SCP-3660-JP

登録日:2025/05/23 Fri 13:38:56
更新日:2025/05/25 Sun 13:28:25NEW!
所要時間:約 6 分で読めます




SCP-3660-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「🖕」。
オブジェクトクラスは「Eparch」。

「Eparch」ってなに?

見慣れないオブジェクトクラスが出てきたがコチラは公式に存在するオブジェクトクラスで大抵は「エパーチ」と読まれている。
公式の説明は「アイテムはそれ自体異常ではありませんが、異常に関連しています。」というもの。
ニュアンス的には
とある小学生の所にある日突然22世紀生まれの猫型ロボットが出現すると判明したためその時までその小学生を収容しておく
みたいなモノだろう。

概要

SCP-3660-JPは「源 美優」という名の日本人女性である。報告書原本が書かれた時点では21歳でありオブジェクトクラスからも分かる通り異常性は持っていないただの人間。

そんな彼女の異常性、というより彼女を取り巻く異常性は
1日に1度彼女の周辺に特定のポーズを撮影した写真が出現するというもの。
財団はこの写真群を[SCP-3660-JP-A]として扱っておりこの写真は大抵「源 美優」さんが第一発見者になりやすく、また他人から撤去されにくい位置に出現する。
例えば「郵便ポストの中」や「家の風呂の壁一面」、果ては「チェーン店で頼んだハンバーガーの中」にまで出現する。出現する写真の大きさや数量はその都度バラつきがあるようだ。

SCP-3660-JP-Aには青緑色をしたヒトと思しき生命体の片腕が写っており常に特定のポーズを取っている。そのポーズこそが





🖕

↑これである。時折このポーズを取っている生命体の顔が写り込むこともあるがそういう時は大抵モザイク処理されているため正体は掴めていない。
この異常性のせいで「源 美優」さんは精神がまいってしまっており非異常の重度精神疾患まで患ってしまった。

特別収容プロトコルは
  • SCP-3660-JPもとい「源 美優」さんを収容セルに収容してね。
  • 毎日メンタルケアしてあげて。それでもキツそうなら限定的に記憶処理もやっていいよ。
  • 出現した写真は調査したら破棄して。
というもの。
写真を送りつけてくる異常存在への手がかりが無いため「源 美優」さんを収容することで世間から異常存在を隠蔽する、というのがオブジェクトクラスと収容体制の理由だろう。

🖕の真意

ある時SCP-3660-JP-Aの裏側に文章が書かれていた。
試しに財団が返信を書き込んだところ次の日に現れたSCP-3660-JP-Aに前日の財団の返答を踏まえた書き込みがされていたため、
財団はこの文章の書き主をSCP-3660-JP-Bに指定し文通をやってみた。

<ログ開始>

SCP-3660-JP-B: やあ彼女。日本語を練習したよ。違和感がなく喋れているかな。大丈夫かな。

研究チーム: 失礼します。我々が彼女の代理として会話させていただくこととなりました。まず質問なのですが、貴方は誰ですか?

SCP-3660-JP-B: おっと、彼女ではないのか。俺は[乱雑な文字。日本語とは異なる言語だと推測される]です。日本語で表現できなくてごめん。

執拗に🖕を送りつけてくるヤバい奴のくせに妙にフレンドリーな異常存在である。


研究チーム: ありがとうございます。では、何故貴方は彼女に対してこれほどまでに敵意を持っているのですか?

SCP-3660-JP-B: おっと、なぜそう思うのか。

研究チーム: 貴方が写真に写っている方ですよね。あの中指を立てるジェスチャーは一般的に敵意を表しますよ。

SCP-3660-JP-B: 本当か。俺は勘違いをしていた。あのジェスチャーは愛を表していた。あのジェスチャーは愛を表すジェスチャーだとだと聞いた。それをたくさん送って彼女に俺の愛に気づいてもらおうとしていた。顔を見せるのはちょっと恥ずかしい。でも、顔を見せなくても愛は伝えられる。

どうやら認識に齟齬があったようでアレはSCP-3660-JP-Bなりの愛情表現だったようだ。
現代人視点からすると顔も見せずに求愛繰り返しても愛が伝わるとは思えないが、平安時代の「見初めた相手に顔合わせする前から歌をいくつも送って求婚する」という文化に近いモノだろう。


研究チーム: それは間違いですよ。恐らくその情報は小学校にて流行っていたようなものでしょう。

SCP-3660-JP-B: 驚いた。反省した。

研究チーム: あのような写真を送り続けると、恐らく彼女によくない影響を及ぼすと思います。別の形の写真を送るなんてのはどうでしょう。

SCP-3660-JP-B: ごめん。彼女にも伝えて。

<ログ終了>
普通に話が通じて普通にもう🖕の写真を送らないということで話がまとまってしまった。実際にSCP-3660-JP-Aの出現はこの対話以後途絶えている。
「源 美優」さんの心的負担もかなり軽減されておりこの一件はちょっとした認識違いという決着を迎えそうだ。
異常存在が押しかけて「源 美優」さんと対面した場合それはそれで「源 美優」さんのSAN値が削り取られそうだが


🖕の意味

上記の対話から1週間後、再びSCP-3660-JP-Aが出現した。
裏面には文章が記載されておりポーズはやはり「🖕」。
その文章内容は以下の通り

貴方達は嘘つきだ。彼女と俺の愛を邪魔している。
あのジェスチャーの意味を調べた。やっぱり「Fuck you」であってるじゃないか。
本当に俺の思いにぴったりの意味だ。彼女の身体は素晴らしい。俺達の家族になって家族を増やしてほしい。これを日本語では愛とか結婚とかいうだろ。彼女の身体であれば十か二十も増やせる。
だから「Fuck you」。彼女に対してずっと伝えてた。

貴方達は嘘つき。もう話さない。

これ以後SCP-3660-JP-BはSCP-3660-JP-A裏に書いた文章に返答を書いてくれなくなってしまった。
「あの画像の意味はアナタへの侮辱や敵対心からではなく、異常存在がアナタを好意的に捉えて子作りしたがってるがゆえに送ってきてるんです!」…なんてただでさえ精神がまいっている「源 美優」さんに言うわけにもいかないので財団はこの情報を「源 美優」さんには秘匿してコレまで通りの収容手順を取ることにしたそうである。


余談

今回の一件はどちらが悪い、どちらかの失態というよりは単純に文化の差である。
SCP-3660-JP-Bは財団に怒りを述べつつも実力行使に出ない程度には理性的であるし、
我らが財団とて数度の文通で相手の文化を理解できるほどのチートスペックでは無い。

振り返ってみれば「🖕」を直訳の意味で送りつけまくったSCP-3660-JP-Bも
「愛」という言葉を『子孫を残す』という本能的動機ではなく『恋愛したい』という人間的動機と解釈して対応に当たった財団も
お互いに相手の文化への理解が浅かったと言えよう。



追記・修正はお互いの文化を理解し合ってからお願いします。



この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SCP Foundation
  • SCP
  • SCP-JP
  • Eparch
  • ハンドサイン
  • アンジャッシュ
  • taiyousun
  • 叶わぬ愛
  • どうしてそうなった
  • 🖕
最終更新:2025年05月25日 13:28