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ミステリと言う勿れ

登録日:2025/12/24 Wed 22:12:17
更新日:2026/07/06 Mon 13:04:07
所要時間:約 17 分で読めます





「僕は常々思ってるんですが…」


『ミステリと言う(なか)れ』とは、田村由美による日本のミステリー漫画作品。
小学館の少女漫画雑誌『月刊flowers』にて連載中。
既刊15巻(2025年12月現在)。
「マンガ大賞2019」で第2位にランクイン、その後も2年連続でトップ10入りとなっている他、「このマンガがすごい!」などでも入賞している。
累計発行部数1900万部(2024年11月時点)


▽目次

◇概要

主人公の大学生・久能整が様々な事件に巻き込まれながらも、その事件に関わる人間たちの悩みや問題を解決しつつ、事件自体の真相に迫っていく。
探偵役である久能がウザいくらい多弁であり、事件と直接関わりのないことについて喋りまくるというのが本作の大きな特徴。
ジャンルはどう見てもミステリーなのにタイトルで「言う勿れ」と否定している通り、肝心の謎解きではなくそこで久能が投げかける様々な問いの方が主題となっていると言える。
しかし、久能は後述のようにかなり偏った価値観を持つ一個人としての視点で語るため、賛否や好みは(作中での扱い含めて)大きく別れる傾向にある(原作が連載されているのが女性向け漫画雑誌ということもあるが)。
また、普通の人に見えるのに実際は常識からはかけ離れた思想に基づいて殺人事件を起こすヤバい犯人が多いというのも特徴になっている。

2022年1月期にフジテレビ系「月9」枠にてテレビドラマ化され、2023年には長編の一つである広島編が映画化された。
映画の興業収入は48億円を記録した。



◇登場人物

  • 久能 (ととのう)
演:菅田将暉
本作の主人公であり探偵役でもある東京の大学生。
教育学部に所属しており、教師を目指している。
ボリュームのある天然パーマのアフロが特徴*1。実写でも(顔立ち自体はともかくとして)忠実再現されている。
なぜか行く先々でしょっちゅう事件に巻き込まれている。

他人と同じ部屋では眠れないなど非常に神経質かつ潔癖症で人見知りな面が強く、友達もほぼいない。
一方で休日には印象派展を見に広島まで赴くなど行動的な一面もある。
基本的には争いごとは好まないが、自分に攻撃的な人間には容赦なく言い負かそうとするなど、売られたケンカは買うタイプ。
記憶力と観察力がずば抜けており、相手のちょっとした言葉や行動のあやからその心理を推察し、事件を解決に導く。
原作では他人の癖を無意識に真似する所がある。

幼少期に父親と父方の祖母から母親共々DVを受けており、最終的に母親がそれを苦に自殺している。
また、首から胸にかけてその時に受けたと思われる大きな火傷の跡も残っている。
そうした過去から特に壮年の男性を嫌い、女性の味方をする傾向にある。
一方で女性であっても子供を蔑ろにしたり、他者を抑圧するような人間には嫌悪感を示しており、逆に男性であっても子供や他者に真剣に向き合っている人間は尊敬している。
子供好きで、子供には特に優しい。

普段は大人しく物静かな印象だが、実際はかなりの多弁家。
「僕は常々思うんですが」が口癖で、気になる事があると相手構わず思ったことを喋り出して止まらなくなる。*2
社会では「当たり前」とされている常識にも常に疑う視点を持ち、彼独自の視点で思ったことを喋りまくる。
相手からは「うざい」「面倒くさい」など煙たがれることが度々だが、一方でそれが相手の悩みの解決の糸口になったり、相手の毒気を抜いてしまうこともあり、それが事件解決につながることもある。
しかし、時には偏見による考えやただの思い込み、あやふやな知識をソースを確かめずに喋ることもあり*3、作中でもそれをしばしば注意されたり本人も後から反省するなど、決して「『正しい』ことを語る」というキャラクターではなく、彼自身も未成熟で不完全な人間として描かれている。

菅田将暉が演じる理屈っぽく気難しい探偵だが、2人で1人ではない。


◇久能の関係者

  • 音無 ライカ
演:門脇麦
整が検査入院した大隣総合病院で出会った入院患者で、かなり長いこと長期入院している。
ストレートロングの髪をした女性。
掴みどころの無いミステリアスな人物だが、どこか茶目っ気のある一面もある。
マルクス・アウレリウスの『自省録』をすべて暗記していて、話しにくい事や他人に聞かれたくない事は本を利用した暗号で話す。

病院掲示板に温室に来るようにと暗号を残しており、その暗号に気がついて温室にやってきた整と出会い、以後交流を深めていく。
毎日のように見回りの隙をついて無断で病室を抜け出しており、整とも度々2人で様々な場所に出かけるようになる。
本人曰く「頭の病気」であり、「春になる頃には私はこの世にいない」を意味深な発言を残しているが…

+ 以下ネタバレ注意!
その正体は音無千夜子という女性が解離性同一障害によって生み出したもう一人の人格。
千夜子本体の精神年齢は12歳程度で自分のことを歩けないと思っている。
当初は整には千夜子のことは「同じく入院している妹」と説明していた。
千夜子は父親から性的虐待を受け、母親からもネグレクトを受けており、その状況に耐えられなくなった千夜子は解離性同一障害を発症。
その後両親が死亡し、善良な里親に引き取られたことで彼女の症状は少しずつ改善され始めている。
かつてはライカ以外にも別人格が多数存在していたが、環境が改善されたことで主人格に統合される形で消滅し、現在残っている別人格はライカのみ。
そのライカも春までには統合される見込みになっている。

その言葉通り、桜の咲いた頃に整と最後の外出と語らいをした後、千夜子の人格に統合される形でライカの人格も消滅した。


  • 天達 春生
演:鈴木浩介
整の恩師で整の通っている東英大学の心理学の准教授。
両親にまともに育てられてこなかった整をパートナーの喜和とともに幼少期から見守ってきた。
整の人格形成に大きな影響を与えた人間の一人であり、整が東英大学に進学したのも教師を目指しているのも彼に依るところが大きい。
整を含む生徒達には常に証拠や情報源を確認するように言っており、あやふやな知識を口にしたり、男性に偏見を持ったりしがちな整のことも度々注意している。
整は天達を強く信頼しているが、ライカからは「整は普段は色々なことに引っかかってよく考えるのに、天達先生と喜和さんが絡むことには思考が停止する」と釘を刺されている。


  • 美吉 喜和
演:水川あさみ
天達の内縁の妻。
本編開始の5年前にストーカーにより殺害されており、現在は故人。
整は毎年命日には欠かさず春生と共に墓参りに行っている。
心療内科に勤める心理カウンセラーで春生のパートナーだった。
天達と同じく幼少期の整に愛情を注ぎ、整に大きな影響を与えた人間の一人。
絵を描くのが趣味で占いや星座、花言葉などにも詳しく、その知識は整にも受け継がれている。


  • 相良 レン
演:志尊淳
東英大学の男子学生。
天達のゼミ生の一人。
とても明るい性格で誰にでも気さくに接するコミュニケーション強者。
地図や地理に明るく、建造物やマンホール、暗渠といったものが好き。
整と同じく洞察力と推理力に優れており、頭脳明晰。
喜和の死に関連した事件をきっかけに整と知り合って以降交流を持つようになり、整の数少ない友人の一人となった。
イマジネーションで変身はしない。

◇警察関係者

  • 池本 優人
演:尾上松也
大隣署所属の巡査。
舌を上に出す癖がある。
子供ができてから妻との関係がギクシャクしていたが、整のアドバイスのおかげで仲直りすることができ、以降整に度々相談に来るようになる。
警察と整との連絡係の役割も担っている。
刑事としては優秀だがやや他人に流されやすく、アフターケアや連絡にかこつけて整に個人的な相談に来るなど、整曰く「警察官としてあまりちゃんとしていない」。
そうしたこともあって整からはやや軽んじられていたが、非番の日や夜中に整のかけたSOSの電話に早急に対応したこともあって見直され、敬意を持たれるようになった。


  • 風呂光 聖子
演:伊藤沙莉
大隣署所属の女性刑事。階級は巡査。
富山の出身。
男社会の警察組織で馴染めず、自分の存在意義に悩んでいた。
しかし、整から「馴染む必要はなく、違う視点でものを見ておじさん達の不正を見張る役になればいい」というアドバイスを受けて吹っ切れる。
ドラマ版では事実上のヒロインに位置付けられ、出番が増えている。


  • 青砥 成昭
演:筒井道隆
大隣署所属の巡査部長。後に昇格して警部になる。
冷静沈着で敏腕な刑事。メガネをかけている。
元々は本庁捜査一課に所属していたが、通称「鍵山事件」と呼ばれる少女連続誘拐殺人事件を担当した際、逮捕した容疑者が裁判で無罪となったことで冤罪事件として責任を取らされ、大隣署に左遷された。
現在でも仕事の傍らで鍵山事件を追っている。
妻と娘がおり現在でも妻との関係は良好だが、上記の冤罪事件の際にマスコミのターゲットとなったことで家族にまで危険が及びそうになったため離婚している。


  • 乙部 克憲
大隣署所属の巡査。後に昇格して巡査部長となる。
娘の反抗期に悩んでいたが、整の取り調べ中に「娘の態度は生き物として自然な反応であり、育て方を間違えたわけではない」と諭されて、毒気を抜かれてしまう。
ドラマ版には登場しない。


  • 薮 鑑造
演:遠藤憲一
大隣署所属の警部補で、大隣署の捜査を取り仕切っており、「薮さん」と呼ばれている。
1話目の整の高校の同級生だった寒河江が殺害された事件で整を犯人として疑い、取り調べを行った。
2年前に妻と子供を轢き逃げで亡くしているが、当時張り込み中だったため、死に目に立ち会わなかった。

正体がガシャドクロとかブラックなピザ屋なんてことはない。

+ 以下ネタバレ注意!
1話目で寒河江を殺害した犯人。
寒河江は薮の妻子を轢き逃げした犯人であり、妻子の復讐のために殺害した。
寒河江を殺害する計画をたてていた際に偶然整が落としたアパートの鍵を拾い、それを利用して工作を行い、整に罪を着せようとしていた。
ちょっとした言動のあやをきっかけに整に真相を暴かれ、「妻子も喜んでいるはず」と開き直る。
しかし、そのことが整の逆鱗に触れ「復讐は楽しかったのか。仕事のために家族を顧みず、死に目に合う時間もなかったというのに、復讐をする時間は取れたのか。家族にはやりがいを見出せなかったのに、復讐にはやりがいを見出せたのか。それを見て奥さんとお子さんが喜ぶとでも思うのか」となじられ、さらに実は轢き逃げ事件は寒河江が別の誰かに車を貸していた間のことであり、本当の轢き逃げ犯は別にいたことが判明したことで崩れ落ちる。

11月生まれのサソリ座。日常的に赤紫や臙脂といった、サソリ座の色のネクタイに誕生石であるトパーズのネクタイピンを付けているが、彼もまた後述の「星座の意匠を身に付けた犯人たち」の1人だったのかは不明。



  • 備前島 操
演:船越英一郎
横浜港中央署の警部。
他の署にも知れ渡る名物刑事で、青砥とは本庁時代から交流がある。
部下に口すっぱく「お客様体質に気をつけろ」と説いている。
この「お客様体質」とは、「自分で物事を判断しろ」という意味ではなく「チームの一員なのだから、何かあったら遠慮したり躊躇ったりすることなく仲間を頼れ」という意味である。


  • 猫田 十朱
演:松本若菜
横浜港中央署のエースと言われる女性刑事。
地域課が長かったため管内の見回りをよくしていて、地域の事情に通じている。
備前島のことを尊敬しているが、彼からは度々「お客様体質」だと注意を受けている。


  • 流 正宗
富山の氷見東署の刑事。
風呂光が幼い時からの知人。
幼い頃に風呂光がある事件に巻き込まれた際に刑事として励まし続け、その際に流にかけられた「女性の刑事がもっといてくれたらいい」という言葉をきっかけに風呂光は警察官になった。
数年前に相棒だった先輩の岩田刑事を亡くしている。

+ 以下ネタバレ注意!
相棒であった岩田刑事はある有名権力者の息子を傷害致死容疑で追っていた際に圧力をかけられ、最終的に自殺に追い込まれている。
以来流は警察に絶望し、警察が捕えられない犯罪者を自らの手で裁く「仕事人」になっていた。
整にその推理を聞かされた際には「証拠がない」と言いつつも、否定はしなかった。
真相を知った風呂光の「私は警察の力を信じます!信じて働きます!」という涙ながらの言葉に「それでええ。がんばれ」とエールを送る。


◇犬堂家


+ 以下ネタバレ注意!
  • 犬堂 我路
演:永山瑛太
2話目で登場。
長身で「色男」と言われるほど容姿端麗な人物。
姉(ドラマ版では妹)の愛珠を殺害した犯人を探すため、容疑者を集めて従兄弟の二人とともにバスジャック事件を起こす。当初は巻き込まれた乗客の一人を装っていたが、偶然居合わせた整に暴かれて主犯であることとその目的を明かした。
暴君のような気の強い姉に振り回されてきたが、それでも姉のことは愛していた。
殺人事件の犯人が判明した後は他の乗客たちが彼らを庇ったことでバスジャック事件については不起訴とされたが、犯人の煙草森が精神鑑定によって無罪となる可能性が出てきたため、移送中の煙草森をさらって殺害する。
殺される前の姉の行動に疑問を持っており、以降は従兄弟たちと共に姉の死までの行動やその原因を調査しはじめる。

バスジャック事件で知り合った整のことを気に入っており、間接的な接触を繰り返している。


  • 犬堂 甲矢(はや)
演:久保田悠来
我路の従兄弟で乙矢の兄。
我路と共にバスジャック事件を起こす。
当初は我路と同じく巻き込まれた乗客の一人を装っていた。
愛珠から好意を寄せられていたが、彼自身は「犬堂家のお姫様に手を出す勇気はなかった」という。
実務能力に優れ、料理なども担当している。
事件後も我路と行動を共にしている。
メロン兄さんではない。

演者は作者の別作品『BASARA』の舞台版では演出するのみならず揚羽を演じていた。


  • 犬堂 乙矢
演:阿部亮平
我路の従兄弟で甲矢の弟。
バスジャック事件では危険な犯人役を演じていたが、本当はケンカっ早いながらも気のいい人物。
整からは「根が正直者なので犯罪には向いてない」と言われている。
事件後も我路と行動を共にしている。


  • 犬堂 愛珠(あんじゅ)
演:白石麻衣
殺害された我路の姉(ドラマ版では妹)。
甲矢・乙矢兄弟は従兄弟。
持病があり幼少より「一族のお姫様」と呼ばれるほど大事に育てられたため気が強く、周囲を振り回してきたが、それでも周りの人間からは愛されていた。
殺される直前は人が変わったような発言をしていたようだが…


◇その他

  • 鳴子 巽
テレビにも出演する著名なカウンセラー。
天達の教え子の一人で、喜和の弟。
作中に登場する犯人達や事件の関係者の何人かは彼と接触していたことが示唆されており、彼らは皆星座の意匠をしたアイテムを身に付けていた。
愛珠も彼の患者の一人であったため、我路に姉の行動になんらかの関わりがあったのではないかと疑われている。


◇ヤバい犯人たち


+ 以下ネタバレ注意!
「人を殺したんじゃなくて、ただ片付けただけなんですね?」
「はい、そうです。わかってもらえますか?」

  • 煙草森 誠
演:森下能幸
バスの運転手。
2話目で登場。
姉の愛珠を殺害した犯人を追っていた我路たちの協力者で、バスジャック事件に巻き込まれた運転手を演じていたが、実は愛珠も含めて四人が犠牲になった連続生き埋め殺人事件の犯人。

幼少期から「片付けて見えなくなれば無かったことになるから問題なし」という歪んだ考えを持っていた。
ある日、バスを車庫に戻す時に車内点検を怠った彼は、戻す途中で車内に病気で意識を失った客(愛珠)が残っていたことに気がつく。

車庫に戻しながら飲酒までしていた彼は*4愛珠が病死していると思い、「埋めて片付ければ見えなくなるので問題ない」と考えて愛珠を埋めることにする。

途中で愛珠は息を吹き返したが構わずに生き埋めにして殺害。
その時の生き埋めにした感触が忘れられず、その後も急ブレーキで客を昏倒させては生き埋めにする犯行を繰り返していた。

真相を見抜いた整に「片付けただけなんですね?」と聞かれると全く反論することなく全てを自供して警察に逮捕されるが、精神鑑定によって無罪となる可能性が出てきたため、我路によって殺害される。

「埋めて片付けたことで見えなくなったので問題なし」と思っているので自分が悪事をしたとすら思っていない自分が犯人にも関わらず犯人を探す我路の捜査には何故か善意から協力する悪事をしたと思ってないので整に「片付けただけなんですね?」と言われただけであっさり全てを自供するなど、あまりにも常軌を逸した行動を淡々と繰り返す彼の姿は2話目の犯人でありながら読者に強烈なインパクトを与えており、本作の犯人というと真っ先に「バスの運転手」が挙げられることが多い。
ちなみに彼は犯人たちの多くが共通して持つ星座の意匠をしたアイテムは持っていなかった。



「僕は犯罪者じゃないから」
「必要なことしてるだけ。歴史上みんなやってきたことでしょ?」

  • 車坂 朝晴
演:松下洸平
映画にもなった広島編の犯人。
事件の舞台になった狩集家の顧問弁護士の孫で彼も弁護士を目指していた。
広島編のヒロインである狩集汐路の初恋の人でもあった。
狩集家の一族は元々は盗賊で、江戸時代に豪商の家を乗っ取ったことで財を成した。

しかし、乗っ取られた方の家の子孫が復讐に来るのではないかと恐れた一族は、乗っ取った時の狩集家本家の頭領の特徴(天パ)と同じ特徴の子供が狩集家で生まれたらその子供を分家の人間が殺すと言う風習ができた(彼の産まれた車坂家がその分家に当たる)。


その風習に何の疑問も持たずに育った彼は、汐路の父達がそのことに気がついて公表しようとしていることを知り、汐路の父も天パだったので「どうせ殺す人間達だし」と思い、汐路の父を含む狩集家の人間4人を事故に見せかけて殺害した。

彼も自分のしたことを悪事だとは思っておらず、整に「悪事じゃないと思っているなら隠す必要もない」と言われた途端に暴かれてないことまで全てを自供した。

因習村や伝記物ではよく見かける話だが、彼が住んでいるのは古い風習が残る山奥の村とか絶海の孤島とかではなく広島市中心部の思いっきり街中であり、普通に現代社会で真っ当な教育を受けて育ってきたにも関わらず、殺人を「崇高な使命」だと考え疑っていなかった。
ちなみに彼も星座の意匠をしたアイテムは持っていなかった。



「選ばれない軽い扱いの子。かわいそうに…」
「だから、殺しました」

  • 井口 虎雄
バード急便の宅配員。離婚歴がありシングルファーザー。
青砥が追っていた鍵山事件で証言した人間の1人だが、鍵山事件の真犯人。
タイガースアイをつけた天秤座の意匠をしたネックレスを持っている。
あまり目立たない子供だった彼は、幼少期に友人が誘拐されて自分は誘拐されずに助かるという経験をした。
命拾いしたはずなのだが彼はそれを「幸運」ではなく「屈辱」と感じており、以後「自分は軽い存在ではないか」と考えるようになり、「重い・軽い」に異常に拘るようになった。

その後、盗撮魔に子供の写真を撮られ、ノイローゼになった妻と離婚。
その盗撮魔をマークするようになり(その盗撮魔こそ青砥が誤認逮捕した相手である)、その盗撮魔に標的に「されなかった」少女を「軽い扱いをされたかわいそうな子」だと思い「善意」で殺してまわった。
それが鍵山事件の真相である。
さらに、実は彼は鍵山事件の以前からも、親から目を離されていたなど完全に彼の主観で「軽い扱いをされている子供」を同じく「かわいそう」だと思い善意で殺してまわっており、鍵山事件も含めて9人の子供を殺害した。
このあまりの動機に青砥も「こんな真相ご遺族にどう伝えたら良いのか」と戦慄していた。

数々の偽装工作のおかげで捜査から逃れた彼だったが、彼はそのことを内心で「軽く扱われた」と長年憤っており、息子の事故死をきっかけに「支点ちょう」と名乗って鍵山事件の関係者を集めて再び事件を起こす。

整からは「自分のことには執着しているのに殺した子供や遺族のことはすっぽり抜け落ちている」と言われており、ライカからは「本人が気づいてないだけで自分だけが重い」「一人で天秤に乗っている」と評されている。

ちなみに幼少期に彼の友人を誘拐した蘇我実も天秤座の意匠のペンダントを身に着けているが、タイガースアイが付いた井口のペンダントに対して蘇我のペンダントにはそれがない。
天秤であれば皿が2枚必要なはずで、仮に両者が対の存在だとすれば、自分を軽く扱った蘇我の皿に対し井口の皿は宝石という“重り”があることになるが……?


「全都道府県で一人ずつ殺していくのはどうやろう」
「コンプリート!コンプリート!コンプリート!」

  • 望月 湊
大人気の旅雑誌「@旅めし」のライター。
富山編の主犯。
幼少期から収集癖のあった彼はコンプリートにこだわっており、子供の時からレアカードを奪うためにクラスメートを古井戸に叩き落とす(その子はまだ見つかってない)などしていた。

成長して雑誌記者になった彼は47都道府県を制覇するという旅雑誌「@旅めし」の担当者に抜擢される。

しかし、その第一弾だった京都で取材のために自分が運転していた車を避けようとした男性が崖から落ちて死んでしまうと言う事故が発生する。

めんどくさがって通報せずにその男性を見殺しにしたが捕まらなかった彼は47都道府県を「コンプリート」したくなり、以後「@旅めし」の取材で新たな県を訪れるたびに人を殺してまわり、13人もの人間を殺害した。

さらに彼はいざという時には同じく@旅めしの記者の蕪木に罪を着せられるように工作までしていたが、真相を見抜いた流に事故に見せかけて殺される。
ちなみに彼も星座の意匠をしたアイテムは持っていなかった。

作中の台詞など

  • 子供はバカじゃないです。自分が子供の頃バカでしたか?
久能の台詞で、未読の人には見当違いな指摘を受け易い。
これは、久能の「子供を悪事に利用したらいけない。自分がしたことを理解できるようになった時にその子は一生悔やむことになる」
という台詞に対する「あんな子供なんだからどうせ覚えてない」
に対するさらなる返しの台詞であり、相手は子供の時のことを今でも覚えていることに気がついて黙っている。
要は記憶力に対する話であり、理解や素行に関するものとは違うのである。

なのでこのセリフへの反論のつもりで子供の時に自分がした馬鹿エピソードを披露すると、小さい頃のことを覚えていることを証明しており、むしろ久能の言ってることが正しいと証明する行為になる。

  • 子育ての大変さを教える実験
子育てや家事を軽視する発言をした男性に対して久能が、「ネットでチラッと見た記事」として紹介したある実験。
内容としては、父親たちに簡単な計算問題のテストを解かせ、解答中に話しかけるなどして邪魔をして結局時間内に解け切らせなくする。父親たちが解答を邪魔されたことに抗議すると、「これが、子育てをする母親たちの毎日なんです」と告げられたというもの。
要するに、子育てはいろいろな邪魔が入ったりして決して簡単なものではないことを教える実験ということだが、何とこの実験は別の作家が旧Twitterで投稿した架空の話であり、作者が現実の実験と勘違いし引用していたという事実が後日発覚し、後に謝罪する事態となった。*5
そもそも虚実抜きにしても、子育てを簡単な計算問題扱いしている会社での業務中に邪魔が一切入らないというあり得ない前提をしているといった指摘もされており、当漫画のツッコミどころの1つとして度々挙げられる事例となっている。

◇余談

名探偵コナン』単行本98巻の名探偵図鑑にて整が紹介されており、
「本当のことを言い過ぎては怒らせる名探偵」と称されている。
青山剛昌先生のおすすめは『つかの間のトレイン』とのこと。
『コナン』作中でも『ミステイクと言う勿れ』なんてどこかで聞いたようなタイトルの作品が登場している。絶版になってる堀出し物とのことだが、他の『フクロヅメ』とか『薬局のひとりごと』とかも含めてどう考えても絶版の掘り出し物タイトルじゃない
そこ、第一話でコナンの決め台詞が否定されてるとか言わない。*6
同じ小学館の作品という縁でか、本作の7巻発売時は名探偵図鑑に使用されたイラスト付きの帯での宣伝もされた。
でもどの巻で整が紹介されているかは教えてくれない。


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最終更新:2026年07月06日 13:04

*1 化学反応で髪にクセを付けることを「パーマ」といいアフロヘアーはああいう形状に整えたパーマなのだが作中でも「アフロではなく天然パーマです」と言っているため能動的にあの形にしてるわけではなくて自然にああなったらしい。

*2 あまりに多すぎて「なにをそんなに思ってるんだよ!」と犯人からツッコミを受けたこともある。

*3 とあるメジャーリーガーが家族のために仕事を休むことについて「奥さんが怖いんでしょうね」と発言したアナウンサーの話など、少なくとも現実世界において明確なソースがない引用も散見される。

*4 彼の言葉から常習的に飲酒運転をしていたことが示唆されている

*5 謝罪した当時にはすでにこの話を収録した巻が出ているが、後に出た重版では注釈を入れる形で修正されている。

*6 久能の「真実は一つではなく人の数だけある」というセリフ。ただし、これは「人が各々で主観的に物を見た捉え方」と「客観的事実」とをごっちゃにして「真実は一つ」と言っている青砥のことを咎めたセリフ。コナンの方の「真実」は「客観的事実」ととほぼ同意義であり、「客観的事実は一つ」というのは久能の考え方とも合致しているので、本質的には否定されていない