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ウサギと猟犬

登録日:2026/02/25 Wed 23:52:44
更新日:2026/02/27 Fri 19:51:09
所要時間:約 6 分で読めます




「ウサギと猟犬」は2人で行われるボードゲームである。
Switchの「世界のアソビ大全51」に収録されており、そこから知った人も少なくないだろう。



概要



中世のヨーロッパで人気のゲームとされており、プレイヤーは猟犬から逃げる「ウサギ」側と、ウサギを追い込む「猟犬」側に分かれてゲームを進める。

条件は以下の通り。

【盤面】

ウサギ・猟犬ともに3×3の9マスと左右の端に1マスずつ、計11マスの六角形の様な盤面のマス上を移動する。ここでは仮にそれぞれの端のマスにA,Bと名前を付ける。

各マスから移動できるのは縦方向・横方向・右左の斜め45度方向にあるマスで、ウサギ・猟犬の移動ルールに基づいてゲームを進めていく。



各陣営の動きは以下の通り



  • ウサギ
ゲーム中での数は1匹。
将棋で言う、王将の動きと同じで縦横斜めどこでも1マスだけ移動できる。



  • 猟犬
ゲーム中での数は3匹。

将棋で言う、金将の動きから後ろへの移動を禁じた形と同じで前方・斜め前・横方向に1マスだけ動くことが出来るが、後方・及び斜め後ろ方向には移動が出来ない。当然だが、端まで移動しきってしまった猟犬はそれ以上動くことは出来ない。
1ターン中に動かせるのは3匹の内1匹のみ。




【ゲーム展開】

ゲーム開始時、猟犬側はAのマスとその右斜め・左斜めの位置にコマをセットする。
ウサギ側はBのマスからスタートするのが一般的だが、ルールによっては好きな位置からスタートできる場合もある。


ゲーム開始時は猟犬側から移動を開始。上記のルールに従ってコマを動かし、その後ウサギが移動、以降、猟犬→ウサギ→猟犬→ウサギ→…と続けていき、どちらかが勝利条件を満たすまでゲームを続ける。

なお、このゲームにはパスのルールは無く、動かせるコマがある限りプレイヤーはコマを動かさなければならない


【勝利条件】

ウサギ→以下の2条件のうちどちらかをクリアすること。

①:盤上の全ての猟犬の後ろ側のコマに移動すること。
→この条件が成立した時点で猟犬側は勝利条件を満たせなくなる事が確定する為、ウサギ側の勝利になる。
②:事前にあらかじめ決めたターン数だけ、猟犬側に囲い込まれずに動き続けること。
→②のルールがある為、千日手(お互いが特定の同じ動きを繰り返し行う事で膠着状態になること。)になり、ターンが消費されていった場合、ウサギ側が勝利する。

猟犬側→ウサギをBのマスへ追い込み、移動できない状態にすること。

先ほどウサギのコマを王将、猟犬のコマを(後退できない)金将と例えたが、猟犬側の勝利条件についても将棋と似通ったものになっており、相手の王将を詰みに追い込むことに他ならない。


……と、ここまで話を展開したが、このゲームを一言で言ってしまえば「盤上を通して猟犬とウサギの鬼ごっこ」であり、決められた手順数だけウサギが猟犬から逃げ切るか、あるいは手順内で猟犬がウサギを逃げられなくするかの勝負と考えるとイメージも容易になる事だろう。




二人零和有限確定完全情報ゲーム


数学にはゲームの手番や条件などを元に戦略をシミュレートしたりする分野として「ゲーム理論」というものが存在する。

その中では勝敗の条件や手番の進み方などでゲームの情報が分類されることがあり、「ウサギと猟犬」は「二人零和有限確定完全情報ゲーム」に分類されている。


…言葉にすると呪文のようになっているが、具体的な条件としては以下の通りになっている。(より厳密には関数などを用いて定義する必要があるのだが、ここでは省略する。)


①:二人→独立した意思決定者が二者である事*1
②:零和→お互いの利害の度合いを足し合わせた結果が0で釣り合っている状態。
→字面だと分かりにくいが、要は「2人の利害が常に対立し、相手側を不利な状況にすると同じ分だけ自分の状況も有利になる」状態である。
③:有限→必ず有限回の手番でゲームが終了する事。
→千日手など、特殊ルールで無限回の手番を規制している場合も含む。
④:確定→サイコロ・ルーレット・乱数生成など、手を出す上で結果がランダムになる要素が全く無い事。
⑤:完全情報→「自分が何をしたのか」「相手が何をしたのか」など、全ての情報が公開されていて、お互いにいつでも確認ができる状態の事。


これら5つの条件全てをクリアしているのが二人零和有限確定完全情報ゲーム。
物凄く大雑把にまとめると「ランダム要素とマスクデータが全くない、2人で行う完全実力依存の勝負」のゲームになる。

まず、利害関係が完全に対立している為、互いに協力したりはせずに基本的に目指すゴールは「相手を倒す事」であり、そのために「相手の利害を損側に傾ける」作業を進め、(「肉を切らせて骨を断つ」事を目的として一時的な自分側の損を許容することはあっても)自分側の利害が減る様な打ち方はしない。
そして公開されずに伏せられている情報が1つもなく、また公開されている情報はいつでも見直すことが可能であるため、自分の打つ手は「公開されている情報」と「相手の手の予測」によってのみ決定され、そこに運などの不確定要素は全く絡まない状態になる。

この条件に該当する他の具体例だとチェス将棋囲碁五目並べなどが存在している。(将棋やチェスは千日手が起こり得るが、その状況に一定手数の制限をかけるルールが存在する)

二人零和有限確定完全情報ゲームは不確定な条件が無く、ゲームの終了条件も(比較的)単純であるという、非常に強い条件が設定されており、ゲーム理論の考察対象の中でもかなり単純な部類のものとされている。

また戦術的な面でも詳しい解析が進められており、理論上では先読みが可能で、「最善手を打っていった場合、先手・後手どちらが勝つのかが完全に決定できるとされている。
(ただし、あくまで理論上での話である。戦術が複雑だったり、考察すべきパターン数が膨大な将棋などの場合は、実際に先手・後手どちらが有利かは解析が出来ていない)



ゲームの攻略法

ウサギ側の勝利条件によってゲームが長期化されることはなく、動かせる盤の配置も全11マスと少ない事からこのゲームに対する解析もかなり進んでいる。

一見すると勝利条件が多く、コマの自由度が高いため、ウサギ側が有利に見えるゲームだが、実は最善手を打ち続けると、猟犬側が必ず勝利する、即ち先手必勝のゲームになっている事が知られている。たとえウサギがどの位置からスタートしていようとも。

ここでは詳しく解説しないが、要はウサギの移動道に対して壁の様に猟犬を配置させ、ウサギ側の強みである移動先の多さを活かせない様な形にして追い込み漁の要領でウサギを後退させ、最終的に端の部分まで追いつめれば勝つことが出来る、と言う流れになっている。

……が、実際のところ、慣れていない状態で闇雲に猟犬側を動かしてもウサギに逃げられる、などと言った事例も往々にして起こる。
あくまで最善手を打ち続ける事が前提であり、その決まった手順から外れてしまう場合、ウサギ側にも十分勝機はある。


隣り合うマスか対角線方向にあるマスと繋がっているこのゲームの盤面だが、11マスの内、中央の1マスは移動できる方向が8方向(ウサギの場合。猟犬の場合は5方向)と、他のマスに比べてかなり自由な移動が可能になっているため、ウサギならば逃げの為の分岐選択、猟犬ならばウサギの移動ルート塞ぎとしてこの部分に先にコマをかけた方がその後の戦局で大きく有利に動くことが出来る。

そのため、中央のマスを上手く生かしながら展開を進めていけば上手く勝利を手にする為の重要なカギになる。








追記・修正は運営とwiki篭り間で取り決めし、二人零和有限確定完全情報ゲームの方式になる様にしながらお願いします。


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最終更新:2026年02月27日 19:51

*1 一人対一人である必要はなく、複数の意思決定者が何らかの手段を通じて一つの決断を行う集団も定義上一人と見なす。