トライガン/トライガン・マキシマム

登録日:2011/09/17 (土) 09:55:00
更新日:2018/09/12 Wed 13:36:59
所要時間:約 7 分で読めます





はるか時の彼方

まだ見ぬ遠き場所で

唄い続けられる

同じ人類のうた。


『トライガン』は、1995年から月刊少年キャプテンで連載された漫画作品である。
上誌が廃刊になるとヤングキングアワーズにて続編『トライガン・マキシマム』が描かれ、2007年に無事完結。
作者は現在血界戦線を連載中の内藤泰弘。

トライガン:全3巻(後の少年画報社版だと全2巻)
トライガン・マキシマム:全14巻

後に、それぞれの新装版(完全版)も刊行されている。



砂塵舞う惑星で繰り広げられる、銃撃と爆発が飛び交うド派手なアクションもの。
作者の大好物であるアメコミ成分が全面に押し出され、ツッコミ無用のロマン兵器やトンデモ能力、イカした(イカレた)キャラクター達がわんさか登場する。
その反面で主要キャラの抱える事情はどうしようもない程に重く、作品の根幹は徹頭徹尾シリアスで通されてもいる。


心の深い部分を抉るような展開の中、それらを振り切るように続くハイテンションなバトルシーン。
このバランスがストーリーを魅力的に演出する要素となっている。


なお2009年には、高い評価を得たSF作品に送られる『星雲賞』のコミック部門を受賞した。

1998年にはアニメ化もされており全26話でTV放映された。
ただアニメ化が決まった時点でまだマキシマムの連載開始直後の次期だった為。
作者が考えていた今後の展開を基に、アニメの脚本家が脚本を作成。
ストーリーはアニメオリジナルであり、登場キャラや武器などのデザインも原作とは異なる。

アニメ終了後、原作マンガにアニメオリジナルキャラクターや関係者を登場させる。
逆輸入も行われた。


【あらすじ】


遥かな未来、地球から遠く離れた場所の物語。
新天地を求めて旅をしていた人類は、約150年前の事故で宇宙船ごと未開の惑星へと投げ出された。
砂だらけの乾いた大地に放り出され多数の死者を出しつつも、人類は独立生産端末『プラント』にすがって細々と生き延びた。


しかし過酷な環境で生きていくにつれて人の心は乾ききり、治安も悪化。
今ではならず者のサイボーグや賞金首、賞金稼ぎがあちこちで跋扈し、人が殺し殺されるのは日常となっていた。


そんな中、人々の間ではとある一人のガンマンの名が知れ渡り始めていた。
荒んだ世界で場違いにも“ラブアンドピース”を謳う平和主義者……であると同時に、『600億$$の賞金首』『人間災害』と称される男。


その名はヴァッシュ・ザ・スタンピード
多くの謎と一つの決意を秘める彼を中心に、今日もまた、どうしようもなくタフで優しい一日が始まる。




【主要登場人物】



本作の主人公。
真っ赤なコートと逆立てたトンガリ頭が目印で、見た目は20代半ばくらい。
温和で陽気かつアホな程のお人よしだが、異常な早さの抜き撃ち、機械染みた精密射撃、人外の身体能力などを振るうガンマンでもある。
掛けられた懸賞金も相俟ってとにかく騒動を呼び込み、周りにはいつでも銃声や爆発音が鳴り響く。
“随分と昔から”ある男を追い続けているが、その理由と彼自身が抱える秘密は序盤では明かされないままである。


○メリル・ストライフ

ベルナルデリ保険協会に勤めるOLさん。上品な言葉遣いながら何気にアグレッシブな性格で、コートの内側に50丁ものデリンジャーを携行する。
仕事の都合で序盤からヴァッシュの道連れとなるが、とある出来事で彼の秘密と過去を知り、恐怖から一時は離れてしまう。
しかし最終的にはその恐怖に向き合い、彼の理解者の一人となる。


○ミリィ・トンプソン

メリルと共に現れた彼女の後輩で、同じくヴァッシュに付いて回る女の子。
十字型の巨大なゴム製制圧弾を撃ち出すスタンガンを使用する。
大柄な体格と大らかな性格の持ち主(そしてド天然)。
普段は抜けている癖に余計なところで鋭く、人の微妙な表情の変化によく気付く。



荒野で行き倒れていたところをヴァッシュやメリルらに発見された、関西弁の親しみやすげな巡回牧師。
布に覆われた身の丈大の十字架を携え、それを『商売道具』と呼ぶが……。
ヴァッシュにとってはある意味で敵対関係にあるも、やがて無二の友となる。




【用語】


■ノーマンズランド
作中の舞台となる砂だらけの惑星。命名時期などは不明。
地球よりも巨大で、高重力、2重恒星による高温など劣悪すぎる環境。(設定は過去に作者BBSやアニメージュ等で語られた。)
砂虫(ワムズ)という巨大な原生生物があちこちに生息している。


■大墜落(ビッグフォール)
約150年前に起きた、コールドスリープ状態の人間(約9,000万人)を乗せた宇宙移民船(シップ)の一団が墜落した惨事。
シップはその殆どが大破し、数少ない生き残りはノーマンズランドで生きていかざるを得なくなった。
シップを有していた頃の技術も多くが失われて生活レベルは後退し、西部劇チックな町並みにサイボーグが行き交うという奇妙な光景が生まれている。


■プラント
外部からの刺激に反応し、物理法則を越えて水や食べ物、エネルギーなどあらゆるものを生産する生体端末。
シップに積まれていた内で無事だったものが日々の暮らしを支えており、人の生存には必要不可欠な存在。
本作において、あらゆる点で重要な意味を持つ。
トライガン世界の兵器などの銃器はプラントの生み出す素材等により現実と比較にならない初速や威力を持っている。(上記同様に過去に語られた。)


■第3都市ジュライ
シップの残骸やプラントの生産機能を利用して人類が形成した、7つの大都市の1つ。
数年前の謎の災害で住人ごと“消滅”し、今でも詳細が不明なこの悲劇以降、その跡地はロスト・ジュライと呼ばれている。
なお、事件直後には残された瓦礫の中で佇むヴァッシュの姿が目撃されている。これが彼の莫大な懸賞金の元であり、彼の名が人の歴史に刻まれる最初の出来事である。
ただしなぜそこに自分がいたのか、そこで何が起きたのかをヴァッシュは思い出せない。







以下、ネタバレを含む。









ヴァッシュが追い、そしてヴァッシュを狙う男。
その手がかりとなる人物が、あてどない旅を続けるヴァッシュの前に突如現れる。




「見つけたぞ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード」


レガート・ブルーサマーズ

ヴァッシュが追う人物、ナイブズの側近であると語る男。
これから次々と刺客を差し向けるとだけ告げ、ヴァッシュの前から去っていった。
対人戦で圧倒的な威力を誇る『技』そしてガンホーガンズを遥かに超える身体能力、戦闘能力により、
人類としては最強の実力を持ち、ヴァッシュに拮抗する程の実力者。


GUNG-HO-GUNS (ガン・ホー・ガンズ)

ナイブズの元に集った人外戦闘集団。
戦いを求めて流れ着いた者、身売りされた者……など所属理由はそれぞれだが、どこか狂った人間ばかりが揃っており、
中にはまさしく「魔人」と呼ぶべき戦闘力を持つ者もいる。
ナイブズの意思の下、レガートの命に従いヴァッシュの前に立ちふさがる。


ミリオンズ・ナイブズ

本作のラスボスにして、150年前の大墜落を起こした張本人そしてヴァッシュの双子の兄。
ある事情から人間を心底憎んでおり、星からその存在を抹消する意思と、それを叶えるだけの“力”をもその身に秘めている。
その目的に加え、過去にレムという女性を死なせたことからヴァッシュに激しく敵視されている。
GUNG-HO-GUNSを差し向けるのは、徹底的にヴァッシュを打ちのめすことで人間に絶望させるため。





【余談】


◇自重しないカバー下

コミックス各巻のカバー下がやたらとカオスな内容なことで有名。
基本的な構図はそのままに、ウルフウッドの持つ重火器・パニッシャーダッチワイフになるなどやりたい放題である。
読後の余韻もぶち壊しになるが、重いオチがついた巻ではほっとさせてくれる面もあるかも。……やっぱり無いかも。
巻末のオマケページもカオスそのものになっており、アニメ化決定までの顛末や外国のイベントに行った話が描かれている。



◇とある事件にまつわる、本作への批判

ある犯罪を犯した少年が逮捕された際、その少年の持つノートには本作のセリフなどが書き込まれていた。
このために一部マスコミなどから本作が槍玉にあげられた、ということがあったりする。
その後、ファン有志による作品愛溢れる抗議で退けられた。



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