貴公子ジュニア

登録日:2020/11/11 Wed 02:11:55
更新日:2025/04/26 Sat 23:41:09NEW!
所要時間:約 5 分で読めるわよ



※推奨BGM:「せいばい!」


何だ何だコイツは?

妖怪の新しいボス・貴公子ジュニア登場!

ジュニアが、ケウケゲンを暴れさせ、巨大獣将も大ピンチ!

カクレンジャー!獣将ファイターと一体化して、戦うんだ!

忍者戦隊カクレンジャー!


俺は貴公子だ!!










いいこと、みんな?我々妖怪は封印の扉が開き、力を取り戻した!

今こそ一致団結してカクレンジャーを倒し、妖怪のパラダイスを作んのよ~!

恐怖と憎しみがこの世で一番!とことん人間を苦しめて、私たちの奴隷にすんのよ~!


出典:忍者戦隊カクレンジャー/東映/第23話「電撃!!白い怪鳥」/1994年7月24日放送



貴公子ジュニアとは『忍者戦隊カクレンジャー』の登場人物。
第14話「俺は貴公子だ!!」から第31話「見たか!!新将軍」に登場した。

演:遠藤憲一
テーマソング:黒の貴公子(歌:x10)

目次

【概要】

黒い骸骨を模したコスチュームを身につけた聖飢魔II……もといヘヴィメタル風の格好をした人物で、おネエ言葉で話す。
その正体は「妖怪世界ではその人あり」と言われて恐れられる実力者で、妖怪大魔王の息子。
これまで個別に好き勝手に行動していた妖怪軍団に現れた指揮官であり、配下の「花のくノ一組」や妖怪を指揮してカクレンジャーの前に立ちはだかる。

とある屋敷を拠点にしており、そこではピアノも演奏する。
人間界での移動手段は赤いスポーツカーも扱う(運転はドロドロ)。


【性格】

非常に過激でエキセントリックな性格で、常に青いエレキギターを持っていて事あるごとにそれを弾き鳴らして感情を表現する。
不甲斐ない戦いをした妖怪には暴力を振るうようなこともあるが、カクレンジャーを分断させて切り札である獣将ファイターを使わせないようにするように指示するなどカクレンジャーの力を分析して的確な指揮を行う優れた指揮官である。

自身の戦闘力も極めて高く、ニンジャレッドニンジャブラックを一対一では完全に圧倒し、実力者の百地三太夫をも殺害するほど。
妖怪大魔王の後継者であることに高いプライドを持ち、大魔王が重用する軍師白面郎のことは快く思っておらず、その働きは認めつつも信用していない。
カクレンジャーからは、ザシキワラシの件もあって激しい敵対意識を持たれている。

ユガミ博士曰く「怒ると何をしでかすか分からない」と評される人物だが、仲間の妖怪に対する仲間意識は高い。
確かに言動は暴力的なのだが、カクレンジャーに負けそうになった挙句命乞いまでする醜態を晒したケウケゲンを「妖怪の面汚し」と評して殴打による折檻まで行いながらも始末するわけではなくユガミ博士に強化を命じてチャンスを与えていたり、アミキリの魔剣を破るためにカクレンジャーが近くで撮影をしていた少年の写真を分析しようとしていると見ると、少年を誘拐して阻止するなど細かく目を配らせてサポートしている。

完璧な演技でカクレンジャーを罠にはめて倒したサルガミとその配下のドロドロ達には「アカデミー賞ものの名演技」と絶賛*1し、一人ずつ握手しながら賞賛の言葉をかけるなど、言動はともかくとしてけっこういい上司かもしれない。

また、きちんと物事の分別を付けられる人物のようで前述のように白面郎のことは信用していないが、それよりもカクレンジャー抹殺を第一に考えているようで白面郎がカクレンジャーを倒そうとした時にはモニターで見ながら応援していた。

デザイナー・篠原保氏によると制作の経緯は覚えていないそうで、ハードゲイっぽい要素を盛り込んでいるのは確かだがその理由も自分から出たのか提案があったのかも覚えていないそうだ。


【正体】


ガシャドクロ


ハハハハハ!一月経たないうちに大魔王様があの扉から現れ、この地上の人間も動物も植物も、生きとし生けるもの全て滅び!『妖怪の天国』が完成するのよ!

ハハハハハハ!ハァーハッハッハ!!


出典:忍者戦隊カクレンジャー/東映/第31話「見たか!!新将軍」/1994年9月16日放送

貴公子ジュニアの正体である、巨大な動く骸骨の妖怪。餓者髑髏。
現代風になった結果、無数の人骨が組み合わさったアメリカの軍人のような姿をしており、身体の左半身は迷彩柄になっている。

毎回妖怪の解説をする講釈師もガシャドクロの資料は持っておらず、後に三太夫によって正体が明かされ、その際に「妖怪の中でも一、二を争う凶悪な奴で、人間であれば誰彼構わず取り殺してしまう恐ろしい妖怪」と解説された。

接近戦ではギターを変化させた骨のチェーンソー、遠距離では手から発射する破壊光線で戦う。
やはりその戦闘力は高く、獣将ファイター程度では全く太刀打ち出来ず、カクレンジャーが忍之巻を手に入れるまでは終始圧倒し続けた。また巨大な顔だけを出現することも可能で、その際には破壊光線で攻撃することも。

モチーフは軍人。
デザイナー・篠原保氏によれば、「元々は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のドーラモンスターとしてデザインし、ミリタリー要素は後に付け加えた」とのこと。

パワーレンジャーにはこの形態のみで登場しているが、設定がリタ(バンドーラ)の弟に改変されている。中の人絡みで向こうではバンドーラが後年のシリーズで善人に変わった姿が天空大聖者マジエルとなっているので、マジエルの弟はガシャドクロ、父親は大魔王というある意味トンデモ設定になっている。


【活躍】


第14話で、カクレンジャーと交戦して負けそうになった妖怪ケウケゲンを助けて自分の館にワープさせると、その不甲斐ない戦いぶりを激しく叱責。
ユガミ博士に新しい力を与えるように指示し、館の妖怪ゴロツキたちと気勢を上げる。

続く第15話では酒に酔って一度に100匹も妖怪を殺し、妖怪監獄に入れられていたシュテンドウジ兄弟を解放。
さらに、配下の「花のくノ一組」と共にカクレンジャーを分断させて全滅寸前に追いやるなど、その後もその優れた指揮能力でカクレンジャーを苦戦させていく。

カクレンジャーとは、第18話で善良な妖怪ザシキワラシを悪の妖怪にした上に殺害したことなどから激しく敵対するが、自身の高い戦闘力もあって圧倒。
恐るべき強敵としてカクレンジャーの前に立ちはだかり続けた。


みんなノッてるかーい!!

「「「Yeaaaaah!!!」」」

いよいよ待ちに待った日が来たわ!我らが妖怪の大魔王を蘇らせて、地上に妖怪天国を作るのよ!
その為に私が今から祈祷を始めるわ! 名付けて!

『貴公子ジュニア ON STAGE 』!!


しかし、カクレンジャーに送り出す妖怪は倒され続け、第23話で待ちくたびれた妖怪大魔王から自分を早く外に出すように催促されてしまう。
そこで、街に妖怪ドクロのタワーを出現させて大魔王を甦らせるためのロックコンサート祈祷「貴公子ジュニア・オンステージ」を開催。
大魔王へのお供えにするために子どもたちを次々に石に変えていく。
祈祷を守る妖怪ウミボウズは倒されたが、無敵将軍を倒してさらに獣将ファイターを圧倒。さらに、街を浮上させて結界を張ってしまう。

これによってカクレンジャーは完全敗北となり、隠流忍法の極意をマスターするためにバラバラに別れて忍之巻を手に入れるための旅に出ることになった。
その後は忍之巻を探すサスケの邪魔をしたり、直接サイゾウセイカイを襲撃するなどして妨害するがカクレンジャーは忍之巻を手に入れて再び集結。
第30話で再戦となるが、カクレンジャーの新しい力、超忍獣の前に追い込まれてしまう。

その場は軍師白面郎の介入で撤退するが、白面郎のことが気に入らないジュニアは大魔王に「この男だけは信用なりません」と進言するが聞き入れられず、白面郎に信用されたければカクレンジャーを倒すように命じる。

命令を受けた白面郎とカクレンジャーの戦いの様子をモニターで見ていたジュニアは、白面郎が三太夫と裏で繋がっていると見て三太夫を襲撃。
三太夫の忍術をものともせずに三太夫を殺害すると、怒りに燃えるカクレンジャーと最後の決戦に突入。
再びカクレンジャーを圧倒し、カクレンジャーボールまでも跳ね返して追い詰めるが、ツバサマルが現れて雷鳴剣ヒカリマルをニンジャレッドに授ける。
ニンジャレッドはカクレマルとヒカリマルを合体させ、隠流雷鳴斬を放つと遂にガシャドクロは大ダメージを受けてしまう。

ダメージを受けたガシャドクロは巨大化
ユガミ博士の最大の発明「クラッシュビーム」を受け取ってパワーアップし、右腕からの火炎放射やクラッシュビームで超忍獣を追い詰めていく。
しかし、三太夫の言葉でカクレンジャーは超忍獣を合体させて「隠大将軍」を誕生させると「鉄拳ゴッドフィニッシュ」でクラッシュビームを破壊されて大ダメージを受け、さらにツバサマルも合体した「スーパー隠大将軍」と空中戦を行うも「鉄拳フライングフィニッシュ」で、遂にガシャドクロは倒された。


バカなっ…!?私がやられるなんて……!

父上ェェェェェッ!!!





出典:同上

ユガミ博士「ジュニア様〜!」

爆発と共に、バラを咥えたガシャドクロの顔が散っていくという、何ともキザな彼らしい派手な最後を迎えるのだった。(ちなみに近くにいたユガミ博士はスーパー隠大将軍の眼から放った光線で封印の扉を破壊され、その瓦礫の下敷きとなって「私だって…私だってまだ死にたくない……」と遺し、死亡した。 )
なお大魔王は「何があっても後継者は息子と決めていたのに」と本気で悲しんでいたが、白面郎が本当の裏切り者であった事も含め二重のショックだった事は言うまでもない。


そのまま完全消滅して退場したと思われていたが…














『中年奮闘編』では


どうしてお前が!?

五郎の覚醒で目が覚めたのよ。

妖怪大魔王になるのは、この私よ!


2024年に東映特撮ファンクラブにて配信された30周年記念作『忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編』にてまさかの再登場。
本編で消滅したはずのジュニアの復活もさることながら、俳優として大成してスケジュール的にも多忙なはずの遠藤氏が当時の衣装そのままで再演してくれたことに驚きを隠せないファンが多発したのは言うまでも無い。

上述の隠大将軍に倒された際、自らに転生の秘術を掛けていたため長き時を経て蘇ったが、転生した際に妖力を失い人間となってしまっており、記憶も失い一人の中年男性として平和に暮らしていた。
人間の女性と結婚をし、吾郎という息子も生まれ幸せに暮らすジュニアの姿に、かつて妖怪軍団の長としてカクレンジャーを苦しめた面影は既に無かった。

しかしその幸せも長くは続かず、新世代妖怪ガーベラによって乗っていた車を操られたことによる交通事故で妻は死亡。自らも瀕死の重傷を負ったが、かつて存在を危惧していた白面郎こと義輝の助けで一命を取り留めるも、昏睡状態となってしまった。

その後、20年間の長きに渡り昏睡状態となっていたが、二十歳を迎えた息子の吾郎が妖怪サンモトゴロウザエモンとして覚醒したのに呼応して目を覚まし、妖怪としての記憶と妖力を取り戻し、かつてと同じ姿となり再びカクレンジャー達の前に立ちはだかった。
だが、ジュニアにはカクレンジャーへの恨みは既に無く、カクレンジャー達には目もくれずに暴走する息子の元へと向かい20年ぶりに再会した息子を抱きしめてその妖力を自ら吸収。
吾郎の妖力を全て自らの肉体で受け入れるも、いくら大魔王の息子とはいえ病み上がりの身体で大妖怪の力を全て吸収してしまうのは自殺行為に近くその肉体は即座に崩壊を始め、そのまま爆散して完全消滅をしてしまった。

五郎…最後ぐらい、父親らしく終わらせなさいよ…

それは、長い間何も出来なかった息子に対しての最初で最後の父親らしい愛であった。
そこにあったのは、かつて大魔王の息子として妖怪達を率いていた大妖怪の姿では無く、1人の息子を想う優しい父の姿であった…



【余談】

貴公子ジュニアを演じるのは、現在では主役・助演と幅広く活躍する遠藤憲一氏。
戦隊シリーズには18歳の時『バトルフィーバーJ』32話に伝正夫/バトルジャパンの故郷での昔馴染「村野義雄」役でゲスト出演しており、実に15年ぶりの参加となった。
バラエティー番組では、彼の恥ずかしい下積み時代の定番VTRとしてお馴染みであるが、遠藤氏にとってもジュニアは思い入れのある役だと言う。
最初は近所の子どもたちから「カクレンジャーをいじめないでね」と言われる程度だったのが、何度もカクレンジャーを返り討ちにしたり、邪魔をするジュニアの悪役振りが高まるにつれて最後には「死ねー!」とまで言われて当時はすごくへこんだとか。*2
このエピソードは、遠藤氏がカクレンジャーの思い出話を語る際には必ず話す程の十八番となっている。

遠藤氏に限らず、スーパー戦隊シリーズをはじめとする子供番組で悪役を演じた為にプライベートで散々な目に遭った役者は少なくなく、遠藤氏も後に「子供番組で悪役やるのは相当覚悟しないと…」と語っている。

最新作のラストも遠藤氏の苦労に報いるためだったのだろうか……


Wiki籠り…最後ぐらい、追記・修正させなさいよ…


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最終更新:2025年04月26日 23:41

*1 最初はサルガミが猿の妖怪であることにかけて『猿芝居』と評したが、サルガミ本人から「いくらサルガミだからと言って『猿芝居』は酷すぎます! 『名演技』とおっしゃって下さいまし!」と苦言を言われたため、すぐに訂正した

*2 とはいえ、氏にとっては、やっとの思いで勝ち取れたレギュラーだったからこそ思い入れも強いのだとか