営団地下鉄(東京メトロ)06系・07系電車

登録日:2025/07/09 Wed 13:25:19
更新日:2025/09/30 Tue 13:10:19
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営団06・07系電車とは、営団地下鉄(現:東京メトロ)が導入した電車である。


概要

1993年の千代田線有楽町線ダイヤ改正に伴う輸送力増強を目的に導入された。
従来の0シリーズと異なり既存車両の置き換えを目的としていなかったため、06系は1編成、07系は6編成のみの増備に留まった。
全体としては少数派だが、本形式で導入された新設計は当時並行して増備されていた東西線用の05系03系にも反映されている。

共通項目

Gentle & Mind」をメインテーマにおき、列車に関わる全ての人と環境にやさしくあるよう設計された。

「おだやかで、上品な中にアーバン的な雰囲気を持ち、長くお客様に親しまれること」をデザインコンセプトにしており、従来と同じくアルミ合金製だが前面は丸みを帯びた流線形でパノラミックウィンドウを採用。前面窓下に丸形の前照尾灯を配置した。
車体下部には0シリーズでは初めて、落成当初からスカートを装備している。
方向幕はLED式で、前面の行先表示には乗り入れ先での通過運転に備えて標識灯を設置していたが後年撤去されている。
側面のドア配置はそれまではドア間距離が均等になるように設計されていたが、運転室のスペース確保のために不均等なものとなった。
分かりやすく言うと「3 - 7 - 7 - 7 - 3」だった座席配置を「4 - 6 - 7 - 6 - 4」としている(数字は座席定員)。
20m4ドア車ではかなり特殊な車体構造だが、後にこの構造が車両の運命を決定づけることとなる。

制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御を採用し、これが日本では本格採用第一号となった。
運転台は営団地下鉄では最後となる縦軸のツーハンドル型だが、デスクタイプとかなり近代的なデザインとなった。

形式別解説

06系

1993年に1本導入された。
デザインテーマは「穏やかで落ち着いた雰囲気」で、沿線のイメージから「日本庭園」をモチーフとしている。
帯はラインカラーのグリーンに白と紫の細帯がアクセントカラーで入っている。
落成当初は乗務員室の後方に『TRTA』*1『EIDAN』のロゴが入っていたが、営業運転前に取り外されている。

内装は前述した日本庭園をイメージしたもので、和紙をイメージした「香遊」柄の化粧板に日本庭園の「そよ風に鳴る松の葉音」イメージした「松籟(しょうらい)」柄の床柄で、座席は「風流樹(かぜりゅうじゅ)」柄と称するエメラルドに砂模様を入れたものとなった。
と、ここまで普通の生活ではまず使わないであろう和風色の表現ばかりで、さすがはバブル期生まれの車両である。

2010年には直流1,500V用永久磁石電動機(PMSM)主回路システムの実車試験が本形式で実施されており、後年16000系で実用化された。

運用は他の千代田線車両と同様で、西は小田急本厚木から東は常磐線取手まで千代田線の直通エリア全域に顔を出していた。
1編成しかないので当然ながら乗るのも撮るのも至難の業で、SNSが普及する前のインターネットでは「幻の営団06系を追え!」というスレッドが巨大掲示板に立っていたほど。
同じく1編成しかない207系900番台と並ぶ写真を撮った猛者もいる。

しかし、1編成1形式という東京メトロでは唯一の車両のせいか保守面でも厄介な存在であり、16000系の導入後はホームドアの設置も決まったこともあり次第に運用が少なくなり、2015年に冷房の故障もあってあっさり廃車。
お別れイベントすらも実施されなかった点でも、この形式の不遇ぶりが伺えよう。ああ無常。
尤も、本形式より2年前に導入された6000系の第35編成はこれよりも寿命が短かったりする。

07系

1993年に1次車2本が導入され、1994年の有楽町新線(現:副都心線)小竹向原~池袋間開業および西武有楽町線練馬延伸開業に伴う増発用として2次車4本が導入された。

デザインテーマは「上品で活気あふれる雰囲気」。
帯はラインカラーのゴールド(黄色)に白・青・黒の細帯がアクセントで入っている。
内装はカジュアルな雰囲気を醸し出すために、化粧板はセザンヌをはじめとした印象派の油絵をモチーフにしたピンクベージュ、床材は「都会のリズム」を抽象的に表すためにブルーとグレー系でまとめられている。座席はラズベリーレッドに砂目の入ったものとなっている。
06系とは対照的に色が全部カタカナ表記ばかりで、さすがは(ry。

落成当初から東武東上線への直通運用に使用されており、1998年からは西武池袋線方面への乗り入れを開始している。

東西線への転属

そんなわけで有楽町線で活躍していた07系だが、転機が訪れる。

それは、2008年に控えていた副都心線の全線開業。
副都心線は有楽町線との一体運用が決まり、副都心線はワンマン運転を実施するためホームドアの設置が決定したのだ。
これにより07系は先の車体構造がアウトとなってしまい、2007年10月までに撤退。
そこで5000系の置き換えを計画していた東西線への転用が決定し、2006年から転属が始まった。
転属に際しては帯色が05系後期車に準じた青の濃淡に変更されたほか、保安装置の交換、冷房装置の更新、マスコンの左手ワンハンドル式への交換…と様々な改造を実施。
この改造は先に運用を離脱した2次車4編成から開始された。
改造後、01編成は予備車として2008年9月から12月までの間千代田線(常磐緩行線含む)で運用されていたことがある。

2018年からはB修工事が開始され行先表示のフルカラーLED化、車内案内表示器のLCD化等の更新を実施。外観ではスカートの形状も変更されている。
なお、東西線にも後年ホームドアが設置されたが、こちらはワイドドア車など*2が運用されていたこともあり大開口式の設置で対応している。

2024年に実施された東京メトロ全駅スタンプラリー達成者限定の工場見学ツアーでは、工場内のトラバーサーに置かれた07系の先頭車が有楽町線仕様に復元(Sマーク付き!)されて展示され話題を呼んだ。
7000系も残ってるんだから撮影会やってくれないかな…



追記・修正は06系と207系900番台の並びを撮ったことある人がお願いします。

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最終更新:2025年09月30日 13:10

*1 帝都高速度交通営団の英語名「Teito Rapid Transit Authority」の略称。

*2 05系の増備車には本形式と同じ側面配置のグループも存在する。