登録日:2009/11/23 Mon 22:11:32
更新日:2025/06/03 Tue 23:34:18NEW!
所要時間:約 5 分で読めます
天はてめェら人間を差別し力を与えなかった
だから下等なのさ!!!
生まれた瞬間からすでに次元が違うんだよ!!!
●目次
【プロフィール】
本名:アーロン
異名:ノコギリのアーロン
所属:アーロン一味→タイヨウの海賊団→魚人海賊団(アーロン一味)。
役職:船長→戦闘員→船長
所属船:スナッパーヘッド号→シャーク・スパーブ号
懸賞金額:2000万ベリー
悪魔の実:なし
年齢:39歳→41歳
誕生日:5月3日
星座:牡牛座
身長:263cm
血液型:F型(現実だとB型)
種族:ノコギリザメの
魚人
初登場:単行本8巻・第69話・『アーロンパーク』
出身地:偉大なる航路・リュウグウ王国・
魚人島・魚人街
好物:牛の丸焼き
笑い声:「シャハハハ」
CV:
小杉十郎太(アニメ版)/
東地宏樹(実写ドラマ版)
演:マッキンリー・ベルチャー
【概要】
半人半魚の
亜人種族「
魚人族」で構成された魚人海賊団「アーロン一味」の船長。
名実共に世界最高峰の7人の大海賊で構成される「
王下七武海」、その一角である魚人海賊「
海侠のジンベエ」と、かつて肩を並べていた男
ノコギリ鮫の魚人で青い肌と
ウソップより凶悪そうなノコギリ状の尖った鼻が特徴。左胸辺りには大きく
太陽が入れられている。
ただでさえ常人より大柄な者の多い魚人海賊団メンバーの中でも、頭一つ抜けた体躯を誇る巨漢である。
出身は
偉大なる航路の
魚人島であるが、物語開始時点では東の海のコノミ諸島に拠点「アーロンパーク」を築き、圧倒的な力で
ナミの故郷であるココヤシ村を含む諸島全域を支配していた。
【人物】
魚人を
『最高の種族』と豪語する種族至上主義者で、過去の事情もあって人間の事は
『下等種族』と見なす
極度の人間嫌いの差別主義者。
賄賂で島の支配を黙認させていた
ネズミ大佐や海図を描き上げるナミのように利用出来る人間は嫌いではないらしいが、それも自分達魚人に対し従順に振舞うのであればの話。
期待に添う成果を上げられなかったり少しでも反抗の意思を感じ取れば、容赦なく粛清の手を下し、なんなら周囲の町ごと潰す事も厭わぬ情け容赦無き極悪非道な人物。
自分に舐めた真似をする人間には即座にブチ切れる短気で狂暴な男である一方、人間を見下しつつも舐め切ってはおらず、瀕死の重傷を負っているにもかかわらずそれを微塵も見せず鬼のごとき眼差しを見せて立ち向かってきた
ゾロの目を見て
「今、ここで確実に殺しておかなければならない敵だ」と警戒する慎重さも持ち合わせている。
また、ココヤシ村を制圧した際は村にある船を真っ先に全て破壊して村人誰1人逃げられないようにしていたり、周辺海域を管轄する海軍高官を賄賂で買収するなどして、自分達の悪事が世界に極力知られないよう手を回す狡猾な側面もある。
これは自分達の動向が伝わり、ジンベエや
海軍本部に動かれる事を警戒しているのが理由。
かつて人類と魚人の交流の橋渡しの道を選んだジンベエや海軍本部中将ボルサリーノ(後の大将「
黄猿」)と陸での交戦で手痛い経験をし、単純な暴力では乗り越えられない敵がいることを強く理解している為であろう。
それ故か、同族を除けば
「金の上の取引で成り立った関係以外は信用しない」と考えている
拝金主義者でもある。
人間に対してはかくの如しだが、一方で同族である魚人たちに対しては
"同胞"と呼びとても大切にしている。
とりわけ手下の海賊団員は全員がアーロンと同郷で、長らく同じ釜の飯を食い苦楽を共にしてきたこともあり、
"魚人"の仲間たちに対する友情意識は紛れもない本物。
留守中に部下たちがゾロの手で壊滅させられていたことを知った際には不甲斐なさに怒るどころか倒れた部下を手ずから助け起こして嘆き叫び、仲間たちが全員やられた際は
「よくもおれの大切な同胞達を次々と…」と並々ならぬ激怒に震える程である。
そういったアーロンの気質は部下たちにもよく伝わっており、彼らはアーロンの船長としての方針や命令には素直に従いつつも
「アーロンさん」と親しげに呼び、お互いタメ口を利きあう気楽な関係を築いている。
アーロンが頭に血が上って暴れだした時も、部下たちは焦りつつも恐れてはおらず、むしろ体を張って諫めるなどアーロンに向ける彼らの信頼の強さが伺える。
これまで登場した東の海編の敵ボスは、大なり小なり圧倒的な力への恐怖をもって部下を統率するタイプが多かっただけに、同族限定とはいえ仲間を心から大切にする気質はある意味主人公の
ルフィと似通った部分があると言える。
一味の
ハチなど曰くアーロンは
「生粋の種族主義者」で、魚人すら躊躇なく手にかける
ホーディと違い意見が違っても同族の魚人には決して手を上げないという。劇中でもリュウグウ王国兵士の胸ぐらを掴んでせいぜい脅したことがあった程度で一線は越えないようにしていた。
ジンベエと決裂した際も「
どうしても止めたきゃ…今! ここで…おれを殺せ!!」と「人間を憎む自分を殺すか見逃すか」選ぶよう言い放ち、殴られ続けるも攻撃することは決してなかった。
アニメ版544話ではジンベエに反撃して逆にボコボコにされる描写にされてしまったが。
タイの遺志を継ごうとしない彼をジンベエはぶちのめすも、当然兄弟分でもあった上にその憎しみが分かるアーロンを殺せず見逃してしまい、後のココヤシ村の悲劇に繋がってしまった。
魚人や人魚と他の種族の間に生まれた人に対してはどうふるまうか気になるところである。
本人は意識していないと思われるが、海軍を利用して一般人を苦しめたり、搾取で一般人から金を巻き上げたりする行動は、皮肉にも自分達魚人を強く差別し
奴隷として虐げる
天竜人に類似している。
【目的】
アーロンの目下の夢は、
東の海全てをアーロンパークの支配下に置き『アーロン帝国』を築き上げる事。
魚人は生まれながらにして人間の10倍の腕力を持つとはいえ、この世界では人間も鍛錬次第で追い付く追い越す事は十分可能であり、そういった超人や
悪魔の実の能力者などを潤沢な武器装備と共に多数抱える海軍本部や
強豪海賊のすべてを真正面から相手取って蹴散らすのは極めて困難。
実際、アーロン自身もかつて
海軍本部中将ボルサリーノに戦いを挑んで惨敗した苦い経験がある。
しかし、あくまでそれは地に足つけて戦う陸上戦における話であり、
海洋のど真ん中で戦う海戦となれば勝手が違ってくる。
何故なら魚人にとって海中こそが、その身体ポテンシャルを最大限発揮できる環境に他ならないからである。
魚類の身体特性を持つ魚人は海中を驚異的なスピードで縦横無尽に泳ぎ回り、鰓呼吸により海上へ一切顔を出す必要なく無制限に活動することが可能。
溺死のリスクに怯え船という足場を気にしながら戦わなければならない人間に対し、目の届きにくい海中からの攻撃で船底や舵を破壊し、一方的に蹂躙できるのである。
さらに海流の動きを肌で感じ取れる彼らは、海底の地形さえ把握していれば海流すら容易に操作可能。
劇中では、実際に
ハチや
ジンベエがプリンプリン准将の軍艦や
ビッグ・マム海賊団の艦隊を、海流を操作して生み出した渦潮に巻き込んでいる。
魚人にとって地の利のある海中からの攻撃で翻弄するという手段は海戦において極めて有効で、タイヨウの海賊団時代は実際そうして屈強な海軍本部や海賊達の襲撃を退け続けていた事もあり、アーロンもそのやり方を貫けばどんな強豪相手にも勝算があると目論んでいた様子。
魚人の天敵と呼べるような能力をもつ人間も存在するが、アーロンは名をなるべく隠しているため、東の海にわざわざ行くのはどのみち時間を要する。
つまりアーロンの計画とは、東の海の全海底を把握することで海流をコントロール下に置き、制海権を掌握。海賊も海軍も歯向かう者は海底から根こそぎ蹴散らす事で
世界政府も手を出せないようにし、いずれ東の海に住む全ての下等種族人間を屈服させ支配する腹積もりであった。
その足掛かりとして、まずは政府の目の届きにくい東の海の辺境にあるコノミ諸島を襲撃して20もの町村を支配。
島民の人間達に理不尽な重税を課して軍資金を稼ぎつつ、密かに各地の海底の地形を測量してナミに海図として描き起こさせる事でデータ化しながら、8年間着々と準備を進めていた。
世界政府からその首に懸けれられた賞金は本編開始時点では
2000万ベリー。
これは
道化のバギー(1500万)、
百計のクロ(1600万)、
首領クリーク(1700万)より上の金額であり、
ルフィに懸賞金(3000万)が懸けられる以前は東の海の海賊の中では
最高金額であった。
前章のボスであり、
"東の海の覇者"と謳われた首領クリーク率いるクリーク海賊団を引き合いにすると
『海賊団の規模なら下だが、個人の実力なら上』と
賞金稼ぎの
ヨサクからは評されている。
実際、最盛期には5000人もの団員を抱えていたクリーク海賊団に比べればアーロン一味は確かに小規模ではあるものの、生まれつき人間以上の高い身体能力をもつ魚人族の荒くれ者で構成される団員個々の戦闘力は遥かに凌駕しており、船長・幹部クラスともなれば更に抜きんでた戦闘力を誇る事を鑑みれば、総合的な実力はアーロン一味の方に軍配が上がるであろう。
偉大なる航路からやってきた海賊の格の違いが如実に反映された懸賞金額と言える。
一方で、懸賞金額2000万ベリーというのは偉大なる航路の海賊基準だと、ハッキリ言って底辺クラスに位置する額。
かつて海賊として肩を並べていた頃のジンベエの初頭手配額が7600万ベリーであった事実を見れば相当低いのがわかる。
なにせ後に懸けられた麦わらの一味のウソップの初頭手配額(3000万)にさえ、その時点ではまだまだ素の実力はアーロンの方が高いと思われるにも係わらず負けているのである。
この実力に反して異常なまでの懸賞金額の低さについては、以下の理由が考えられる。
- アーロンが現地の海軍高官を買収していたために、東の海での悪事のほとんどが世界政府の上層部へ報告される前に握り潰されていた事。作中では東の海軍支部所属のプリンプリン准将率いる一隊が討伐に赴き、返り討ちにあっているが、これも握り潰されていた模様。
- 世界政府が犯罪者に懸ける賞金の額は、賞金首の単純な強さではなく政府に対する総合的な危険度で決められる事。アーロンは支配下に置いていたコノミ諸島で横暴な圧制こそ敷いていたが、逆にそこ以外の地域への支配の拡大や略奪などの海賊行為は行っていなかった。海を渡りながら赴く先々で残虐な略奪を繰り返し民間人に多大な被害を齎す凶悪海賊が世界中にごまんといる大海賊時代において、東の海の辺境の片田舎に留まって表面上は大人しくしているように見えるアーロン一味への海軍の注目度が下がるのも致し方ないと言える。
- アーロンには"海賊を名乗っている"事実以外の罪状が極めて曖昧であった事。詳細は後述するがアーロンはかつて一度海軍に捕縛され、裁判を経て監獄へ収監されていた時期がある。そしてジンベエの七武海就任に伴い釈放された為、その時点で以前に犯した海賊行為への公的な罪状は全てリセットされた状態にあった。その後も上述の通り海軍やジンベエの目を引かぬよう慎重かつ狡猾に立ち回っていた事もあり、高額賞金を懸けられるに足る海賊行為が明るみに出にくかったと思われる。
- アーロンが七武海のジンベエとかつて肩を並べる兄弟分であった為に政治的配慮が働いた可能性がある事。世界政府直属の公賊である王下七武海ともなれば、船長直属の部下のみならず傘下の海賊団に至るまで軒並み恩赦の対象となる。アーロンも一度はジンベエの仲間として恩赦を与えられた身なのだが、その後はジンベエと袂を分かって独自に活動しているので、名目上は七武海とは何の係わりもない一介の海賊に過ぎず、本来恩赦の対象にはならないハズであった。しかし、袂を分かったとはいえ仮にもかつての兄弟分に無体な取締りを働けば、ジンベエの反感を買うのではないのではと海軍が懸念するのも当然。ジンベエは七武海の称号を与えるのに相応な実力者であるのみならず、魚人族との友好関係を世間にアピールする名目でも政府から重要視されていたのだから猶更である。故にジンベエとの関係に波風を立てるような真似は避けたいが、さりとてまったくの野放しにすれば世間に対する政府や海軍の沽券にも関わりかねない為、課せられる最低限の額としてこの数値になった可能性は十分考えられる。
【戦闘力】
魚人は総じて人間の十倍もの腕力を持つが、鮫の魚人である彼は、その中でもとりわけパワーに秀でる。
1tもの大槍を軽々と振り回した首領クリークを凌ぐと言われるだけあって、2階建ての民家を基礎ごと地面から引っこ抜いて放り投げる程度は易々とやってのける。
支配下にあって納税が滞った為に見せしめで潰された「ゴザ」の町などは全ての建物が上下逆さまにひっくり返されていたが、それもアーロンたった1人の所業であるらしい。
当然、非戦闘員の人間程度ならば片腕を振るって地面に叩きつけるだけて簡単に殺す事ができる。
その強大なパワーを支える肉体もすこぶる頑強で、一撃でもまともに喰らえばボスクラスでも失神or大ダメージが当たり前だったルフィの猛攻を浴びても平然と立ち上がるなど、これまでの敵とは正に次元の違うタフさを誇る。
魚人らしく海中での遊泳スピードも驚異的で、水中で急加速し矢のようなスピードで水上へ飛び出して地上の敵へ襲い掛かるという最早理解が追い付かないレベルの芸当すら可能。
つまり簡単に言うと、キャプテン・クロの超スピードに、クリークの超腕力を併せ、更にそれの倍以上の技量を持つのがアーロンといえば分かりやすい。
さらに戦闘ではこれらの凶悪な身体能力に加えて、
- 石柱やサーベルの刀身を易々と咬み砕く鋭利な『サメの歯』による噛み付き。ちなみに歯を砕かれてもサメの特性により即座に生え変わる。
- アーロン当人が「折れないから自慢の鼻」と豪語する、ゾロの刀で斬りつけられようと岩に突き刺ささろうと折れる事のない『ノコギリ状の鼻』による刺突。
といったノコギリザメの魚人特有の身体的特徴を活かした強力な技を駆使する。
徒手空拳でもこれだけ強力かつ多彩な攻撃手段を有する上に、本気で戦うとなれば巨大なノコギリ型の愛刀『
キリバチ』を振るう為、より凶悪な戦闘力を発揮する。
おまけに激昂すると
海王類のように人間の黒目に当たる部分が細くなり、ただでさえ強力なパワー・スピード共に軒並み跳ね上がる始末である。
ちなみに実際のサメは軟骨動物で肋骨もないので、魚類や水棲哺乳類の中では泳ぐのが遅く体も打たれ弱い。
しかし魚人は、一応元は人間から進化した種族なので、そんなサメという種族の弱みはほとんど反映されていないというインチキのような強さを誇る。
正に
『東の海最強』の異名は伊達ではなく、偉大なる航路からやって来た海賊のレベルの高さを否が応でも思い知らされる実力者と言えよう。
その一方で、戦闘においては生来のサメ魚人の優れた身体能力に完全にかまけきっており、戦闘技術そのものはお世辞にも洗練されているとは言い難い。
キャプテン・クロの超スピードを併せ持つと上述したが、それはあくまで水中での遊泳時や力任せに突進した際のトップスピードであって、陸上戦で主となる戦闘スタイルはスピードより一撃の破壊力に重点を置いてひたすら力押しに攻め立てる、完全な重量級パワータイプ。
人間には真似しようもない技の数々は確かに強力ではあるが、技の幅はハッキリ言って狭く、すぐワンパターンな戦法の繰り返しに陥りがち。
防御面に関しては輪をかけてなおざりであり、陸上ではキャプテン・クロのような素早し身のこなしも出来なければ、首領クリークのような身を守る防具も着用しない為、相手の攻撃に対しては肉体の頑強さ頼みで耐える以外の選択肢が皆無という有様。
ルフィとの戦いではお互いハンデらしいハンデのないガチンコ勝負となったのだが、『アーロンに有効打を与えられるだけの超人的パワー』&『打撃攻撃完全無効のゴムの肉体』を持つルフィ相手では、これまで東の海でアーロンを無敵たらしめていたサメ魚人の凶悪なパワーも頑強な肉体も全くもってアドバンテージとならず。
鋭利なサメの歯やノコギリ状の鼻を駆使した初見殺し技はルフィを翻弄したものの、身軽さを活かした回避能力に優れるルフィには一撃必殺となり難く、ワンパターンに繰り返すうちに技の特性を理解され対処法を編み出されてしまう。
最終的に激昂パワーアップ状態で愛刀を振り回して力押しに追い詰めようとするも、アーロンのとある言葉で激昂したルフィに地力で完全に上回られ、敗北を喫する結果となってしまった。
ちなみに、作中では瀕死の重傷を負って立っているのもやっとなゾロに対し「お前がもし万全だったならば…あるいは(俺に)傷くらい残せたかもな」などと軽口を叩いていたが、もし本当に万全の状態のゾロと戦っていた場合、討ち取られていたのはアーロンの方だった可能性も十分あり得る。
魚人族を『万物の霊長』と豪語する種族至上主義者の男が、生まれ持った魚人の能力に溺れ、己が『下等種族』と見下す
人間の少年に力と技を長年磨き続けた
「自己研磨」の差で敗れ去ったのは、実に皮肉な話と言えよう。
なお、ヨサクから「かつて肩を並べていた」と評されていた
ジンベエは、生来のサメ魚人の肉体に加えて、
魚人空手や魚人柔術、
武装色の覇気といった
戦闘の為の技術を長年の厳しい鍛錬を経て極め上げた達人であり、アーロンとは正に桁違いの強さを誇る
世界でも最上位クラスの実力者である。
実際、常人レベルで比較すると
「プロの格闘家」と
「運動もロクにしないWiki篭り」くらいの差があるのだから実力差は当然と言えよう。
その為、アーロンは一部読者から
「物理的に肩を並べた(ただジンベエの隣に立っていた)男」という不名誉なあだ名を付けられてしまっている。
そればかりか、ジンベエ自体も東の海編で早々と名前が出ながら、実際に本人が登場したのは偉大なる航路編も佳境に入った頃と非常に遅かった事もあり、偉大なる航路編も後半あたりに差し掛かると一部読者の間で
「今更アーロンと肩を並べた程度の強さのキャラが登場したところで、現状の作品の戦闘インフレに付いていけるのか?」などと、ジンベエからすれば極めて屈辱的な下馬評も飛び出していた程である。
技
掌に溜めた少量の水を相手に向かってぶち撒ける技。
文字通りただ水をかけるだけなのだが、それすらもアーロンのパワーを以てすれば凶悪な威力を持つ。
連戦で万全の状態では無かったとは言え、ゾロとサンジの2人を瞬時に打ちのめして圧倒し、実際に喰らったサンジはその衝撃を散弾銃に例えた程。
後に同じ鮫の魚人であるジンベエやホーディ・ジョーンズも使用した
魚人空手の技
「撃水」
と原理的には同じと思われ、魚人特有の水への理解力を活かした技と言える。
一方で、まとまった水塊を離れた相手へ高速で投射する遠当ての技である「撃水」と比べ、アーロンはごく至近距離の相手へ力任せに水飛沫をぶっかけるだけと、技術として洗練されていない事からまったくの我流である思われる。
あくまでアーロンが魚人としても桁違いなパワーの持ち主であるが故に、殺傷力を持つ技として成り立っていると言えよう。
自らの歯を総入れ歯の如く丸ごと取り出し、それをカスタネットを持つように両手へ装備してまるで
噛み付くかのように相手へ掴みかかる技。
これに口の歯による噛み付きも加わるので、三点からの怒涛のような連撃で相手を攻め立てる事が可能。
まともに喰らえば、あっという間にズタズタに引き裂かれてしまうであろう。
歯が破損しても瞬時に生え変わる鮫の体質も然る事ながら、何よりサメの魚人ならではの歯の強度と強靭な顎や握力が無ければ成立しない技である。
実際、歯による攻撃の威力を見たルフィは、
アーロンの歯を奪い取り自らの口に入れ歯のようにハメ込んで逆に噛み付くという凄まじい奇策を実行してみたが、人間の顎の力では限界があり大したダメージは与えられなかった。
鋭い鼻先を相手に向け、魚雷のごとき猛スピードで突撃を仕掛ける技。
強靭な脚力による力任せの跳躍で加速するが、水中遊泳で十分な加速を得ればそのスピードはさらに跳ね上がる。
その威力たるやアーロンパークの外壁に風穴を開けるほどで、まともに喰らえば人体なんぞ貫通どころか両断されてしまう可能性すらある。
たとえ躱されたとしても、アーロンは即座に態勢を立て直して次の突撃を仕掛ける為、相手に休む間を与えず一方的に畳みかけることが可能。
超高速で飛び回るアーロンへは肉薄するのも困難を極めるヒット&アウェイ攻撃の性質もあり、非能力者の人間が対処しようとするならば、アーロンの突撃スピードを完全に見切った上で躱しつつカウンター攻撃を浴びせられるだけの超人的技量でもないと最早どうしようもない。
口を大きく開き、体を
錐揉み回転させながら勢いよく突撃を仕掛ける大技。
回転する歯は削岩機のように喰らい付いた獲物の肉を抉り取る。
装備
身の丈以上のサイズを誇るアーロンの愛刀。
柄は
日本刀のような形状だが、刀身は鉄棒に6つの巨大な刃が連なるように装着されたノコギリ状の異形の大剣。
お世辞にも斬撃に向いた形状ではないが、アーロンの超絶パワーをもって振るえば木や石壁程度は容易く斬り裂く事が可能。
アーロンは常時帯刀してはおらず、普段はアーロンパークの一室の壁にかけて保管してある。
ルフィとの戦いでは、アーロンは掌底で屋外から壁を突き破り、室内に立てかけてあったキリバチを引っ掴んで無理矢理引きずり出すという鮮烈な力技で装備した。
【作中での活躍】
時系列は新世界編基準。
◇東の海篇
かつて
王下七武海のジンベエと肩を並べていた男。
11年前、ジンベエ(当時35歳)が七武海入りする際の条件に『アーロンを東の海に放つ』と政府と契約したと噂されており、
事実
ジンベエの
王下七武海加盟と共に、魚人海賊団は分裂しアーロン一味が偉大なる航路から東の海入りした。
10年前、ナミの故郷であるココヤシ村を襲撃。
奉具を払えなかったナミの義母
ベルメールを殺害。ナミの地図を描く能力に目をつけ、一味に加入させる。
恐らくこの時に『一億ベリーで村を譲り渡す』と契約した。
が、ナミを手放す気はサラサラなく、麦わらの一味とバラティエで強引に別れて戻ってきたナミが今まで集めてきた額が1億ベリー近くになると、買収した
海軍にナミの集めた大金を没収させるなど卑劣な一面を見せる。
1億ベリーが達成する寸前に大金を奪われて上記の魂胆に気づいたナミから、
「お金の上の約束は死んでも守るんじゃなかったの!」と
問い詰められたが、それに対しアーロンは……
おれが約束をいつ破った!!? 言ってみろ!!!!
……と、意に介すことなく凄んだ口調でナミを黙らせ、「たかが1億ベリー」と軽々しく一蹴した挙句にココヤシ村の住人全員の命をチラつかせる形で門前払いした。
ちなみにナミを追い返した後に部下たちの前で「俺だって鬼じゃねえ。世界中の海の測量を終えたら自由にしてやるさ」と口にしていたが、
到底不可能な無理難題を見越した上での発言であり、部下たちからは「何十年後の話だよ」と笑い飛ばされた。
これらの所業と、アーロンパーク内でナミを『使う』発言をしたことで
ルフィの逆鱗に触れ、自慢の鼻とアーロンパークを潰されて敗北。
その後は海軍に捕まりアーロン一味は事実上壊滅した。
ちなみにジンベエについて、上記のうわさからサンジらは「アーロンを極悪化したようなもの」と印象を持つようになった模様。
2年後の魚人島編でサンジがジンベエと出会った際には「話次第じゃお前を俺は許さねえ」と敵意を向けていた。
◇魚人島篇
本人は豚箱入りしているので現在の時間軸では出てこない。
しかし
回想シーンや話の上では幾度となく現れその存在感を示す。
元々は魚人島の孤児が集まるスラム「魚人街」の出身。
はっちゃん曰くシャボンディ諸島の観覧車に憧れた少年時代があり、アーロンパークの建築スタイルはシャボンディパークを模したものらしい。
魚人島にあるマーメイドカフェのオーナーであり、占い師であるアオザメの人魚マダム・シャーリーは
アーロンの妹。
お兄ちゃんより幾分デカいがこんなセクシーな妹がいて、何ともアーロンが羨ましい限りである。
ちなみにマダムのアニメ版のCVは
朴ロ美。
同じく「魚人街」で育った王下七武海の
海侠のジンベエとは兄弟同然の間柄であった。
また、後に魚人族の英雄となるフィッシャー・タイガーを「タイのアニキ」と慕っていた。
成長後は魚人街の荒くれ者たちを率いて海賊をやっていた。魚人や人魚を迫害(時には人さらい)してきた人間への毛嫌いはこの頃からあった。
人間を討伐する彼の存在は、魚人街の子供たちのあこがれでもあり、子供の頃のホーディ・ジョーンズらには
「人間は憎むべき魚人族の敵」と常々語っており、他の魚人街の魚人達共々、
ホーディの人格形成に大きな影響を与えた。
ただしホーディらは深海の魚人街が棲み家だったことや
白ひげの庇護もあって直接的に人間の被害を受けたことがあったわけではなかった。
そしてフィッシャー・タイガーがマリージョアを襲撃し奴隷達を解放した事件を契機に『タイヨウの海賊団』に所属。
ジンベエと肩を並べていたというのはこの頃の話で、フィッシャー・タイガーを追う海兵たちを返り討ちにしていた。
戦闘時もやり過ぎて人間を殺しかけ、船長のフィッシャー・タイガーから度々説教を受けていた。
航海の途中で
コアラという元
奴隷の少女との交流を得たが、魚人と仲良くなっていったコアラに対しても、
「大人になれば魚人を差別するようになる」と決して相容れる様子は見せなかった。
ただ、今のコアラが他の人間たちとは違うということは間接的にではあるが認めており、
ジンベエが意識を失った人間に追い打ちを行おうとした際には
「おいおい、その辺にしとけよアニキ!!」と静止を試みるなど、
この時点では人間嫌いではあっても最低限の一線は弁えていた。
タイヨウの方針に不満を抱きつつも、民間人に手を上げることもなかったようである。
しかし、コアラを彼女の故郷に送り届けた直後、慕っていたフィッシャー・タイガーが海軍の騙し討ちに遭い死亡したことで、
元々嫌いだった人間に激しい憎悪を抱くようになってしまう。
その直後、無謀にも単独で海軍に殴り込みをかけており、基地にかなりの損害を与えたものの、
当時は中将だった
ボルサリーノにボコボコにされ捕まった。
タイの大アニキを売った人間どもを皆殺しにするんだよ!
通報した島にも行くぞ!
フィッシャー・タイガーは死んだ!!
お前ら下等種族に殺されたんだ!
涙ながらにタイガーの無念を叫ぶも、ボルサリーノには涼しい顔で
スルーされた。
その後は、
大監獄インペルダウンに収監されていたが、タイガーの後を継いだジンベエの七武海入りを期に釈放される。
上記の解放の噂は正確ではなく、実際は前々から監獄入りしていたアーロンがジンベエの七武海入りを期に『恩赦』で解放され、
七武海(形式上世界政府の協力者)として活動することを受け入れられなかったアーロンが自分でジンベエの下から去ったというのが真相。
アーロンは元々自分を慕っていたメンバーを率いて魚人島から東の海に拠点を移し、ココヤシ島襲撃へと繋がる。
ジンベエ自身はいざという時はアーロンを抑えるつもりでいたが、それを見越してかアーロンは海軍を買収して情報を封鎖していた。
そのために、実質野放しとなり上記の噂が広まったと思われる。
アーロン逮捕後は、ジンベエも海軍の汚職という事態を把握しており、その不正は白日の下に晒された様子。
【魚人海賊団アーロン一味】
アーロンが率いる海賊団。海賊船は「シャーク・スパーブ号」。
元々は魚人島を拠点にした海賊団だったがフィッシャー・タイガーがタイヨウの海賊団を発足させたことで合流。
しかしタイガーの死後、ジンベエが王下七武海になったことでタイヨウの海賊団からアーロンを中心とした人間嫌いのメンバーが離脱し再結成される。
再結成後は活動区域を東の海に移し、ナミの故郷であるココヤシ村の近くに本拠地である「アーロンパーク」を建設。
魚人帝国建国のためコノミ諸島を支配していたが、麦わらの一味に敗北。
その後はナミ、はっちゃん、モームを除くメンバーが海軍に逮捕され監獄送りになり消滅した。
メンバーが全員魚人なだけあってその戦闘力は並みの人間の海賊の比ではない…筈だが、劇中では陸上戦闘にこだわった結果、当時4人(正式加入していなかったナミを除く)だった麦わらの一味に壊滅させられている。
幹部以下の一般団員達に至っては、碌な武器もなく本調子ではないゾロ一人にまとめて一蹴されている始末。
まあゾロもグランドラインの賞金稼ぎでは集団でも相手にならないなど強いので(何せ本編前に
バロックワークスのMr.7を倒すぐらい)、相手が悪すぎたという面もあるかも知れない。
CV
森川智之
魚人海賊団の幹部。タコの魚人で六本の腕を駆使した六刀流の剣士。
アーロン一味の壊滅後は
タコ焼き屋に転職した。
CV江川央生
魚人海賊団の幹部。エイの魚人。
魚人空手の達人であり、本人曰く本領は千枚瓦正拳。ただしココヤシ村襲撃時はサーベルを携行していたので、言う程空手にこだわりは無いのかも知れない。
普段は寡黙で、正々堂々とした武闘家めいた振る舞いをするが、根はアーロンと同じく筋金入りのレイシスト。
人間を完全に侮蔑しており、一応「仲間」であるナミの事すら信用していない。
アーロンパークでの決戦ではサンジと対決。当初は海底に沈んだルフィに気を取られて全力を出せないサンジを
水中戦で圧倒する。
だが「生ぬるい騎士道を掲げる貴様のような奴には誰も守れない」と嘲笑した事で完全に彼の逆鱗に触れ、鰓に空気を吹き込まれるという奇策で地上に引きずり出される。
最後は怒り心頭のサンジの連撃に対し全く反撃出来ないまま、トドメの「羊肉(ムートン)ショット」を叩きこまれて敗北。
魚人島の過去編にも登場。
人間嫌いは昔からでアーロンがまだ幼いホーディ達に人間への怨みを植え付けている場面にも同席していた。
一方、タイヨウの海賊団時代はコアラも含めた船員と共に笑顔で食事をしたり、コアラが船を降りる際には泣きじゃくるマクロ達に呆れながらも見送りにはちゃんと参加していたりと少なくともコアラの事は嫌っていなかった事が伺える。
CV
小野坂昌也
魚人海賊団の幹部。キスの魚人。
テッポウウオの魚人ではない。この時点では淡水魚の魚人は登場していなかったのでそのためだろうか?
口に含んだ水を弾丸のように発射する事ができ、その威力は一般的な銃レベルから
大砲レベルまで幅広い。
クロオビに比べて饒舌でやや軽い印象を与えるが、性格は冷徹かつ陰険。また「キス」だからか、喋りながら唇を「チュッ♡」と鳴らす癖がある。
33の男にやられても誰得だよ。
アーロンパークでの決戦ではウソップと対決。「貧弱種族」の癖に猪口才な攪乱戦法ばかり取るウソップに苛立ちながらも得意の
水鉄砲と身体能力で追い詰めるが、海賊として戦う覚悟を決めた彼に酒をぶっ掛けられて「火炎星」で着火。
全身火だるまにされて慌てふためいていたところを、渾身のウソップハンマーで
キスなのにタコ殴りにされて失神。
ウソップは彼との一戦を経て「楽しいだけの海賊ごっこ」から「命を張る本物の海賊」へと脱皮したため、ある意味物語のターニングポイントとなった存在。
魚人海賊団の幹部。
アーロン一味の壊滅後は海賊麦わらの一味の航海士になる。
魚人海賊団の戦闘員。異名は海牛モーム。
偉大なる航路に生息する海獣(海王類ではない)で、牛の顔とアザラシの胴体を持つ。
巨大な体を活かして暴れ回るのが得意で、ゴザの町を壊滅させたのもコイツの仕業。
自分より強い者に対しては弱気。
アーロン一味の壊滅後、どのような経緯があったのか
カリブー一味の船を深海で曳いていた所を麦わらの一味と再会。
以前ルフィとサンジにブッ飛ばされたことが
トラウマになったのか彼らの姿を見るなり一目散に逃走した。
魚人海賊団の音楽家を務める魚人。
両手にマラカスを持ちシャカシャカと振っている。
何の魚人であるのかは語られていないが、ファンからは
マンボウの魚人ではないかと考察されている。
魚人海賊団の船大工。金魚の魚人。
額と胸にある「金」の文字が目印。
魚人海賊団のコンパ隊長。鯉の魚人。
額の「
恋」の文字は仕事への情熱の表れ。
魚人海賊団の宴会部長。サケの魚人。
手にいつも酒を持っている。
【余談】
ココヤシ島における初登場のアーロン一味は、ルフィ達は勿論読者目線からしても「憎たらしい悪役」「ナミの親の仇」でしかなかった。
が、魚人島編で明らかになった彼らの来歴と、長年虐げられてきた魚人の歴史を俯瞰すると「半魚野郎」「魚の分際でコックに逆らうんじゃねぇ!」といったゾロ達の発言は、(知らなかったとはいえ)アーロン達にとって正しく地雷ド真ん中だった事がよく分かる。
もっとも「ナミとその故郷を苦しめた仇敵」には変わりない以上、例え知っていたところで容赦なく罵倒していただろうが。
魚人等編での回想で登場したのだが、引き伸ばしのために違和感のある描写が多々ある。
ホーディ・ジョーンズらの幼少時の回想(ホーディの項目参照)や、
タイガーの死後、怒って海軍の軍艦を襲う際になぜかいつものように高笑いしていたり、
インペルダウンからの保釈後、ジンベエとの対立で、種族主義者で同族には決して暴力を振るわなかったとハチに評されていたはずのアーロンがジンベエに殴りかかろうとしていたりするなど。
小杉十郎太氏は
ニードルスやウィリー、スコーピオン等のアニメオリジナルキャラも演じており、スコーピオンはアーロンとは対照的に善人寄りな人物であった。
またウィリーについてはアーロンの
ライバルだったとの事であり、
ノベライズ版ではアーロンを倒したルフィを「やるじゃねえか」と素直に称賛する辺り、アーロンほど人間を蔑視してはいない様子。
実物のノコギリザメも鼻(吻)が長く伸びてノコギリ状になっているが、アーロンのように突き刺すのではなく、振り回して小魚やイカを斬りつけて弱らせたところを捕食する。
というか上述の通り軟骨で出来ているので、もし獲物に向かって突進しようものならノコギリのほうが間違いなく折れる。
何ぶん豚箱の中なので、近年の世界情勢及びジンベエの現状については恐らく把握していないと思われる。
ただその辺りは気になる読者も少なくなかったようで、単行本111巻のSBSにて「もしジンベエが麦わらの一味に入った事を知ったら?」という質問に対し、その回答として物凄く渋い顔をしているアーロンの顔が載せられた
まあ袂を分かったとはいえ、兄貴分が人間の海賊団(しかも自分を負かした奴ら)に入ったとなればなぁ……。
下らねぇ追記・修正に死ね。
最終更新:2025年06月03日 23:34