東武鉄道10000系電車

登録日:2025/08/06 Wed 13:17:34
更新日:2025/08/25 Mon 08:45:28
所要時間:約 10 分で読めます






東武鉄道10000系電車は、同社の保有する通勤型電車である。
本項目では、本形式と前後して量産された、設計に共通点の多い9000系、20000系に関しても解説する。

概要

開発経緯

1963年から長らく増備されていた8000系の後継車種として、老朽化した吊りかけ駆動車の置き換え*1を目的に導入された。

先に営団有楽町線直通用として導入された9000系をベースとして開発されており、2連から10連までのバリエーションが総勢486両増備された。
制御方式は9000系のAFEチョッパ制御から界磁チョッパ制御に変更されており、自在に編成が組めるよう動力車はMMユニットおよび独立M車の2種類が存在している。

形式は東武初の5桁であり、大手私鉄では近鉄以外では長らく存在しなかった5桁形式となった。
本形式から車両番号の付番方式が一新されており、万の位で形式、千の位では連結位置、百の位では組成両数、残り二桁が車両番号という法則となっており、以降の東武通勤形の車両番号は全てこの法則を踏襲している。

本項目では1988年から登場したマイナーチェンジ車である10030型(10050型)・10080型についても解説する。

10000系列内での併結はもちろん、10000系の次世代通勤車で、半蔵門線直通に対応した30000系との併結も可能であった。ただし、制御方式の違いから、VVVF車であった10080型を除いて30000系との連結時の協調に問題があり、乗務員からは「40000系」と揶揄されていた。*2
2025年8月時点では、30000系も10両固定編成化が行われており、混結は行われていない。

各型式解説

10000型

1983年から導入。
9000系に引き続きステンレス車体とマルーン帯を採用し、前面は連結・通り抜けが可能なように中央部に貫通扉が設けられており、周囲の部分をFRPの飾り枠で覆ったデザインとなった。
そのため、全体の印象は9000系よりも柔和なものとなっている。
内装はクリーム色の化粧板にオレンジ色のモケットが使用されていたが、1986年の増備車から緑色のモケットに変更。この意匠は以降の10030型や5000系列の内装に承継され、初期車も後年変更された。

2・6・8両編成で落成し、8両編成は1989年に4編成が中間車2両を組み込む形で10両化された。

ちなみに2両編成は昭和末期まで大師線・亀戸線でも使用されていたが、西新井駅での車止め衝突事故がきっかけでしばらく支線運用からは外れることとなった。

10030型(10050型)

1988年から導入。
車体がビッグマイナーチェンジされ、同じステンレスながらビード付きのスッキリした外観となり、前面形状は快速用の6050系・前世代の通勤車で増備と並行して修繕の行われた、8000系修繕工事車にも似たものとなった。
平成期の東武通勤車と言えばこれを思い浮かべる人も多いだろう。

1992年以降の増備車は車いすスペースの設置やクーラーカバーの変更など大規模なマイナーチェンジが行われた。そのため車両番号の下二桁が50番台に振りなおされており、これらを「50番台」や「10050型」と分ける場合もある。

野田線(東武アーバンパークライン)に転属した編成はイメージカラーであるファミマ水色と黄緑の帯に変更されている。
本形式は導入当初、8000系と同じ帯色も検討されていたためそれが形を変えて実現したといえよう。

なお、同時期に増備された9000系の9108Fと9050型は10030型の意匠が一部反映されており、側面はほぼ同一構造となっている。

こちらは2・4・6・10両で落成している。(10両編成で落成した10050型は存在しない。)

10080型

1988年に4両編成1本が製造された、東武鉄道では初となるVVVFインバータ制御車である。
所謂VVVFの試作編成だが、他の10000系とも併結可能だった。

本形式で導入されたGTO式のVVVFインバータは後に登場する100系スペーシアで採用された。
試作車ゆえにVVVFの不調が目立ち始めた2005年から運用を離脱。明らかな廃車フラグが立ちまくりだったが50000系と同じVVVFに交換され2007年に運用復帰し、リニューアルも実施されたが2023年に廃車となった。

リニューアル工事

2007年から10000型を皮切りに内外装のリニューアルが開始され、当時の新車である50000系と同等のレベルに合わせられた。
内容は以下の通り
  • 内装を白い化粧板、座席モケットを青系統に変更
  • 車内案内表示器およびドアチャイムの設置
  • 座席間のスタンションポール設置
  • 前照灯のHID化
  • 行先方向幕のフルカラーLED化
  • スカートの設置
なお。2両編成はリニューアルと同時にワンマン運転対応工事を実施している。
また、2010年以降の施工車では前照尾灯の位置が逆転しているほか、車内案内表示器が液晶ディスプレイに交換、4+6両編成は先頭車を中間車化改造し10両固定化されたほか、一部の編成は制御装置が60000系と同等のVVVFインバータに換装されている…等の変更点がある。

運用

導入当初から本線・日光線・東上線系統で使用され、野田線に導入されたのは2013年とかなり遅かった。
支線区は初期に亀戸線・大師線で使用されていたことを除けばかなりご無沙汰で、再度使用される党になったのは2020年代以降のこと。
2000年代以降はワンマン運転対応車の8000系・20400型の導入に伴い徐々に運用を縮小しており、2020年代に入ると余剰に伴い一部では廃車も発生している。

関連形式

9000系

東武東上線と営団地下鉄(現:東京メトロ)有楽町線の直通運転用に導入された形式。
1981年から1994年にかけて製造。AFEチョッパ制御を採用する9000型と、GTO-VVVFインバータ制御を採用する9050型の2種類が存在する。
2025年7月時点では東上線および、直通先の東京メトロ有楽町線、副都心線東急東横線新横浜線みなとみらい線で運行される。

たびたび9000系と10000型は、東武車に詳しくない人の間では混同されがちだが、貫通扉の位置が違うため、見分けはたやすい。10000型では編成同士の併結を行うため、先頭部分の貫通扉は中央に配置されているが、9000系は固定編成を組むため、貫通扉は左右非対称な配置である。
1981年に量産先行車が製造され、本項目でメインで解説している10000系のベースとなった車両であるが、量産車は10000系の量産開始後の1987年に増備が始まった。

本形式は製造時期によって4形態に分けられる。以下に、4形態について概説する。

  • 9101F
量産先行車。1981年製。量産車よりも乗降扉の間隔を狭めに設定していたため、2006~2008年に施工された副都心線直通対応工事の対象外となり、有楽町線内にATOが設置される2010年5月までは有楽町線に直通先を限定、それ以降は東上線内限定運用へと変更された。

  • 9102F~9107F
1987年製。有楽町線との直通開始直前の1987年に増備。ドア位置の変更や、行先表示機の位置変更などが量産先行車との主な相違点。

  • 9108F
1991年製。製造時点で10000系の増備は10030型にシフトしていたため、側面は概ねそれに合わせた設計となっている。

  • 9050型
9108Fの車体をもとに、足回りはVVVF制御で製造された編成。VVVF制御装置は後述する20050型・20070型と共通のものを採用している。9151F、9152Fの2編成が存在。

2025年7月時点では、9101Fを除く全編成が運用中ではあるが、東上線へは2026年以降に90000系の導入が計画されており、同形式は9000系と同じく地下鉄直通に対応しているため、9102F以降の各編成が廃車になる可能性は高い。

20000系

東武伊勢崎線(現東武スカイツリーライン愛称制定区間)と営団地下鉄日比谷線直通用の形式。1988年から1997年まで増備*3された。
車体は10030型をベースに、当時の日比谷線の規格であった18m車体で製造されている。
2018年から2020年にかけて70000系に置き換えられる形で日比谷線直通運用から撤退、同時期に東武日光線・宇都宮線用に改造の上、転属。日光線系統用改造後の形態は種車によって4形式に分別されるが、20400型と総称される。
日比谷線の車両規格が20m4扉車に変更されたため、2025年7月時点で東武鉄道としては最後の18m車である。
日比谷線直通運用当時は8両編成、2025年7月現在は4両編成。
アニヲタ的にはクレヨンしんちゃんのアニメで時々登場していたことで有名。

日比谷線直通時代の形式

  • 20000型
日比谷線直通用初代車両である2000系置き換え、およびそれによる冷房化を目的に、1988年から1992年にかけて増備された形式。AFEチョッパ制御を採用し、すべての車両が3ドアである。

  • 20050型
通勤ラッシュ対策として、各方向先頭車両とその隣の車両のドアを5ドアにした形式。1992年から1994年にかけて増備。制御方式がGTO-VVVF制御に変更された。また、当時設置が当たり前になりつつあった車内案内表示装置に、LCDモニターを採用したことも特筆事項。しかし、保守の観点から1999年に撤去された。9050型にも同様の設備が設置されていた。LCDによる社内案内装置が普及するのは、2002年のE231系500番台や、東急5000系からであるため、10年ほど時代を先取りしていたことになる。

  • 20070型
1996年に列車増発目的で増備。GTO-VVVF制御なのは20050型と変わらないが、こちらは5ドア車を増備する必要性が薄くなっていたこともあり、20000型と同じくすべての車両が3ドアとなっている。

20400型の詳細な形式

  • 20410型
すべての車両が20070型を種車に改造された。
  • 20420型
先頭車は20000型、中間車は20070型が種車。
  • 20430型
すべての車両が20050型を種車としており、先頭者は両端と中央のドア以外が埋められ、3扉に改造されている。
  • 20440型
先頭車は20000型、中間車は20050型が種車。

また、2021年から2025年にかけて、アルピコ交通上高地線向けに譲渡されており、同社では20100形として運用されている。

追記・修正は野田線カラーの10000型が見たかった人にお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年08月25日 08:45

*1 実際には本形式を本線系統に導入し、そこから捻出した8000系・5000系列を野田線や支線区に転用して置き換えを図った。

*2 一説では、10080型と30000系も異なるVVVF装置を使用しているために相性はそこまでよくないともされている。

*3 2000年発生の事故に伴い、2001年に代替先頭車の増備もあった。