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ダツ

登録日:2026/02/07 Sat 21:40:00
更新日:2026/06/04 Thu 19:41:18
所要時間:約 5 分で読めます



ダツとはダツ目ダツ科に属する魚の総称である。
漢字では「駄津」と書き、長い口から別名を「啄長魚」とも呼ぶ。
英語では基本はNeedlefish(ニードルフィッシュ)と呼ぶが、garfish(ガーフィッシュ)houndfish(ハウンドフィッシュ)など複数の呼び方が存在する*1




概要

種によって微妙な差異はあるものの基本的には青みがかった銀の鱗に覆われ、
尾鰭を除いた全ての鰭が小さく泳ぐことに特化した流線形の体型、そして鋭い歯が無数に並ぶ長い口が特徴で共通し、
近縁種でもあるサヨリを除けば他の魚とはまず間違える事はない外見である。
様々な海域に生息しているが、どちらかといえば種として温帯~熱帯といった温暖な環境を好んでおり、
実際に漁獲されるのもそうした地域である。

大きさも種によって差があるが全体的に1m前後と種としてそこそこ大きくなる魚であり、海中を高速で泳ぎ回って小魚を捕食する。
骨は青みがかっており、時に身も同じ状態になっている事があるが、これは胆汁によるもので毒性があるわけではない。

名前の由来は諸説あるが、有力な説として

東京や神奈川(江ノ島)では米を入れる藁でできた袋の事を駄簀(ダス)と呼んでいて、
大きく開けた本種の口がその袋の開いた口を思わせる事から魚の方も同じくダスと呼んでいた。
それが時代を経るにつれて変化、いつしかダツと呼ばれるようになった…

…といったものがある。
つまりダーツは関係ない。

意外?に地方名も多く、全てを挙げるとキリがない為以下に一部を挙げるが、
「ダイガンジ」、「イシブエ」、「シジャー」といった呼び方が存在する。

繁殖期は初夏で藻や海藻の生えた海域に移動、卵を産み付ける事で繁殖する。
更に卵には粘着性の糸があり、藻や海藻に付着して発生する。

ちなみに日本に生息している種は全て海水性だが、海外に目を向けた場合は必ずしもそうとは限らず、
少数ではあるものの、なんと淡水性の種もいるのだ。

危険生物として

さてこのダツ、実は数ある海の危険生物の一つにも数えられる程に有名な魚でもある。
何なら沖縄県では漁師やダイバーにゴマモンガラやオニカマスと並んでサメよりヤバい魚と恐れられる程。
何故ならダツは光に強い反応を示す性質があり、一度光を見るとその光源目掛けて突撃してくる習性がある為である。
特に夜間など暗い時間に海に潜っている時に水中ライトを使っていたり、
朝や昼といった明るい時間帯でもアクセサリー類のような光に反射してキラキラ輝くものを身に付けているとそれに反応して凄まじいスピードで突撃してくるのだ。
これは「ダツが主な獲物にしている小魚の鱗の反射を獲物と勘違いしている為」ではないかという説があるが、
異論として上述したように「種として光に敏感な性質を持つが故に急に強い光を当てられた結果パニックになる為」という説もある。


…では船の上など「海上にいれば大丈夫じゃないの?」と思った人もいるだろうが、甘い。
今度は高速で泳ぎ回れる遊泳力を生かした跳躍力で海上へ飛び上がってくるのだ。
まさにノコギリのアーロンの「(シャーク)()ON(オン)()DARTS(ダーツ)」。ダツだけに。

しかも厄介な事にダツは一度刺さるとまるでドリルのように回転する習性もあるので傷が悪化しやすい。
これもノコギリのアーロンの「(シャーク)()ON(オン)()歯車(トゥース)」。
実際に飛んできたダツが目に刺さって潰される等の大怪我を負ったり、最悪の場合ではあるが刺さりどころが悪く、死亡してしまった事例もあるのだから恐ろしい話である。


想像してみよう、光に引き寄せられたダツがまるで投げられたジャベリンや放たれたの如く次々に海から飛んでくるのを…

勿論痛いからといって刺さったダツを無理に引き抜くと刺さった場所にもよるが、出血多量に陥るリスクもあるので絶対にしてはいけない。

というか「犯人はダツ」をやった刑事ドラマがあるくらいである。




このように時に人命に関わる事態を引き起こすダツだが、一方で地域や国によってはこの習性を逆手に取った漁法も存在する。
その方法というのが夜に海をライトや炎等強い明かりで照らし、それに反応して飛んできたダツを前もって
展開していた目の細かい網や植物の葉で作った罠等に引っかける…という単純ながらも理に適ったものなのだ。

ソロモン諸島のマライタ島ではサゴヤシの葉で凧を作り、クモの巣を集めて作ったルアーを凧糸から垂らす 凧漁 がある。
凧を揚げるとルアーが水面をたたき、体長1mもあるダツが獲れるとか。


食用

先述の通り危険性は勿論、骨や身が青みがかってるが故に気持ち悪がられて敬遠されてしまう事もあるし、後述の通り小骨が多い魚故に外道扱いする釣り人も少なくない。
が、調理方法にもよるとはいえ、実は美味な魚でもある事は忘れてはいけない。
身は白身で、しかも煮てよし、焼いてよし、鮮度がよければ生でもよしの三拍子揃った万能な魚であり、小骨に気を付ける事を除けばあらゆる調理で美味しく頂ける。
そして小骨が多いという事はアナゴやハモを調理する際に必須である骨切りの技術も応用できるのでいっそつみれにしてしまうのもオススメである。

主な種類


  • ダツ
ダツ科の代表とも言える魚で一般的に日本語でダツと言えばこの種を指す。
日本では主に北海道以南の太平洋海域に生息しており、平均して1m前後に成長する。

  • ハマダツ
一見してダツに似ているが、1.2mとダツよりもやや大きくなる事、
体に縞模様がある事で区別できる。
生息環境も熱帯~亜熱帯とより温暖な海域を好んでいるのも異なる。


  • オキザヨリ
大きな個体では1.5mにも達するダツ科最大種。
主に熱帯域に生息する南方系の種で和名ではサヨリと名につくが当然サヨリではない。
勿論光に反応して突撃してきたり飛んできたりする習性も備わっているので
ダツ科としては大柄な体格も相まって危険性は高い。

  • ニードルガー
大きくなっても30㎝前後にしかならないダツとしては小型の種。
主にインドやスリランカ、タイやマレーシア等の南アジア~東南アジアに
生息しているが、特筆すべきは淡水性である事。
現地では食用として網漁や釣りで漁獲される他、淡水に住むダツという物珍しさからか、
時折ペットとしても流通する事がある。

ちなみに南米のアマゾン川流域にも別種ではあるが、同じく淡水を生息域にしているダツがいるようで
南米ニードルガーという名前で流通する事がある。


余談


  • 元祖ガー?

英語での呼称の一つに「ガーフィッシュ」というものがあるが
実は古代魚のガーは一説にはヨーロッパの海に生息していたガーフィッシュと呼ばれていたダツの一種に似ている事から付けられたという説がある。
つまり本来はガーといえばこちらの事を指していたという事だ。

  • 意外な近縁種

サイズや見た目からは想像しにくいが、実は上述したサヨリだけでなくトビウオ、サンマといった食用としてもメジャーな海水魚は勿論、なんとあのメダカとも近縁である。
サンマに関しては「銀色の体色」と泳ぐことに適した「細長い流線形の体型」を見れば似ているともとれるし、トビウオに関しても「驚異的な跳躍力」を見れば近い種というのも納得がいくかもしれない。
しかしメダカに関してはサイズは勿論見た目も全く異なるのでどこが?と思われそうだが、海藻や藻に卵を産み付けるダツの繁殖方法は水草に卵を産み付けるメダカと似ていると言えなくもない…だろう。




追記・修正は飛んできたダツをダーツにしてお願いします

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最終更新:2026年06月04日 19:41

*1 needleは英語で針、garは古英語で槍・銛、houndは英語で猟犬