登録日:2017/08/29 Tue 13:23:00
更新日:2025/08/28 Thu 17:08:36
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古代魚とは、祖型的(原始的)な性質を持ったまま、現代まで絶滅せずに生き残ってきた様々な魚達のことである。
概要
「古代魚」という言葉は、
日本の観賞魚業界が発祥とされ、80年代後半から用いられ始め、90年代には定着したようである。
英語には相当する単語が無いが、直訳してAncient Fishと呼ぶこともある。
科学的な定義もないが、概ねデボン紀(約4億1600万年前から3億5900万年前)以降の古生代からジュラ紀(約2億100万年前から1億4500万年前)以前の中生代に出現した系統で、尚且つ当時の形質を色濃く残す「
生きた化石」と呼べるものを指すことが多い。
一般的に、生物図鑑では系統の古い順に種が掲載されていることが多く、従って、魚類図鑑では最初の方に載っていることが多い。
逆に、理由は不明だが、観賞魚業界の関係者が主導で執筆・出版する熱帯魚カタログの類では最後の方に載っていることが多い。
遺存的なグループであることが多く、
コイや
スズキといった「普通の魚」とは一線を画すような特徴的な外観の種が殆どで、観賞魚としては大型で長寿、更に肉食性のものが多い。
硬骨魚類に属するものは、空気呼吸が可能なものが多い。
古代魚の祖先が地球上に登場した時代は、巨大な植物が繁茂し始め、空気中の酸素濃度が高くなるつつあった。一方で枯葉や倒木が絶えず淡水域に流入しており、バクテリアの分解作用により河川や湖沼の酸素は乏しく、火山噴火に伴う地殻変動が多発していたため、水温上昇や海流の乱れにより、海中の酸素濃度もかなり低い状況であったとされる。
故に、この時代の魚類は、食道の一部を袋状に変化させて表面に毛細血管を張り巡らせて、空気呼吸が出来るようになったものが複数の系統から出現した。その形質を現代まで受け継いで来たのが古代魚といえる。
現存する魚類全体で見た場合、最も系統が古いのはヌタウナギやヤツメウナギなどが属する無顎類Agnathaであり、次に古いのは軟骨魚類Chondrichthysの全頭類Holocephaliに属するギンザメ、そして板鰓類の各種サメと続くが、これらの魚にはネコザメHeterodontus japonicusやイヌザメChiloscyllium punctatusなどのごく一部の種を除いて、個人の愛玩目的に供される種がいないため、古代魚として扱われることは少ない。
本項目では、
- 板鰓亜綱エイ区(Elasmobranchii/Batoidea)
- 肉鰭亜綱(Sarcopterygii)
- 条鰭亜綱多鰭区(Actinopterygii/Cladistia)
- 同上軟質区(〃/Chondrostei)
- 同上新鰭区全骨亜区(〃/Neopterygii/Holostei)
- 同上同上真骨亜区アロワナ下区・カライワシ下区(〃/〃/Telostei/Osteoglossomorpha・Elopomorpha)
のいずれかに属し、観賞魚として一定の流通量がある(あった)種を中心に紹介する。
板鰓亜綱エイ区
鰓を支える骨である鰓弓一つに、鰓裂と言うスリットがほぼ一つずつ割り当てられ、全身を楯鱗という、歯に近い構造と成分を持った鱗に覆われるグループで、鰓裂が体の側面にあるものはサメ区Selachii、腹面にあるものはエイ区に分類される。
シノノメサカタザメRhina ancylostomaやノコギリエイPristis microdonなどの幾つかの例外を除いて、胸鰭と一体化した「体盤」と呼ばれる縦に平たい(縦扁型)本体と、細長い尾から構成されるのが一般的である。
軟骨魚類、という括りで見た場合、その起源はデボン紀以前のシルル紀(約4億4300万年前から4億1600万年前)にまで遡るとされるが、エイ区は軟骨魚類では最も新しく、ジュラ紀に出現した分類群であり、詳細は後述するが、観賞魚業界及び本項目で扱うエイは、その中でもとりわけ新しい時代に分化した派生的なグループである。
とは言え、全体的な形態や生理が、硬骨魚類と比べて遥かに祖型的な形質が多く残っていることも事実であり、何よりも他の魚とは間違えようのない外観から、独特な存在感があるグループでもある。
◇淡水エイ
日本の
アカエイやその近縁種は、しばしば河川の汽水域に侵入し、時に淡水域まで遡上するが、世界には一生を真水で暮らすエイがいる。
南米産のトビエイ目Myliobatiformesポタモトリゴン科Potamotrygonidaeのエイは、ギリシャ語で「川のエイ」の意味する名前が示すように、殆どの種が
生涯通じて淡水域で生活する。約40種が知られており、外見こそ海産のエイと殆ど変わりない(強いて言えば、体盤は丸みを帯びており吻部はあまり目立たず、ガンギエイのように角張った種や、
マンタのように極端に横長の種はいない)が、直腸の塩類腺が小さくナトリウムイオンや塩素イオンの体外排出を抑えていたり、尿素の腎臓の透過率が高く、体内保有量を少なくしていたりと、浸透圧関係を始めとして生理学的には特異な形質を有する。
南米の大河川の殆どが大西洋側に開口するため、かつてポタモトリゴン科は大西洋産のアカエイ科Dasyatidaeが河川を遡上し、徐々に淡水域に適応したものが起源だと考えられてきた。
ところが、エイの寄生虫のDNAを解析したところ、ポタモトリゴン科の寄生虫は太平洋産のアカエイ科の寄生虫のDNAと配列が近いことが判明した。故に現在は、アンデス山脈が隆起する以前の新生代第三紀中新世(約2000万年前)頃に、当時は太平洋側に流れていた南米大陸の諸河川を遡上した、或いは陸封されたエイの末裔であるとの説が有力である。
流れが有る砂地の川底に潜んでおり、昼に泳ぐこともあるが、基本的には夜行性である。ある程度の定住性があり、現地ではエイが休んでいた場所が、エイの形に抉れて凹んでいることがしばしばある。エビや貝、小魚など底生の小動物を食べる。
アカエイ科と同様に、ポタモトリゴン科のエイも尾に毒棘を1〜3本ほど有している。毒棘は種類によっては30㎝近くにもなり、鋸歯状の返しが付いており、強力な武器となっている。
しかも、時に非常に水深の浅い場所でも見られ、昼間は砂の中に体を埋めていることも多く、うっかり裸足やサンダルで川に入った際に刺される事故が少なからずある。
そのため、漁師を中心とした現地の住民には、
ピラニアや
カンディル、
ジャウーや
デンキウナギなどの数々の猛魚、時には
ワニや
アナコンダまでもが出没する状況ながら、「
アハイア(現地での淡水エイの総称で、ポルトガル語が由来)
が最も恐ろしい」とまで言わしめている。
日本には70年代の熱帯魚ブーム頃から輸入が開始され、90年代から00年代には様々な種が紹介されるようになり、一時期は専門店に近い店舗が現れるほどの人気があった。
近年は環境破壊や乱獲が祟り、ワシントン条約によって商取引が規制される種もおり、非該当の種でも主要な産地のブラジルやコロンビアからは自然保護政策の積極化に伴って輸出許可が下り辛くなり、更に東日本大震災の影響による大型魚飼育の不人気化など、ジャンルとしては下火になりつつある。
一方で、台湾やシンガポール、インドネシアでのブリード個体の流通が安定しつつあることや、淡水魚展示に力を入れている水族館では、希少種の生息域外保存を兼ねて、展示種を増加している場合もある。中には特定の園館でしか見られない種もいる。
その体型から、とにかく水槽の底面積が必要な魚で120㎝水槽以下では飼えないものと思ってよい。奥行きも60㎝以上あるものが望ましい。
アンモニアや亜硝酸濃度の増加に敏感であるため、濾過器はオーバーフロー式や、上部式と外部式の併用など強力なものが不可欠である。
ブリード個体はその傾向が弱いものの、水質の急変に非常に弱く、導入時の水合わせや水換えは慎重に行うべきである。
細かい底砂を敷くと潜って落ち着くが、老廃物の蓄積で水質が悪化し易くなるので、ごく薄く敷くか、場合によっては敷かない方がよい。
餌は餌用の金魚やメダカ、ドジョウなどの活餌を好むが、冷凍アカムシや魚の切り身、エビの剥き身などの生餌や冷凍餌にはすぐに餌付き、人工飼料にも慣れる。意外と大食漢で代謝も高く、餌を切らすとすぐに痩せてしまう点にも注意。
飼育の大変さに反して、卵胎生であることから古代魚の中では繁殖が狙い易い。
成熟した雄は臀鰭の一部が交接器になっているので雌雄の判別も容易。ペアリングに成功して雌が妊娠すると、やがて親のミニチュアような可愛らしい仔エイが5〜20頭ほど産まれる(種によっては親と仔で模様が異なることもある)。
主な種
- モトロ(オレンジスポット淡水エイ、オセレイトリバースティングレイ)
学名:Potamotrygon motoro
全長:70〜100㎝(体盤長:45〜60㎝)
分布:アマゾン水系広域及びラプラタ水系広域。シンガポールやインドネシアなどで外来種化
種小名はラテン語で「回転する」という意味で、砂に潜る様子を表したものとも、後述の模様の配列に由来するとも言われている。
茶褐色から黄土色の地色に、中心がオレンジ色で周辺が黒い目玉模様が多数入る。目玉模様は体盤の外縁にあるものは特に小さく密に並ぶことが多く、小さな円が体盤の外周を回転移動しているかのようである。
アマゾン川の広い範囲から知られているため、模様の個体差や地域差は大きい。地色が紫褐色や黒褐色に近いもの、目玉模様が極端に小さく殆ど入らないもの、逆に模様の数が非常に多いものや、或いは目玉の縁取りが濃くて中心部が目立たないものや、反対に縁取りが殆どないものまで、実に様々である。
淡水エイとしてはポピュラーな種で、日本には1970年代から輸入されており、現在でも比較的流通量が多く、採集個体・ブリード個体の両方が入手可能である。
ただし、東南アジアのブリード個体には、同属間雑種と思われる個体が少なくないため、系統維持の観点からは注意が必要である(愛玩用に飼うだけならば特に問題なく、寧ろ純系の個体より丈夫だとも言われている)。
体質的にも比較的丈夫で、単独飼育ならば120㎝水槽でどうにか飼える。
- ポルカドットスティングレイ(ホワイトブロッチドリバースティングレイ)
学名:Potamotrygon leopordi
全長:80〜120㎝(体盤長:45〜60㎝)
分布:シングー川流域
黒の地色に、白い水玉模様が入る非常に美しいエイである。種小名はベルギー国王レオポルド3世への献名。
アマゾン川の支流の一つであるシングー川の固有種である。
1988年に日本に3頭が初輸入された際には、近い年代に輸入されたゼブラキャットBrachyplatystoma tigrinumやインペリアルゼブラプレコHypancistrus zebraと並んで、観賞魚業界には震撼が走った。
生息環境の悪化と観賞目的の乱獲が祟り、ワシントン条約付属書Ⅱに指定されており、ブラジルの自然保護区方針も相まって野生個体は輸入されなくなった。
代わりに台湾やシンガポール、日本国内でのブリード個体が流通するようになり、水玉模様を強調した改良個体も目にするようになった。
人気の高さもあって、観賞魚全体として見ても高価な種類であり、時には50万円以上の値がつくこともある(これでも初入荷時よりは安いのだが)。
体質的にはモトロと大差はないが、一回り以上大きく育つため、最低でも150㎝水槽、出来れば180㎝以上の水槽で飼育すべきである。
外見が似た種にはマンチャ・デ・オーロPo. henleiや、スモールスポットポルカドットスティングレイPo. albimaculataなどがおり、流通例もあるが、これらの種も現在はブラジルからの輸出が規制されており、ポルカドットと異なりブリードが殆どされていないため入手が困難である。
学名:Potamotrygon tigrina
全長:80〜120㎝(体盤長:50〜70㎝)
分布:ナナイ川流域
種小名に違わず、
トラを髣髴とさせる薄黄色の地色に、黒い虫食模様が複雑に入る。尾にも黒い横帯を呈する。
1993年頃に日本に紹介され、現在はシノニムとされるPo. menchacaiという学名が用いられていた。
ペルーのナナイ川に産し、現在でも採集個体が流通する。反面、ブリード個体の流通は稀。
ポルカドットよりも更に一回り大型になる種であるため、水槽は出来る限り大きなものを用意する。また、性質はやや大人しく動きも機敏でなく、活発な種であるモトロやポルカドットと混泳させる競り負けることがあるので注意する。
- クロコダイルスティングレイ(ゴールドリングスティングレイ)
学名:Potamotrygon jabuti
全長:70〜110㎝(体盤長:45〜50㎝)
分布:タパジョス川流域
種小名は現地語の一つ、トゥピ語で「リクガメ」を意味する。
幼魚は地色が黒褐色で模様が黄色いモトロ、といった雰囲気だが、成長に伴い目玉模様の中央付近が黒くなり、更に成長すると中心が白く抜け、同心円状の斑紋を基本とするモトロとは異なり、楕円形や四角形に近い形に変形する。
2000年頃の日本初入荷時は未記載種であり、2016年に記載されて上記の学名が付いた。
アマゾン川の主要な支流の一つであるタパジョス川の特産種で、ワシントン条約付属書Ⅱにも指定されているため、ブリード個体が専ら流通する。アルビノなどの変異個体も固定化されている。
飼育はモトロやポルカドットと同様で、比較的容易な部類である。
- アハイアグランディ(ショートテールスティングレイ)
学名:Potamotrygon brachyura
全長:130〜250㎝(体盤長:100〜210㎝)
分布:ラプラタ水系広域
英名や種小名が意味するように尾は太短いものの、「巨大なエイ」を意味する現地名に違わず、体盤の長さと幅はポタモトリゴン科で最大で、体重に至っては200㎏を超えることもある。
茶褐色の地色に黒い亀甲模様が入る。
名前はよく知られているが、観賞魚の商業ルートが不安定なラプラタ水系産であるため、殆ど日本には輸入されたことがない。
80年代後半から90年代前半に僅かに輸入された例によると、やや高水温に弱く27℃以下で管理する必要があるが、それ以外は比較的丈夫とのことであった。
とはいえ、個人で飼育するにはあまりにも巨大すぎる魚であるのも事実である。
学名:Potamotrygon wallacei
全長:50〜75㎝(体盤長:30〜45㎝)
分布:ネグロ川流域
薄茶色から焦茶色の地色に、黒く太い虫食模様が入る。
70年代から00年代初頭頃まではPo. histrixの学名及び「アマゾン淡水エイ」の通称で大量に流通しており、価格も数千円程度と淡水エイの中では最も安価な種であった。
実は2016年に上記の学名がつくまでは未記載種であり、Po. histrixとは別の種であることも知られていなかった。Po. histrixは虫食模様が細短く、尾には毒棘とは別に小さな棘が付け根から先端まで3列並ぶとされている(hrstrixはラテン語で「ヤマアラシ」を意味する)。ラプラタ水系のパラナ・パラグアイ川に産し、日本への流通例はないと思われる。
種小名は本種と思われる淡水エイのスケッチを残したアマゾンの博物学者として有名なアルフレッド・ウォレスへの献名であるが、実に彼の死後から103年の時を経たものであった。
体質的には頑健な種というわけではなく、流通ルートや価格の関係から粗雑に扱われていたことも相俟って、長期飼育はかなり難しい種だった。
故にブリードも難しく、近年はごく稀に採集個体が流通する程度である。
ただし、着状態は格段に良くなり、全長ではポタモトリゴン科最小であるため、腕に覚えがあるアクアリストならば90㎝水槽でも長期飼育可能ともいわれている。
かつて「アマゾン淡水エイ」の通称で流通していたものには本種以外の別種、Po. humerosaやPo. magdalenae、Po. orbignyiやPo. signataなどが含まれていたが、現在はこれらの種を熱帯魚店で見かけることは殆どない。
- パラトリゴン-アイエレバ(ディスケウス-アイエレバ、ディスカスレイ、マユゲエイ)
学名:Paratrygon aiereba
全長:130〜260㎝(体盤長:70〜180㎝)
分布:アマゾン水系広域
属名は「ポタモトリゴンに似たもの」のような意味で、種小名はトゥピ語で「大きなエイ」を指す言葉である。
以前はDisceus aierebaという学名で知られており、英名のDiscusと同義、即ち円盤のような極端に扁平な楕円形、吻部が僅かに窪んだ体盤を持ち、毒棘の位置が異なるため、ポタモトリゴン属との区別は容易である。
淡褐色の地色に、茶褐色の不規則な斑紋が多数入る。吻と眼との中間に、一対の細長い黒色斑を持つものが多いため、これを眉毛に見立ててマユゲエイと呼ばれることもある。
80年代には日本に輸入されているが、着状態が悪く非常に飼育が難しい種とされていた。
現在でも稀に入荷し、着状態は改善されたものの、ポタモトリゴン属と比べて不活発で、餌を捕えるのが遅く、依然として飼い難い種である。
成長は遅いものの、アハイアグランディに引けを取らない大型種である、という点も覚えておかねばならない。
長らく1種のみを含む単型属とされてきたが、2021年に、Pa. orinocensisとPa. parvaspinosaの2種が記載され、計3種となった。
ヘリオトリゴン(モテロ、アハイヤチーナ、ラウンドレイ)
学名:Heliotrygon spp.
全長:60〜90㎝(体盤長:45〜60㎝)
分布:アマゾン水系広域
パラトリゴン属に少し雰囲気が似るが、体盤は限りなく真円に近い形状で、尾が極端に細く短く、体盤の半分程度の長さしかない。毒棘も非常に短く目立たない。属名は「太陽のエイ」という意味で、体盤の形状と熱帯地域に産することによるダブルミーニング。アハイアチーナは「中国のエイ」という意味だが、広西省の伝統的なバンブーハットの1種「花竹帽」に似た姿をしていることに由来するとされる。
灰褐色で模様がないH. gomesiと茶褐色から黄褐色で白色系の網目模様が複雑に入るH. rosaiの2種が知られている。
日本にはごく稀に輸入されるが、パラトリゴン属と同じく、飼育難易度は非常に高い。
- プレシオトリゴン(アンテナスティングレイ、ロングテールリバースティングレイ)
学名:Plesiotrygon spp.
全長:110〜180㎝(体盤長:25〜55㎝)
分布:アマゾン水系広域
ポタモトリゴン科の他属は、体盤と同等かやや短い尾を持つが、本属の尾は非常に長く、完全な状態ならば体盤の3倍以上の長さがある。
反面、先端は非常に細く、千切れてしまうことも珍しくないため、取り扱いには注意が必要。
属名も「リボンのエイ」という意味で、英名も同じく尾の特徴に由来する。
2種が知られており、Pl. iwamaeは薄い灰色から茶褐色の地色に、白またはクリーム色で大小2種類ある細かい斑紋が入る。
Pl. nanaは濃い紫褐色から黒褐色の地色に、黄色みを帯びた八重咲きのバラに似た斑紋が入る。
どちらの種も稀に流通するが、かなり活発に泳ぎ回るため、水槽は出来る限り大きいものを用意する。
河口域で採集されることもあり、入荷直後は海水の5〜10%程度の塩分を含む水で飼育した方がよい場合もあり、水槽に慣れてからも低pHにしない方が無難である。
肉鰭亜綱
原則として、後述する条鰭類の胸鰭は、肩帯とは射出骨(放射骨)を介するのみだが、肉鰭類は射出骨と肩帯の間に、橈骨と尺骨、上腕骨を挟むため、筋肉を伴う「腕」のような部位を持つことを基本とする。詳述は避けるが、腹鰭についても同じような構造である。
乱暴に言ってしまえば、条鰭類は「手(鰭)はあっても腕はない」が、肉鰭類は「手も腕もある」状態である。
故に、移動も水中を素早く泳ぐというよりは、水底をゆっくりと歩くといった方が近く、このグループから四肢動物(陸上脊椎動物のこと。四足動物ともいう)が分化したものと考えられている。
現生種は10種に満たないが、形態も生態も特徴な種ばかりである。
生きた化石の代表格にして、古代魚屈指の高い知名度を誇る。
その高い知名度と独特の見た目から、創作やマスコットキャラクターなどのモチーフになることも多い。
白亜紀末(約6500万年前)の
大量絶滅を乗り越え、1938年の南アフリカからの発見と記載、1952年のコモロ諸島での再発見と生態調査、1997年のインドネシアのスラウェシ島近海での第二の現存種の発見と、度々ドラマティックなエピソードが展開されてきた。
現生種はラティメリア属Latimeriaの2種のみが知られているが、絶滅種には、現生種と全く異なる多様な形態や生態を持つ種が多数存在していた。
詳細は
シーラカンスの項目を参照。
ワシントン条約付属書Ⅰに指定されているため、国際間の商業取引は不可能。
そもそも捕獲されること自体が稀であるため、生体の長距離輸送や飼育方法も確立されておらず、日本のみならず海外の水族館でも生体を見ることは不可能。
水族館大国である日本において、バブル期に複数の園館が計画していたとされているが、いずれも頓挫している。
標本展示としては、
東京都の国立科学博物館や
静岡県の沼津港深海水族館では、剥製や液浸標本、冷凍状態で展示されている。
また、
福島県のアクアマリンふくしまではインドネシアを中心にフィールド研究を積極的に行っており、研究者向けの論文発表やシンポジウム開催のみならず、NHKと共同した番組制作や特別展示という形式で、一般向けの情報も度々発信している。
古代魚としてだけではなく、
「肺」と呼ばれるほどに特殊化した鰾を用いて空気呼吸を行い、水無しの泥の中で粘液のカプセルを作って「夏眠する」ことでも有名。
現生魚類の中でも特に両生類に近い特徴を持っており、幼魚は有尾類の幼生とよく似た姿である。
現生種は概ね太い
ウナギ体型の淡水魚だが、デボン紀からペルム紀(約2億9900万年前から2億5100万年前まで)にかけては多様性が非常に高く、スコーメナキアScaumenaciaやフレウランティアFleurantiaなど海中を高速游泳して、獲物を捕える種まで現れた。
ミナミアメリカハイギョ目(レピドシレン目)Lepidosireniformesの現生種は、長い年月を経たことで極端に形態が単純化した特殊なグループ、と見るのが正しいらしい。
詳細は
ハイギョの項目を参照。
1種を除いてワシントン条約には抵触せず、残る1種も付属書Ⅰではあるものの、ブリード個体の流通は許可されており、個人でも全種の飼育経験があるマニアさえいる。
1mを超える種が殆どだが、ミナミアメリカハイギョ目に属するものは、体が柔軟であまり泳ぎ回らないこともあって、全長と同じ幅と半分の奥行きと高さがあれば飼育可能であり、低温に注意する意外は水質にもあまり頓着しないため、意外と飼育し易い魚といえる。
条鰭亜綱多鰭区
条鰭類の中では最も早くに他のグループから分岐しており、その時代はデボン紀末期と推定されている。胸鰭には条鰭類としては例外的に橈骨と尺骨と上腕骨があるため、腕鰭類とも呼ばれる。鰾は対となって空気呼吸能力を備え、稚魚は外鰓を持つなど、肉鰭類、特にハイギョと共通する特徴もある。
ギリシャ語で「多くの鰭」を意味する名前の通り、ポリプテルス目Polypteriformesは
ステゴサウルスを髣髴させる複数の背鰭を持つ。
鱗は後述する硬鱗が密に並び、脊索の痕跡や歪尾、螺旋弁を備える腸など、
様々な古代魚の形質が見られるキメラのような存在とも言える。
詳細は
ポリプテルスの項目を参照。
現生種は全てアフリカ大陸産で、2属12種6亜種が知られており、観賞魚としては3亜種を除いた全ての種・亜種が流通する。
1m近くに成長する大型種もいるが、60〜90㎝水槽で終生飼育出来る小型種も複数おり、初心者でも飼育を楽しめる。
条鰭亜綱軟質区
その名の通り、骨格の大半が軟骨質であるが、軟骨魚類とは異なり、一度硬骨化したものが二次的に軟質化したものとされる。
多鰭類の次に古い系統であり、石炭紀(約3億5900万年前から2億9900万年前まで)頃に他の条鰭類から分岐したとされる。現生種に直結する祖先種は中生代のジュラ紀または三畳紀(約2億5100万年前から2億100万年前まで)に出現したと考えられている。この時代のものは、各鰭が骨化しており、体型もニシンやサケのような一般的な硬骨魚類に近いものであるため、現在種はより古い時代の形質を残しつつ、特殊化が進んだものが生き残ったものと考えられている。
◇チョウザメ
勘違いしている人も多いが、チョウザメ目Acipenseriformesはあくまで硬骨魚類に属するグループであり、サメの仲間ではない。
正中・背側1対・腹側1対の計5列に、蝶に似た大型の硬鱗を持ち、サメに似た姿をしていることにが名前の由来である。
この大型鱗以外には鱗はなく、ヘラチョウザメ科Polyodontidaeではそれも欠く。
漢名は鱘や鱣で、鱘は「川の深い場所にいる魚」や「(吻部が)幅広い魚」、鱣は「泳ぐのが上手くなく、水底を這う魚」の意味とされる。
英名はSturgeon。古ドイツ語のSturino(ほじる、という意味のstörenの変化)に由来する。
また、イギリスにはRoyal Fish(王室魚)という制度があり、特別な魚が領海内で捕らえられた場合、その所有権はイギリス王室(国王または女王)が主張出来るというものであり、その中にチョウザメも含まれている。この制度に由来したロイヤルフィッシュという俗称がある。
これとは別に、中国の王朝、特に清代ではチョウザメの肉は珍重され、刺身を皇帝以外が食することを禁じたことに因んで、鰉の字が当てられたことがある。
既に記述したもの以外の形態的特徴としては、細長い体に尖った吻、歯を持たず上顎に2対の鬚を持つ(ヘラチョウザメ科にはない)、胸鰭を除いて体の後方に集中する三角形に近い各鰭、上葉が特に長い歪尾、螺旋弁を持つ腸などが挙げられる。
チョウザメ科Acipenseridaeとヘラチョウザメ科の2科7属27種が現存するが、その内の
2種が近年に絶滅した可能性がある。で全種が北半球、特に温帯から寒帯の冷涼な水域に生息する。
日本でもかつて
北海道や東北地方で遡上していたとされる。明治時代には「龍魚」と呼ばれる
巨大魚の記録が残っており、残された絵や文献の記録から、チョウザメが正体の一つとする説もある。
現在は日本で繁殖していた個体群は絶滅し、ロシアや中国の個体が偶然に日本近海に迷い込んだものが稀に記録されるに過ぎない。
基本は遡河回游魚であり、つまりサケと同じように川で産まれて海に降って成長し、再び川に戻って産卵するが、一生を河川や湖などの淡水域で暮らす種もいる。
性質は大人しく、下向きの口を用いて、貝類や甲殻類、ゴカイや水生昆虫、小魚や魚卵などを食べ、プランクトンを主食とするものもいる。
寿命は非常に長く、短い種でも20年以上、長い種になると150年を超えるとされている。性成熟だけでも10年以上掛かることも珍しくない。
水産資源としても重要なグループであり、
世界三大珍味にして高級食材として有名なキャビアはチョウザメ科の卵の塩漬けである。
肉もコラーゲンを多く含み、美味であると同時に美容にもよいとされる。このコラーゲンはワインやジャムに入れて口当たりを円やかするだけでなく、膠に加工して工芸品や美術品の接着剤や顔料に用いるなど工業的な需要もあった。
これらの消費のため、ヨーロッパ周辺の種は乱獲され、生息環境の破壊や繁殖力の低さも重なり、殆どの種が絶滅寸前になった。そのため全種がワシントン条約の対象に指定されている。
一方で、経済的有用性から、積極的な養殖事業も行われており、種苗生産されたものが観賞魚として流通することがある。
この事業は日本でも北海道や
茨城県、
広島県や
宮崎県などで行われており、養殖場にもよるが愛玩目的での購入も可能となっている。
飼育技術は概ね確立されてはいるが、下記の事情から観賞魚として全く一般的とは言えない。
最小の種でも全長1mを超え、最大の種では全長5m以上、信憑性が薄いものも含めれば8mを超える記録さえある。
尚、全長5mの場合でも淡水魚では最大の数値である。
従って、巨大な水槽と濾過器は必要不可欠で、更には日本の酷暑を凌ぐ冷却装置、そして種によっては海水対応の機材が必要である。
但し、一部の高温に強い種の場合、水槽ではなく池で飼えば夏を凌げる場合もある。
事実、前述の日本の養殖場でも、川や池の一部を用いた半開放式で行っている場所も少なくない。
一方で、増水による飼育設備の損壊によって飼育個体が野外に逸出するような事態も生じているので、定期的な設備補修も含めて管理は徹底したい。
主な種
- チョウザメ(ミドリチョウザメ・グリーンスタージョン)
学名:Sinosturio medirostris
全長:150〜210㎝
分布:北太平洋沿岸
学名:Sinosturio sinensis
全長:200〜500㎝
分布:長江流域
学名:Sinosturio mikadoi
全長:100〜150㎝
分布:サハリン沿岸からベーリング海沿岸
学名:Sinosturio schrenckii
全長:150〜300㎝
分布:アムール川流域及びオホーツク海沿岸
学名:Sinosturio dauricus
全長:300〜560㎝
分布:アムール川流域及びサハリン沿岸
学名:Sinosturio transmontanus
全長:150〜 210㎝
分布:アラスカ湾からモントレー湾までの北米太平洋沿岸
学名:Huso ruthenus
全長:40〜130㎝
分布:アドリア海、黒海、カスピ海
学名:Huso stellatus
全長:
分布:
- シベリアチョウザメ(バイカルチョウザメ・シベリアンスタージョン)
学名:Huso baerii
全長:
分布:
- イケチョウザメ(ミズウミチョウザメ・レイクスタージョン)
学名:Huso fluvescens
全長:
分布:
学名:Huso huso
全長:400〜860㎝
分布:アドリア海、黒海、カスピ海
- バルチックチョウザメ(コモンスタージョン・ヨーロピアンスタージョン)
学名:Acipenser sturio
全長:300〜600㎝
分布:ノルウェーからモロッコまでの大西洋沿岸及び地中海。まれに北米の大西洋沿岸
学名:Pseudoscaphirhynchus fedtschenkoi
全長:
分布:
学名:Scaphirhynchus platorynchus
全長:
分布:
学名:Polyodon spathula
全長:
分布:
学名:Psephurus gladius
全長:
分布:
条鰭亜綱新鰭区全骨亜区
新鰭類には多鰭類と軟質類を除いた条鰭類が含まれるが、更に2つの亜区に分けられる。
一方の真骨亜区には現存する魚類の98%以上が含まれ、構成種は35000種以上、未記載種を含めれば40000種以上が含まれる大グループである。これは脊椎動物全体で見ても半分以上の種数になる。
もう一つの全骨亜区の構成種は僅か9種であり、ほぼ全てが北米周辺のみに産する。
◇ガー
その大きな口を「ガアーッ」と開けるのが名前の由来…というのは冗談で、古英語で投擲用の槍を意味する「Gar」に由来する。
本来はイギリス近海や地中海、黒海などに生息するタイセイヨウダツBelone beloneをGarfishと呼んでいたが、北米に移民した西洋人がこの古代魚に対して用いたものが定着したらしい。
ガーパイクという呼ばれ方もあるが、これも穂先や銛を意味するPikeが、ヨーロッパ在来の肉食性淡水魚であるカワカマスEsox luciusを指すようになり、やはり姿が似たガーに対しても用いられるようになったものである。
学名(属名)のLepisosteusはギリシャ語で「骨の鱗」という意味であり、直訳したリンコツギョ(鱗骨魚)という和名もある。
目レベルで最近縁なグループであるセミオノートゥス目Semionotiformesはペルム紀には出現している。
吻は尖らず、背鰭の形も違うが、それ以外の形態はガーに酷似しており、日本でも
福岡県北九州市から化石が産出している。現生種と同じガー目Lepisosteiformesガー科Lepisosteidaeは前期白亜紀(約1億4500万年前から1億500万年前まで)に出現したとされる。
日本を含む東アジア・オーストラリア・南極からは化石記録がないものの、それ以外の世界中からは報告があり、しかも基本的な形態は、その頃から現在まで殆ど変化がない。
ワニのような細長い顎と鋭い歯、丸太のような太く長い体にはタイルのように密に並んだ菱形の硬鱗を備え、どことなく爬虫類を想起させる独特の外見をしている。
特に
鱗は非常に硬く頑丈で、刃物さえも簡単には通さず、カッターナイフやメスのような薄い刃ならば刃の方が欠けてしまい、解剖鋏で無理矢理切ると、ガラスか小石でも切っているかのような抵抗と破砕音がする。
一般的な硬骨魚類(真骨類)で見られる
円鱗や
櫛鱗と呼ばれる鱗は単層構造だが、ガーやチョウザメなどで見られる硬鱗は、表面をガノイン層というエナメル質によって覆われる二層構造になっており、特にガーは鱗全体が分厚く頑丈である。
他にも、僅かに上葉が長い歪尾、空気呼吸が可能な対になった鰾、痕跡的な螺旋弁を備える腸など、祖型的な形質も多数備えている。
現存グループは1科2属7種とかなり少ない。北米大陸が分布の中心であり、中央アメリカとキューバに産するものもいる。
流れが緩やかで水草が多い湖沼地帯や大型の河川で見られる。
純淡水魚だが、種によってはかなりの耐塩性があり、汽水域や沿岸域に姿を見せることもある。
性質は比較的大人しいものの、貪欲な肉食魚であり、幼魚のうちは水生昆虫やエビを好み、成長に従って魚食性が強くなる他、大型種は水鳥や哺乳類を捕えることもある。
産卵数は数百から数千ほどで、直径3〜8㎜ほどのゼリー質に覆われた卵は、卵塊となって水草や流木に纏わりついている。
生まれたばかりの稚魚は吻が短く、代わりに付着器が付いており、水草に張り付いている。
性成熟には1〜8年程度を要し、寿命は20〜100年程度と非常に長い。
現地ではスポーツフィッシングの対象魚となっている。
肉を燻製に加工して食用とする場合もあるが、卵は有毒である。
日本では70年代にはすでに流通しており、90年代には全ての種が輸入された。
初輸入時は300万円の価格が付いたというアリゲーターガーも、タイやインドネシアでのブリードが盛んになることで、最安値では1000円でお釣りが来るほどに暴落し、スポッテッドガーやロングノーズガーに至ってはワンコイン販売さえもあった。
一方で、最小のショートノーズガーでも全長は80㎝を超え、硬鱗と脊椎骨の構造上小回りが利かず、120㎝以下の水槽では飼育困難であり、無責任な飼育者によって野外に遺棄された例が絶えなかった。
日本と気候が似た地域に産する種は、野外での繁殖可能性が無視できないこともあり、
ブルーギルや
ブラックバスの二の舞を避けるべく、
2018年4月1日にガー科全種が特定外来生物に指定された。
従って、
元から飼育している場合を除いて、2025年現在は個人が愛玩目的で飼育することは不可能となっている。遺棄ダメ、絶対!
主な種
学名:Lepisosteus oculatus
全長:50〜80㎝。最大112㎝
分布:エリー湖・ミシガン湖以南からメキシコ北西部。ミシシッピ水系に多い
種小名は「目玉模様の」という意味で、英名同様に全身で見られる黒い斑紋が特徴である。
学名:Lepisosteus platostomus
全長:最大88㎝
分布:ミシシッピ水系
学名:Lepisosteus osseus
全長:最大180㎝
分布:セントローレンス水系からメキシコ北部
学名:Atractostets spatula
全長:ミシシッピ水系からメキシコ北西部
分布:最大305㎝
学名:Atractostets tristoechus
全長:200㎝
分布:キューバ島西部及びピノス島
◇アミア
学名:Amia spp.
全長:45〜87㎝
分布:カナダのオタワ川からアメリカ合衆国のコロラド水系までの北米大陸東部広域。
属名は古ギリシャ語で「サメ・マグロ」意味するとされる。この学名を命名したのは、二名法学名の発明者であるカール・フォン・リンネだが、どのような意図だったかは不明である。
英名では、背鰭を波打っている様子を弓に譬えたBowfinや、泥深い場所に棲むことからMudfishなどと呼ばれる。
現生種は
ライギョに似た姿をしているが、系統上はガーに近縁であり、その証拠に、鱗はやや薄いが二層構造の硬鱗であり、僅かに上葉が長い円みを帯びた歪尾、空気呼吸が可能な鰾、痕跡的な螺旋弁を備える腸など、ガーとの共通点は少なくない。
一方で明確に異なる特徴としては、鼻管を備えた太短い吻部、基底(付け根)が長い背鰭、一般的な硬骨魚類と同じく前後が窪む脊椎骨、幽門垂を欠く胃などが挙げられる。
化石についても、ガーとは異なって東アジアからもシナミアSinamiaやニッポナミアNipponamiaなどが産出しており、日本からも石川県からS. kukurihime、福岡県からN. satoiが報告されている。どちらの種も大凡で同時代の白亜紀前期、約1億3000万年前に形成された地層から発掘されたものである。
流れが緩やかで、水草が多い湖沼地帯や大型の河川の浅場で見られる。氾濫原に姿を見せることもある。
貪欲な肉食魚であり、各種魚類を中心に水生昆虫やザリガニ、カエルや水鳥の雛まで、動物質のものならば何でも丸呑みにして食べてしまう。
水温が16℃を超えると繁殖行動に移るとされ、南北の分布が広いため、繁殖期は4〜8月に亘る。
雄は浅瀬に移動して、水草を用いて直径30〜90㎝の浅い皿型の巣を作る。雄は巣を中心に縄張りを作り、雌を招き入れて産卵させる。
産卵数は3000〜5000程度が普通だが、時に5万を超えることもある。雌は産卵を終えると巣から去り、別の雌を雄が招き入れることもある。
産卵から8〜10日後に孵化し、生まれたばかりの稚魚はガーパイク同様に付着器が付いている。孵化から10日以内には卵黄を吸収しきって泳ぎ出し、孵化から1〜2ヶ月後あたりまでは雄親が稚魚を保護する。
性成熟には2〜3年を要し、平均寿命は10年前後だが飼育下では33年生きた個体もいる。
現地ではスポーツフィッシングの対象魚となっている他、肉を燻製に加工して食用とする場合もある。
個体数は安定的であり、ワシントン条約にも指定されていない。
日本では70年代にはすでに流通しており、春先に幼魚が纏まって輸入されるのが、ある種の風物詩であったが、近年は入荷量が激減しており、中々店頭で見かけなくなった。
激しく泳ぎ回る魚ではないのと、飼育下で全長40㎝を過ぎた辺りから成長が緩やかになるので、90㎝水槽が用意出来れば相当長く飼うことが出来る。
空気呼吸を行うので、蓋と水面との間には空間を設けておく。
水を汚し易いので、濾過器は強力なものを用意する。底砂を掘るため底面濾過器は向いていない。また、水流は弱めにする。
温帯から亜寒帯の淡水魚であるため高水温には弱い。28℃を上限として、水槽用クーラーやクーリングファン、或いは飼育部屋全体をエアコンで温度管理するなど、何らかの高温対策は必要。
流木や土管を入れてシェルターを設けると落ち着き易くなるが、あまり複雑なものを用意すると、隠れっぱなしで却って慣れ難くなったり、挟まって空気が吸えずに窒息死することあるため注意する。水草自体を食べることはないので、流木に活着させて使うのもよい。
餌はサイズが適切な動物質のものであれば、活餌でも冷凍餌でも何でもよく食べて、人工飼料にもすぐに慣れる。
貪欲な魚で、同種同士でもよく争うため単独飼育を原則とする。
条鰭亜綱新鰭区真骨亜区アロワナ下区・カライワシ下区
真骨類では最も古い系統の末裔であり、両者を併せてEloposteoglossocephalaという分類群を設けることもある。
アロワナ下区
7科約250種が含まれ、種数上は古代魚の最大派閥といえる。但し、2科は1種のみ、4科も10種以下が含まれるに過ぎず、残りの1科に200種以上が含まれるという、極端な構成になっている。
1科を除いて、現生種の分布域が南米・アフリカ・オーストラリア大陸及びインド亜大陸周辺と、ゴンドワナ大陸に由来する飛び地になっていることも特徴的である。
共通する特徴としては、上下両顎以外に舌や口腔の天井部、更に左右にまでも歯帯と呼ばれる歯の列が並ぶことが有名である。この特徴から骨咽類や骨舌類の別名もあり、英語ではBonytongueと呼ばれることもある。
抑も、科や属の基準種となったシルバーアロワナOsteogolossum bicirrhosumの属名自体が、「骨の舌」を意味する語である。
高級観賞魚の代名詞。
詳細は
アロワナの項目を参照。
特にアジアロワナScleropages formosusは華僑を中心にアジア広域で人気が高く、観賞魚業界でも独立したカテゴリーとして扱われている。
東南アジア諸国や中国、台湾などで商業ブリードが盛んであり、一時期と比べれば価格は下がったもの、現在でも6桁後半で取引される例は当たり前で、バブル期などは7桁や8桁で取引されていたことも(単位は当然、円である)。
ここ半世紀弱の歴史を振り返っても、日本のワシントン条約批准による禁輸措置と密輸の横行、ブリード個体の解禁や東南アジア開発による新たな生息地の発見、近縁種バティックアロワナS. inscriptusの記載と顚末など、観賞魚飼育文化と自然環境保護との軋轢や共同を語る上で重要なテーマを幾つも齎してきた。
飼育設備や技術の観点からは、チョウザメや後述のピラルクほど大掛かりなものは必要ないが、游泳力のある大型肉食魚であり、相応の設備や知識や経験が必要であるのは間違いない。
◇ピラルク
学名:Arapaima gigas
全長:200〜300㎝
分布:アマゾン水系広域。タイやインドなどで外来種化。
属名はトゥピ語の現地名に由来し、「木の葉のような魚」という意味とされる。下半身が強く側扁する様子が木の葉に似るとも、大量の鱗を大木の葉に見立てたともいわれている。種小名はラテン語で「巨人の」という意味。
ピラルクの名前は、矢張りトゥピ語の別名であり「赤い魚」を意味する。
殆ど使われることはないが、漢字表記では象魚であり、当然ながらその巨体が由来である。
成魚は3mに達し、怪しい記録を含めると5mに達するとも言われている。前述のオオチョウザメには及ばないものの、ピラルクは生涯を淡水域で暮らす純淡水魚であるため、アリゲーターガーと並んで、「世界最大の淡水魚」とも言われることが多い。
アロワナと比べると、体型は太く鱗の目が細かい(但し、鱗の最大サイズ自体はピラルクの方が大きい)。頭部は強く縦扁し口も大きく、吻端に髭を持たない。背鰭と臀鰭の基底に細かい鱗があるのも特徴的である。
体色は幼魚期までは、腹面が白い以外は、金属光沢のあるオリーブグリーン単色だが、成魚は後半部の鱗が鮮やかな臙脂色に縁取られ、背鰭や尾鰭にも斑点状または虫食い状の赤い模様が入る。
大型の河川や湖に多いが、氾濫原や多雨林の水路でもしばしば見られる。
ほぼ完全な肉食性で主食は魚類だが、幼魚期まではエビや昆虫も多く食べ、成魚も機会があればカエルやカメ、水鳥やネズミの類まで飲み込んでしまう。
尚、歯の本数自体は無数といって良く、先端も鋭いものの、肉を切り裂けるような形状にはなっておらず、口も大きいとはいえ、大型のナマズほど開くわけではないため、人食いの記録はない。
雨季の直前の2〜4月に、砂底に直径50㎝ほどの巣を作って産卵する。産卵数は500〜1000で、卵は緑色で長径が4.2㎜、短径が2.8㎜ほどの回転楕円体。産卵から5日ほどで孵化し、親魚は稚魚を保護する。親魚は頭部から集合フェロモンを分泌し、3〜6ヶ月ほどは親のすぐ近くで育つ。
1年で50〜70㎝に育ち、2年目には80〜120㎝となり、3年目以降に性成熟する。寿命については不明だが、飼育下の最長寿命は25年程度とされる。
肉は非常に美味であり、何故か腐りにくいとされている。干物や燻製に加工されたものも現地では頻繁に取引されている。
また、舌は乾燥ガラナの粉砕器として、鱗は爪磨き用の鑢や靴篦、アクセサリーとしても需要があり、80年代の開発途上地域ならば「2mのピラルクが1匹獲れたら、5人家族で1ヶ月暮らせる収入になった」とも伝えられている。
その為、多くの大型魚同様に乱獲に遭い、これも例によって生息環境破壊も伴って多くの地域で減少したため、ワシントン条約付属書Ⅱに指定された。
ブラジルでは乾季にあたる10〜3月を禁漁期とし、その上で自然保護区の制定や養殖事業による流通の安定化を政府直轄事業として行っており、近年はその成果が出て、個体群が回復傾向にある場所も存在する。日本の水産庁の官僚にも爪の垢を煎じて飲ませたいくらいである。
世界的にも知名度のある魚で、タイやマレーシア、インドやインドネシアなどでも養殖場や釣り堀が経営されている。
これらの国は気候がブラジルと似ている場所もあり、温度管理に頭を悩ませなくてもよいという利点もある。
しかし、管理が杜撰であったり近年の想定外の異常気象による洪水などで、養魚場から脱走した個体が定着している事例も知られている。
前述の通り、人食い魚ではないものの、力自体は凄まじいものがあり、その巨体がぶつかってボートが転覆や破損したり、跳ねた時に尾が漁師に直撃して骨折、最悪の場合、頭や頸など打ち所が悪いと死亡事例さえある。
日本の法律には特にピラルクの飼育を規制するようなものはないため、法的にピラルクの個人飼育は問題ない。
事実、熱帯魚店では、一般人でも手が届く価格帯で全長15〜20㎝程度の幼魚が売られていることもある。
しかし、成魚のサイズを考慮すれば、
チョウザメと同等かそれ以上に個人での飼育には向いていないことは容易に想像がつくだろう。
どうしても飼育したいならば、
成人が数人泳いで遊べる小型プール並の設備を用意すべきである。水槽ならばアクリル水槽になるだろうが、
150㎝ほどの個体が厚さ20㎜のアクリル板を突進でぶち破った例があるので、水族館の水槽を手掛けるような特殊な業者に依頼する必要も出てくる。
熱帯の淡水魚を展示している水族館や動物園ならば、展示種として定番化しているため、そこに赴いて楽しむのが無難であろう。
長らく1属1種とされてきたが、近年の研究でA. gigasの他にA. agassizii・A. leptosoma・A. mapaeの3種を追加して、計4種を認めることが一般的になりつつある。
遺伝的には独立種相当とするのが妥当で、顎歯や鰓耙、脊椎骨数などの内部形態での区別は可能だが、外部形態からそれぞれの種を判別するの困難で、分布域も互いに重なり合うため、専門家でも正確な同定は容易ではない。
◇ヘテロティス
- ヘテロティス(ナイルアロワナ・アフリカンボニータン)
学名:Heterotis niloticus
全長:50〜100㎝
分布:ナイル水系広域とニジェール川流域。コンゴ川流域やマダガスカルなどで外来種化
1種のみが含まれる単型属である。
属名は「奇妙な耳」という意味で、耳石の特徴に由来する。種小名は「ナイル川産の」という意味で、これに由来するナイルアロワナの別名もあるが、系統的にはアロワナよりもピラルクに近縁であり、この2属でピラルク科(アラパイマ科)Arapaimidaeを構成する。
ピラルクと同様に、アロワナと比べて鱗の目が細かく(ただし、同じサイズであればピラルクよりも本種の方が鱗が大きい)、やや寸胴で太い体型、吻端に髭を持たないなどの共通点がある。一方でピラルクと異なるのは、背鰭と臀鰭の基底に細かい鱗がないこと、何より大きく違うのは本種の顔付きで、コイやソウギョCtenopharyngodon idellusのように丸みを帯びて眼が大きく、口は小さい。
体色は灰褐色からオリーブ色で、目立つ斑紋はないことが多い。
水草が多い湖沼地帯や大型の河川の浅場で見られる。氾濫原や汽水域など泥底で濁りが強い水域で捕らえられることも珍しくない。
ヘラチョウザメに続いて、古代魚では珍しいプランクトン食及び懸濁物食であり、鰓弓の一部が螺旋状に変形し、長い鰓耙を備えることで、水中の雑多なものを濾し取って食べる。食道の一部が砂嚢という袋状の器官に変化しており、餌の一部を溜め込んでいる。
また、砂や泥の中に口を突っ込んで餌を探すことも多く、イトミミズやアカムシなどの極小さな底生動物やデトリタスなども相当に食べている。飲み込んだ砂の一部を砂嚢の中に溜め込んでおり、貝や植物の種子など硬いものを砕くのに役立てている可能性が高い。
低栄養なものを大量に摂取するという食性に由来するのか、同種同士では縄張りを作って激しく争うが、食性や生息水深が重ならない別種に対しては割と無関心である。
雨季の前半期にあたる5〜8月に、水草の破片を集めて直径1〜2m程のドーナツ型の巣を作って産卵する。産卵数は2000〜6000程で、卵は違いにくっ付きあって数珠状の固まりになり、巣材に纏わりつく。産卵から2〜3日後には孵化して、親は稚魚を保護する。
寿命は最大で20年程度。
現地では重要な食用魚であり、溜池や水田を利用した養殖業も盛んである。野生個体群についても比較的安定していて、ワシントン条約にも指定されていない。
数は多くないものの、日本では70年代にはすでに流通しており、現在でも入手可能である。輸入されることが多いのは10㎝以下の幼魚で、亜成魚や成魚を見かけることは少ない。
飼育する上での最大の関門は給餌ペースであり、1日でも餌を抜くとみるみる痩せてしまい、そのまま斃死するということが少なくない。
可能な限り給餌頻度を高め、生きたイトミミズなどすぐには水を汚さない餌が、常に飼育水槽の中にある状態を保つというのも一つの手である。夏場ならば屋外の池でグリーンウォーターを用いて飼育するという方法もある。
全長が20㎝に達するとかなり丈夫になり、コイ用の人工飼料に餌付けられると、管理が楽になる。
それ以外はサイズに応じた水槽を用意し、低温を避けて管理すれば避ければ、水質にはあまり頓着しない方である。
◇パントドン
- パントドン(バタフライフィッシュ・フレッシュウォーターバタフライフィッシュ)
学名:Pantodon buchholzi
全長:8〜15㎝
分布:コンゴ水系とザンベジ水系を中心としたコンゴ盆地周辺の中央・西アフリカ
ヘテロティス同様に本種のみが含まれる単型属であり、更に本種のみでパントドン科Pantodontidaeという独立の科を構成する。
属名は「全ての歯、多数の歯」という意味で、アロワナ目共通の、口の中の多数の歯に由来する。種小名はドイツの博物学者のラインホルト・ブッフホルツへの献名。
別名のButterflyfishは後述する外見に由来するが、ニザダイ目Acanthuriformesの海水魚であるチョウチョウウオ科Chaetodontidaeと区別するためにFrerhwater Butterflyfishという呼び方もある。
成魚でも10㎝程度にしかならい小型種である。基本的な体型はアロワナを寸詰まりにした感じだが、各鰭が体のサイズに対して大きく、特に胸鰭は極端に目立つ。腹鰭も鰭膜はあまり発達しないが6本の鰭条の内、4本が非常に長く、腹鰭自体が胸鰭に近い位置にあるため、正面から見るとアゲハチョウのようなシルエットになる。色合い的にはチョウというよりガだが。尾鰭も大きいが、特に中央部が長く伸びるという、他の硬骨魚類では中々見られない形をしている。
体色は灰色と緑色を帯びた茶褐色に、濃い黒褐色の不規則な斑紋が入る。成熟すると鰭条は赤みを、鰭膜は青みを帯びて、シックな美しさがある。
内部形態としては、肩帯周辺の筋肉がよく発達しており、他のアロワナ下区では2つある盲腸を1つしか持たないことが特徴的である。
流れがごく緩やかまたは全くない小河川や池沼の水面近くで見られる。普段は水草や流木の陰で静止していることが多い。
水面近くに浮き上がってきた甲殻類や小魚を食べるが、それ以上に水面に落下してきた昆虫が好物で、全長10㎝程度でありながら、垂直に1m以上跳び上がり、空中を飛んでいる昆虫をキャッチすることさえ可能である。
繁殖については、雄雌のペアは輪になって泳ぎながら、直径2.4㎜の浮性卵を30〜150ほどばら撒くように産む行動が知られている。卵保護は行わない。卵は3〜5日で孵化し、卵黄を抱いた仔魚はオタマジャクシに似ている。卵黄は孵化から5日以内に吸収される。
寿命についてはよく判っていないが、飼育下では10年程度は生きる。
日本にも古くから輸入されており、現在も野生採集個体を中心にコンスタントな入荷があり、価格も2000円前後と手頃な部類である。
現地では開発による環境破壊は懸念されものの、個体数は安定的であり、ワシントン条約にも指定されていない。
多少の注意点はあるが、本項目で紹介した古代魚では特に一般家庭での飼育に向いた種である。
水槽は単独ならば45㎝水槽から可能で、複数飼育する場合も60㎝水槽が用意出来れば問題ない。
水面から跳び出して干物と化す事故を防ぐために蓋は必需品。また、空気呼吸も行うので、目一杯の水を水槽に満たすのは避ける。
濾過器の種類は問わないが、強い水流は好まないので、濾過器の出水口をガラス面に向けたり、流量を弱めに絞ったりして調整する。
水質は弱酸性の熟れた水が望ましいが、慣れればあまり気にしなくても良い。水温は22〜30℃程度。
水面は広く取りたいが、ある程度は水草を繁茂させても構わない。複数飼育の場合はシェルター代わりにもなる。
餌はメダカやエビ、冷凍アカムシにはすぐに餌付き、人工飼料にも慣れる。コオロギやバッタ、ゴキブリなどの生きた昆虫を与えると目の色を変えて食べるので、人工飼料に餌付いても偶には与えたい。
口に入るサイズでない限り、他の魚には危害を加えない。寧ろ、長く伸びた腹鰭や尾鰭を他の魚に突かれないように注意した方がよい。底に沈んだ餌は一切食べようとしないので、生活空間が重ならない大人しいドジョウやコリドラスを混泳させると、餌の残りを食べて処理してくれる上に、底の方が賑やかになって見映えがする。
成熟した雄は臀鰭の中央付近が凹む。ペアリングまでは比較的用意だが、産卵させるには90㎝以上の大型水槽が必要で、稚魚は卵黄を吸収した後は水面の微生物しか食べないため、育成はかなり難しい。
アロワナ下区最大の科であるモルミルス科Mormyridaeには、実に19属200種以上が記載されている。
化石記録が殆どないため、新生代以降に適応放散したと考えられており、「新顔の古代魚」という些か矛盾した存在である。
全種がアフリカ大陸産の淡水魚で、何とも形容し難い姿をしている。
強いて外見の共通点を挙げるならば、吻部は肉質で丸みを帯びるか、突起状になって伸びているかのどちらかで、腹鰭がかなり小さく、背鰭と臀鰭が体の後方にあり、側扁形の体に長い尾柄部があり、二叉形の尾鰭を持つ、といったところである。
性質としては
発電する魚として有名で、低い視力を補って外界の探知や同種・近縁種間のコミュニケーションツールとして電気を用いる。
詳細は
モルミルスの項目を参照。
これまでに50種前後は流通例があるとされるが、種数の多さから未だ日本に輸入されたことがない種も多数存在する。
エレファントノーズGnathonemus petersiiなど比較的コンスタントに輸入されるものもいるが、単発的な入荷しかなかったものも多い。
1m近くに成長する大型種もいるが、10㎝前後の小型種も多数いるため、一般家庭での飼育にも向いている。但し、代謝が高く、痩せ易い上に人工飼料への餌付きも悪く、混泳にも注意が必要など、技術的にはやや上級者向けの面もある。
モルミルス科に非常に近縁だが、ギムナルクスGymnarchus niloticus1種のみが含まれるギムナルクス科Gymnarchidaeに分類される。
デンキウナギElectrophorus electricusの上下を反転させたような姿を持ち、モルミルス同様に発電能力を持ち、レーダーのように用いる。
イルカに似た愛嬌のある顔立ちをしているが、その見た目に反して非常に気性が荒く、顎の力も相当に強く、己の電気テリトリーを犯すものには容赦なく噛みついてくる。
個人が合法的に飼える魚では最強ならぬ最凶、或いは最恐との呼び声も高い。
幼魚が定期的且つ比較的安価で流通するが、飼育には相当の設備と覚悟が必要である。
◇ナイフフィッシュ
4属8種が知られており、東南アジアから南アジアにかけてと、アフリカ大陸の淡水域に分布する。
このグループもモルミルス科に近縁であり、化石記録が殆どないのも同様である。
分類学的には、アロワナからパントドンまでをアロワナ亜目(オステオグロッスム亜目)Osteoglossoideiとして纏め、モルミルスからナイフフィッシュまでを、ナギナタナマズ亜目(ノトプテルス亜目)Notopteroideiとして纏めるため、名義上はナイフフィッシュが属するナギナタナマズ科Notopteridaeが基準ということになる。
体高がやや高く、横に押し潰した形(側扁型)の胴体に、体の末端が僅かに上向きに反り、刃のように見える基底が長い臀鰭を備えるのは、正にナイフそのものの姿といえる。鱗が細かく目立たないのと、銀褐色や黒褐色などの金属的な体色をしたものが多いことも、それに拍車を掛けている。
既に記した通り、ナギナタナマズ(薙刀鯰)の和名もあるが、骨鰾上目Ostariophysiに属するナマズ目Siluriformesは、もう少し派生的な魚類であり、直接の類縁関係はない。また、デンキウナギの類縁にもナイフフィッシュと呼ばれる魚が複数いるが、寧ろそれらの方がナマズに近い。
小型種は水草がよく繁茂した流れが緩い水路や湖沼地帯で見られ、大型種は大規模河川に棲む。
夜行性で肉食性であり、水生昆虫や甲殻類、小魚やカエルなどを丸呑みにして捕える。
雨季に氾濫原や浸水林に移動して、水草や流木に数百から数千粒の卵を産み付け、孵化するまで雄親が卵保護するものが多い。
アジア産の種は食用として重要な水産資源と見做されており、一部の種は養殖が盛んである。
肉は白身でかなり美味だが小骨が非常に多いため、摘入のような肉団子にしてスープにしたり、アジのタタキのように何度も包丁を入れて骨を切り砕いたものを、唐揚げや焼物にして賞味される。
タイやベトナムの一部の地域では香草を添えて生食する文化もあるが、人体に有害な寄生虫がいることもあるので、試すならば自己責任で。
観賞魚としては圧倒的にスポッテッドナイフの流通が多いものの、全種の流通例がある。
1mを超える種も多いが、体が柔軟であまり泳ぎ回らないこともあって、単独飼育であれば120㎝水槽が用意出来れば何とか飼いきれる。小型種ならば60㎝水槽でもかなり長く飼える。
主な種
学名:Nothopterus notopterus
全長:
分布:
学名:Chitala chitala
全長:
分布:
学名:Chitala ornatus
全長:
分布:
学名:Chitala blanci
全長:
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学名:Xenomystus nigri
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学名:Papyrocranus spp.
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◇ヒオドン
学名: Hiodon tergisus/Hiodon alosoides
全長:45〜55㎝
分布:カナダのジェームズ湾流入河川からアメリカ合衆国のミシシッピ水系までの北米大陸東部。
今まで紹介したアロワナ下区は同一のアロワナ目(オステオグロッスム目)Osteoglossiformesとして纏められ、分布もゴンドワナ大陸に由来する熱帯・亜熱帯地域という共通点がある。
ところが、ヒオドン科Hiodontidaeに属する2種はナギナタナマズ亜目との関連性は示唆されつつも、独立のヒオドン目Hiodontiformesして扱われることも少なからずあり、分布も北米大陸東部の亜寒帯から温帯にかけてと、かなり異質である。
化石記録もかなりあり、中国の白亜紀の地層からプレシオリコプテラPlesiolycopteraやヤンビアニアYanbianiaなどが産出している。日本からはヒオドン科そのものではないが、外群として最も近縁で、研究者によっては同目として扱うこともあるリコプテラ目Lycopteriformesに属するアオキイクイティスAokiichthysやユンカンイクティスYungkangichthysなどが、アミアの項目で述べたN. satoiと同じ地層から発掘されている。
現生種の外見は、寸詰まりのサケかニシンといった雰囲気で、一見した限りアロワナの近縁グループだとは思い難い。
しかし、細かく見ていくと、体のサケやニシンならば体の中央にある背鰭が、体のかなり後方にある点はモルミルス科に似ており、舌や口腔内を見れば、アロワナ下区特有の歯帯が並んでいることが確認出来る。学名(属名)のHiodonも「舌骨に歯がある」とい意味である。腹部にはキール(稜)と呼ばれる薄い突起がある。
体色は背中と背鰭、尾鰭がやや青黒い意外は銀白色一色で目立つ斑紋はない。
比較的規模の大きい河川や湖で見られるが、よく見られる環境には違いがある。
肉食性で小動物を食べるが、これにもそれぞれの種で好みがある。
同所的に見られることもあるため、互いに生息微環境を棲み分けた結果と考えられている。
繁殖については、4〜7月頃に直径4㎜前後の半浮性卵を1度に数千粒ほど産み、それを数回繰り返す。巣を作ることや卵を保護する行わず、卵は河川をゆっくりと降りながら孵化して成長する。
性成熟には数年かかる。
現地ではスポーツフィッシングの対象魚となっている他、肉を燻製や干物に加工して食用とする場合もある。
個体数は安定的であり、ワシントン条約にも指定されていない。
日本に生体が輸入されたことは無く、現地の水族館でもあまり展示されていないらしく、飼育については未知数。
游泳力が強く、鱗がやや剥がれ易いとされており、分布域や生態を考慮すると高水温に弱い可能性が高く、飼育は難しい部類だと思われる。
ムーンアイの種小名tergiusはラテン語で「磨かれた」という意味で、銀白色の体色に由来するとされる。
腹部のキールは腹鰭基底より前方にはない。臀鰭基底は背鰭基底の1.5倍程度。背鰭鰭条数は13〜16。臀鰭鰭条数は24〜27。
透明度が高い流れが強い環境を好み、水生昆虫や底生魚の小型魚など水底の小動物を好む。分布の中心はミシシッピ水系で五大湖にも産する。性成熟には5〜6年掛かる。
ゴールドアイの種小名alosoidesはラテン語で「ニシンに似た」という意味で、体型に由来するとされる。
腹部のキールは鰓蓋後端よりも前にある。臀鰭基底は背鰭基底の2倍以上。背鰭鰭条数は9〜10。臀鰭鰭条数は30〜31。
やや濁った流れが緩やかな環境を好み、魚類やカエル、水鳥の雛やネズミなど大型の獲物を好む。分布の中心はマッケンジー水系で五大湖にはいない。性成熟には6〜10年掛かる。
カライワシ下区
アロワナ下区以上の24科850種以上が含まれる。
その殆どがウナギやアナゴ、
ウツボの類であるため、日本で見られる種も多く、食材や文化として浸透し過ぎている所為か、古代魚として扱われるのは、ごく限られたものだけである。
◇ターポン
顔立ちがややアロワナに似る以外は、
巨大なニシンまたはイワシといった雰囲気の大型肉食魚。
外洋を泳いでいそうな外見をしていながら、汽水域や淡水域にもよく侵入する。
詳細は
イセゴイ/ターポンの項目を参照。
追記・修正は餌やりと水換えの後にお願いします 。
- で味は? -- 名無しさん (2017-08-29 13:56:02)
- ここには書いてないけどイワシやニシンも結構原始的な魚なんだっけか -- 名無しさん (2017-08-29 16:57:33)
- ↑イワシはわからないけどニシンは比較的古い魚なのは確か。特にカスピ海にいる種類が古い形質を残したままだとか。 -- 名無しさん (2017-08-29 17:32:34)
- ↑2アロワナとかピラルクーは白身で普通にいける、ガーは鳥のささみや胸肉っぽいがウロコがクッソ硬いので丸焼きにして剥ぐか、ノコギリで切断するという歩留まりの悪さらしい -- 名無しさん (2017-08-29 21:56:31)
- あれ?ぬいぐるみは? -- 名無しさん (2017-08-29 22:20:36)
- ↑全部存在して草。ただブランドはバラバラの模様 -- 名無しさん (2017-08-30 06:12:20)
- 仮にワシントン条約が無かったとしてもシーラカンスの飼育はムズそう -- 名無しさん (2017-08-30 07:00:01)
- ガーパイクなんてマイクロチップ埋め込めばいい話だろ。環境省はアカミミガメとかを何とかしろよ。 -- 名無しさん (2020-05-06 18:40:59)
- ↑獲って食べれば良い。美味いし規制も無いぞ。 -- 名無しさん (2020-09-11 14:48:24)
- いくら硬骨魚類だからってチョウザメがサバやアジの仲間はさすがに語弊がありすぎる -- 名無しさん (2023-09-22 00:45:45)
最終更新:2025年08月28日 17:08