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Olivia Newton-John

登録日:2026/08/09 Sun 18:25:40
更新日:2026/08/11 Tue 19:10:36
所要時間:約 15 分で読めます




Olivia Newton-John(オリビア・ニュートン=ジョン、1948年9月26日‐2022年8月8日)とは、イギリス生まれオーストラリア育ちの女性歌手。
70年代から80年代中盤にかけてヒット曲を連発、映画女優としても活躍した美女の一人。アルバム『水の中の妖精』に引っ掛けて「妖精」と呼ばれる事もある。

◇経歴

1948年のケンブリッジ(イングランド)、オリビアはノーベル賞を受賞した事もある物理学者の祖父やケンブリッジ大学でドイツ語を教える教授の父など著名な学者一家でもあった家庭に生まれる。

5歳で一家はオーストラリアに移住、歌が大好きな少女のオリビアは色んな場所で歌うようになる。やがて1966年にはイギリスに戻り一度デビュー、しかしこの時は芽が出ずその後は他の歌手のバックコーラスなどをしていた。

1971年、「If Not For You」で世界デビュー(オリビアにとっては再デビューでもあった)。ボブ・ディランの曲のカバーであるこのシングルはまずオーストラリアで7位、イギリスでも7位、そしてアメリカで25位と各地でヒット、オリビアはスターへの階段を登り始める。

この頃のジャンルはカントリーであり、1973年には「Let Me Be There」では最優秀女性カントリーボーカリストとしてグラミー賞を初めて受賞、1974年にも「I Honestly Love You」が最優秀楽曲賞と最優秀女性カントリーボーカリストの2冠を達成。清楚なヴィジュアルと「クリスタル・ヴォイス」と評された美しい歌声で一躍有名になる。

1974年にはユーロビジョン・ソング・コンテストにイギリス代表として出場したがこの時はABBAに惜しくも敗れてしまう、だがこの一件をきっかけに本格的にアメリカの活動の拠点を移したオリビアは「Have You Never Been Mellow?」をヒットさせる。

しかし徐々に売り上げが減り、1977年にはレコード会社のプロモーション不足を理由にレコード会社を提訴したり、活動の雲行きが怪しくなる。そんな中、オリビアは映画『Grease』のオファーを受け悩んだ末に出演する事を決める。

ジョン・トラボルタと共演したミュージカル映画『Grease』は空前の大ヒット、サウンドトラックもバカ売れ。映画ではオリビア演じるサンディーという清純な少女が変化してゆくのだが、オリビア自身も映画の成功をきっかけに方向性を変える事に。

これまでカントリー、そして柔らかい感じの印象だったサウンドはよりポップやロックなものに変化。イメージチェンジ後のアルバム『Totally Hot』は売れ行きも良く、シングル「A Little More Love」はアメリカで3位まで上がった。

1980年、ミュージカル映画『Xanadu』に主演、映画の内容自体は当時あまり褒められず今では一部のファンからカルト的人気を誇るに留まっている作品だが、ELOと組んだサウンドトラック等音楽方面はやはり大ヒット、ここからアメリカNo.1ヒット「Magic」、イギリスNo.1ヒット「Xanadu」が生まれた。

そして1981年、オリビアは更なるイメージチェンジ。これまでロングが多かった髪をバッサリショートに変え、性的な歌詞の「Physical」を発表。これがビデオ効果もあり記録的な大ヒット、アメリカでは10週連続1位、80年代で最も売れたシングルという凄まじい売れ方をした。

同じ年には同名のアルバムも発売(邦題は『虹色の扉』)。なんと収録曲全曲にミュージック・ビデオが作られた。今でこそビヨンセ等色んな歌手が同様の事をしていて珍しくもないが、オリビアの場合は20~30年も前にそういった事に挑戦していたのだった。ちなみに同年にはMTVも開局しており、洋楽のビデオ文化が一気に進む事になる。

見た目を含めてオリビアの変化は止まらず、1985年には「Physical」より更にエッチで魔性な「Soul Kiss」を発表しピークを迎える。だがこの頃に『Xanadu』で共演した無名の俳優兼ダンサー、マット・ラッタンジーと格差結婚(後に離婚)。翌年には娘を生んだ事でオリビアは過激に変化する事を止め、ナチュラルな方向にシフト。かねてより環境問題に関心は持っていたものの、具体的に活動に参加するようになり、1989年のアルバム『Warm And Tender』のパッケージを再生紙で作った。アルバムの方も子守唄や童謡を中心にして、子供や育児する人に向けたアルバムになっている。

そして1992年、乳がんを宣告される。治療によって一度は寛解したもののこの経験がオリビアに与えた影響は非常に大きく、以降の活動や作品の内容は乳がんの経験を生かしたもの、そして癒しをテーマにしたものが増えた。

1994年、オリビアは乳がんの経験を基に全曲自分で作詞作曲した神秘的でメッセージ性の強いアルバム『Gaia - One Woman's Journey』を発表、故郷のオーストラリアでヒットする。

出産を機に長らくアメリカで積極的に活動してこなかったオリビアだが1998年にはアメリカで再びアルバムを出し、同じくコンサートツアーも長い間ご無沙汰だったがこの頃から再開。以降は2010年代中盤まで世界中をツアーで周るようになった。

しかし2017年、2013年頃からがんが再発している事を公表。
その後もがんと闘いながら出来る範囲で活動を続けていたが、2022年8月8日、永眠(享年73歳)。

キャリアを通じグラミー賞をはじめとした多数の賞を受賞、オーストラリアでは音楽の殿堂にも選ばれ、ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムにも名前が刻まれている。

◇カントリーロード


アニヲタにとってオリビアといえばスタジオジブリの映画『耳をすませば』の主題歌、「Take Me Home, Country Roads」だろう。
元々はジョン・デンバーという人物の曲だが、『耳をすませば』のオープニングにはオリビアのカバー版が使われている。
というのもそもそもオリビアのカバー版は1970年代の日本でオリビアの代表曲として認知されており、当時朝の情報番組『おはよう700』のテーマソングとしても親しまれていた事から有名だった。

◇親日家・イルカ騒動

親日家としても知られるオリビアは2022年、日本国の音楽文化の発展及び友好親善に寄与したとして政府から旭日小綬章を贈られている。

そんなオリビアだが1978年には日本で一つ大きな騒動を起こしている、そう、『イルカ騒動』である。
簡単に言えば1978年にオリビアは来日公演を予定していたのだが、日本で行われるイルカの追い込み漁の事を知ったイルカ大好きなオリビアは日本での公演を一度拒否したというもの。この事から未だにオリビアに対して「反日」というイメージを持って発言するネットのコメントも散見される。

だが実際にはどうだったのかというと…
まずヘレン・レディというオリビアの先輩歌手*1がおり、彼女はオリビアに「アメリカで成功したいならアメリカに完全移住しなきゃダメよ」等色んなアドバイスを送ってきた人である。なのでオリビアは彼女を非常に信頼していたのだが、そんなヘレンが「日本ではイルカを虐殺している、私はあんな野蛮な国に行かない」とオリビアに発言。オリビアもまだ若く、ファクトチェックもしっかりせず鵜呑みにしてしまい、上述の行動に出てしまったという訳である。

しかし日本のファンクラブが嘆願書を送り、イルカ漁が行われる理由の一つとしてイルカが養殖の網を食い破るなど漁師の生活を脅かすためそれに対抗する措置でもある事を知ったオリビアは「漁師の皆さんの事情も何も知らずに短絡的に非難してしまった」と謝罪。それから来日公演は無事に行われ「イルカと漁師の皆さん、両方が共存できる未来の為に役立ててほしい」とコンサートの収益を日本のイルカ研究の施設に寄付した。

それから何回も来日しているだけでなく、24時間テレビの理念に賛同してその為に来日して番組用のコンサートをした事があったり、日本限定で未発表曲含むアルバムのCD-BOXを発売したり*2、東日本大震災が発生した時はオリビアが歌う「星に願いを」のチャリティーダウンロード配信を実施したり、福島で海外女性アーティストとしては初めての福島公演「Pray For Fukushima」を開催した。

徹子の部屋やはなまるマーケットに通訳付きで出演した事もある。ちなみに「Physical」が大ヒットしている頃に出演したミュージック・フェアでは着物を着て千昌夫と共演した。

◇代表曲

  • カントリーロード(Take Me Home, Country Roads - 1973年)
  • 愛の告白(I Honestly Love You - 1974年)
  • そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow? - 1975年)
日本では「キシリトールガム」「十六茶」等度々CMソングとして使われている。
  • ジョリーン(Jolene - 1976年)
えんだぁぁぁぁ」の原曲者でもあるドリー・パートンの曲のカバーだが、こちらも日本ではオリビアのカバーの方が有名。
  • 愛すれど悲し、愛のデュエット(Hopelessly Devoted To You、You're The One That I Want - 1978年)
2曲とも映画『Grease』の曲、後者はジョン・トラボルタとのデュエット。
  • 愛は魔術師(A Little More Love - 1978年)
  • マジック、ザナドゥ(Magic、Xanadu - 1980年)
2曲とも映画『Xanadu』の曲、「Xanadu」の方は日本ではソフトバンクのCMソングにも使われた。
  • フィジカル(Physical - 1981年)
当時エクササイズをテーマにしたコメディータッチのミュージック・ビデオも人気に火を点けた一因だった。これは歌詞があまりに性的すぎる事から「もっと軽く出来ないかしら?」というオリビアの発案によるもの。
  • ハート・アタック(Heart Attack - 1982年)
  • 運命のいたずら(Twist Of Fate - 1983年)

全米1位獲得曲は「I Honestly Love You」「Have You Never Been Mellow?」「You're The One That I Want」「Magic」「Physical」の5曲。他にも「A Little More Love」「Make A Move On Me」「Heart Attack」が3位、「Twist Of Fate」が5位。

晩年もカーペンターズ等の女性ボーカル曲をカバーしたアルバム『Indigo』、癒しをテーマにした『Grace And Gratitude』、ジョン・トラボルタと一緒に制作したクリスマスアルバム『This Christmas』等作品の発表は積極的だった。

初めて聴くけどどのアルバムがいいか?という人には現在ではイメージチェンジ前をまとめた1978年のベスト盤『詩小説』とイメージチェンジ後のヒットの数々をまとめた1982年のベスト盤の2枚を一つにまとめた『グレイテスト・ヒッツ』が2022年からCD販売されている。オリビアは各国によって発売されたアルバム・そうでないアルバムが多いのだが、現在サブスクではほぼ全てのアルバムが解禁されている。
路線は時代ごとに変わっているが、70年代の作品(『If You Love Me Let Me Know』『Come On Over』『Don't Stop Believin'』等)は「カントリー・ロード」「そよ風の誘惑」路線のカントリーで清純派アイドルなオリビアが楽しめるし、80年代の作品(『Physical』『Soul Kiss』『The Rumour』等)はMTV時代を彩ったポップでセクシーなオリビアが楽しめる。90年代以降の作品(『Gaia』『Stronger Than Before』等)は深みを増しながらも肩の力が抜け、落ち着いた空気感でオリビアの歌唱力を純粋に楽しめる。

◇余談

  • 娘のクロエ・ラッタンジーも歌手として活動している。
  • 松田聖子の聖子ちゃんカットはオリビアが1976年頃にしていた髪型が元であるとされている。聖子の1983年のアルバム『ユートピア』のジャケット写真は同じくオリビアが1976年に出した『水の中の妖精』(原題はCome On Over)のジャケット写真の構図と比べられる事が多い(水の中から顔を出している)。オリビアとは娘が芸能活動をしていたり、親子揃ってテレビ出演やコンサート共演していた時期があるなど共通点が多い、結婚の時期もオリビアが1984年、聖子が1985年と近く、娘の誕生年については1986年で一緒。ちなみに二人とも離婚後に再婚している。二人は1981年頃の夜のヒットスタジオで共演している。
  • 「オリビアを聴きながら」という杏里の曲があるが、この「オリビア」とはまさにオリビアの事。
  • 『Xanadu』まではミュージカル映画しか出なかったが、「Twist Of Fate」が主題歌の『Two Of A Kind』からは普通の作品にも出演。90年代からはテレビドラマにも色々主演するなど女優としても積極的に活動していた。
  • コナミの音ゲーDanceDanceRevolutionに「Have You Never Been Mellow」と「Xanadu」の2曲が収録されているが、これは正確にはオリビアの曲をダンスカバーする「The Olivia Project」というユニットによるダンスバージョン。特にHave You Never Been Mellowは原曲と比べてリズムパートがにぎやかになっている。
    いずれも初登場作品では最低難易度に設定されており、初めて『DDR』を遊ぶ人のための入門曲的位置付けとなっていた。
    『Xanadu』の方は版権契約がやたら面倒だったようで、登場までにかなりゴタついていたようである(未収録作品の記事参照)。
    2曲とも『4th MIX PLUS』で最高難易度譜面が一新されたが、裏のリズムを取る大変難解な譜面となっており、本来の位置付けからは大きくかけ離れた上級者譜面となっている(しかもBPMが遅く当時はハイスピードオプションがなかったので、まず譜面を読むことすらままならない)。『Xanadu』は家庭用DDRでこちらの譜面のみ収録されており、『Have You〜』の新譜面は『Dance Dance Revolution EXTRA MIX』からEDITデータをダウンロードする事で擬似的にプレイ可能。
    『4th』では『Dance Mania SPEED4』に収録された『Have You〜』のスピードアレンジをプレイ可能。家庭用移植の際はBPM170の64連16分地団駄が9回にわたり次々流れてくるのをクリアするという無茶なオリジナル譜面が収録されており、当時のDDRの水準を超える*3壮絶な譜面がプレイヤーを苦しめた。

追記修正はエクササイズをしながらお願いします。


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最終更新:2026年08月11日 19:10

*1 オリビアと同じくオーストラリア出身で、オーストラリア人女性歌手として早くにアメリカでヒットを飛ばした。

*2 日本限定だった為、海外ファンの間でコレクターアイテムとして取引された。

*3 この2作後、当時の難易度水準を大きく超えたボス曲『MAX300』がプレイヤーを苦しめることになるが、なんとこの譜面はそれよりノーツ数が多い。