登録日:2009/11/23 Mon 22:11:32
更新日:2025/06/08 Sun 23:57:57
所要時間:約 5 分で読めます
天はてめェら人間を差別し力を与えなかった
だから下等なのさ!!!
生まれた瞬間からすでに次元が違うんだよ!!!
●目次
【プロフィール】
本名:アーロン
異名:ノコギリのアーロン
所属:アーロン一味→タイヨウの海賊団→魚人海賊団(アーロン一味)。
役職:船長→戦闘員→船長
所属船:スナッパーヘッド号→シャーク・スパーブ号
懸賞金額:2000万ベリー
悪魔の実:なし
年齢:39歳→41歳
誕生日:5月3日
星座:牡牛座
身長:263cm
血液型:F型(現実だとB型)
種族:ノコギリザメの
魚人
初登場:単行本8巻・第69話・『アーロンパーク』
出身地:偉大なる航路・リュウグウ王国・
魚人島・魚人街
好物:牛の丸焼き
笑い声:「シャハハハ」
CV:
小杉十郎太(アニメ版)/
東地宏樹(実写ドラマ版)
演:マッキンリー・ベルチャー
【概要】
半人半魚の
亜人種族「
魚人族」で構成された魚人海賊団「アーロン一味」の船長。
名実共に世界最高峰の7人の大海賊で構成される「
王下七武海」、その一角である魚人海賊「
海侠のジンベエ」と、
かつて肩を並べていた男。
ノコギリ鮫の魚人で青い肌と
ウソップより凶悪そうなノコギリ状の尖った鼻が特徴。左胸辺りには大きく
太陽のマークの刺青が入れられている。
ただでさえ常人より大柄な者の多い魚人海賊団メンバーの中でも、頭一つ抜けた体躯を誇る巨漢である。
出身は
偉大なる航路の
魚人島であるが、物語開始時点では東の海のコノミ諸島に拠点「アーロンパーク」を築き、圧倒的な力で
ナミの故郷であるココヤシ村を含む諸島全域を支配していた。
【人物】
魚人を
『最高の種族』と豪語する種族至上主義者で、過去の事情もあって人間の事は
『下等種族』と見なす
極度の人間嫌いの差別主義者。
賄賂で島の支配を黙認させていた
ネズミ大佐や海図を描き上げるナミのように利用出来る人間は嫌いではないらしいが、それも自分達魚人に対し従順に振舞うのであればの話。
期待に添う成果を上げられなかったり少しでも反抗の意思を感じ取れば、容赦なく粛清の手を下し、なんなら周囲の町ごと潰す事も厭わぬ
情け容赦無き極悪非道な人物。
自分に舐めた真似をする人間には即座にブチ切れる短気で狂暴な男である一方、人間を見下しつつも舐め切ってはおらず、瀕死の重傷を負っているにもかかわらずそれを微塵も見せず鬼のごとき眼差しを見せて立ち向かってきた
ゾロの目を見て
「今、ここで確実に殺しておかなければならない敵だ」と警戒する慎重さも持ち合わせている。
また、ココヤシ村を制圧した際は村にある船を真っ先に全て破壊して村人誰1人逃げられないようにしていたり、周辺海域を管轄する海軍高官を賄賂で買収するなどして、自分達の悪事が世界に極力知られないよう手を回す狡猾な側面もある。
これは自分達の動向が伝わり、ジンベエや
海軍本部に動かれる事を警戒しているのが理由。
かつて人類と魚人の交流の橋渡しの道を選んだジンベエや
海軍本部中将ボルサリーノ(後の大将「
黄猿」)と陸での交戦で手痛い経験をし、単純な暴力では乗り越えられない敵がいることを強く理解している為であろう。
それ故か、同族を除けば
「金銭取引の上で成り立った関係以外は信用しない」と考えている
拝金主義者でもある。
人間に対してはかくの如しだが、一方で同族である魚人たちに対しては
"同胞"と呼びとても大切にしている。
とりわけ手下の海賊団員は全員がアーロンと同郷で、長らく同じ釜の飯を食い苦楽を共にしてきたこともあり、
"魚人"の仲間たちに対する友情意識は紛れもない本物。
留守中に部下たちがゾロの手で壊滅させられていたことを知った際には不甲斐なさに怒るどころか倒れた部下を手ずから助け起こして嘆き叫び、仲間たちが全員やられた際は
「よくもおれの大切な同胞達を次々と…」と並々ならぬ激怒に震える程である。
そういったアーロンの気質は部下たちにもよく伝わっており、彼らはアーロンの船長としての方針や命令には素直に従いつつも
「アーロンさん」と親しげに呼び、お互いタメ口を利きあう気楽な関係を築いている。
アーロンが頭に血が上って暴れだした時も、部下たちは焦りつつも恐れてはおらず、むしろ体を張って諫めるなどアーロンに向ける彼らの信頼の強さが伺える。
ちなみに
ハチ・チュウ・クロオビの一味の三幹部はアーロンとは少年時代からツルんできた幼馴染の友人同士という事もあり、彼らからの進言はアーロンも素直に受け入れる事が多い。
これまで登場した東の海編の敵ボスときたら、虫けらのごとく部下の命を奪うことに躊躇いがなく、大なり小なり圧倒的な力への恐怖をもって統率するタイプが多かっただけに、同族限定とはいえ仲間を心から大切にする気質はある意味主人公の
ルフィと似通った部分があると言える。
一味の
ハチなど曰くアーロンは
「生粋の種族主義者」で、魚人すら躊躇なく手にかける
ホーディと違い意見が違っても同族の魚人には決して手を上げないという。劇中でもリュウグウ王国兵士の胸ぐらを掴んでせいぜい脅したことがあった程度で一線は越えないようにしていた。
ジンベエと決裂した際も「
どうしても止めたきゃ…今! ここで…おれを殺せ!!」と「人間を憎む自分を殺すか見逃すか」選ぶよう言い放ち、殴られ続けるも攻撃することは決してなかった。
アニメ版544話ではジンベエに反撃して逆にボコボコにされる描写にされてしまったが。
タイの遺志を継ごうとしない彼をジンベエはぶちのめすも、当然兄弟分でもあった上にその憎しみが分かるアーロンを殺せず見逃してしまい、後のココヤシ村の悲劇に繋がってしまった。
魚人や人魚と他の種族の間に生まれた人に対してはどうふるまうか気になるところである。
本人は意識していないと思われるが、海軍を利用して一般人を苦しめたり、搾取で一般人から金を巻き上げたりする行動は、皮肉にも自分達魚人を強く差別し
奴隷として虐げる
天竜人に類似している。
【目的】
アーロンの目下の夢は、
東の海全てをアーロンパークの支配下に置き『アーロン帝国』を築き上げる事。
魚人は生まれながらにして人間の10倍の腕力を持つとはいえ、この世界では人間も鍛錬次第で追い付く追い越す事は十分可能であり、そういった超人や
悪魔の実の能力者などを潤沢な武器装備と共に多数抱える海軍本部や
強豪海賊のすべてを真正面から相手取って蹴散らすのは極めて困難。
実際、アーロン自身もかつて悪魔の実の能力者であるボルサリーノ中将に戦いを挑んで惨敗した苦い経験がある。
しかし、あくまでそれは地に足つけて戦う陸上戦における話であり、
海洋のど真ん中で戦う海戦となれば勝手が違ってくる。
何故なら魚人にとって海中こそが、その身体ポテンシャルを最大限発揮できる環境に他ならないからである。
魚類の身体特性を持つ魚人は海中を驚異的なスピードで縦横無尽に泳ぎ回り、鰓呼吸により海上へ一切顔を出す必要なく無制限に活動することが可能。
溺死のリスクに怯え船という足場を気にしながら戦わなければならない人間に対し、目の届きにくい海中からの攻撃で船底や舵を破壊し、一方的に蹂躙できるのである。
さらに海流の動きを肌で感じ取れる彼らは、海底の地形さえ把握していれば
海流すら容易に操作可能。
劇中では、実際に
ハチや
ジンベエがプリンプリン准将の軍艦や
ビッグ・マム海賊団の艦隊を、海流を操作して生み出した渦潮に巻き込んでいる。
魚人にとって地の利のある海中からの攻撃で翻弄するという手段は海戦において極めて有効で、タイヨウの海賊団時代は実際そうして屈強な海軍本部や海賊達の襲撃を退け続けていた事もあり、アーロンもそのやり方を貫けばどんな強豪相手にも勝算があると目論んでいた様子。
魚人の天敵と呼べるような能力をもつ人間も存在するが、アーロンは名をなるべく隠しているため、東の海にわざわざ行くのはどのみち時間を要する。
つまりアーロンの計画とは、東の海の全海底を把握することで海流をコントロール下に置き、制海権を掌握。海賊も海軍も歯向かう者は海底から根こそぎ蹴散らす事で
世界政府も手を出せないようにし、いずれ東の海に住む全ての下等種族人間を屈服させ支配する腹積もりであった。
その足掛かりとして、まずは政府の目の届きにくい東の海の辺境にあるコノミ諸島を襲撃して20もの町村を支配。
島民の人間達に理不尽な重税を課して軍資金を稼ぎつつ、密かに各地の海底の地形を測量してナミに海図として描き起こさせる事でデータ化しながら、8年間着々と準備を進めていた。
世界政府からその首に懸けれられた賞金は本編開始時点では
2000万ベリー。
これは
道化のバギー(1500万)、
百計のクロ(1600万)、
首領クリーク(1700万)より上の金額であり、
ルフィに懸賞金(3000万)が懸けられる以前は東の海の海賊の中では
最高金額であった。
前章のボスであり、
"東の海の覇者"と謳われた首領クリーク率いるクリーク海賊団を引き合いにすると
『海賊団の規模なら下だが、個人の実力なら上』と
賞金稼ぎの
ヨサクからは評されている。
実際、最盛期には50隻もの
海賊艦隊を従え5000人もの団員を抱えていたクリーク海賊団に比べればアーロン一味は確かに小規模ではあるものの、生まれつき人間以上の高い身体能力をもつ魚人族の荒くれ者で構成される団員個々の戦闘力は遥かに凌駕しており、船長・幹部クラスともなれば更に抜きんでた戦闘力を誇る事を鑑みれば、総合的な実力はアーロン一味の方に軍配が上がるであろう。
偉大なる航路からやってきた海賊の格の違いが如実に反映された懸賞金額と言える。
一方で、懸賞金額2000万ベリーというのは偉大なる航路の海賊基準だと、ハッキリ言って底辺クラスに位置する額。
かつて海賊として肩を並べていた頃のジンベエの初頭手配額が7600万ベリーであった事実を見れば相当低いのがわかる。
なにせ後に懸けられた麦わらの一味のウソップの初頭手配額(3000万)にさえ、その時点ではまだまだ素の実力はアーロンの方が高いと思われるにも係わらず負けているのである。
この実力に反して異常なまでの懸賞金額の低さについては、以下の理由が考えられる。
- アーロンが現地の海軍高官を買収していたために、東の海での悪事のほとんどが世界政府の上層部へ報告される前に握り潰されていた事。作中では東の海軍支部所属のプリンプリン准将率いる一隊が討伐に赴き、返り討ちにあっているが、これも握り潰されていた模様。
- 世界政府が犯罪者に懸ける賞金の額は、賞金首の単純な強さではなく政府に対する総合的な危険度で決められる事。アーロンは支配下に置いていたコノミ諸島で横暴な圧制こそ敷いていたが、逆にそこ以外の地域への支配の拡大や略奪などの海賊行為は行っていなかった。海を渡りながら赴く先々で残虐な略奪を繰り返し民間人に多大な被害を齎す凶悪海賊が世界中にごまんといる大海賊時代において、東の海の辺境の片田舎に留まって表面上は大人しくしているように見えるアーロン一味への海軍の注目度が下がるのも致し方ないと言える。
- アーロンには"海賊を名乗っている"事実以外の罪状が極めて曖昧であった事。詳細は後述するがアーロンはかつて一度海軍に捕縛され、裁判を経て監獄へ収監されていた時期がある。そしてジンベエの七武海就任に伴い釈放された為、その時点で以前に犯した海賊行為への公的な罪状は全てリセットされた状態にあった。その後も上述の通り海軍やジンベエの目を引かぬよう慎重かつ狡猾に立ち回っていた事もあり、高額賞金を懸けられるに足る海賊行為が明るみに出にくかったと思われる。
- アーロンが七武海のジンベエとかつて肩を並べる兄弟分であった為に政治的配慮が働いた可能性がある事。世界政府直属の公賊である王下七武海ともなれば、船長直属の部下のみならず傘下の海賊団に至るまで軒並み恩赦の対象となる。アーロンも一度はジンベエの仲間として恩赦を与えられた身なのだが、その後はジンベエと袂を分かって独自に活動しているので、名目上は七武海とは何の係わりもない一介の海賊に過ぎず、本来恩赦の対象にはならないハズであった。しかし、袂を分かったとはいえ仮にもかつての兄弟分に無体な取締りを働けば、ジンベエの反感を買うのではないのではと海軍が懸念するのも当然。ジンベエは七武海の称号を与えるのに相応な実力者であるのみならず、魚人族との友好関係を世間にアピールする名目でも政府から重要視されていたのだから猶更である。故にジンベエとの関係に波風を立てるような真似は避けたいが、さりとてまったくの野放しにすれば世間に対する政府や海軍の沽券にも関わりかねない為、課せられる最低限の額としてこの数値になった可能性は十分考えられる。
【戦闘力】
魚人は総じて人間の十倍もの腕力を持つが、鮫の魚人である彼は、その中でもとりわけパワーに秀でる。
1tもの大槍を軽々と振り回した首領クリークを凌ぐと言われるだけあって、2階建ての民家を基礎ごと地面から引っこ抜いて放り投げる程度は易々とやってのける。
支配下にあって納税が滞った為に見せしめで潰された「ゴザ」の町などは全ての建物が上下逆さまにひっくり返されていたが、それもアーロンたった1人の所業であるらしい。
当然、非戦闘員の人間程度ならば片腕を振るって地面に叩きつけるだけて簡単に殺す事ができる。
その強大なパワーを支える肉体もすこぶる頑強で、一撃でもまともに喰らえばボスクラスでも失神or大ダメージが当たり前だったルフィの猛攻を浴びても平然と立ち上がるなど、これまでの敵とは正に次元の違うタフさを誇る。
魚人らしく海中での遊泳スピードも驚異的で、水中で急加速し矢のようなスピードで水上へ飛び出して地上の敵へ襲い掛かるという最早理解が追い付かないレベルの芸当すら可能。
つまり簡単に言うと、キャプテン・クロの超スピードに、クリークの超腕力を併せ、更にそれの倍以上の技量を持つのがアーロンといえば分かりやすい。
さらに戦闘ではこれらの凶悪な身体能力に加えて、
- 石柱やサーベルの刀身を易々と咬み砕く鋭利な『サメの歯』による噛み付き。ちなみに歯を砕かれてもサメの特性により即座に生え変わる。
- アーロン当人が「折れないから自慢の鼻」と豪語する、ゾロの刀で斬りつけられようと岩に突き刺ささろうと折れる事のない『ノコギリ状の鼻』による刺突。
といったノコギリザメの魚人特有の身体的特徴を活かした強力な技を駆使する。
徒手空拳でもこれだけ強力かつ多彩な攻撃手段を有する上に、本気で戦うとなれば巨大なノコギリ型の愛刀『
キリバチ』を振るう為、より凶悪な戦闘力を発揮する。
おまけに激昂すると
海王類のように人間の黒目に当たる部分が細くなり、ただでさえ強力なパワー・スピード共に軒並み跳ね上がる始末である。
ちなみに実際のサメは軟骨動物で肋骨もないので、魚類や水棲哺乳類の中では泳ぐのが遅く体も打たれ弱い。
しかし魚人は、一応元は人間から進化した種族なので、そんなサメという種族の弱みはほとんど反映されていないというインチキのような強さを誇る。
正に
『東の海最強』の異名は伊達ではなく、偉大なる航路からやって来た海賊のレベルの高さを否が応でも思い知らされる実力者と言えよう。
その一方で、戦闘においては生来のサメ魚人の優れた身体能力に完全にかまけきっており、戦闘技術そのものはお世辞にも洗練されているとは言い難い。
キャプテン・クロの超スピードを併せ持つと上述したが、それはあくまで水中での遊泳時や力任せに突進した際のトップスピードであって、陸上戦で主となる戦闘スタイルはスピードより一撃の破壊力に重点を置いてひたすら力押しに攻め立てる、完全な重量級パワータイプ。
人間には真似しようもない技の数々は確かに強力ではあるが、技の幅はハッキリ言って狭く、すぐワンパターンな戦法に陥りがち。
防御面に関しては輪をかけてなおざりであり、陸上ではキャプテン・クロのような素早し身のこなしも出来なければ、首領クリークのような身を守る防具も着用しない為、相手の攻撃に対しては肉体の頑強さ頼みで耐える以外の選択肢が皆無という有様。
ルフィとの戦いではお互いハンデらしいハンデのないガチンコ勝負となったのだが、『アーロンに有効打を与えられるだけの超人的パワー』&『打撃攻撃完全無効のゴムの肉体』を持つルフィ相手では、これまで東の海でアーロンを無敵たらしめていたサメ魚人の凶悪なパワーも頑強な肉体も全くもってアドバンテージとならず。
鋭利なサメの歯やノコギリ状の鼻を駆使した初見殺し技はルフィを翻弄したものの、身軽さを活かした回避能力に優れるルフィには一撃必殺となり難く、ワンパターンに繰り返すうちに技の特性を理解され対処法を編み出されてしまう。
最終的に激昂パワーアップ状態で愛刀を振り回して力押しに追い詰めようとするも、アーロンのとある言葉で激昂したルフィに地力で完全に上回られ、敗北を喫する結果となってしまった。
ちなみに、作中では瀕死の重傷を負って立っているのもやっとなゾロに対し「お前がもし万全だったならば…あるいは(俺に)傷くらい残せたかもな」などと軽口を叩いていたが、もし本当に万全の状態のゾロと戦っていた場合、討ち取られていたのはアーロンの方だった可能性も十分あり得る。
魚人族を『万物の霊長』と豪語する種族至上主義者の男が、生まれ持った魚人の能力に溺れ、己が『下等種族』と見下す
人間の少年に力と技を長年磨き続けた
「自己研磨」の差で敗れ去ったのは、実に皮肉な話と言えよう。
なお、ヨサクから「かつて肩を並べていた」と評されていた
ジンベエは、生来のサメ魚人の肉体に加えて、
魚人空手や魚人柔術、
武装色の覇気といった
戦闘の為の技術を長年の厳しい鍛錬を経て極め上げた達人であり、アーロンとは正に桁違いの強さを誇る
世界でも最上位クラスの実力者である。
実際、常人レベルで比較すると
「プロの格闘家」と
「運動もロクにしないWiki篭り」くらいの差があるのだから実力差は当然と言えよう。
その為、アーロンは一部読者から
「物理的に肩を並べた(ただジンベエの隣に立っていた)男」という不名誉なあだ名で揶揄されてしまっている。
そればかりか、ジンベエ自体も東の海編で早々と名前が出ながら、実際に本人が登場したのは偉大なる航路編も佳境に入った頃と非常に遅かった事もあり、偉大なる航路編も後半あたりに差し掛かると一部読者の間で
「今更アーロンと肩を並べた程度の強さのキャラが登場したところで、現状の作品の戦闘インフレに付いていけるのか?」などと、ジンベエからすれば極めて屈辱的な下馬評も飛び出していた程である。
技
掌に溜めた少量の水を相手に向かってぶち撒ける技。
文字通りただ水をかけるだけなのだが、それすらもアーロンのパワーを以てすれば凶悪な威力を持つ。
連戦で万全の状態では無かったとは言え、ゾロとサンジの2人を瞬時に打ちのめして圧倒し、実際に喰らったサンジはその衝撃を散弾銃に例えた程。
後に同じ鮫の魚人であるジンベエやホーディ・ジョーンズも使用した
魚人空手の技
「撃水」
と原理的には同じと思われ、魚人特有の水への理解力を活かした技と言える。
一方で、まとまった水塊を離れた相手へ高速で投射する遠当ての技である「撃水」と比べ、アーロンはごく至近距離の相手へ力任せに水飛沫をぶっかけるだけと、技術として洗練されていない事からまったくの我流である思われる。
あくまでアーロンが魚人としても桁違いなパワーの持ち主であるが故に、殺傷力を持つ技として成り立っていると言えよう。
自らの歯を総入れ歯の如く丸ごと取り出し、それをカスタネットを持つように両手へ装備してまるで
噛み付くかのように相手へ掴みかかる技。
これに口の歯による噛み付きも加わるので、三点からの怒涛のような連撃で相手を攻め立てる事が可能。
まともに喰らえば、あっという間にズタズタに引き裂かれてしまうであろう。
歯が破損しても瞬時に生え変わる鮫の体質も然る事ながら、何よりサメの魚人ならではの歯の強度と強靭な顎や握力が無ければ成立しない技である。
実際、歯による攻撃の威力を見たルフィは、
アーロンの歯を奪い取り自らの口に入れ歯のようにハメ込んで逆に噛み付くという凄まじい奇策を実行してみたが、人間の顎の力では限界があり大したダメージは与えられなかった。
鋭い鼻先を相手に向け、魚雷のごとき猛スピードで突撃を仕掛ける技。
強靭な脚力による力任せの跳躍で加速するが、水中遊泳で十分な加速を得ればそのスピードはさらに跳ね上がる。
その威力たるやアーロンパークの外壁に風穴を開けるほどで、まともに喰らえば人体なんぞ貫通どころか両断されてしまう可能性すらある。
たとえ躱されたとしても、アーロンは着地点で即座に態勢を立て直して次の突撃を仕掛ける為、相手に休む間を与えず一方的に畳みかけることが可能。
超高速で飛び回るアーロンへは肉薄するのも困難を極めるヒット&アウェイ攻撃の性質もあり、非能力者の人間が対処しようとするならば、アーロンの突撃スピードを完全に見切った上で躱しつつカウンター攻撃を浴びせられるだけの超人的技量でもないと最早どうしようもない。
口を大きく開き、体を
錐揉み回転させながら勢いよく突撃を仕掛ける大技。
回転する歯は削岩機のように喰らい付いた獲物の肉を抉り取る。
装備
身の丈以上のサイズを誇るアーロンの愛刀。
柄は
日本刀のような形状だが、刀身は鉄棒に6つの巨大な刃が連なるように装着されたノコギリ状の異形の大剣。
お世辞にも斬撃に向いた形状ではないが、アーロンの超絶パワーをもって振るえば木や石壁程度は容易く斬り裂く事が可能。
アーロンは常時帯刀してはおらず、普段はアーロンパークの一室の壁にかけて保管してある。
ルフィとの戦いでは、アーロンは掌底で屋外から壁を突き破り、室内に立てかけてあったキリバチを引っ掴んで無理矢理引きずり出すという鮮烈な力技で装備した。
【作中での活躍】
時系列は新世界編基準。
◇東の海篇
バラティエ~コノミ諸島間の海上にて
賞金稼ぎの
ヨサクの口から作中で初めてその名前が挙がる。
かつて
王下七武海の
ジンベエと肩を並べていた男とされ、ジンベエ(当時35歳)が七武海入りする際の条件として
『アーロンを東の海に放つ』という契約を政府と交わしたと噂されていた。
ヨサク曰く何やらややこしい戦いの歴史があったようだが、ともあれジンベエの王下七武海加盟を経て魚人海賊団は分裂し、分派のアーロン一味が偉大なる航路から東の海入りしたのは事実である。
王下七武海といえば前章のバラティエ編にて正に別次元の強さを見せつけた世界最強の剣士「
鷹の目のミホーク」も所属している事が判明しており、その一角と肩を並べた男ともなれば、これまでの敵とは一線を画す実力者であることを当時の読者は否が応でも予感させられたものである。
その後から現在までの動向については、ナミの義姉
ノジコの回想にて語られる。
10年前、ナミの故郷であるココヤシ村を襲撃。
村人達に
「大人一人10万ベリー、子供一人5万ベリーの貢ぎ金(奉具)を毎月納めろ」「納められなければ村ごと潰す」という理不尽な要求を突きつけ、金を巻き上げる。
さらに村民達の中で唯一奉具を払えなかった
ナミの義母ベルメールを子供達の目の前で殺害。
その際、ナミの地図を描く能力に目をつけ、彼女を拉致。
ナミに対し一味への加入を強要すると同時に、
『一億ベリー納めればココヤシ村を解放し、ナミも自由にしてやる』という契約を交わした。
こうしてアーロン一味の測量士となったナミは8年間、一味が東の海の各所で集めてきた海底の測量データを元に海図を描き続け、余暇には「海賊専門の泥棒」として危ない橋を渡りながら金を集める苦渋の日々を送る事となった。
アーロンも村と義姉を人質にしていれば一味から逃げ出す心配はないと踏んでいた為か、ナミがコノミ諸島を離れた外海へ出て資金集めするのを認めるなど、ナミの前では「金の上での約束は死んでも守る話の分かる男」として振る舞い続けた。
が、実際はナミの能力を手放す気などサラサラなく、契約はナミに海図を従順に描き続けさせる為の餌でしかなかった。
ナミが血の滲むような思いで集めてきた額が約束した1億ベリー近くになった事を知ると、あくまで自分とは無関係であるかのように装うべく賄賂で買収していた
海軍に裏で手を回し、ナミの集めた大金を「犯罪捜査」の名目で没収させるという卑劣極まりない一面を見せる。
1億ベリーが達成する寸前に大金を奪われて上記の魂胆に気づいたナミから、
「お金の上の約束は死んでも守るんじゃなかったの!」と
問い詰められたが、それに対しアーロンは……
おれが約束をいつ破った!!? 言ってみろ!!!!
……と、意に介すことなく凄んだ口調でナミを黙らせ、「たかが1億ベリー」と軽々しく一蹴した挙句にココヤシ村の住人全員の命をチラつかせる形で門前払いした。
ちなみにナミを追い返した後に部下たちの前で「俺だって鬼じゃねえ。世界中の海の測量を終えたら自由にしてやるさ」と口にしていたが、
到底不可能な無理難題を見越した上での発言であり、部下たちからは「何十年後の話だよ」と笑い飛ばされた。
そんな折、アーロンの元へ
たった3人の仲間を引き連れて殴り込みをかけてきた男がいた。
それはナミが外海で活動中、
海賊に追われる彼女の目の前へ空から突然降ってきた麦わら帽子の男。
自身も海賊を名乗り仲間を集めていた彼に、ナミは航海士として手を貸し、しばらく冒険を共にした男。
裏切り同然に強引に彼の元を去ったにも拘らず、それでもナミを己の仲間と信じ、ココヤシ村まで追いかけてきた男。
アーロンに8年間の努力を全て無に帰され、絶望したナミの悲痛な涙に応えた男。
海賊「モンキー・D・ルフィ」とその一味であった。
かくして、アーロンパークを舞台に「
麦わら海賊団」と「魚人海賊団アーロン一味」の戦いの火蓋が切って落とされる事となる。
幹部以下の魚人海賊団戦闘員はルフィの豪快な技で軒並み蹴散らされてしまうが、アーロンはその隙を突きルフィを海へと叩き落す事に成功。
その後は幹部達からの進言もあって戦いを手下に任せて静観するも、ルフィの仲間達の奮戦により三幹部は全滅。
激しい怒りと共にとうとう腰を上げたアーロンは、幹部達とは桁違いの戦闘力で負傷と疲労で消耗したゾロとサンジを圧倒する。
だがそこへ、ココヤシ村のノジコと
ゲンゾウの決死の救助により命を拾ったルフィが戦線復帰。
船長同士、最後の一騎打ちの幕が上がった。
アーロンは自身のサメの歯やノコギリ状の鼻を駆使した技による猛攻でルフィを翻弄し、決して浅くない手傷を負わせる。
しかし、ルフィも変幻自在なゴムの肉体と傍から見ればふざけてるとしか思えない自由な発想を活かして対抗。
ついには自慢の技を破られてしまったばかりか、強烈な反撃を喰らいアーロン自身も無視できぬ大ダメージを負ってしまう。
これによりアーロンは怒りがとうとう頂点に達し、激昂して愛刀「キリバチ」を引きずり出す。
アーロンパークの屋根伝いに上階へと逃げるルフィを、アーロンはキリバチを振り下ろしながら追撃。
最上階の小部屋「測量室」へとルフィを追い込む。
見渡す限り紙の束が積まれた部屋を訝しがるルフィに、アーロンはこの紙の束が全てナミの描いた海図であると語る。
ここはアーロンがナミに8年間海図を描き続けさせた部屋だったのだ。
世界中探しても、これ程正確に海図を描ける奴ァそういるもんじゃねェ
ナミの描いた正確無比な海図をもって世界中の海を知り尽くし、いずれは東の海のみならず世界そのものを己が帝国とする壮大な野望を豪語するアーロン。
そしてその野望の為に、この部屋で海図を描き続ける事こそがナミの才能を最も無駄にせず、彼女にとっても最高の幸せなのだと言い切るのだった。
座り込んだままナミの積年の血滲みが染み込んだ羽ペンをジッと見つめるルフィの喉元にキリバチを突き付け、アーロンは問いかける。
ルフィはアーロンの問いかけに答えなかった…
ナミを自分にとって都合のいい"道具"としか見ていない問いかけの前提そのものが、ルフィを完全に怒らせてしまっていたからである。
怒りのあまり掴んだキリバチの刃を素手の握力だけで握り砕く凄まじい力をみせるルフィ。
そして、多少動揺しつつも変わらず余裕の態度で減らず口を重ねるアーロンに対し、ルフィが取った行動とは…
なんとルフィはアーロンを完全に無視して、自分のいる測量室を徹底的に破壊し始めたのである。
ナミが海図を描き続けた机、資料を収めた本棚、そして8年間描き貯めた海図の束。
大切な海図を傷つけられては堪らないと慌てて止めに入るアーロンだが、狭い室内でキリバチを振るえば余計に海図を傷つけてしまう。
止む無くキリバチを捨てて素手でルフィに掴みかかるが、それでもルフィはアーロンに構わず部屋の破壊を優先して暴れまわる始末。
とうとうアーロンはルフィの首筋に噛み付き、歯を深く食い込ませて破壊の手を止めさせる。
もはやルフィの心臓すら喰い抉る事のできる致命的態勢に勝利を確信したアーロンは、このまま決着をつけようとするが…
魚人がどう偉いとか…海図がどうとか!!……事情とか!!! そんなことよく知らねェけどな……!!!
ルフィはアーロンが折れないと豪語した自慢の鼻を両手で引っ掴むと、なんと力任せにへし折ってしまったのである。
悲鳴を上げて倒れ込むアーロンを毅然と見下ろすルフィは、憤怒の形相で言い放つ。
居たくもねェあいつの居場所なんて おれが全部ぶっ壊してやる!!!!
アーロンは何も判っていなかったのだ。
ルフィがここへ来たのは、ナミの才能を欲したわけでも、魚人を迫害したかったわけでも、ましてやアーロンを倒して海賊として名を上げたかったわけでもない。
己が仲間と認めた少女を苦しめるその全てをぶっ壊すために、ここへ来たのである。
慄くアーロンを尻目に、ルフィは突如として天井を蹴り上げる。
天井を突き破り、アーロンパークの屋根をも突き抜けて空高く伸び続けるルフィの足。
それを見ていたアーロンは、ルフィが何をするつもりなのか即座に理解した。
ルフィはこのアーロンパークを文字通り踏み潰す事で、全てを終わらせるつもりなのだ。
図に乗るな…!!たかだかてめェら下等種族ごときに落とせる このアーロンパークじゃねェぞ!!!
これだけ地力の差を見せられながらも人間には絶対負けたくない魚人としての意地故か、戦意の折れぬアーロンは再び立ち上がる。
ルフィの足が振り下ろされる前に仕留めるべく大技「鮫・ON・歯車」でルフィの土手っ腹に喰らい付くが、その肉を抉ろうとした瞬間、伸ばしに伸ばし力を溜めたルフィの「ゴムゴムの戦斧」がついに振り下ろされ、アーロンの背中に直撃。
その凄まじいばかりの一撃をモロに喰らったアーロンは、アーロンパークの最上階から5階層ぶち抜いて最下層まで叩きつけられ、とうとう満身創痍で意識を失った。
直後に衝撃でアーロンパークも崩壊し、これにて「魚人海賊団アーロン一味」は「麦わら海賊団」に完全敗北。
アーロン帝国建国の野望も潰え、ナミとその故郷コノミ諸島の住人達は8年間続いたアーロンの過酷な支配からようやく解放されたのだった。
その後は、賄賂で飼われてやりたい放題してきた後始末をナミにボコられつつ命じられた
ネズミ大佐率いる海軍に逮捕され、アーロン一味は事実上壊滅した。
なお、この件に関してネズミの腹いせ混じりの報告が海軍本部へ伝わった事により、アーロン一味壊滅は
報道を通して全世界へと公表。
アーロンを撃破した海賊『麦わらのルフィ』は実力を政府から判断された事で、アーロンを上回る3000万ベリーもの賞金を懸けられ、名実ともに
当時の東の海における最強の海賊となった。
ちなみに、この一件を経てサンジらはジンベエについて「アーロンを殊更に極悪化したような男」という悪印象を持つようになった模様。
そのため、2年後の魚人島編でサンジがジンベエと出会った際には「話次第じゃお前を俺は許さねえ」と敵意を向ける結果になった。
◇インペルダウン編
アーロン一味撃破後、偉大なる航路入りしたルフィの冒険もようやく折り返し地点に差し掛かったあたりで、アーロンがかつて肩を並べたとされる七武海「
海侠のジンベエ」も満を持して登場。
ジンベエは世界最強の海賊『
白ひげ海賊団』と海軍&王下七武海による戦争に公然と異を唱えた為に大監獄
インペルダウンへ幽閉されていたところ、兄
エースを救出するべく監獄へ単身乗り込んできたルフィと偶然邂逅。
以降は、すでに海軍本部へと移送されたエースを追って、戦場へ乗り込もうとするルフィと行動を共にする事となる。
ヨサクは覚えていてもヨサクの話はすっかり忘れていたルフィはジンベエとアーロンの関係について気づいていなかったが、ジンベエは目の前の少年がアーロンを討ち取った張本人である事にとうに気づいており、
と、アーロンを思い浮かべながら内心独白していた。
この事からジンベエは、かつての仲間であるアーロンを倒したルフィに対し、決して悪印象を抱いていない事が判るのだが…?。
◇魚人島篇
アーロン一味撃破から2年後、長い冒険の末にルフィ率いる麦わらの一味はとうとうアーロンの故郷
『魚人島』へと到達。
無論、アーロン当人は現在も豚箱入りしているので登場はしないが、アーロンの意思を継いだとされる
ホーディ・ジョーンズ率いる
新魚人海賊団が登場。
さらにジンベエの口から語られた魚人島の歴史の
回想シーンにて幾度となく登場し、その過去の詳細な来歴について、ようやく明かされる事となった。
元々は魚人島の孤児が集まるスラム「魚人街」の出身。
はっちゃん曰くシャボンディ諸島の観覧車に憧れた少年時代があり、アーロンパークの建築スタイルはシャボンディパークを模したものらしい。
魚人島にあるマーメイドカフェのオーナーであり、占い師であるアオザメの人魚マダム・シャーリーは
アーロンの妹。
お兄ちゃんより幾分デカいがこんなセクシーな妹がいて、何ともアーロンが羨ましい限りである。
ちなみにマダムのアニメ版のCVは
朴ロ美。
同じく「魚人街」で育った王下七武海の
海侠のジンベエとは兄弟同然の間柄であった。
また、後に魚人族の英雄となるフィッシャー・タイガーを「タイのアニキ」と慕っていた。
成長後は魚人街の荒くれ者たちを率いて海賊をやっていた。魚人や人魚を迫害(時には人さらい)してきた人間への毛嫌いはこの頃からあった。
人間を討伐する彼の存在は、魚人街の子供たちのあこがれでもあり、子供の頃のホーディ・ジョーンズらには
「人間は憎むべき魚人族の敵」と常々語っており、他の魚人街の魚人達共々、
ホーディの人格形成に大きな影響を与えた。
ただしホーディらは深海の魚人街が棲み家だったことや
白ひげの庇護もあって直接的に人間の被害を受けたことがあったわけではなかった。
そしてフィッシャー・タイガーがマリージョアを襲撃し奴隷達を解放した事件を契機に『タイヨウの海賊団』に所属。
ジンベエと肩を並べていたというのはこの頃の話で、フィッシャー・タイガーを追う海兵たちを返り討ちにしていた。
戦闘時もやり過ぎて人間を殺しかけ、船長のフィッシャー・タイガーから度々説教を受けていた。
航海の途中で
コアラという元
奴隷の少女との交流を得たが、魚人と仲良くなっていったコアラに対しても、
「大人になれば魚人を差別するようになる」と決して相容れる様子は見せなかった。
ただ、今のコアラが他の人間たちとは違うということは間接的にではあるが認めており、
ジンベエが意識を失った人間に追い打ちを行おうとした際には
「おいおい、その辺にしとけよアニキ!!」と静止を試みるなど、
この時点では人間嫌いではあっても最低限の一線は弁えていた。
タイヨウの方針に不満を抱きつつも、民間人に手を上げることもなかったようである。
しかし、コアラを彼女の故郷に送り届けた直後、慕っていたフィッシャー・タイガーが海軍の騙し討ちに遭い死亡したことで、
元々嫌いだった人間に激しい憎悪を抱くようになってしまう。
その直後、無謀にも単独で海軍に殴り込みをかけており、基地にかなりの損害を与えたものの、
当時は中将だった
ボルサリーノにボコボコにされ捕まった。
タイの大アニキを売った人間どもを皆殺しにするんだよ!
通報した島にも行くぞ!
フィッシャー・タイガーは死んだ!!
お前ら下等種族に殺されたんだ!
涙ながらにタイガーの無念を叫ぶも、ボルサリーノには涼しい顔で
スルーされた。
その後は、
大監獄インペルダウンに収監されていたが、タイガーの後を継いだジンベエの七武海入りを期に釈放される。
上記の解放の噂は正確ではなく、実際は前々から監獄入りしていたアーロンがジンベエの七武海入りを期に『恩赦』で解放され、
七武海(形式上世界政府の協力者)として活動することを受け入れられなかったアーロンが自分でジンベエの下から去ったというのが真相。
アーロンは元々自分を慕っていたメンバーを率いて魚人島から東の海に拠点を移し、ココヤシ島襲撃へと繋がる。
ジンベエ自身はいざという時はアーロンを抑えるつもりでいたが、それを見越してかアーロンは海軍を買収して情報を封鎖していた。
そのために、実質野放しとなり上記の噂が広まったと思われる。
アーロン逮捕後は、ジンベエも海軍の汚職という事態を把握しており、その不正は白日の下に晒された様子。
【魚人海賊団アーロン一味】
アーロンが率いる海賊団。海賊船は「シャーク・スパーブ号」。
元々は魚人島を根城に周辺海域で活動していた海賊団だったが、フィッシャー・タイガーがマリージョアから解放した魚人や人魚の奴隷と共にタイヨウの海賊団を発足させると、リュウグウ王国の兵士を辞して駆け付けたジンベエなどと共に合流。
しかしタイガーの死後、船長を継いだジンベエが王下七武海になったことでタイヨウの海賊団からアーロンを中心とした人間嫌いのメンバーが離脱し再結成される。
再結成後は活動区域を東の海に移し、ナミの故郷であるココヤシ村の近くに本拠地である「アーロンパーク」を建設。
魚人帝国建国のためコノミ諸島を支配していたが、麦わらの一味に敗北。
その後、ナミとモームを除く一味のメンバーは海軍に逮捕され、護送中に脱走したはっちゃん以外の全員が監獄送りとなり消滅した。
メンバーが全員魚人なだけあってその戦闘力は並みの人間の海賊の比ではない…筈だが、劇中では魚人のポテンシャルを最大限活かせる海戦ではなく、陸上の拠点防衛戦という状況下であった事もあり、当時4人(正式加入していなかったナミを除く)だった麦わらの一味に壊滅させられてしまった。
幹部以下の一般団員達に至っては、碌な武器もなく本調子ではないゾロ一人にまとめて一蹴されている始末。
まあゾロもグランドラインの賞金稼ぎでは集団でも相手にならないなど強いので(何せ本編前に
バロックワークスのMr.7を倒すぐらい)、相手が悪すぎたという面もあるかも知れない。
CV
森川智之
魚人海賊団の幹部。タコの魚人で六本の腕を駆使した六刀流の剣士。
彼にとって何より大切なのは魚人の同胞である点は他のメンバーと変わらないが、その一方で少年時代に偶然知り合った
とある人間と交流した経験を持つが故に、一味の中では唯一人間に対する嫌悪や差別意識が希薄。
初対面の人間にも気さくに接する気のいい男という側面も持つ。
アーロン一味の壊滅後、ただ1人海軍の護送船から脱出し海へ逃げる事に成功。
海を泳いで魚人島へ帰還した後は海賊から足を洗い、長年の夢だった
タコ焼き屋に転職した。
後の魚人島編にも登場する。詳しくは
項目を参照。
CV江川央生
魚人海賊団の幹部。エイの魚人。
魚人空手の達人であり、本人曰く本領は千枚瓦正拳。ただしココヤシ村襲撃時はサーベルを携行していたので、言う程空手にこだわりは無いのかも知れない。
普段は寡黙で、正々堂々とした武闘家めいた振る舞いをするが、根はアーロンと同じく筋金入りのレイシスト。
人間を完全に侮蔑しており、一応「仲間」であるナミの事すら信用していない。
アーロンパークでの決戦ではサンジと対決。当初は海底に沈んだルフィに気を取られて全力を出せないサンジを
水中戦で圧倒する。
だが「生ぬるい騎士道を掲げる貴様のような奴には誰も守れない」と嘲笑した事で完全に彼の逆鱗に触れ、鰓に空気を吹き込まれるという奇策で地上に引きずり出される。
地上でも己の優位は変わらないと余裕の態度で相対するが、怒り心頭のサンジの怒涛のような蹴りのコンボに受け身1つ取れないまま逆に圧倒され、トドメの「羊肉(ムートン)ショット」を叩きこまれて敗北。
戦闘前にサンジが言った通り
秒殺される結果となった。
魚人島の過去編にも登場。
人間嫌いは昔からでアーロンがまだ幼いホーディ達に人間への怨みを植え付けている場面にも同席していた。
一方、タイヨウの海賊団時代はコアラも含めた船員と共に笑顔で食事をしたり、コアラが船を降りる際には泣きじゃくるマクロ達に呆れながらも見送りにはちゃんと参加していたりと少なくともコアラの事は嫌っていなかった事が伺える。
CV
小野坂昌也
魚人海賊団の幹部。キスの魚人。
テッポウウオの魚人ではない。この時点では淡水魚の魚人は登場していなかったのでそのためだろうか?
口に含んだ水を弾丸のように発射する事ができ、その威力は一般的な銃レベルから
大砲レベルまで幅広い。
クロオビに比べて饒舌でやや軽い印象を与えるが、性格は冷徹かつ陰険。また「キス」だからか、喋りながら唇を「チュッ♡」と鳴らす癖がある。
33の男にやられても誰得だよ。
アーロンパークでの決戦ではウソップと対決。「貧弱種族」の癖に猪口才な攪乱戦法ばかり取るウソップに苛立ちながらも得意の
水鉄砲と身体能力で追い詰めるが、海賊として戦う覚悟を決めた彼に酒をぶっ掛けられて「火炎星」で着火。
全身火だるまにされて慌てふためいていたところを、渾身のウソップハンマーで
キスなのにタコ殴りにされて失神。
ウソップは彼との一戦を経て「楽しいだけの海賊ごっこ」から「命を張る本物の海賊」へと脱皮したため、ある意味物語のターニングポイントとなった存在。
魚人島の過去編にも登場。
常に貼り付いたような笑顔を浮かべるコアラを「気味が悪ィ」と吐き捨てていた。
海軍のだまし討ちでフィッシャー・タイガー共々包囲された際には「海軍に取り囲まれてる!!チュッ♡」と焦る場面も。シリアスなシーンなのに笑かさないでくれ。
ジンベエに七武海就任要請が届いた時は、無視してもっと悪名を高めてやろうと提案していた。
魚人海賊団の幹部。アーロン一味では唯一の人間。
アーロン一味のココヤシ村襲撃時に
義母を殺された後、その天才的な作図能力をアーロンに目を付けられ、齢10歳で一味に加入させられた。
アーロン帝国計画の要を担っている事もあり、一応肩書は一味の幹部であるが、両者の間に仲間意識は皆無。
実質、
アーロン一味の奴隷に等しい立場であった。
ルフィ達の手でアーロン一味が壊滅し、ようやく自由を手にした彼女は海賊麦わらの一味の正式な航海士へと就任。
ココヤシ村の村人達に見送られながら、幼い頃からの夢であった世界地図を描く冒険の旅へと船出するのだった。
その後、長き冒険の末にアーロンの故郷・魚人島へも到達し、そこでアーロンの兄貴分であったジンベエの口から魚人族の境遇と真実の歴史を知る事となる。
詳しくは
項目を参照。
魚人海賊団の戦闘員。異名は海牛モーム。
偉大なる航路に生息する巨大な海獣(
海王類ではない)で、牛の顔とアザラシの胴体を持つ。
人語を喋ることはないが知能は高く、言葉による命令も理解できる。
人畜無害そうな間の抜けた顔をしており、怒らせなければ気性もさほど荒くない。
だが、その巨体で暴れ回られれば小さな船や町などひとたまりもなく、非力な一般市民からすれば脅威そのものな怪物である。
一方で性格は臆病であり、自分より強い者に対しては一転して弱気になる上、たとえアーロン一味の者でなくても従順になってしまう。
実際、アーロンも魚人の団員達とは違ってモームのことは力への恐怖により服従させていたようである。
納税が滞ったゴザの町を見せしめとしてアーロンと共に壊滅させたのもコイツの仕業。
普段はコノミ諸島近海の海底洞窟内に潜んでおり、主にハチの号令によりアーロンパークへと呼び出される。
好物は豚の丸焼きだそうだが
人間の料理に関心があるようで、海中から美味そうな香りを嗅ぎつけて海上へ出たところ、コノミ諸島へ向かっていたルフィ・サンジ・ヨサクと遭遇。
サンジの料理をサンジごと喰らおうとした為、サンジとルフィにボコボコにされた挙句、島まで強制的に船を曳かされてしまう羽目に。
その後はアーロンパークへカチコミしてきたルフィ達を迎え撃つ為、ハチに呼び出される。
先程やられた怪我もまだ引いていない中、怪我を負わせた張本人2人を視認した事で戦いを拒否して逃げ出そうとするが、アーロンから静かに恫喝されてしまう。
アーロンへの恐怖故に破れかぶれにルフィ達へ襲い掛かるが、ルフィに両角を掴まれて海中から力づくで引きずり出された挙句、豪快にジャイアントスイングされ吹っ飛ばされてしまった。
登場シーンの大半が恐怖や傷の痛みで涙目になっている不憫な有様もあって、敵でありながら読者からも同情されやすい。
吹っ飛ばされて海面でのびている描写以降は物語からフェードアウトしてしまったので、どうなったのか長らく不明となっていた。
当時は他のアーロン一味メンバーと共に海軍に拘束された説の他、アーロンからの解放を祝うココヤシ村の
宴で
食肉として提供されたなどという無情極まりない説も唱えられていた程である。
しかし、アーロン一味壊滅から2年後の魚人島編にて再登場。
その巨体故か、あるいは単なる動物と見なされたか海軍には捕まらなかったようで、一味壊滅後は自力で海を泳いで故郷である魚人島周辺海域へ戻った模様。
だがそこで今度は人間の海賊「
濡れ髪のカリブー」の一味にとっ捕まってしまい、深海の魚人島まで彼らの船を曳かされる羽目に。
その途上、カリブー一味は同じく魚人島へ向かって海中航行していたとある海賊船を襲撃するが、それはなんとモームにとって因縁の麦わらの一味の船であった。
かつて散々な目に遭わされ
トラウマを植え付けられた男達を三度視認してしまったモームは完全にパニックに陥り、カリブー一味の船を曳いたまま海中を大暴走。
頭をシバかれて無理矢理落ち着かされた後、再び麦わらの一味の船を襲撃するべく接近するが、そこで突如としてクラーケンの襲撃に遭う。
クラーケンがカリブー一味の船を撃沈した隙をついたモームは、その場から一目散に逃走するのだった。
魚人海賊団の音楽家を務める魚人。
両手にマラカスを持ちシャカシャカと振っている。
何の魚人であるのかは語られていないが、ファンからは
マンボウの魚人ではないかと考察されている。
魚人海賊団の船大工。金魚の魚人。
額と胸にある「金」の文字が目印。
魚人海賊団のコンパ隊長。鯉の魚人。
額の「
恋」の文字は仕事への情熱の表れ。
人間のナミ以外は同性しかいないアーロン一味で、彼に8年間「恋」の仕事があったかどうか定かではない。
魚人海賊団の宴会部長。サケの魚人。
手にいつも酒を持っている。
【余談】
ココヤシ島における初登場のアーロン一味は、ルフィ達は勿論読者目線からしても「憎たらしい悪役」「ナミの親の仇」でしかなかった。
が、魚人島編で明らかになった彼らの来歴と、長年虐げられてきた魚人の歴史を俯瞰すると「半魚野郎」「魚の分際でコックに逆らうんじゃねぇ!」といったゾロ達の発言は、(知らなかったとはいえ)アーロン達にとって正しく地雷ド真ん中だった事がよく分かる。
もっとも「ナミとその故郷を苦しめた仇敵」には変わりない以上、例え知っていたところで容赦なく罵倒していただろうが。
魚人等編での回想で登場したのだが、引き伸ばしのために違和感のある描写が多々ある。
ホーディ・ジョーンズらの幼少時の回想(ホーディの項目参照)や、
タイガーの死後、怒って海軍の軍艦を襲う際になぜかいつものように高笑いしていたり、
インペルダウンからの保釈後、ジンベエとの対立で、種族主義者で同族には決して暴力を振るわなかったとハチに評されていたはずのアーロンがジンベエに殴りかかろうとしていたりするなど。
小杉十郎太氏は
ニードルスやウィリー、スコーピオン等のアニメオリジナルキャラも演じており、スコーピオンはアーロンとは対照的に善人寄りな人物であった。
またウィリーについてはアーロンの
ライバルだったとの事であり、
ノベライズ版ではアーロンを倒したルフィを「やるじゃねえか」と素直に称賛する辺り、アーロンほど人間を蔑視してはいない様子。
実物のノコギリザメも鼻(吻)が長く伸びてノコギリ状になっているが、アーロンのように突き刺すのではなく、振り回して小魚やイカを斬りつけて弱らせたところを捕食する。
というか上述の通り軟骨で出来ているので、もし獲物に向かって突進しようものならノコギリのほうが間違いなく折れる。
何ぶん豚箱の中なので、近年の世界情勢及びジンベエの現状については恐らく把握していないと思われる。
ただその辺りは気になる読者も少なくなかったようで、単行本111巻のSBSにて「もしジンベエが麦わらの一味に入った事を知ったら?」という質問に対し、その回答として物凄く渋い顔をしているアーロンの顔が載せられた
まあ袂を分かったとはいえ、兄貴分が人間の海賊団(しかも自分を負かした奴ら)に入ったとなればなぁ……。
下らねぇ追記・修正に死ね。
最終更新:2025年06月08日 23:57