将棋

登録日:2012/06/18(月) 19:38:25
更新日:2024/04/19 Fri 05:58:06
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将棋とは、駒40個と9×9の将棋盤を使って繰り広げるゲームである。



●目次

【概要】

将棋の起源は紀元前200年~紀元前300年の時期に古代インドにおいて遊ばれたチャトランガという二人制または四人制*1のさいころ将棋であるようだ。
このチャトランガが西流してチェスに、東流してシャンチー(中国将棋)に姿を変えつつ世界各国に広まったと考えられている。
日本の将棋については、タイのマークルックのルールに近いことから、11世紀に東南アジア経由で伝わったものに中国将棋の駒の形などの要素が加わったという説(増川宏一説)と、
マークルックには持ち駒ルールがなくチェスと同様に立体駒を使い*2、最古の記録も将棋よりも遅いことから、6世紀に中国大陸から伝わり独自にルールが変化したというという説(木村義徳説)がある。
平安時代の11世紀初めには貴族の間で将棋が遊ばれていたことが、興福寺境内の遺構から発掘された駒により判明しており、増川説は駒を取られたら再利用ができない中将棋/大将棋を経て、持ち駒ルールが16世紀頃に生まれたという立場を取る一方、木村説では11世紀時点で既に持ち駒ルールがあったとする。
いずれにせよ、最終的に現在のルールが成文化され確定したのは17世紀中期である。

勘違いされがちだが、これは戦争ではない
玉、金、銀、(月)桂(樹)、香(木)といった宝物の取り合いである。
血を流さない平和(?)な物の奪い合いなのだ。
取られた駒を使われるのは、捕虜でも裏切りでも無いのだ。
なお、上記のチェスやシャンチーでは取った駒を使う事は出来ない。というより、世界の将棋の歴史を見ても、持ち駒ルールがあるのは日本のこの将棋位の物である*3

二人零和有限確定完全情報ゲームである(ランダム要素と秘密要素がなく、手数・パターンは膨大すぎるが無限ではない)ため、最善手が見つかれば「どうぶつしょうぎ」のように「先手必勝」「後手必勝」「必ず引き分けになる(『入玉』など)」のいずれかが判明すると思われるが*4、その膨大な手数から未だにいずれなのかは不明。
こうした要素から運の要素が絡むゲームとの対比として挙げられることもある。

国内で使われている将棋の駒の95%は山形県天童市産であり、天童市は「将棋の町」ということをPRしている。


【ルール】

※いきなり公式ルールだと「こまけぇことはいいんだよ挟み将棋しようぜ!」と言いたくなるので、
この項目では、そこら辺の店で売っている将棋セット(マグネットタイプ)に入っている説明書程度のお手軽ルール的に説明していく。

なお、将棋をプレイすることは「指す」という。
「将棋を打つ」と言ったらニワカ乙となるので注意しよう。
打つのは囲碁である。


<基礎>


駒40個と9×9の将棋盤を使う。
互いに一回ずつ「駒」を動かし、それぞれの駒を奪い合い、最終的に相手の王将(後手は玉将)を 追い詰めたら 勝ち。
自分の駒を相手の駒がいるマス目に移動させれば、その相手の駒を取ることができる。
取った駒は一旦自分の「駒台」に送られ、自分の番で駒を動かす代わりに、空いたマス目に駒台の「持ち駒」を1個好きに置くことができる。
(自ターンでできるのは…[駒を動かす&取る] or [持ち駒を置く]…のどちらか)
取った駒を置くのを「打つ」と言うが、 将棋をプレイするのは「指す」 である。大事なことなのでry

「打つ」と「指す」の使い分けは、他の所(駒台)にあるものを持ち上げて盤の上に置くことを「打つ」、盤上の駒を突いて移動させることを「指す」というニュアンスで覚えればよい。

また、駒は種類により移動範囲=攻撃範囲が決まっている。

さらに、相手の陣地(初期配置の横三列分)に侵入した手持ちの駒は、一度相手に取られるまで行動範囲を変化させることができる。
歩兵・香車・桂馬・銀将は金将と同じ行動範囲になり、飛車と角行は王将の行動範囲が追加される。
これを『(駒が)成る』と呼び、駒を裏返し区別する。
駒の裏面には種類によってそれぞれ対応する成り後の名前があり、赤字で表記するものも多い。

なお、金将・王将は成ることができない。
また、成った駒を自分から元に戻したり、持ち駒を打つと同時に成ることもできない(どちらも公式戦で実際に発生し、反則負けとなっている)。


<駒の種類>


※読みは特殊な駒のみ
※↑に向かって攻めるとし、□を移動&攻撃可能範囲とする
※罫線で表されるのは、その方向に他の駒がない限り進めるものとする

  • 歩兵(枚数:9 ふ、ふひょう)

   
   
     

初期配置で最も前方に置かれている駒であり、互いの手が進み、歩同士がぶつかり合うタイミングで戦端が開かれるケースが多い。
行動範囲はぶっちぎりの最下位だが、数が多いので相手の大駒を奪うための餌にしたり、持ち駒から打ち込んで進路をせき止めること(合い駒)など、色んな用途で使われる。
価値が低いがゆえの利点もあり、合い駒や捨て駒にするにはうってつけの駒。
逆に言えば、後半になってもこいつが持ち駒にないとかなりヤバいということでもある。
酷いときには泣く泣く角や桂で合い駒をするハメになってしまうことも。

持ち駒の歩を打つとき、最も奥の横一列(移動時に強制的に成る場所)や、成る前の歩と同じ縦列(縦一直線の9マスのうち、自分の歩が2個になるような場所)に打つことはできない。
特に後者は「二歩」という反則として区別されており、プロの試合を統計しても最も多くやらかされているミス。

裏面は。金または今という字を崩しに崩すと平仮名の「と」になるとか。
成った時のメリットも最もデカい(同じ縦列に持ち駒の歩を打てるようになるうえ、と金を取られても相手は歩から成り直しになるため)。

  • 香車(枚数:2 きょう、きょうしゃ、きょうす)


   
   
   
     

縦方向の攻め担当。一気に前進できるが、後戻りはできない。
裏面は成香(なりきょう)。棋書で盤面を書く場合には、主にで表される。
歩と同様、持ち駒として打つ際には最も奥の横一列へは打てない。
ある駒(大概角頭が狙われる)の(手)前に打ち、その駒が逃げると後ろの駒が取られる(実質両取りの)状況を指して「田楽刺し」と呼ぶ。


  • 桂馬(枚数:2 けい、けいま)


     
   
     

トリッキーな動きが特徴。この駒のみ、途中に駒がいても飛び越して進める。
相手の駒の利きの外から打ち込みやすく、両取りをかけやすい駒でもある。
美濃囲いの天敵。さくさく進むが調子こくと「桂馬の高跳び、歩の餌食」になる。

裏面は成桂(なりけい)。棋書で盤面を書く場合には主にで表される。
飛び越しを活かすために敢えて成らないのも一つの手。
逆に奥から二列目以降まで進んだ場合は強制的に成らされるし、持ち駒から打つ場合もそれ以上の列には打てないので注意。

他のチャトランガ系で桂馬に相当する駒は八方向に移動できるのが一般的(例:チェスのナイト)だが、将棋の場合は前方二方向のみ。
最もかつては八方向への移動は可能だった説があり、持ち駒制度の導入による戦力調整で現行の形になったと考えられている。
只、現状動かし方が把握できる時代で最古の平安時代の時点で今と変わりないことから、逆に桂馬の方が元祖であるチャトランガの馬(アシュア)に準じた動きであり、他の将棋類は変化してしまったと言う意見もある。
変則将棋ではナイトと同様に八方向に移動できる様にする場合があり、この場合は「八方桂」と呼称する。


  • 銀将(枚数:2)


   
 

斜めに強く、真横と真後ろに弱い。
裏面は成銀。棋書では主にで表される。実際の駒の文字も金に似ているため、駒裏も黒字表記のものを使うプロ棋士は金と間違えて成銀のまま持ち駒から打ってしまう反則負けをまれにやらかすほど。
斜め後ろに動けるという個性が消えてしまうため、成らないことの方が多いかも。


  • 金将(枚数:2)


   

大駒と玉将に次いで行動範囲が広い。斜め後ろにだけは弱いので別の駒で死角を補おう。
攻めと守りどちらにも重要。特に相手玉を詰ます際に有用で、後詰めの駒と相手玉の間に金を打つ「頭金」は勝ちパターンの基本。
進化なし。むしろ他の小駒の進化先。


  • 角行(枚数:1 かく、かくぎょう)


           
         
           
         
           

裏面は馬(龍馬)
相手の一瞬の隙をついたり、攻めから一転して受けに回ったりと大忙し。
大駒として重要だが扱いが難しく、前(後左右)に進めない弱点のせいで下手すると歩にすらやられてしまうことも。
その立ち位置ゆえにプロの名人:アマチュアの名人といった格差マッチ時はプロ側に角落ち(角なしで先攻)のハンデキャップをつけることが定例であったため、その対応のために駒落ち定跡の開拓も行われている。

ちなみに本来の読み方は「かくゆき」。しかし「かくぎょう」が広まり過ぎたためごま塩程度の豆知識に。


  • 飛車(枚数:1)


               
           
           
               

はさみ将棋の駒と同じ動きができる。裏面は龍(龍王)
寄せにも受けにも強力で、安定感のある攻防が期待できる、最も重要な大駒。
こいつを横へ積極的に動かすか否かで「振り飛車」「居飛車」に大別されるプレイスタイルが、ほぼ全ての戦術の基礎とされる。
狭義には(初期配置の)2筋以外の筋に飛車を"振って"いれば振り飛車と言えなくもないが、
横歩取りや右四間飛車など、飛車を横に動かしてはいるものの、中飛車(5筋)よりも右辺で飛車を使う戦型は概ね居飛車の戦法として分類されている。

強力な駒であるが故に、この駒を相手に取られるのはもちろん、取られなくともニート働けない展開になってしまうと苦しいともいえ、中盤以降はいかに相手の飛車を潰すかも重要な要素となりうる。
なお、角は「天王山」とも呼ばれる中央マス(5五)にいないと移動可能なマスの数が最多にならないが、飛はどのマスにいても(何らかの駒がない限り)縦横16マスに動ける。
そのため、一般には飛のほうが角よりも価値が高いとされる。(指す人の好みは当然あるが)


  • 玉将/王将(枚数:1)



全包囲砲撃台。しかしこれを取られるような展開にしてはいけないというルールがあるので、
必ず相手の進路を通さないように護衛役をつけよう。

玉将「ほーら隣接してこいよ返り討ちだヒャーハハハハh」
飛車「左右前後チースw」
角行「斜めチースw」
桂馬「V字進撃チースw」
香車「3マス前進チースw」

……みたいなことになりかねない。
進化はなし。進化条件と同じく相手の陣地に入ったときには「入玉」ともいわれるが、これに絡むルールはちょっと複雑なので割愛。

棋譜上や局面図では玉将と王将を区別せず玉と表記する場合が多い。
「玉」表記をするのは、局面図に書く際に「王」の字では向きがわかりにくいからという便宜上の理由もある。
ちなみに起源は玉将のほうが古く、昔の将棋駒に王将という駒はなかった。


<初期配置>


※数字および漢数字のある部分は表組上の便宜的なものであり、盤面ではない
※横升は筋、縦升は段で数える



<その他>

次の手で玉将を取れる状態にする一手を「王手」と言う。これは口頭で宣告する事が多いが、
実は将棋のルールには「王手」と言わなければならないというルールは存在しない。
アマチュアの中には、UNOよろしく「王手」と言わなかった事を反則と抗議する者が多く見受けられるが、別にそんなことはない。

一般的には将棋は「玉を取れば勝ち」と説明されるが、実は将棋連盟の定める規定ではそんな勝利条件は定められていない…というか
正確には勝利条件というものはなく、劣勢側が負けを認める(投了)ことがない限り、実質的には反則負けでしか決着がつかない。
…つまり、どちらも投了せずに指し続けると、最終的に『自分の手番で必ず王手から抜け出さなければならない』(「王手放置/自ら相手の駒の利きに王を晒す行為」の禁止)ルールに抵触した反則負けになる*5
こういう王手放置が確定してしまうことを「詰み」というようになり、転じて「相手の玉を詰ませれば勝ち」と説明されるようになったというわけだ。

事実、プロの対局はたいてい実際に詰むまで指すことはなく、いずれ詰む展開からもう脱出できないと予測した時点で投了するのが普通であり、
中継放映されている試合なら「視聴者にわかりやすいようにワザと負け筋まで指し続け、5~7手詰めの盤面で投了する(通称:形作り)」とのこと。
実は勝っている局面で形作りを始めてしまったうっかりな人も居るらしいが。

同じ局面が4回出現すると千日手となり、基本的には先手と後手を入れ替えて指しなおす。
昔は「同一手順の3回繰り返し」で千日手成立だったが、同じ局面に戻る手順が複数ある場合、うまく選ぶことで無限に続けられてしまう。
プロでも時間稼ぎのために千日手模様を続けることがしばしばあったが、名人挑戦者決定リーグ戦という大勝負で時間稼ぎ合戦が起きたことをきっかけに現行規定になった。

連続王手の千日手に陥ると王手をかけている側が反則負けになる、打ち歩詰め(最後に「詰み」にする1手だけ、持ち駒の歩は使えない。勘違いされやすいが「持ち駒の歩で王手をかける」だけでは反則ではない)をしてはいけないといったルールもいくつかある。

【プロリーグ】

将棋のプロの協会として「日本将棋連盟」が置かれており、プロにあたる棋士・女流棋士は同団体に所属している。
ただし一部の女流棋士は「日本女子プロ将棋協会(LPSA)」に所属、あるいはフリー活動している。
棋士・女流棋士の詳しい内容についてはリンク先を参照。

将棋連盟の地域別の拠点として東京本部、関西本部、東海普及連合会の三つがある。
東京本部は将棋会館(渋谷区の千駄ヶ谷)、関西本部は関西将棋会館(大阪市福島区)に置かれており、関東・関西を統括する事務所以外にも将棋教室や公式対局場も兼ねている。
連盟全体としての本部は東京本部に置かれており本部を「千駄ヶ谷」と呼ぶプロも多い。
東海普及連合会は名古屋市中区栄に置かれているものの手狭で公式対局が行える部屋は無かったが、地元出身の藤井聡太九段の活躍*6による機運の高まりと、
全体的な対局数の増加で東京と大阪だけだとキツく中間地点の名古屋にあると便利な事情もあり、トヨタ自動車の協力で名古屋駅近くに名古屋将棋対局場が新たに設立された*7
LPSAについては東京の港区に本部がある。

東西の将棋会館については老朽化が進んでいることもあり移転が決定している。
東京本部はタイトル戦で協力関係にあるヒューリックが千駄ヶ谷に所有するビルに入居し、関西本部は大阪府高槻市出身の棋士が多い縁で高槻駅前に移転する予定。

棋戦

全ての公式棋戦は日本将棋連盟と主催に協力する会社と共同で実施される。
主催に参加するのは新聞社が多いが、これは娯楽が少なかった時代、娯楽欄を将棋(と囲碁)中心にしていたのが理由。
それとは別に協賛企業もある。こちらはタイトルの命名権が授与され食品メーカーの場合は飲食物の独占権が与えられるのが通例。

普通は予選から参加するが、タイトル保持者・順位戦のA級もしくはB級1組に所属する者・一般棋戦優勝者・前回大会ベスト4等にはシード権が与えられるのが一般的。
また女流棋士と奨励会三段、アマチュアも参加可能な棋戦もあるので、棋士だけで対局するとは限らない。

かつては地上波だと対局時間が長くない早指し将棋がNHKとTXN(テレビ東京)系列で見れる程度で、タイトル戦などは囲碁将棋チャンネルを含む衛星放送で視聴するのが主流であったが時間や契約の都合で生放送されていないことも多かった。
2000年代後半に入るとインターネットの普及に伴い、地上波では時間や需要な関係で難しかった順位戦やタイトル戦のネット中継を開始する。
これが大変好評だったことからインターネット中継へのシフトを進めていき、現在はほぼ全ての棋戦がインターネットで見れる様になった。

ドワンゴが始めたどちらが優勢か判断する人工知能(AI)の導入で初心者にも状況把握ができるようになったことから、ABEMAやNHKも追従し現在では一要素として定着している。

女流棋戦の方も基本的な仕組みは棋士の棋戦と同様。女流棋士・女性の奨励会員・女性の棋士が参加することができる。
(現状は)男性しかいない棋士の棋戦と比べると少なく賞金も対局料も対局数も少ない問題があったが、2010年代後半からタイトル戦が二つ新設されるなど改善の方向に向かっている。

奨励会員の参加については男性の奨励会員から「女流棋士と兼任して女流棋戦に出場し対局料が貰えるのは不公平だ」との声があった為一時期禁止となっていたが、
女流棋士としてプロ入りしていた里見香奈が奨励会に編入する問題が発生した為、女性の奨励会員であっても女流棋戦への出場権が得られる様に改正された。

タイトル(戦)

2023年時点で8つのタイトル戦が存在する。予選・本戦を勝ち抜いた挑戦者がタイトルホルダーに挑戦。番勝負(五番勝負ないし七番勝負)で勝ち越した者が新たなタイトルホルダーとなる。

肩書として保持できるタイトルを争う棋戦。
かつては名人のみだったが、時代が下りにつれて増加していき現在は8つ存在する。
序列は優勝賞金で決まっており、2023年現在は竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖の順となっている。
その中でも序列一位の竜王と最も歴史の長い名人は別格として扱われる。

順位戦システムの名人戦、ランキング戦システムの竜王戦以外のタイトルは基本的に前回好成績者、現タイトル保持者、当該タイトルの永世称号保持者、順位戦上位者(A級ないしB級上位)がシードされ、タイトル挑戦権に近い所からのスタートとなる。

タイトル保持者はそれを失うまで段位ではなくそのタイトルを肩書として用いる。呼び方には以下のルールがある。
  • 竜王と名人以外のタイトルを複数保持している場合は「(保持している個数)+冠」と呼ぶ。
    例:王位、王座、棋王の三つを保持している場合「三冠」を名乗る。
  • 竜王か名人を保持している場合は他にタイトルを保持していてもその称号が優先して用いられる。
    例:名人、王位、王座、棋王の四つを保持している場合、四冠ではなく単に名人を名乗る。
  • 竜王と名人を同時に保持している場合は「竜王・名人」もしくは「竜王名人」と表記する。
    竜王・名人経験者は難易度の高さから今まで達成できたのは谷川浩司羽生善治、森内俊之、豊島将之、藤井聡太の5名のみ。全タイトルを独占した場合もこれになる。
  • タイトルを防衛する時や報道機関の記事に自社が主催するタイトルの保持者が掲載される時はそのタイトルだけ用いられる(竜王もしくは名人、竜王名人であっても)。

当然の事ながらトーナメントを勝ち抜いてタイトルを獲得することは難しく挑戦できただけでも評価される(実質準優勝なので当たり前だが)。挑戦者にも別で賞金はちゃんと与えられる。
8つあるとは言え、8人で分け合っている方が稀で一握りの猛者がタイトルを複数獲得することが多い。
一度獲得してから長きに渡って同じタイトルを防衛し続ける者も珍しくない。強い者は突出して強いのである。
現行の八大タイトル戦以降、全てに挑戦・獲得・同時期独占に成功したのは藤井聡太ただ一人のみ。
叡王戦が増える前の七大タイトル時代でも成功したのは羽生善治のみであり、この2名をあまり人間扱いしたがらないのも無理はないかなと思わせてしまうのは、タイトル独占という偉業のせい。
更に前に遡ると、六大タイトル時代は達成者なし、四、五大タイトル時代には大山康晴(五冠は4度達成)、三大タイトル時代には升田幸三と大山康晴が達成している。

タイトルを特定の回数連続もしくは通算で獲得した場合、殿堂入り扱いとして永世称号が与えられる(永世称号の資格を獲得後もそのタイトルの棋戦に参加することは可能)。
「将棋連盟公式サイトの棋士紹介欄でも現在のタイトル保持者とは同列扱いされ現役中ずっと目立つ所に表示される」「一部の棋戦で永世シード権が保証される」特権がある。
通常は「永世〇〇」と表記するが、名人と王座については他の永世称号とは違う。
  • 名人は「(江戸時代からの前任者から数えた数)+世名人」を名乗る。単純に永世資格を持った名人と言う意味で「永世名人」と言う名称を使うことはある。
  • 王座は永世王座ではなく「名誉王座」を名乗る。これは主催に参加する日本経済新聞社の意向による物。
叡王についてはタイトル戦になって間もない事から永世称号の規定は定まっていない・・・と思われていたが2023年5月に永世叡王の規定ができていることが判明した。
永世称号を与えられた者は基本的に引退後からその肩書を用いることができる…
が、獲得した時点で永世称号で呼ばれるのも多いことから、現役中でも主催者の承認を得ればOKとなっており、現役棋士だと谷川浩司九段は2022年から十七世名人を名乗っている(よって九段を名乗ることは生涯無い)。

序列の扱いも同じであり、複数の永世称号を保持していても名人の永世称号を持っていればそれが優先される。
さらに序列が上な永世竜王に関しては歴史が浅く獲得した棋士が全員引退していないため、通常と同じ扱いになるかは不明。
竜王と名人の永世資格を持つ者は羽生がおり、通常のタイトルの慣習に従えば「永世竜王・十九世名人」となるが果たして…

タイトル獲得は基本的に早熟な棋士ほど優位な傾向にあり20歳以上でプロ入りした棋士でタイトルを獲得できた者はかなり少ない。
永世称号を持つ棋士は全員10代の内にプロ入りを果たしている。

かつては竜王と名人の前任者は「前竜王」「前名人」を名乗ることも可能だった。しかし近年は名乗る人がいなかったため廃止されている*8

  • 竜王(予選の名称は「ランキング戦」)
  • 名人(予選の名称は「順位戦」)
上記2タイトルは当該記事参照。

  • 王位(伊藤園お〜いお茶杯王位戦)
地方新聞社(北海道新聞・中日新聞・神戸新聞・徳島新聞・西日本新聞)主催。
予選トーナメントを勝ち抜いた8人と前回トップ4が2組に分かれ総当たりのリーグ戦を実施。各組1位が一番勝負を行い挑戦者を決定する。タイトル戦は持ち時間8時間(2日制)・七番勝負。第5局までは主催各社が1局ずつ受け持ち、担当新聞社の営業地域で対局する。
トップ4以外はタイトルホルダーや順位戦上位クラス在籍者であってもシードがないため、意外な番狂わせが起こることも。木村一基九段がタイトル戦7度目の挑戦にして初のタイトルを獲得し、「初タイトル獲得の最年長記録」を更新した棋戦でもある。一方永世名人の森内俊之、永世竜王の渡辺明の2人は(歴史の浅い叡王戦を除くと)このタイトルだけ挑戦すらできていない。

最多保持 羽生善治(18期)
最年少獲得 藤井聡太(18歳1か月)
最年長獲得 大山康晴(48歳)
永世王位 大山康晴、中原誠、羽生善治

  • 叡王
不二家主催。2017年からタイトル戦に追加された新しい棋戦。
予選は段位別トーナメントとなっており、同じ段位の棋士相手にトーナメントで戦う。本戦進出は八段・九段が各3枠、六段・七段が各2枠、四段・五段が各1枠*9のため、段位が高いほど出場枠が増える。
ただ在籍人数の関係で五段の次に厳しいのが七段とされている。
こちらもタイトルホルダーや順位戦在籍クラスによるシードがない上に、予選は持ち時間1時間の短期決戦であることから、波乱が起きやすい。
予選勝ち抜き者と前回ベスト4を加えて挑戦者決定トーナメントを行う。タイトル戦は持ち時間4時間(1日制)・五番勝負。
珍しい不二家主催のため、対局場には不二家のお菓子が備え付けられており、タイトル戦のおやつも提供される。

2017年から2019年までは「ニコニコ動画」でお馴染みのドワンゴが主催。元々最強の将棋ソフトと対決する人類代表を決定する棋戦だったものが発展してタイトル戦となった。
タイトル戦では「変則持ち時間制」とし、2局単位で1時間・3時間・5時間の中から選ぶという形。特に1時間を選んだ場合は1日で2局を行う。最終7戦目は6時間。
このルールでは豊島将之が永瀬拓矢相手に1千日手・2持将棋をしたためフルセットを超えて9局目までもつれ込んだ。このタイトル戦での総手数1418手は最多であり「史上最長の七番勝負」と呼ばれた。

最多保持 藤井聡太(3期)
最年少獲得 藤井聡太(19歳1か月)
最年長獲得 豊島将之(30歳、一般棋戦時代を含めると山崎隆之が34歳で獲得)
永世叡王 さすがにまだいない(規定は通算5期)

  • 王座
日本経済新聞社主催。
C級と女流による一次予選、勝ち上がり者とA級・B級による二次予選、その勝ち上がり者とシード(前年ベスト4&タイトルホルダー)による本戦トーナメントの勝者が挑戦者となる。タイトル戦は持ち時間5時間(1日制)・5番勝負。
羽生善治が19連覇・24期保持を果たし、藤井聡太が八冠(全冠)制覇・独占を決めたタイトルでもある。

最多保持 羽生善治(24期)
最年少獲得 藤井聡太(21歳2か月)
最年長獲得 羽生善治(46歳)
名誉王座 中原誠、羽生善治

  • 棋王(棋王戦コナミグループ杯)
共同通信社主催。
B級2組以下による予選を経て、勝ち上がり者とB級1組以上・タイトルホルダーによる挑戦者決定トーナメントを行う。
珍しい方式として準決勝以上は「ダブルエリミネーション方式」を採用しており、2敗するまで挑戦の可能性が残る。まず準決勝敗者2名が戦い、ここで勝った人が決勝敗者と対決。ここで勝った人が敗者代表としてここまで勝ち進んだ勝者と二番勝負で対決。ただし、勝者側は1勝でもすれば挑戦者決定、敗者側は2連勝しなければならない。
タイトル戦は持ち時間4時間(1日制)・五番勝負。
大山康晴が66歳にしてタイトル戦に挑戦し最年長記録を出したかと思えば本田奎(初挑戦にしてタイトル挑戦)など初参戦の若手棋士の躍進も多い棋戦。
その一方で永世称号獲得条件は連続5期のみでありタイトル戦最難関と称される。保持しているのは羽生善治と渡辺明のみ。
大塚製薬が協賛しているのでポカリスエットカロリーメイト等の自社製品が提供される。

最多保持 羽生善治(13期)
最年少獲得 羽生善治(20歳5か月)
最年長獲得 谷川浩司(41歳)
永世棋王 羽生善治、渡辺明

  • 王将(ALSOK杯王将戦)
スポーツニッポン・毎日新聞主催。
B級以下の棋士による一次予選、勝ち上がり者と前回リーグ陥落者・タイトルホルダー・A級・永世王将保持者による二次予選を経て3名と前回ベスト4による総当たりのリーグ戦を実施。ここで1位を取った者がタイトル戦に進む。タイトル戦は持ち時間8時間(二日制)・七番勝負。
A級棋士やタイトルホルダーを撃破しなければリーグ戦には進めないのはもちろん、そのリーグに居座る棋士たちも当然強いため「屈指の難関リーグ」とも呼ばれる。
そして永世王将の獲得条件は「通算10期」のみで、永世棋王と並び最難関と称される。十六世名人をはじめ5つの永世称号を持つ中原誠は王将戦5連覇を達成しているが条件のせいで永世王将は取得できなかった。*10
一方、タイトル戦勝者はスポニチ掲載用に写真を撮影するが、何故かコスプレをさせられて写真撮影をするため「勝者罰ゲーム」と呼ばれている。
なお、第1期七番勝負第6局は2022年度終了時点で将棋のタイトル戦史上唯一の不戦局となっている。(通称・陣屋事件)

最多保持 大山康晴(20期)
最年少獲得 藤井聡太(19歳6か月)
最年長獲得 大山康晴(59歳)
永世王将 大山康晴、羽生善治

  • 棋聖(ヒューリック杯棋聖戦)
産経新聞主催。囲碁では最も賞金が高いタイトル戦だが将棋だと逆。
C級による一次予選、勝ち上がり者とシード以外による二次予選を経て、シード(ベスト4&タイトルホルダー)を加えた挑戦者決定トーナメントを行う。タイトル戦は持ち時間4時間・五番勝負。
1995年までは年2回開催されていたこともあり、初タイトルが棋聖という例も多く、最年少タイトル獲得者の藤井聡太、そしてその前に最年少タイトル獲得記録を持っていた屋敷伸之も初タイトルは棋聖である。
一方、「過去に棋聖戦五番勝負に出場したことがある場合は一次予選免除」という独特の規定があるので、過去に挑戦経験のある大ベテランが二次予選を勝ち上がり本戦に来ることも。このケースは第81期で加藤一二三(当時70歳)が本戦入りした事例を挙げておく。*11

最多保持 大山康晴、中原誠、羽生善治(16期)
最年少獲得 藤井聡太(17歳11か月)
最年長獲得 大山康晴(54歳)
永世棋聖 大山康晴、中原誠、米長邦雄、羽生善治、佐藤康光

一般棋戦

上記タイトル戦以外のトーナメント戦を指す。タイトル保持者はおらず、毎回優勝者を決定する。
上3つは「全棋士参加棋戦」として全棋士に参加義務が生じる。将棋日本シリーズは年間上位12人による選抜制、下4つは段位や年齢制限があるので条件に合致した棋士のみ出場する。
全て「(原則的に)1回負けたら終わり」のトーナメント戦であるため、1つでも優勝できればほぼタイトルと同格の実力(全棋士参加棋戦3つは「五段以下の棋士が優勝した場合は1段昇段」のルールもある。)といえ、年間複数個優勝するのも非常に難しい。
が、2022年度、藤井聡太は朝日杯・銀河戦・NHK杯・日本シリーズの4棋戦全てで優勝。史上初の「年度内一般棋戦グランドスラム」を達成している。

持ち時間が数時間単位のタイトル戦に対して、公開対局や本戦からテレビ放送される棋戦が多い都合上、基本的に持ち時間が10分から1時間程度の「早指し戦」となっており、タイトル戦とはまた違う戦い方が要求される。

  • 朝日杯将棋オープン
朝日新聞主催。持ち時間は40分。
全棋士+アマチュア上位10人+女流棋士上位3人が参加。前回ベスト4・タイトルホルダー(永世称号持ちも含む)・NHK杯と銀河戦優勝者等はシードされる。
一次予選→二次予選を経て本戦トーナメントを実施。持ち時間は40分と短いため、1日2局が普通。本戦も準決勝2試合→決勝を同日に行う。
一次予選から参加するアマチュアは初戦は「プロ入り直近棋士10人」と対決。つまり年4人生まれる新四段は必ずアマチュアと対決することになり、プロとしての実力を見せなければならない負けられない一戦となる。
準決勝と決勝はCSのテレ朝チャンネル2で放送される他、インターネットでも中継される。

最多優勝 羽生善治(5回)
最年少優勝 藤井聡太(15歳11か月)
最年長優勝 羽生善治(45歳)

  • 銀河戦
BS・CS放送の囲碁・将棋チャンネル主催。持ち時間は25分で、使い切った場合は1手1分ではなく1手30秒となる。
シード者と予選を勝ち上がった96人が対決。12人ずつ8ブロックに分かれる。
ここでの戦いはバラマス式トーナメント(ステップラダー)。アマチュア・女流・フリークラス・順位戦下位から下のトーナメントに充てられ対決し、勝者は次の対戦者(次の順位戦上位者)と対決。これを繰り返し最終戦(基本的に前年度優勝者・タイトルホルダー・順位戦A級)に勝てば決勝トーナメント進出となる。つまり1番ランクが高い人は1勝すればいいが、下位2名は11勝しなければならない。しかし、「ブロック内で一番連勝数の多い1人も決勝トーナメント進出」となるため、下位の棋士でも6連勝(クラス的にはB級2組近辺)すれば確実に、場合によっては2連勝でも決勝トーナメント進出となる。
決勝トーナメントを勝った人が優勝。優勝者はタイトルの代わりに次回終了まで「〇〇銀河」と番組内で呼ばれる。ちょっと廚二っぽい。

最多優勝 羽生善治(7回)
最年少優勝 藤井聡太(18歳2か月)
最年長優勝 丸山忠久(53歳)

  • NHK杯テレビ将棋トーナメント
NHK主催。当初はラジオ放送で行われていた。現在では唯一地上波放送でも観られる棋戦でもあり一般的知名度が最も高い棋戦の一つ。
テレビ放送に合わせたパッケージングとして本戦は持ち時間10分、消費後1手30秒+考慮1分10回の超短期決戦。
前年度ベスト4、タイトル保持者(永世称号持ちも含む)、一般棋戦優勝者、順位戦B級1組以上はシードされるが、新人王とB級2組以下の成績優秀者4名もシードが得られるので若手等にも機会がある。
こちらも優勝すると「NHK杯選手権者(NHK杯)」の呼称が付く。また、10回優勝すると「名誉NHK杯選手権者」の称号が与えられる。
ただ、タイトルを持っていればタイトル戦だけ出ればいい(最短3勝でキープでき、2敗もしくは3敗なら負けても良い)のと違って毎回負けられないトーナメントではかなり実現するのが難しい称号だったが、やはり羽生善治はこの称号を手に入れた。
その苦労に報いるためか肩書以外の報酬もあり、名誉NHK杯保持者は現役中の永世シード権が保障される。*12
羽生は他にも面白い記録を持っており、平成の始め(1988年度)と終わり(2018年度)に優勝経験があったりする。
映像記録が比較的豊富なことから銀河戦やネット配信が登場する前の対局の映像はNHK杯から引用されることが多い。
長い歴史から二歩などの反則映像が残っていたり、名局から名解説・迷パフォーマンスなどもしばしば。

最多優勝 羽生善治(11回)
最年少優勝 羽生善治(18歳)
最年長優勝 大山康晴(60歳)
名誉NHK杯選手権者 羽生善治

  • 将棋日本シリーズ
JT主催。持ち時間10分、消費後1手30秒+考慮1分×5回と全棋戦で最短。
さらに差し直しが発生した場合は両者共に持ち時間も考慮時間も没収され、初手から30秒将棋となる。
12名の棋士が出場し、全国11箇所で公開対局として実施される。参加資格は
1.前回優勝者
2.タイトル保持者
3.前年の対局料・賞金獲得ランキング上位者
となっており(上優先)、選抜されるだけでも棋士としてのステータスになる。
優勝者は次回大会で「JT杯覇者」を名乗る。

最多優勝 谷川浩司(6回)
最年少優勝 藤井聡太(20歳4か月)
最年長優勝 大山康晴(59歳)

  • 新人王戦(若手限定)
しんぶん赤旗主催。
出場資格は資格決定日(10/1)に六段以下かつ26歳以下(ただし四段昇格から1年以内であれば無制限)で、タイトル挑戦経験がない者。
某八冠は五段で資格決定日を迎えたが、その後連続で昇段してしまい七段で新人王戦に挑んだ事がある。当時はプロ最年少なのにラストチャンスという珍事であった。
類似のケースとして、藤井猛と渡辺明も資格決定日後に竜王を獲得したため、竜王の肩書きで新人王戦に挑戦したことがある。新人王とは
本棋戦は奨励会三段も出場できる。三段の優勝は過去に一度だけ存在する。
優勝者(新人王)はタイトル保持者*13と非公式で対戦出来る権利を得る。

最多優勝 森安秀光、森内俊之、藤井猛(3回)
最年少優勝 藤井聡太(16歳2か月)
最年長優勝 現行制度なら池永天志(26歳)、旧制度なら若松政和(30歳もしくは31歳)

  • 加古川青流戦(四段限定)
加古川市・加古川市ウェルネス協会主催。
兵庫県加古川市は市ゆかりを持つ将棋棋士が多くその縁で設立された棋戦である。地域おこしの面もあるため自治体(加古川市)が主催に加わる。
新人王戦と似ているが、四段なら年齢に関わらず出場できるのが相違点。また奨励会三段・女流棋士・アマチュアも参加できる。
奨励会三段の優勝実績は無いが、準優勝者なら石川優太、服部慎一郎、斎藤優希の三名がいる。石川と服部は後にプロ入りしており、服部はプロ入り後に優勝し雪辱を果たした。
アマチュアが優勝した棋戦としても知られる。全公式棋戦の中でこれが唯一の事例。
複数回優勝の経験者はなし。

最年少優勝 藤本渚(18歳)
最年長優勝 稲葉聡(30歳)

  • 達人戦(中高年限定)
正式名称「達人戦立川立飛杯」。立飛ホールディングス協賛。
出場資格は満50歳以上の棋士。永世称号(有資格者も含む)保持者はシードされる。
前身は1993年に開始された富士通協賛の非公式戦「富士通杯達人戦」である。富士通協賛時代は満40歳以上*14でA級もしくはタイトル獲得経験者のみが出場可であった。
2015年以降休止状態となっていたが2023年に協賛を変更した上で公式戦として復活した。優勝者は「達人」の称号が与えられる。

最多優勝 谷川浩司(5回)
最年少優勝 羽生善治(40歳)
最年長優勝 米長邦雄(55歳)
上は全て富士通・非公式戦時代の記録。

  • YAMADAチャレンジ杯(若手限定) 終了棋戦
出場資格は五段以下でプロ入り15年以下の棋士、ただしタイトル戦出場経験者は出場資格を喪う。
ヤマダデンキが協賛していたので準決勝及び決勝は群馬県で行われていた。
複数回優勝の経験者はなし。

最年少優勝 三枚堂達也(24歳)
最年長優勝 門倉啓太(32歳)

その他

  • ABEMAトーナメント
ABEMA 将棋チャンネルで放送されている非公式戦。非公式戦なので参加は任意だが対局料に加え、優勝チームには賞金が出ることから多くの棋士が参加する。
羽生の考案でチェスから輸入されたフィッシャールールで対局。
一手指す毎に5秒追加されるが最初の持ち時間は5分となる超早指し将棋である。
初期は手法が定まらなかったが2020年度から団体戦(1チーム当たり3名)となり以降定着している。
招待された棋士がリーダー*15となり残り2名をドラフト会議で指名する。
プロ入りしたばかりの新人・若手が指名されることもあり、こうした棋士達と強豪との対局も見ることが出来る。
指名されなかった棋士でも別途エントリートーナメントを勝ち抜けば参加が可能。トーナメントを通過した3名がエントリーチームと言う扱いで出場する。
派生として、2021~22年に佐藤康光考案のABEMA師弟トーナメント(師匠と弟子1名がチームを組む)、2023年に羽生考案のABEMA地域対抗戦(全国を8ブロックに分け、各地域に縁のある棋士がチームを組む)が開催されている。

  • SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦
サントリー協賛の準公式戦。東軍(関東所属棋士)と西軍(関西所属棋士)に分かれて行われる団体戦方式で実施する。
各軍6名の棋士が出場するが内3名はファン投票で決定するのが特徴。2名は得票数が上位の棋士から選出し、1名は投票数の最も多いタイトル保持者から選ばれる。残りの3名は予選を勝ち抜いた者が出場する。
予選・本戦ともに一手30秒(チェスクロック方式)で行われる早指し棋戦である。いずれも一日で実施する。
本戦は6局実施して3-3となった場合、ファン投票の上位2名ずつによるリレー将棋で決着をつける(6局で決着がついた場合であっても、リレー将棋自体はエキシビションとして実施)。
日程・会場は例年12月下旬に明治神宮で行われている。

  • 新銀河戦
2022年度に第1期が行われたが、2023年度には行われなかったため現状は単発戦。
ABEMAトーナメント同様に初期1分+1手5秒加算のフィッシャールールで行われる電撃戦。
当然のように藤井聡太が優勝しているが、トーナメント中に「ほぼ負け確定の状況下、相手が成銀を金として打って反則勝ち」という珍事に救われていたりする。

女流タイトル(戦)

棋士のタイトル戦と同じく8つ存在する。仕組みも基本的には同様。
序列は白玲、清麓、女王、女流王座、女流名人、女流王位、女流王将、倉敷藤花となっている。
棋士のタイトルとは違い別格扱いの称号は無いので、複数のタイトル保持者は素直に「女流+タイトルの数+冠」と表記する。

永世称号は「クイーン〇〇」と表記する。女流と言う部分は省略される。
女王のみ同じ意味の言葉が二回続いてしまう問題に配慮したのか「永世女王」と表記する。
一番新しい白玲の永世称号については現状不明。
なお女流の永世称号は棋士のそれとは異なり獲得した段階で授与される。

  • 白玲(ヒューリック杯白玲戦、予選の名称は「女流順位戦」)
ヒューリック主催参加。2020年度創設。
最も新しい女流棋戦で序列一位。名称は違うが棋士タイトル戦で言う名人戦に相当する。
最強の女流棋士を決める目的で作られた為、予選も「女流順位戦」と言う形で棋士の順位戦と同じ様に行われる事になった。
優勝賞金は女流棋戦初にして唯一の一千万円超えの1,500万円。
持ち時間4時間(チェスクロック方式)で盤勝負は女流タイトル戦最長にして唯一の七番勝負で行う。

最多保持 西山朋佳(2期)
最年少獲得 西山朋佳(25歳)
最年長獲得 福間香奈(30歳)

女流順位戦は白玲とA, B, C, D級の順に五つに分けられている。棋士の順位戦より分かりやすい*16
各級の成績上位者は昇級し成績下位者は降級する。


後から新設された都合上、初年度のみ級分けの為にトーナメントが行われ、女流棋士63名に女流タイトル保持者の西山朋佳女流三冠(当時、奨励会三段)を加えた計64名が参加した。
最終的にトーナメントの順位に基づき級分けが行われ、次年度から本格的に女流順位戦が始動した。

  • 清麗(大成建設杯清麗戦)
大成建設主催参加。女流棋戦が棋士のそれと比べて少ないから活性化したいと言う理由で2019年度に新設。
最初は棋聖戦を主催しているヒューリックが行っていたが後に白玲戦の主催に参加する事になったため大成建設が主催を引き継いでいる。
持ち時間4時間(チェスクロック方式)による五番勝負。
棋戦の設計は棋王戦のような敗者復活戦があり、女流棋士の対局を増やすことにも繋がった(=貰える対局料が増える)

最多保持 福間香奈(4期)
最年少獲得 加藤桃子(26歳)
最年長獲得 福間香奈(31歳)
クイーン清麗 さすがにまだいない

  • 女王(マイナビ女子オープン)
マイナビ主催参加。
棋戦の名称にタイトルが含まれていない唯一のタイトル戦。タイトルは前述の「女王」である。なお女王の名称は公募で決められた。
持ち時間3時間(チェスクロック方式)による五番勝負。歴史が浅いため永世女王は西山朋佳のみ。

最多保持 西山朋佳(6期)
最年少獲得 加藤桃子(19歳)
最年長獲得 矢内理恵子(28歳)
永世女王 西山朋佳

  • 女流王座(リコー杯女流王座戦)
リコー主催。王座戦の名称のせいか日本経済新聞社が特別協賛。第1期から女流棋士のみでなく、女性奨励会員・研修会員や純粋なアマチュアも参加できる完全なオープン棋戦として実施されている。*17
完全なオープン制なので女流棋士がエントリーしないこともルール上可能。
タイトル戦は持ち時間3時間(チェスクロック方式)による五番勝負。こちらも歴史が浅いのでクイーン王座は福間香奈のみ。

最多保持 福間香奈(7期)
最年少獲得 加藤桃子(16歳)
最年長獲得 福間香奈(31歳)
クイーン王座 福間香奈

  • 女流名人(岡田美術館杯女流名人戦)
報知新聞社主催・ユニバーサルエンターテインメント特別協賛*18
1974年、初の女流棋戦として創設された由緒正しいタイトル戦である。
創設当初はA級~C級の3部リーグ方式で行われていたが、後にC級に代えて予選トーナメントが行われるようになり、2013年度・第40期にB級も廃止された。
現在は予選免除6名+予選通過4名の10名により挑戦者決定リーグが行われて、リーグ優勝者が女流名人に挑戦する形。
タイトル戦は持ち時間3時間・五番勝負。

最多保持 福間香奈(13期)
最年少獲得 林葉直子(14歳)
最年長獲得 清水市代(40歳)
クイーン名人 中井広恵、清水市代、福間香奈

  • 女流王位
新聞三社連合(北海道新聞・中日新聞・西日本新聞)とLPSA主催。
王位戦があるなら女流王位戦も、と言う理由で創設。
持ち時間4時間(ストップウォッチ方式)による五番勝負。挑戦者決定までの流れも王位戦に倣っている。

最多保持 清水市代(14期)
最年少獲得 里見香奈(20歳)
最年長獲得 清水市代(40歳)
クイーン王位 清水市代、里見香奈

  • 女流王将(霧島酒造杯女流王将戦)
囲碁将棋チャンネル主催、宮崎県の酒造メーカーである霧島酒造が協賛。
主催者が放送局で、女流棋戦では唯一のテレビ棋戦。
本戦がリーグ戦だった時期があったり、タイトル戦が五番勝負だったりした時期もあったがスポンサーの変更も何度かあり*19
現在では予選と本選のトーナメント、本戦は東京将棋会館の地下スタジオ収録、タイトル戦は持ち時間3時間の三番勝負で第1局が霧島酒造での開催。第2・3局は東京将棋会館の開催、かつ会館からの生中継となっている。

最多保持 林葉直子(10期)
最年少獲得 林葉直子(14歳)
最年長獲得 清水市代(40歳)
クイーン王将 (林葉直子、*20)清水市代、福間香奈

  • 倉敷藤花(大山名人杯倉敷藤花戦)
岡山県倉敷市・倉敷市文化振興財団・山陽新聞社主催。
倉敷市が生んだ昭和将棋界の巨人・大山康晴十五世名人を顕彰して倉敷市芸文館*21を創設した際に併せて棋戦として創設された。
現役の全女流棋士が予選なしのトーナメント戦で挑戦者を決める。このためトーナメント表がとにかく大きい。
また、生前に大山が気に入りたびたび足を運んでいた青森県おいらせ町*22でも毎年1局が実施されている。
タイトル戦は持ち時間2時間(チェスクロック方式)の三番勝負。第2・3局は倉敷市芸文館で開催され、第2局の午後は当館ホールでの公開対局。
現実に連戦連敗の例のラノベでもこのシチュエーションはおいしかったのか、モデルとしている山城桜花戦でもしっかり公開対局にした。

名称の由来は「倉敷市の市の花が藤である」ため。記録によると候補に「女流王座戦」などがあったが、当時の女流棋士会から「女流」の字を使わないよう要望が出たため、この名前になったとか。

最多保持 福間香奈(14期)
最年少獲得 福間香奈(16歳)
最年長獲得 斎田晴子(39歳)
クイーン倉敷藤花 清水市代、福間香奈

女流一般棋戦

  • YAMADA女流チャレンジ杯(若手限定)

女流非公式戦

  • 白瀧あゆみ杯争奪戦
  • 女流ABEMAトーナメント
  • 世田谷花みず木女流オープン戦

エピソード



【アマチュアリーグ】


プロと同様に日本将棋連盟が主催する物が多いが、日本アマチュア将棋連盟が主催する物も存在する。
アマ全員が参加できる棋戦以外に学生限定の大会もある。趣味勢の他、元奨励会員も多く参加している。
なおプロと奨励会員はアマ棋戦に出場する事は認められていない。
一部の棋戦では上位に入った者は棋士との記念対局やプロ棋戦に参加できる。
プロ棋戦で活躍すると上記の棋士編入試験の受験資格が与えられるので、ここからプロ入りを目指す者もいる。

棋戦

六大大会の優勝者は優勝から一年以内に希望すれば三段リーグ編入試験を受験可能。
22歳以下なら六大大会、学生名人戦、学生王将戦のどれかで優勝もしくは準優勝した場合、奨励会初段を受験する権利が与えられる。この制度で奨励会に入会した後にプロ入りを果たした棋士には渡辺正和*23がいる。

六大大会

  • アマチュア竜王戦
読売新聞社共催。本戦のベスト4以上は竜王戦に6組から参加できる。

  • 全日本アマチュア将棋名人戦
1947年から行われているアマ最古の公式大会。
アマ名人は棋王戦に出場可能。プロの名人との記念対局も行える(名人は角落ち)。

  • 全国アマチュア王将位大会
囲碁将棋チャンネル後援。本戦の優勝者(アマ王将)と準優勝者は銀河戦本戦トーナメントへの出場が認められる。

  • 支部名人戦(全国支部将棋対抗戦・個人戦)
連盟が普及の為に日本各地に置いている支部の会員のみ出場可能。
東日本と西日本でトーナメントが分かれており、それぞれで優勝者を決める。
その後東西の優勝者で東西決戦を行う。優勝者はアマ名人戦の決勝トーナメントへのシード権を獲得する。

  • 朝日アマ将棋名人戦
朝日新聞社主催。
アマ大会で唯一のタイトル戦であり前年度朝日アマ名人と三番勝負を行う。そのため連覇が一番起こりやすい。
前年度優勝者が奨励会もしくはプロ入りした場合は本戦の優勝者がタイトルホルダーとなる。
朝日アマ名人と本戦ベスト8以上の9名は朝日杯将棋オープン戦に出場できる。

  • 赤旗名人戦(しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会)
しんぶん赤旗主催。赤旗名人は新人王戦に出場可能。ちなみにこの出場に関してはプロには課せられる年齢制限は無い。

大学将棋

  • 学生名人戦(なお、学生名人は朝日杯将棋オープン戦への出場資格を得る)
  • 学生王座戦(学生将棋団体対抗戦)
  • 学生王将戦(学生将棋十傑戦)
  • 学生女流名人戦 等

日本アマチュア将棋連盟主催棋戦

  • アマ最強戦
  • 全国アマチュア将棋レーティング選手権

その他

  • 小学生名人戦(公文杯小学生将棋名人戦)
  • 全国小学生倉敷王将戦
  • 将棋日本シリーズ テーブルマークこども大会
主要な小学生大会。
他の学生大会と違う点として、後の奨励会員・プロが多くが参加していることが挙げられる。
プロ入りを目指す者は早ければ小学生の高学年から奨励会(プロ養成機関)に入会する必要があり、その奨励会入りへの条件として提示されているのが理由。その事から棋士への登龍門と称される。
永世称号を持つ現役棋士だと羽生と渡辺は小学生名人戦で優勝経験がある。
この時の相手がお互いプロ入りしプロ棋戦でも対局している事例も多々ある。有名な話だと羽生対森内。
小学生名人戦はNHKでも放送されるので、プロ入りした場合には幼少期の活躍を紹介する資料としても活用される。

  • 職域団体対抗将棋大会
職域団体なので出場できるのは会社以外にも学校、役所、自衛隊、裁判所、官庁、労働組合、日本将棋連盟*24等、職場や職に関係する物ならどこでもOK*25
強豪としてはリコー、NEC、富士通などが挙げられる。

  • 全国中学生選抜将棋選手権大会
  • 全国高等学校将棋選手権大会
  • 将棋アマチュア銀河戦
  • 将棋プレミアム杯 G1グランプリ
他多数


著名なアマ

(※※は亡くなった者)
  • 平畑善介※※
真剣師時代の花村の好敵手。花村も平畑を歴代最強のアマ名人と評している。
アマ棋戦にはあまり興味は湧かなかったが、子供から日本一になってほしいと言われたために優勝を目指す事となり、アマ名人を獲得した。

  • 大田学※※
元海軍のアマ。花村とは若い頃一緒に居候していたことがある。
第二次世界大戦後から本格的に将棋を始め真剣師として活躍したが時代の変化で終業。真剣師最後の記念に新設された朝日アマ名人戦に出場し初代朝日アマ名人となった。

  • 関則可
本業は観戦記者及び将棋ライターのアマ名人。
日本アマチュア将棋連盟を立ち上げ初代理事長を務めた。詰将棋作家としても活躍しており現在でも老人ホームで作り続けている模様。

  • 小池重明※※
「新宿の殺し屋」「プロ殺し」の名を持つアマ。
松田茂役九段(女流棋士で最も現役期間が長く・現役最年長の長沢千和子女流四段の師匠)に弟子入りしプロ入り候補にも上がったが将棋道場の金を着服する等の問題児だった事から破門される。
その後は真剣師として活躍する様になるが、強いんだからアマチュア棋戦でちゃんと活躍すべきと言う周りの意見もあってか、そちらに参加するようになりアマ名人を2期連続で獲得した。
同じ頃には雑誌の企画でプロとも対局しており、島等にも平手で、大山には角落ちで勝利している(が、升田には敗れている)。
これを受け再度プロ入りの案も出るが、女性関係やお金周りに問題が多すぎたので断念され、アマのプロ入りは瀬川まで持ち越しになった。
最後は芹沢同様に酒で身体を壊して早逝した。最期は病院で自分につながっているチューブを引きちぎり、半ば自殺のような形で死んだらしい。
羽生や村山聖との関わりもある*26

  • 谷川俊昭
谷川浩司の兄。学生時代から活躍し学生名人を含む多くのアマ棋戦で優勝。アマ王将も2期獲得した。
羽生と佐藤康光にも平手で勝った経験がある。
国外に転勤することになってしまい帰国後に指してみたら腕がなまり勝てなくなった事から指す事は卒業。麻雀の方に興味があるとの事。

  • 鈴木英春
元奨励会三段。独自に開発した「かまいたち戦法」「カメレオン戦法」を武器にアマ王将・アマ名人を獲得した。
石川県の金沢で将棋教室を運営しており、氏の教室からは三人の女流棋士を輩出している。

  • 早咲誠和
大山に憧れて中学生から将棋を始めた。1992年度にアマ名人を史上最年少の18歳で獲得。
支部名人、アマ竜王、アマ名人、赤旗名人、アマ王将の獲得経験がある強豪で30年以上活躍しているレジェンド。
その功績を称え新たにアマ八段が新設された。2022年には棋士編入試験の受験資格を得る一歩手前まで迫った。

  • 清水上徹
小学生将棋名人戦にも優勝し学生時代から大活躍。母校・明治大学の将棋研究会では主将を務め団体戦でも勝利に貢献した。
朝日アマ名人を5回獲得し他タイトルも複数獲得経験あるアマのトップの一人。
NECに就職した後は同社の将棋部に所属。プロ入り前の瀬川と共に団体戦で戦った経験もある。
ちなみに奥さんは中村桃子女流である。

  • 稲葉聡
元奨励会3級。稲葉陽の兄で弟と同じく井上慶太門下。
退会後は母校・立命館大学の将棋部主将として活躍。自身も学生名人を獲得した。
その後もアマ棋戦で活躍するが、2015年にはアマ代表として参戦した加古川清流戦でプロを破りまくり、アマがプロの棋戦で優勝するという唯一無二の快挙を成し遂げている
奨励会を退会した理由は「後進の子供達の育成」に興味を持ったからだったと言う。そうして関わってきた子供達の中には藤井聡太も含まれる。

  • 天野貴元※※
石田和雄門下の元奨励会三段。三段リーグには16歳から入ったがそこから抜け出すことができないまま退会した。
退会後、重度の舌癌を患う(天野は10代の頃からヘビースモーカーだった*27)。
治療を続けながらアマ棋戦に参加し赤旗名人を獲得。三段リーグ編入試験も受験するが(結果は不合格)その数か月後に逝去*28。彼が主催していたアマ棋戦「天野杯」は現在でも有志が継続している。

  • 遠藤正樹
振り飛車穴熊を得意とする「アナグマン」。時間さえあれば詰将棋をはじめ強くなるための努力を惜しまないその姿勢は、「奨励会員は遠藤さんを見習うべき」と羽生が唸る程のもの。

  • 鈴木肇
渡辺明と同門の元奨励会三段。負けた方が退会と言う瀬戸際で当時・奨励会員だった宮本との勝負に敗れる。
退会後はアルバイトを転々としていたが、森内や地元・横浜の知り合いの勧めで将棋講師を始める。
講師を始めた頃からアマ棋戦にも参加しアマ王将・アマ名人を獲得。
中村太地とは小学生時代からの旧知であり彼のYouTubeチャンネルでは相方を務めている。

  • 横山大樹
アマ初の四冠にして朝日アマ名人5回獲得した強豪アマ。

【余談】

  • 将棋各種
12×12マス 21種類の中将棋や15×15マス 29種類の大将棋など、盤面が広く駒数も多い将棋も多数存在する。詳細は中将棋/大将棋参照。
これらは「持ち駒の再利用」という概念がなかった頃、生み出されたものである(再利用がないチェスなどでは、終盤お互いの駒が少なくなり屍の築かれた盤上にて引き分けになるといった例がある)。
また駒の種類や基礎ルールを明治以降の近代軍的に変えた「軍人将棋」なども変わり種として存在する。
ちなみに大将棋が形としては一番古いが、(おそらく対局時間が長すぎる事から)遊びやすい中将棋、小将棋へと主流が変わっていった。
現在の一般的な将棋は、小将棋に様々なルール改変(持ち駒再使用ルール等)を加えたものである。

  • 打ち歩詰めについて
「二歩禁止」や「行き場のない駒禁止」は、その成立した理由がわかりやすく何を目的としたルールなのかが明確だが、「打ち歩詰め禁止」にはそのような合理的な理由が見当たらないためたびたび議論になる。
とりあえず、西暦1600年以前ぐらいには一般化していたルールであるようである。
「下級兵が裏切って主君の首を取るのは不敬である」とする説や、「賭け将棋でのイカサマ防止*29」とする説などさまざまな理由付けがされているが、いまだに定説はない。

  • 慣用句
一部の用語は慣用句的に使われており「千日手」「飛車角落ち」「歩の無い将棋は負け将棋」「桂馬の高跳び歩の餌食」「ヘボ将棋、(王より)飛車角ばかり可愛がり*30」などが存在する。

【将棋がモチーフ・題材の作品】



<将棋を得意または趣味とするキャラクター>

個別記事があるものを記載。


<将棋をモチーフとするキャラクター>





追記・修正は20対20でお願いします。

そして1000年以上の後、待望の続編が出る運びとなる――

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最終更新:2024年04月19日 05:58

*1 永きに渡り二人制と四人制どちらが先に生まれたかの論争が行われていたが、二人制が先であるとの説が現在では有力である。

*2 成りは存在するが歩兵に相当する「ビア」のみ。

*3 一応、近年はオンラインチェスにて、持ち駒ルールを採用したものも登場している。

*4 ちなみにどうぶつしょうぎは後手必勝。

*5 ちなみにチェスにおける「ステイルメイト」(王手はかかっていないが、自駒をどう動かしても王が利きにさらされる状況。チェスでは引き分け扱い)は理論上は将棋でも発生しうるが、攻め手が勝ち扱いになる。しかし持ち駒ルールのお陰でまずありえず、起こるとすれば圧倒的な戦力差がつき、攻め方が故意に狙った場合に限られる。

*6 藤井個人にしても居住地の愛知から東京や大阪に出張する負担も大きかった。

*7 正確にはトヨタの保有する自社ビルの会議室の一つを対局場に改造した。

*8 羽生は一度無冠になった際は前竜王を名乗ったことがあるが、2018年に竜王を失冠し無冠になった際はそのまま九段を名乗っている。

*9 なお段位別トーナメントの組み合わせが決まった後に昇段した棋士が本戦に進出した結果、「特定の段位だけ本戦に一人もいない」という事例も何度か起きている。

*10 ちなみに、棋王通算10期を達成しているのは永世棋王資格保持者の羽生善治と渡辺明のみ。

*11 そして、これが加藤にとって全棋戦を通して最後の本戦入りとなった。

*12 なお羽生はNHK杯で予選落ちしたことがなく、そのまま永世シード権を取得したのでこのままいけば生涯NHK杯予選落ちなしとなる。

*13 連盟が「スケジュールの開いている」タイトル保持者を選択する。ただ2024年度は「スケジュールを調整する」可能性が発生している。大体二代目将棋星人のせいだが。

*14 第3回以降。当初は50歳以上のみ。

*15 2024年現在、リーダーはタイトルホルダーか順位戦A級以上に所属する者となっている。

*16 元々は名人を含めて四つだったが、後からB級とC級を分割したためにこの様な体制になっている。

*17 マイナビ女子オープンのアマチュア参加については「有段者」の制限がある。

*18 名を冠している岡田美術館は同社創業者が箱根に作った美術館

*19 2008年には「休止」が発表される事態にまで至っている

*20 林葉は将棋連盟を退会したため、現在はクイーン王将を名乗ることができない

*21 館内に大山名人記念館がある

*22 大山存命時は合併前の百石町。

*23 旧姓及びプロ入り時は「吉田」だったが、2015年に結婚した時に婿養子になって戸籍上も棋士としての名義も渡辺に改姓した。ちなみに結婚相手は元競技かるたクイーンでなんと22歳も年上の方である。

*24 出場しているのはプロではなく事務の方々。

*25 公的機関も多いのは連盟の法人格が株式会社ではなく”公益“財団法人なのも大きい。

*26 羽生は小学生の時にアマチュア大会で小池の記録係をした事があり、「その生き様同様に棋風も破天荒そのものだったが、ものすごく強かったのは印象に残っている」と語っている。村山聖は中学生名人戦で敗退した頃に小池と指して勝ち、「ぼく、強いなぁ」と小池に言われた事で、中学生名人戦敗退で失いつつあった自信を取り戻す事が出来たという。

*27 本人も煙草を吸っただけで必ずしも舌癌を患うとは思えないが、ヘビースモーカーだったが故に重度の癌になってしまったのだろうと回顧している。

*28 亡くなる一年前には既に余命宣告を受けていた。

*29 歩は18枚もあるため、手駒にいきなり増えても咄嗟に見抜きにくく、詰ませてすぐに賭け金を持ち去るイカサマが横行したともされる。ただし実際にそのようなイカサマがあったのか資料は残されていない。

*30 ただしこれは「王・飛車(角)の両取りを仕掛けられた際に飛車角を逃がして王を守らない(通常なら王手放置で反則負けだが、相手もそれに気づかず王が持ち駒にいる)」という状況を揶揄したものであり、「大駒を粗末に扱ってよい」というわけではないことに留意。