登録日:2014/04/16 Wed 18:19:15
更新日:2025/03/22 Sat 22:54:04
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いや、上の言葉もあながちジョークとは言えないのだが、さすがにこれでは訳が分からない。
●目次
【概要】
囲碁とは、黒と白の碁石を碁盤の上に交互に打って繰り広げる
ゲームである。
五目並べ(連珠)とはルールが全く違うので要注意。
起源は中国の占星術にあるらしいが、日本にも伝わってきた。
歴史の授業でおなじみ、東大寺の正倉院の宝物に碁盤があるので、日本での歴史は少なくとも1200年以上になる。
日本では、
囲碁・将棋と並んで呼ばれることが多いように、
将棋と並んで普及している。
日曜の昼間に、NHKでプロ棋士同士が対局しているのを知っている人たちも多いであろう。
残念ながら現在の日本国内での人気としてはネットでも一大人気コンテンツとなっている将棋には及んでいないと思われる。
理由は色々挙がっているが、形成判断が初心者に判別しづらく見る専門のファンが少ないのではないかとの声が多い。
【世界の囲碁】
日本では
将棋に劣っているが、海外での囲碁は将棋よりも人気がある。
海外だとチェスや象棋(中国将棋)といった亜種が主流なので世界の将棋類を合算した場合はそっちの方が人気が高い。
中国・韓国・台湾の他、アメリカ・ヨーロッパでも普及しており、「頭脳オリンピック」世界ワールドマインドスポーツでも正式種目として採用されているのだ。
インターネットで碁を打つなら、言葉がほとんど通じない海外の人と碁を打つことも簡単に可能である。
中国と日本では地の数え方のルールがちょっとだけ違うが、基本的にほとんど差がないのでよほどの上位者でなければ気にしなくてもいいだろう。
囲碁は個人競技であるが、国別に見たときの強さは、概ね
と言った所。
かつては日本が世界最強であったが、中国、韓国に追い抜かれてしまった。
元々は「日本棋戦で活躍する=世界的強豪」とされていたため、中国や韓国・台湾から日本にやってきてプロになる棋士も多くいた。
しかし、国際棋戦の増加で活躍の基準がそちらに移っていったのもある。
とはいえ、中国や韓国のトップと互角に戦っている日本のプロ棋士もいる。
近年は日本棋戦の規則を国際棋戦の物に近づけたり、外国棋士との練習対局を増やす等、改革を進めている。
【囲碁のルール】
囲碁では、基本的に19×19の19路盤を使う。
しかし、入門者向けでは、9×9の9路盤や13×13の13路盤など、もっと小さい碁盤が使われる。
ちなみに15×15の盤は「連珠盤」と呼ばれ、専ら
五目並べを行うのに用いられる。(囲碁に使えなくもないが)
囲碁のルールは
①黒から先に、黒白交代で1手ずつ、盤の交点に打つ。
②自分の石でたくさん陣地(「目」という。陣地が二つなら「二目」となる。)を囲った方が勝ちとなる陣取り合戦である
③相手の石をタテヨコに隙間なく囲めば取れる(とった石は後で相手の陣地を埋めるのに使う)
④コウのルール
⑤これ以上どこにおいても自分の不利になるだけだと双方が判断したら終了
細かいルールは他にもあるが、とりあえずこれだけ分かっていれば碁は打てる。
それぞれの駒の動き方や初期配置、成りのルール、二歩などの反則を覚えなければならない将棋と比べて、囲碁では最初に覚えるべきことは少ない。
ルールを覚えるための項目ではないので、ルールは
Wikipedia先生にでも聞いてもらいたい。
外部リンク
は用意させていただいた。
実は覚えることが少ないのがむしろ曲者。
ルールが少なく自由度が高いので、逆に言えば何をどうやったら勝ちに結びつくのかが非常に分かりづらい。
端的に言うと、基本的な戦略と勝利条件を理解するのにかなりの棋力を要する。
このため、せっかくルールを覚えてもその先楽しいと思えるまでに強くなるのは楽ではなく、せっかくルールを覚えたのに挫折してしまう人も決して少なくない。
ただし、それを乗り越えて楽しさに目覚めた人は非常にはまるゲームである。
【囲碁用語】
囲碁で使われる用語の一例である。
いじめる
閉じ込める
荒らす
殴りこむ
しのぐ
追い落とす
押しつぶす
えぐる
眼を潰す
切り違える
頭をはねる
殺す
のぞく
からむ
下からまくる
ぶっかけ
はめる
さしこむ
アレ?
もちろん他にもいろいろあるので、気になる人は
Wikipedia先生か周りの囲碁の分かる人にでも聞いてみよう。
また、囲碁から生まれた慣用句も数多い。
ざっと挙げてみると
「岡目八目」・・・対局者より傍で見ている人の方が冷静なので8目くらい得、という意味。
「八百長」・・・・囲碁の強かった八百屋の長兵衛さんがお得意さんに故意に負けてあげていたことから。
「ダメ押し」・・・囲碁の陣地を計算する前の作業を「ダメを押す」ということから。
「一目置く」・・・かつて弱い方が先に打って(=一目置いて)いたことから。
なども囲碁用語から生まれている。
【囲碁とコンピュータプログラム】
今、囲碁や将棋のような理論上は運の絡まない実力勝負のゲームで、どんどん発達するコンピュータプログラムに人間が勝てなくなっている。
チェスは、人間最強がプログラムに負けてから既に10年以上経過。
オセロも、もう人間は勝てない。
将棋も、プロ棋士がプログラムに負けてしまっている。
チェッカーに至っては必勝法まで見つかってしまった。
ところが、囲碁については最後までプログラムより人間のプロ棋士が上だった。
2014年まではアマチュアでも、かなり強い人を連れて来れば割と普通にプログラムに勝ててしまっていた。
19路盤より9路盤などの小さい碁盤の方がプログラム有利だが、9路盤でもプロに勝てない。
理由は二つある。
一つ目は、囲碁はパターンが多すぎること。
試しに、19路盤で囲碁の開始30手を打ち終わったと考えてみよう。
序盤から中盤に入る頃と言ったあたりで、野球なら2回か3回である。ここで、碁盤の上の空間は331カ所。
次の手は331通り。
2手先は11万通り。
3手先では3600万。
5手先で3兆8500億。
なんと、たった5手先に打つだけで3兆通り以上。
将棋には、コンピュータを800台近くつなげ、1秒間で2億8000万手読むプログラムがある。
ところが、それでも11手先を読み切るのに必要な時間は、宇宙の年齢137億年を一桁上回る。
32手でパターン数は全宇宙の原子の数に匹敵。
しかも、32手先まで読んだところで、野球で言えば5回が終わったかどうか。
まさに囲碁とは、宇宙である。
そんな世界で人間が強い理由は、「明らかにダメなので読む必要のない手」を知識や感覚でばっさり捨ててしまうことができるから。
もちろん捨ててしまう手の中によい手がある可能性もあるが、強くなればなるほど、その精度は高くできる。
一方、プログラムにはそれが難しいのだ。
もちろん、プログラムにも途中の局面の良し悪しを判断し、読む必要のない手を外したり、読みを打ち切ったりするプログラムがちゃんとある。
しかし、ここで理由の二つ目が登場する。局面の良し悪しの判断が難しいということだ。
囲碁は陣地が多ければ勝ちだが、陣地が大きすぎる=守りがスカスカになるし、狭すぎればもちろん負け。
人間は感覚的にちょうどいい具合を把握できるが、プログラムには把握ができないのだ。
ところが、2016年3月、世界最強棋士のひとりである韓国の李世ドル(石乙と縦に書いてドルと読む)がコンピュータプログラム「AlphaGo」に1-4で敗北。
人類も一矢は報いたものの、ついに囲碁の牙城も陥落したのであった……。
【プロリーグ】
日本国内の囲碁のプロの協会は「日本棋院」「関西棋院」の二つ存在している。
日本棋院と関西棋院とは完全に別組織。さらに日本棋院関西総本部とかもあるのでややこしいが、タイトル戦は共同で行う。
しかし囲碁は国際試合を行う関係上、一国を代表する統括団体が無いのは不便なことから、後に日本棋院と関西棋院、日本ペア碁協会と共同で日本のプロ囲碁を統括する「全日本囲碁連合」も設置されている。
囲碁の棋士になるには「院生」となってトップの成績を収めるか、それとは別に棋士採用試験に合格する必要がある。他にもいくつか方法はあるが割愛。
将棋の棋士と比べれば人数は多いが、それでもプロへの道を諦めざるを得ない者は多い。合格すれば初段としてプロとなる。
将棋と違って成績が悪くても降段や強制的に引退する仕組みがなく、長く打って勝ち星を重ねれば昇段する仕組みのため、九段が非常に多い。
他方、対局料だけで食べていける棋士は多くなく、兼業している棋士も少なくない。
将棋よりも競技人口の低下が進んでいるため競技・関心人口の向上、世界的強豪棋士を増やすのが課題になっている。
女流棋士も特に男性棋士と区別はされておらず、女流棋戦や女性だけが受験できる棋士採用試験がある程度。
ただ、男女共同の棋士採用試験から受かった女流棋士は多くない。
囲碁の国際性もあり日本以外の出身者の棋士も多いのが特徴。日本棋界の発展に貢献した外国人棋士も多い。
タイトル戦
主な国内タイトル戦は7つ。
只、本因坊戦の棋戦契約金が減少し、新たな協賛が中々付かないこともあり、七大タイトルが今後も安定して維持されるのか不透明な状況である。
また世界選手権もあるが、日本棋士はかなり苦しい戦いを強いられているのが現状。
2024年に一力遼が応氏杯で優勝したが、日本棋士の大型世界棋戦の優勝はなんと19年ぶりであった。(小型の棋戦であればもう少し優勝しているが)
- TVアジア杯
- 春蘭杯
- LG杯朝鮮日報棋王戦
- 応氏杯世界選手権
- 三星火災杯世界囲碁マスターズ
- 農心辛ラーメン杯
- 夢百合杯世界オープン戦 など
【著名な囲碁の棋士】
(※は引退した棋士、※※は亡くなった棋士)
16~17世紀の棋士。
彼が織田信長から「名人」と呼ばれたことで、囲碁や将棋の優れた棋士が「名人」と呼ばれるようになった。
本能寺の変の前夜、彼が本能寺で対局していたところ「三コウ」と呼ばれる非常に珍しい形が出現したと言う伝説がある。また、本能寺の変で信長の遺体が見つからなかったのは、算砂が持ちだしたからであるという伝説もある。
本能寺の変からは逃げおおせており、その後は豊臣秀吉や徳川家康に仕えて本因坊家の祖となった。
17~18世紀の棋士。同時代に飛び抜けすぎていて実力十三段と言われた。
当時は日本の囲碁界の実力が中国などと比べても抜群に上であり、日本にやってきた琉球や中国の棋士にハンデを出してなおボコボコにしている棋譜も残っている。
史上最強候補として秀策よりこちらの名前が挙がることが多い。
なお、「本因坊」は「安井」「林」「井上」と並ぶ江戸時代の囲碁家元の名前だが、本因坊がついているからと言って全員血がつながっているわけではない。
同作と同時代の棋士だが、日本史に詳しい人なら聞き覚えのある別の名前があり、その名は渋川春海。
江戸時代の暦を作成した高名な天文学者その人である。
前記した家元安井家の出身であり碁の腕も非常に強かったが、流石に道策が相手では分が悪かった。
19世紀の棋士。恐るべき腕力を誇り、こちらも史上最強に名が上がる。
ただし名人碁所(囲碁を司る江戸幕府の役職)への就任を巡り、井上幻庵因碩との角逐でいろいろと陰謀を巡らせたりしたので評価が今ひとつ高くない。
とはいえ、最後は実力の世界であり、「名人の資格はない」と挑まれた碁で妙手を放って退けるなど肝心なところでの実力は恐ろしいものがあった。
なお娘は秀策に嫁いだ。
丈和の
ライバルでダイナミックな打ち筋が特徴。
肝心なところで丈和に勝てず、名人碁所を諦めざるをえなかったが「名人級の力を持っていた」とは衆目の一致するところ。
本因坊秀策に「耳赤の一手」を打たれたのはこの人。
『
ヒカルの碁』でおなじみ、漫画内では藤原佐為がとりついていたという設定だった江戸末期の棋士。
因島出身で、幼名は虎次郎。
実在の人物で、将軍の前で対局する名誉ある対局で19連勝するなど抜群の実力者。
本因坊家の跡継ぎだったが、謙虚で優しい人物でありコレラが流行った際に自分で門人の看病をしており、
結果として自分がコレラにかかって死んでしまった。
明治維新の頃の本因坊家の囲碁棋士。
明治維新・囲碁界のパトロンであった江戸幕府の消滅に伴いピンチに陥った囲碁界を立て直した手腕を持つ。
囲碁も非常に強く、存命中の秀策には苦戦していたが、秀策死後も腕を上げており秀策と同等の実力者と見る向きが多い。
明治の囲碁棋士で、これまた史上最強の候補。
非常にストイックに囲碁に打ち込んで、その姿勢は犬養毅など多くの著名人の尊敬を集めた。
他方で清貧が過ぎる所があり、門下で一番強かった弟子である秀哉を「金に汚い」という理由で嫌っていた。
しかし一番目をかけていた弟子の雁金準一は秀哉に勝てず、跡目を決めずに死亡して混乱を起こした。
秀栄の実質的な後釜。後述の呉清源など若手の挑戦を退けた。
本人も非常な実力者であったが、「本因坊の名は家元ではなく最強者が名乗るべきである」と考え「本因坊」の名跡を日本棋院に譲った。
これが本因坊戦の始まりである。
中国(中華民国)出身だが日本に帰化した囲碁棋士。昭和初期の囲碁界で無双し、大半の棋士をハンデを出して退けた。
90歳以上生きてAIが人間の棋士を破る少し前に亡くなったが、AIの打ち方は呉と近いともいわれている。
ちなみに力士の双葉山と同様、璽宇という当時の新興宗教にはまってトラブルを起こしたこともある。
呉のライバルにして親友。本因坊秀哉の引退対局の相手を務めたのも木谷で、見事勝利している。
タイトルには今ひとつ恵まれなかったが多くの弟子を育て、「木谷門」は昭和末期~平成初期の囲碁界を席巻することになる。
子宝にも恵まれたが棋士になったのは三女の禮子だけだが、タイトルを複数回獲得しており、後述する通り小林光一の妻となっている。
次男・明は刑事事件の裁判官として有名で、映画「それでもボクはやってない」の前半部の人権派裁判官のモデル。また四女の智子は大阪・毎日放送のアナウンサーとして活動していた。
「天才宇太郎」「火の玉宇太郎」の名で親しまれた関西の棋士。本因坊戦で起きた原爆下の対局の当事者として知られる。
第二次世界大戦後も本因坊を保持するなど活躍するが、本因坊戦の規定改定を巡り東京の日本棋院と対立。
支持者と共に当時は日本棋院の支部でしかなかった関西棋院を完全に独立させ、その総帥を務めた。
翌年の本因坊戦では坂田から挑戦を受けるが激戦の末、これを退け防衛。以後も亡くなるまで関西棋院の第一人者として君臨した。
戦後本因坊を9期獲得した実力者。9連覇により名誉本因坊の称号を現役で名乗った。(後に二十二世本因坊秀格)
「ぬるま湯」「高川のパンチではハエも殺せない」と言われるようなぬる~い手を連発するのに、それでいて勝ってしまい、「
タヌキ」の異名も。
しかし坂田だけは極端に苦手だった。
戦後の囲碁界を牽引した名棋士。永世本因坊(二十三世本因坊栄寿)にして囲碁界唯一の名誉NHK杯選手権者(NHK杯優勝通算10期)である。
全盛期はどの棋士も坂田に勝てなくなり、「坂田は遠くなりにけり」とボヤいた棋士さえいたほど。
カミソリの異名を誇り、苦戦の局面を誰も思いつかないような手で逆転することが度々あった。
王座・十段の保持経験を持つ棋士。
若い頃は高川・坂田と並んで日本棋院若手三羽烏と称され「黒番不敗」として恐れられた。
ダンプカーのあだ名で知られた力戦派であり、白番のマネ碁を得意としていた。
上記の朋斎の年下の叔父である名誉棋聖。坂田のライバルで異常感覚とも言われる打ち筋に定評がある。
後進指導にも熱心で弟子以外にも研究会を通して指導を受けた棋士は大勢いる。
また中国にもよく遠征し同国囲碁界の発展にも貢献した伝説の人物……だがそれよりその素行が将棋棋士の米長邦雄共々色んな意味で有名。
そのインパクトの強さは将棋が題材の『
りゅうおうのおしごと!』にもこの人をモチーフにしたと思しきキャラが出るくらいである。
- アルコール依存症。タイトル戦の時だけ死ぬ思いでアルコールを抜く。
- しかも絡み酒をする上中国の最高指導者・鄧小平にまで絡む。しかもその時の言葉が「中国語でお○んこは何と言うのか」。当然会見は中止になり藤沢はつまみ出された。
- 愛人の家に入り浸って年単位で家に帰らない。しかも子供もいて認知までしていた。
- ギャンブルにもハマっており、京王閣競輪場で熱中するあまり金網を握りつぶし、名所になる。
子供と孫も囲碁棋士となり、特に息子・藤澤一就は多くの棋士を育てており、また孫娘(一就の娘)の藤沢里菜は現在日本女流囲碁界を席巻している。
2024年現在男女通じて最高齢の囲碁棋士。なんと御年97歳。しかもちゃんと勝っているのだからすごい。
若い頃は女流棋界の強豪として君臨。60代で女流名人を奪取する等、トーナメントでも活躍した。
下の妹である幸子・光子は木谷門の棋士であり、同じくタイトル獲得経験がある。
なお夫の杉内雅男も長寿で2017年に97歳で死去するまで現役棋士だった。成績も最晩年まで安定しており80年の現役生活を勝ち越し(通算勝率0.566)で終えている。
雅男は当時最高齢の棋士であり夫の死去に伴って最高齢になったのが寿子だった。
関西棋院所属。「重戦車」の異名を持つ。
十段や王座を獲得するなど先輩の宇太郎と共に関西棋院の二枚看板「両橋本」として活躍し、宇太郎の死後は関西棋院の代表を務めた。
苗字が被っているため(なお両者に血縁関係はない)宇太郎は「大橋本」、昌二は「小橋本」と区別されていた。
木谷門。手厚い打ち筋で数々のタイトルを獲得した名誉碁聖。
後に日本棋院の理事長および全日本囲碁連合の初代会長を務めた人物だが、囲碁よりも麻雀の方が好きとのこと。
79歳に入った2021年でもほぼ打ち分けの成績を残すものの、棋力の衰えを悟り引退した。
台湾出身(生まれは上海)。「20代の名人はあり得ない」と言った坂田栄男から名人を奪ってその時代を終わらせ、大竹と数々の名勝負を争い「竹林」と並び称された名誉天元。
勝負が決まったように見えてから粘って逆転する様から「二枚腰」の異名も。
木谷門出身。宇宙流と呼ばれた中央重視の独創的な布石で世界を席巻した棋士。
その布石は世界の囲碁を一人で変えてしまったと言われたほどに世界の囲碁に影響を与えた。
日本国内でもそこそこタイトルをとったが、囲碁の世界大会が始まった当時、度々優勝をかっさらって注目を集めた。
スキンヘッドだが剃っているだけ(昔は普通に生えていた)。
バックギャモンの日本チャンピオンになったこともある。
息子の武宮陽光も棋士で、日本棋院理事長(2024年現在)。
木谷門出身。「殺し屋」の異名を持ち、競り合うと異常なほどの強さを発揮した名誉王座(史上唯一…だったが2024年、井山裕太が2人目の名誉王座に)。
日本棋院の理事長として多数の改革を行い、停滞気味だった日本棋院に活を入れたことでも知られる。
しかし多忙がたたってか早逝してしまい(「殉職」と評する向きもあった)、NHKで追悼番組が放送された。
(加藤は死ぬまでNHK杯で勝ち上がっており、死亡に伴い不戦敗となった)
木谷門出身。「コンピュータ」の異名を持ち、正確さに定評があった永世本因坊(二十四世本因坊秀芳)。
武宮・加藤と並んで「木谷門三羽烏」と呼ばれた。
木谷門出身。日本国内タイトル獲得数第1位にして名誉二冠(名誉名人・二十五世永世本因坊)。韓国生まれだが幼少期に来日して以来、日本棋院に所属し活躍した。
恐ろしいまでに読みが深い上に勝負には滅茶苦茶厳しく、交通事故に遭った際には「思考力を落とさないよう麻酔なしで手術してくれと頼んだ」という逸話があるほど(実際はデマ)。
しかし話してみればユーモアあるおっさんで、彼のトークにはあのひふみんもタジタジ。
髪の毛がもじゃもじゃで浮浪者っぽい。また対局中のぼやきぶりは見ていて楽しい。
ちなみに叔父の趙南哲も同じく木谷門の棋士で現在の韓国棋院の創始者である。
木谷門出身。趙治勲最大のライバルで名誉三冠(名誉棋聖・名誉名人・名誉碁聖)。
武宮正樹に「地下鉄」と揶揄されるような勝負に辛い棋風だが当人はそれを気に入っていた。
世界戦初期は中国棋士をボコボコにしまくって「鬼小林」の異名を誇った。
妻は木谷實の娘の禮子で、娘の泉美は張栩と結婚している。
木谷門出身。タイトルには恵まれていないが、「無冠の帝王」とも言われ、豪腕な打ち筋に定評がある。
さかなクンの父親でもあり、息子は「さかな」と呼ぶらしい。(子育てについては母親の影響の方が大きいようであるが、詳細はここでは伏せる)
中国の棋士だが、日本が中国囲碁界に先行していた時期に度々日本棋士を破った。
特に日中勝ち抜き戦である日中スーパーで大将として小林光一・加藤正夫・藤沢秀行の3人を破って中国チームの勝利をもたらし、「鉄のゴールキーパー」と言われた。
息子の孔令文七段は日本でプロ入りし帰化している。
韓国と
アメリカ合衆国両国でプロ囲碁棋士の資格を持つ。ジミー・チャとも。
ポーカープレイヤーとして有名だが、囲碁の方でも趙治勲を倒して世界ベスト8に残る実力者。
映画化もされた小説『オールイン』の主人公のモデル。
韓国棋士だが、日本に囲碁修行にやってきて日本でプロ入り。(日本暮らしが長いため思考まで
日本語らしい)
その後韓国に帰って囲碁皇帝の異名を持つ大棋士となった。
曺薫鉉と武宮で世界タイトルホルダー同士の記念対局が組まれ、テレビ放送された際、韓国で75%という空前絶後の視聴率をたたき出した。
韓国棋士で、曺薫鉉の一番弟子。1990年代に弱冠14歳で世界大会優勝などの活躍を見せ、そこから韓国囲碁界の隆盛&日本囲碁界の凋落が始まったと言っても過言ではない。
一時期の世界最強は間違いなく彼。囲碁世界タイトル獲得記録の保有者。
終盤があまりに正確で「神算」の異名を持つ。
囲碁以外の生活力は皆無で、囲碁をやり過ぎた結果通信簿はオール1な無頼派。一応勉強させてみたらそこそこの成績にはなれたそうな。
捨て石の名手で世界大会でも単騎無双して日本チームを優勝させたほど。
『ヒカルの碁』のsai vs toya koyoの棋譜のネタ元は彼が林海峰を破った対局。
旧姓・梅沢。
加藤正夫の弟子で、
ヒカルの碁の囲碁監修役を務めた女流棋士。アニメでも「ゆかり先生」として登場している。
普及における功績が大きいが、対局方面でも女流棋聖3連覇した実力者。
慶應義塾大学卒で、大学時代は男の学生に混ざって個人戦入賞したこともある。
林海峰門下。台湾出身の
イケメン棋士で山下敬吾・羽根直樹・高尾紳路の3人と共に「平成四天王」と呼ばれた。
井山が台頭するまで四天王筆頭格として日本囲碁界を牽引。世界タイトルも2回取っている。
ストイックな性格で詰碁作りの名手でもある。
妻は小林光一の娘の小林泉美。結婚時点で張栩が本因坊、小林泉美が女流本因坊だったため「
本因坊カップル」と言われた。
2人の間に生まれた娘も囲碁棋士となっている。
平成四天王の一人。緑星学園出身のプロ棋士の中では断トツの実績を誇る。力戦派で、若手時代は初手を天元や五の五に打つ大胆な布石からの力強い攻めでタイトルを獲得した。現在は布石こそ一般的なものに落ち着いたが、攻めの強さは未だ健在。
中部地方を代表する親子棋士。共に七大タイトル獲得経験がある。
父の泰正は「中京のダイヤモンド」の異名を持つ。攻撃的な棋風で高中国流を得意とした。
小林光一から王座を奪取したことを始め、日中スーパーでも連勝中の聶を破って日本の優勝に貢献している。
息子にして弟子の直樹は平成四天王の一角。積極的な仕掛けずシノギからの逆転を得意とする。
2019年には許家元から碁聖を奪ったが、これが平成四天王最後のタイトル獲得実績となっている。
平成四天王。藤沢秀行門下であり棋風も師匠と同じく模様派。
秀行の弟子の中では古参であることから師匠との繋がりも深く、本因坊の雅号「秀紳」の名も師から授けられた他、秀行生前最後の言葉も高尾に向けた物だった。
李昌鎬の後に出てきた韓国棋士。『ヒカルの碁』の進藤ヒカル-高永夏戦の棋譜のネタ元は、彼が世界戦決勝で勝った碁。
AIのAlphaGoと対局して1-4で敗れたが、そのときまで間違いなく世界最強棋士の一人であった。
というか、彼を最後にAlphaGoに勝った人間は一人もいない。
2019年に引退。
関西棋院所属。藤沢秀行から教えを受けており小学生の頃からプロ級と言われてアマチュアの大会を出れば総なめするほど。
しかし灘高校出身、京都大学
医学部卒、医師国家試験も合格しそのまま医師へ…と思いきや結局棋士になった。
2010年には29年ぶりに七大タイトルを関西棋院にもたらし、世界最強棋士の一角である韓国の朴廷桓をボコボコにするなど、プロ入り後も大活躍していた。
2019年からは休場し再び医師への道を歩んでいる。本人曰く自分が納得できる囲碁が打てなくなったとのこと。
関西棋院所属。早碁の名手でNHK杯優勝5回などの実績を持つが、七大タイトルでも天元と碁聖の保持経験もある。坂井と共に活躍し関西棋院の復活を印象づけた。
ご存じ将棋の羽生と並ぶ大棋士。
小学校2年生で小学生の名人戦(6年生まで参加する)優勝した。
7大タイトルを全て獲得した上、1冠奪還されたが、残ったタイトルを全て防衛して奪還されたタイトルを奪い返し再度7冠に返り咲いた。
なのに知名度は羽生の方が断然上。ある意味
羽生善治の被害者。
また世界では井山級の棋士も多数おり、飛び抜けているというわけではないが、AIとの対局で最もAIに肉薄したのは井山であったと言われている。
棋風は見ていて心臓に悪い手を連発するタイプ。
将棋の女流棋士室田伊緒の夫でもあったが後に離婚。現在は別の女性と結婚して子もいる。
2024年末時点で5つの名誉称号資格を得ている。(名誉棋聖、二十六世本因坊文裕、名誉王座、名誉天元、名誉碁聖)
2017年頃から世界最強棋士であり、「大帝」の異名を持つ。井山も柯潔にはなかなか勝てないでいる(勝ったことはある)。
ビッグマウスで舌禍も多いが人付き合いはよく日本の若手棋士とも仲がよい。
AlphaGoが李世ドルを破った後、柯潔がAlphaGoに立ちはだかったが善戦どまりで敗れ、涙を流している。
ちなみにその2日後には世界タイトル経験者をボコボコに破り、「人間との対局はこんなにも気楽」との名言を残した。
成績は中堅上位くらいだったが、声優・照井春佳の囲碁入門を指導し、その縁で2021年に結婚した。
その後覚醒したのか2022年全棋士参加棋戦である阿含・桐山杯で一力と井山を立て続けに破って優勝。
ポスト井山と目される若手で既にタイトルを複数獲得しており、2024年には大型世界棋戦の応氏杯でも優勝した実力者(日本棋士の世界戦タイトルは19年ぶり)。
ちなみに
宮城県の新聞社社長の御曹司で、
早稲田大学を卒業した高学歴。
現在は同社取締役としての一面も持つ等、なろう系主人公張りの多才ぶりを発揮している。
こちらもポスト井山の一人。台湾出身で史上最年少で碁聖を獲得し他にもタイトル保持経験を持つ。
一力が応氏杯で優勝した際には会場の中国に同行して囲碁研究パートナーや通訳として支援した。
ヒカルの碁のファンだった親の影響を受け囲碁を始めたポスト井山の一人。
同じくポスト井山で既に名人をとるほど(一度失冠したが、2022年に返り咲いた)。
史上最年少で名人、王座、十段の三冠を達成した若手のトップ。
あまり石を強く打たなかったり、「勝ちたいという意欲がない」というトップ棋士らしからぬ発言が目立つ自然派。
将棋棋士の豊島将之に顔が似ていると言われておりその豊島と実際に対談したこともある。
上の一力・許・芝野の3名は「令和三羽鳥」と称されている。
台湾出身の棋士で関西棋院所属。
元々は台湾棋院の所属で同棋院史上最年少棋士として在籍していた。
タイトル保持経験はないものの挑戦回数は令和三羽鳥に匹敵する実力者。
女流棋士。「ハンマー」と形容される力強い打ち回しが特徴。
女流タイトル戦での活躍はもちろんのこと、若鯉戦や新人王戦など男性棋士も参加する棋戦での優勝経験も持つ。2024年には国際女流棋戦でも優勝。
妹の上野梨紗も囲碁の女流棋士。
関西出身の女流棋士。父親もプロ棋士、母親もアマ強豪の囲碁一家で、早くから頭角を現し韓国で修行していた。
英才特別推薦制度で推薦され、12歳で入段した井山より早い10歳でプロになった。
2023年には13歳で早くも女流棋聖のタイトルを獲得し、男女混合世界戦でも本戦に推薦枠で出場して1回戦を勝利する(タイトルホルダーでも1回戦負けは珍しくない)など力をつけていった。
2024年に韓国棋院に移籍して韓国で対局をしているが、そちらでも好成績を収めている。
【アニヲタ的囲碁】
アニヲタ界隈で囲碁絡みで非常に有名なのは、何と言っても『
ヒカルの碁』。
囲碁のルールや戦術が分からなくても楽しめる作品でありながら、
分かればさらに楽しめるという名作であり、少年少女の囲碁ファンをかなり増やしたと言われている。
同作を読んで囲碁に関心を持ち、囲碁のプロ棋士になった人も複数人存在する。
囲碁を打っている、あるいは囲碁が趣味のもの
【アニメキャラ】
「ヒカルの碁」は登場キャラ全般が該当し、
伝説の筒井先輩は項目がある。ここではそれ以外のものを取り上げる。
有名人
人名 |
肩書・職業等 |
備考 |
豊臣秀吉 |
戦国武将 |
碁に負けて妾を取られた(相手は伊達政宗) |
徳川家康 |
囲碁殿堂で表彰される囲碁好き |
伊達政宗 |
碁でケンカして絶縁状を叩き付ける |
関羽 |
三国志の武将 |
腕を麻酔なしで手術しながら馬良と対局 |
天璋院篤姫 |
幕末・将軍の妻 |
大河ドラマで対局 |
喜多村英梨 |
声優 |
中学時代、囲碁部に所属していた |
照井春佳 |
アマ初段の免状持ち、配偶者は囲碁棋士の平田智也 |
ちなみに、
囲碁サッカーなるものもあるが、ぶっちゃけよくわからないなにか。
【余談】
毎年1月5日は囲碁の日である。由来はもちろん語呂合わせ。
囲碁界と将棋界は関わりも深い。囲碁を嗜む将棋棋士も昔から多い関係で日本将棋連盟には囲碁部も置かれており、囲碁棋士が師範となって指導している事もある。逆もしかり。
囲碁サッカーがどんな競技か分かる方は、追記・修正お願いします。
- ちなみに、現在日本最強の一角を担う井山棋聖の嫁は将棋の女流棋士 -- 名無しさん (2014-04-16 20:07:58)
- 初心者には終わるタイミングすらよく分からないとんでもないゲームってほった先生も言ってたな -- 名無しさん (2014-04-16 21:32:28)
- 世界トップクラスの囲碁ソフトがアマチュア6段程度の強さらしいからねぇ。6段くらいなら学生にもごろごろいるわ -- 名無しさん (2014-04-16 23:54:30)
- 将棋みたいに定石が色々整備されてれば違うんだろうけどね 人間にもまだまだ未知のゲームってことなのかなと -- 名無しさん (2014-04-17 15:34:09)
- 数年前は俺でも勝てたんだよな(四段) 囲碁は石の価値を高めて相手の石の価値を下げるゲームだから手順とか様子見が面白いな 俺的にはボードゲームでトップ -- 名無しさん (2014-04-17 18:52:41)
- うわっ 物凄くやりたくなった 凄いなこの項目 -- 名無しさん (2014-04-18 00:21:27)
- ↑やりたくなる→勝ち方がわからない。→やめる→項目などを見る→またやりたくなる。 勝ち筋が理解できないと以下無限ループ。 -- 名無しさん (2014-04-18 00:46:25)
- 黒側の方が有利だったっけ。現在は白側にコミと呼ばれる陣地のハンデがあるからほぼ互角か? -- 名無しさん (2014-04-18 15:05:40)
- シンプル故に奥深いを体現したようなゲーム。ルールを覚えるだけならあらゆるボードゲームの中で一番簡単だけど、ちゃんとやろうとすれば間違いなく一番難しいボードゲーム -- 名無しさん (2014-08-03 00:33:26)
- ただやはりマイナーなのは否めない。 -- 名無しさん (2015-07-15 10:17:30)
- ヒカルの碁の影響で小学生の頃囲碁クラブ入ったり囲碁の本読んだけど全然ルールわからなくて(というか勝負の進め方)挫折した。 -- 名無しさん (2016-03-09 18:42:10)
- 人類最後の砦が遂に壊れたか -- 名無しさん (2016-03-12 18:52:11)
- いよいよコンピューターが本格的に攻めてくる!…と思ったらワンパンで粉々にされたでござる -- 名無しさん (2016-03-12 19:40:35)
- ある意味人類代表のセドルには勝ってほしかったんだけど…。 -- 名無しさん (2016-03-12 21:29:10)
- プロになりたかったけど地方で院生になれなかったから断念した -- 名無しさん (2018-03-10 22:42:19)
- 入門者がどこで躓くかわかった。ゲームの終了条件がわからないんだ。 -- 名無しさん (2018-08-05 06:03:35)
- 井山さんは藤井聡太(元妻の弟弟子)の被害者でもある気がする。 -- 名無しさん (2024-04-17 01:32:31)
最終更新:2025年03月22日 22:54