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鏡の国のアリス

登録日:2025/12/02 Tue 22:46:17
更新日:2026/08/16 Sun 08:10:27
所要時間:約 9 分で読めます




鏡の国のアリス』(原題:Through the Looking-Glass, and What Alice Found There)とは、ルイス・キャロルこと、チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが発行した児童文学。
名前からも分かるように『不思議の国のアリス』の続編である。


概要


1871年12月24日(『不思議の~』の約6年後)に発行された、『不思議の国のアリス』の続編。
『不思議の国のアリス』については項目記事を参照。
挿絵は『不思議の国のアリス』から引き続き、サー・ジョン・テニエル氏が担当。
今作でも、二者の間で絵や内容には軋轢が入っていたようである。
前作『不思議の国のアリス』はトランプがモチーフになっていたが、今作はチェスがモチーフになっている。
なお、この二作はフィクション作品等でモチーフにされる場合は纏められることが多いため、関連作品や「アリス」という少女に関連する内容は前作項目で紹介する。


作中詩


純粋で曇りのない表情の・・・
(原題: Child of the pure unclouded brow ...)

巻頭に登場する詩。
不思議の国のアリスをボート上で聞かせていた時の話であり、新たなおとぎ話鏡の国のアリスを語るのにふさわしい詩。
韻を踏んだ箇所も多い。

ジャバウォックの詩
(原題: Jabberwocky)

純粋で曇りのない表情の・・・の次に登場する詩。本編に入ってから最初に登場する詩でもある。
鏡の国にある本に書かれていた。
かばん語が特に多いのが特徴的。
正体不明の怪物ジャバウォックを討伐するという内容。
つまり、ジャバウォックは本編の登場人物ではなく、詩の登場生物???である。
テニエルの挿絵によれば、翼と長い尾と首を持つドラゴンのように描かれている。
が、手指は長くて羽毛のようなものが生えている他、何とも言えない顔つきであり、更に体にはチョッキのようなものを着ているように見える…という怪生物。
また、「ヴォーパルの剣(ヴォーパルソード)」の初出もこの詩。
その他、名前だけの登場として「トーヴ」「ボロゴーヴ」「ラース」「ジャブジャブ鳥」「バンダースナッチ」などもいる。
これらのこともあり、なにかとファンタジー作品のモチーフにされる詩ともいえるだろう。

劇場版ガルパンでT28重戦車を目撃したオレンジペコダージリン
「まるでジャバウォッキーです」
「というよりもバンダースナッチね」
というやりとりなんかも、この詩が元ネタである。

トゥイードルダムとトゥイードルディー
(原題: Tweedledum and Tweedledee)

ジャバウォックの詩の次に登場する詩。
トゥイードルダムとトゥイードルディーに出会った時にアリスの頭の中で思い浮かんだ歌。
マザーグースの一つであり、ルイス・キャロルのオジリナルではない。
しかしながら後半部分のストーリーは彼のオリジナルである。
ずんどうむっくりな2人の登場人物の名前の由来もこちらから。

セイウチと大工
(原題: The Walrus and the Carpenter)

道を尋ねようとしたアリスが、トゥイードルダムとトゥイードルディーにより聞かされる長い長い詩。
重な登場人物はセイウチ、大工、カキ
カキと散歩をし楽しんだ後にカキを食べてしまう。
少しは悲しんだからセイウチが一番好きと答えたアリス。
しかし、セイウチはたくさん食べた、ハンカチを持っていったのは見られないようにするためと言われ、じゃあ大工さんがと言う。
所詮 獣のセイウチは牡蠣を食わずにはいられなかったのさあ~~~~っ ハァ~~ッハハハハ
…が、大工も腹いっぱい食ったと言われた結果、「どっちも嫌い」と言いかけるが、その言葉をアリスは飲み込むことになる。

ハンプティ・ダンプティ
(原題: Humpty Dumpty)

ハンプティ・ダンプティに出会った時にアリスが思い出した詩。
こちらもマザーグースの一つ。
こちらは詩の内容の改変や追加はしていない。
なお元はなぞかけ歌だが、アリスでハンプティ・ダンプティが有名になりすぎてもはやなぞかけとしては成立しない

野の白くなる冬に・・・
(原題: In Winter when the fields are white...)

ハンプティ・ダンプティにアリスが聞かされる詩。
元は道徳詩の一つだが、大幅に改変されている。
時折詩の途中でアリスの反応が入る。
途中、ドアを開けたシーンで突然の終了というなんとも投げやりな内容で終了する。

ライオンとユニコーン
(原題: The Lion and The Unicorn)

白のキングの場所に行った時に、行われていたライオンユニコーンの戦いを歌ったもの。
こちらもマザーグースの一つ。
改変はされていない。

柵の上に腰掛けて
(原題: A-sitting on a gate)

白のナイトから聞かされる歌。
場面がころりころりと変わる。
登場人物はじいさんと聞き手の少年。
こちらも韻が踏まれている。
なお詩名及び原題はA-sitting on a gateとは書いたが、作中では、題名がコロコロと変わるため、これが正解というわけではない。

ハッシャバイ・レイディ、アリスの膝で!・・・
(原題: Hush-a-by lady, in Alice's lap! ...)

アリスがクイーンになった後、子守唄を歌うように言われ、できなかったことで代わりに赤のクイーンが歌った歌。
アリスの膝の上に二人を寝かせた後に、起きたらパーティーをしようという意味合いの詩。
民間の子守唄の内容を鏡の国のアリスに沿って変更したもの。

鏡の国に対してアリスは言った・・・
(原題: To the Looking-Glass world it was Alice that said...)

アリスの女王就任を祝うパーティーの始まり、アリスの前の扉が開いた瞬間に流れてきた曲。
アリスの女王就任を万歳する歌。
キンキン声のパートと合唱のパートに分かれている。

はじめに、それを捕まえなければ。・・・
(原題: First, the fish must be caught. ...)

アリスの女王就任のパーティーで、白の女王から出されたなぞなぞ。
その魚を釣りに行くのは赤ちゃんでもできる、買うなら50円でお釣りが出て、料理はできる。お皿にはもう入ってる、しかしお皿のふたを取ることはできないという内容。
答えはカキである。
ちなみに、カキはセイウチと大工にも登場している。

晴れわたる空の下で舟は・・・
(原題: A boat beneath a sunny sky, ...)

巻末に登場する詩。
幼き日のアリスに対しての別れを歌う詩。
もちろん韻を踏んでいるのだが、それだけではなく頭文字のみを読むとALICE PLEASANCE LIDDELL(アリス・プレザンス・リデル)になる仕掛けが存在する。

主な登場キャラクター


主人公一行

アリス

本作の主人公。
不思議の国のアリスよりの続編ということもあり、少し成長している様子。
今作でも前作から変わらずの好奇心を持つ。
そのため、この世界が巨大なチェス盤になっていることに気がついたアリスは、赤の女王へゲームの参加を願い出て、ポーンとして参加。
そして最終的にはクイーンへと至る。

ダイナ

アリスの飼い猫。
前作では名前だけの登場だったが、本作では冒頭に登場。
また、仔猫2匹の母でもあり、子供はそれぞれ黒猫のキティと、白猫のスノードロップ。
なお、3匹はずっと鏡の国の中でアリスと一緒にいたのでした。

チェスの参加者

赤のクイーン

庭園で出会う女王様。
アリスは彼女にゲームに参加したいと申し出ることで、ゲームに参加することになる。
進化学の赤の女王説/レッドクイーン理論の名前の由来は彼女
「同じ場所に留まるには、できる限り全力で走らなければならない」という趣旨の台詞を発することからとられた。
チェスでの役割は名前のとおり赤(現代における黒)のクイーン。

白のクイーン

明日のジャムと昨日のジャムは来るが今日のジャムは来ないと語る女性。
再来週に起こったことを語るなど未来のことを記憶する。
鏡の国では時間がおかしいという世界線の説明役とも
チェスでの役割は名前のとおり白のクイーン。

白のキング

冒頭と、森を抜けた場所で出てくる王様。
比較的控えめな性格。
冒頭ではアリスにホコリを払われひどいおびえた顔をしていた。
森では、ライオンとユニコーンの戦いをアリスと共に三月ウサギと帽子屋と見ていた。
チェスでの役割は名前のとおり白のキング。

赤のキング

トゥイードルダムとトゥイードルディーが出てきたシーンに登場する。
ずっと寝ており、トゥイードルダムとトゥイードルディーはアリスは赤のキング夢にしかいないというが………
チェスでの役割は赤(現代における黒)のキング。

白のナイト

アリスを案内し、赤のナイトと戦った騎士。
案内中も百々馬から落ちるほど不器用。
赤のナイトによって取られる。
作者ルイス・キャロルの投影らしい。

赤のナイト

白ナイトと戦い、白のナイトを取った騎士。
こいつも馬から落ちる

動物たち

庭園の喋る花達

庭園にいるお花たち。
オニユリは鏡の国についたアリスが一番最初に話した相手。
他にバラ、ヒナギクなどがおり、赤の女王の話をアリスにしたことで、アリスは赤の女王と出会うことになる。

バタつきパンチョウ

鏡の国のアリスに出てくる虫の一匹。
原文ではBread and Butterfly(ブレッド・アンド・バターフライ)
つまりbutter(バター)+butterfly(バタフライ)を組み合わせてかけたカバン語である。

木馬バエ

鏡の国のアリスに出てくる虫の一匹。
原文では、Rocking‑Horse‑Fly(ロッキング・ホース・フライ)
つまりhorsefly(ホースフライ)+rocking‑horse(ロッキングホース)
ウマバエと木馬の組み合わせのカバン語である。

燃えぶどうトンボ

鏡の国のアリスに出てくる虫の一匹。
原文ではRocking‑Horse‑Fly(スナップ・ドラゴンフライ)
つまり、snap‑dragon(スナップドラゴン)dragonfly(ドラゴンフライ)の組み合わせ。
ドラゴンフライはトンボとして、スナップドラゴンはなにかというと、植物もしくは、火にブドウを浮かべてからつかむ当時流行っていた遊びである。

小鹿

アリスが名前をなくす森で出会う動物。
森を出て、アリスが人間であることに気づくと逃げていく。

ひつじ

白の女王を追っていたらいつの間にいたお店にいたひつじ。
実は正体は白のクイーン
編み物をしており、ショップの店員をしている。

ハンプティ・ダンプティ

アリスがひつじから購入した卵。
名前の由来は先述した詩のハンプティ・ダンプティから。
そこでアリスはその詩を口ずさむ。
アリスに対し、アリスの名を馬鹿げた名前だと言い切り、自らの名前は自らの形を表しているという。
またジャバウォックの詩のカバン語の解説も担う。

ライオン

ユニコーンと戦っていたライオン
アリスにプラムケーキは好きかい?と問う。

ユニコーン

ライオンと戦っていたユニコーン
アリスを見て、人間の女の子はお話に出ている怪物だと思っていたという話をする。
アリスの分け方に怒り、その後もう一度戦いが再開されたことでお菓子を逃がす。

その他

記者の車長と乗客

アリスが汽車に乗るシーンで登場。
名前はないが台詞の多くが洒落になっており、種族も様々。

トゥイードルダムとトゥイードルディー

ずんどうむっくりな双子
名前の由来は先述した詩のトゥイードルダムとトゥイードルディーから。
彼らを見たアリスは、トゥイードルダムとトゥイードルディーの詩を思い浮かべる。
アリスは赤のキングの夢にしかいないといい、アリスを泣かせる。
その後カラスがやってきて詩の通りカラスに怯えて逃げ出す。

帽子屋と三月ウサギ

不思議の国のアリスからのゲスト出演枠。
白のキングに従える伝令役のコンビ。
名前はハッタとヘイヤで、不思議の国のアリスとは名前を変えている。
なお帽子屋は未来で牢獄に入れられる予定らしい。かわいそうに……


余談


今の感覚だとチェスの白に対する敵駒がでなく「」であることに違和感があるだろうが、発行当時のチェスはが基本だった。
そのため、赤の女王や赤のキングが存在することは間違っていない。


アリスの道程はチェス盤上での動きを踏襲していることを、キャロル自身が述べている。
《初期配置》
a b c d e f g h
8                                          
7      
6      
5      
4      
3      
2      
1      
アリスはd2から、白のポーンとして開始する。
白(アリス)が先手として
  1. 先手:アリスがe2の赤のクイーンと邂逅
    • 後手:赤のクイーンがh5へ
  2. 先手:アリスが汽車を使用したd3を超えてd4へ(ポーンが初手は2マス進めるため)
    トゥイードルダム&ディーに出逢う
    • 後手:白のクイーンがショールを追ってc1→c4へ
  3. 先手:アリスが白のクイーン(ショールを着用済)と邂逅
    • 後手:白のクイーンがc5へ移動し、ヒツジになる
  4. 先手:アリスが合わせてd5へ移動。お店の中になる
    • 後手:白のクイーンがf8へ移動し、卵を置く
  5. 先手:アリスはd6へ移動。ハンプティダンプティと邂逅。
    • 後手:白のクイーンが赤のナイトから逃げるためc8へ移動
  6. 先手:アリスはd7へ移動。
    • 後手:赤のナイトがe7へ移動しチェック
  7. 先手:白のナイトがe7へ移動し、赤のナイトを取る
    • 後手:白のナイトがf5へ戻る
  8. 先手:アリスがd8へ移動し、戴冠
    これはポーンがクイーンに昇格(プロモーション)したことを意味する
    • 後手:赤のクイーンがe8へ
  9. 先手:アリスがクイーンになる
    • 後手:赤白の両クイーンが入城
  10. 先手:アリスも入城
    • 後手:白のクイーンがa6へ(スープへ消えていく)
  11. 先手:アリスが赤のクイーンを取り、詰み(チェックメイト)

…とのこと。
ただ、よくよく見ると不自然な部分も多い。
7手目で白のナイトは2階行動しているし、入城のあたりも何が何だか。
8手目で戴冠したのに、クイーンになるのは9手目だし……と、結局難しく真剣に考えてはいけないのである。


追記修正は、不思議の国よりも鏡の国が好きな方にお願いします。

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最終更新:2026年08月16日 08:10