢なプライドとねじくれた加虐心の持ち主。
自身のプライドを支えるに足る優れた身体能力と強靭な肉体、計算し尽くされた格闘理論を武器にデビューするが、デビュー戦の相手となった三四郎の頭突きで血みどろにされた末にブレーンバスターで失神KO、失神から覚めた後に三四郎を追って再度の返り討ちに遭うという凄まじい初戦を飾った。
その後は三四郎の付き人となって表向きは大人しくしているように見せながら逆襲の牙を研ぎ、ついでに志乃に懸想してプレゼント攻勢を仕掛け、それを見抜いた三四郎から「スネーク赤城」のリングネームを提案されたが固辞する。
作中描写的に相変わらず期間が短すぎるとも思うのだが、この直後に三四郎は海外修行に出発→新東プロレスが急速に傾いていったらしい。
新東崩壊後は自分に屈辱を負わせた仇として三四郎、五頭、柳、田中への報復を画策。プロレス団体群雄割拠の中で五頭の立ち上げたFTOに加わるものの、ここで本性を現して五頭に世代交代を突きつけ、直接対決にて純プロレスとは違ういわゆるUWF/総合格闘技的なスタイルにより五頭の膝を順番に破壊、完全勝利した末に五頭を追放して格闘技界のカリスマとなる。
さらに柳と田中にもルールのギリギリを突いて選手生命を断つことを成功させ、これを知った三四郎の怒りを買うと共に赤城も全ての精算としてデビュー戦以来となる三四郎との直接対決を決意し、三四郎を前に「勝ちたいのではなく
殺してやりたいのだ」と言い放った。
私生活では人気グラビアアイドルの亜紀形ひなこと交際しているものの、互いの仲は険悪。本心では未だに志乃に執着を寄せており、天女と称して崇拝している。
余談だが猿先生の『ロックアップ 我等 あかつきプロレス団』に登場する和田アキ男は和田アキ子は勿論、顔つきや経歴からこの赤城のオマージュと予想されてるっス。でも大学生に「あざーす(ガシッ)」「なにっ」「しゃあっ」されるアキ男と赤城ではカリスマ性が雲泥の差で描き手の差の悲哀を感じますね。
【余談】
- 如何に漫画とはいえ、170cm前後だった三四郎が根性で190cm越えの大男になる展開にはツッコミが入ったらしいが、それ以上にプロレス黄金時代の中で三四郎と同じ方法で背を伸ばそうとして失敗した読者の涙の声も大量に寄せられたらしい。
追記修正は「ウッシャ〜〜〜!」と叫んでからお願いいたします。
- 姿三四郎→1・2の三四郎→高木三四郎(DDT) 文化の血脈というかなんというか -- 名無しさん (2025-05-04 00:51:22)
- 三四郎が紹介した床屋で髪を切りに行った志乃がザンギリ頭にされた(店主がプロレス中継に夢中になり雑な散髪になった)話は初見でめっちゃ笑った -- 名無しさん (2025-05-04 01:11:50)
- 1・2の三四郎が大好きすぎて掲載誌とか特に繋がりはないのに小林先生へのお祝いイラストに熱いメッセージを投稿した森田まさのり先生 -- 名無しさん (2025-05-04 10:11:02)
最終更新:2025年05月05日 10:21