登録日:2009/11/23(月) 01:27:08
更新日:2024/11/04 Mon 10:06:01
所要時間:約 3 分で読めます
羊の群れに
紛れた狼は
さみしい牙で
己の身を裂く
コミックバーズで連載していた
冬目景(とうめ けい)の、美しく儚い絵柄と雰囲気の漂う鬱漫画。
未完作家の冬目景にしては珍しく完結した作品。しかしひたすら暗い本編に対し、やや希望を持たせたラストは賛否が分かれる。
通常版とカラーページのついた完全版は全7巻。
現在文庫版が全4巻で発売中。
高校生の高城一砂は3歳の頃に母を失い、父の友人に預けられた。父は一つ上で病弱な姉と遠くに引っ越し、それ以来音信不通であった。
最近体調が優れない一砂は幼い頃の
夢をよく見るようになる。
「家族で暮らしたのはたった3年間だった
父さんがいて母さんがいて
あの古い家に住んでいた
縁側があって
庭には井戸があった
あの部屋ではいつも女の子が寝ていた
病気だからそばに行かないようにと言われていた
父さん母さん以外にこの家に
自分の知らない人間がいるということが
何だか怖かったんだ」
ある日、貧血で倒れた一砂はまた夢を見ていた。目を覚ました彼は何かにひかれるように古い家があった場所を訪ねる。
昔のまま、しかも手入れがされた我が家に驚く一砂。そしてそこで一人の少女と出会う。
「あなた…誰?…」
「お…ぼくは…この家の…きみこそ誰なんだ?」
「あたしもこの家のものよ…」
姉、千砂との再会であった。
今はこの家に住んでいるという千砂から父の死を知らされる一砂。
自分だけ何も知らされていなかったことに苛立つ一砂に千砂はさらなる真実を告げる。
「一砂…あなたは捨てられたんじゃない
あなたには普通に生きて欲しかったからよ…
代々高城の人間はまっとうな人生は送れないのよ…
母さんもそうだった…
だって高城の一族は
吸血鬼の家系だもの」
千砂は不敵な笑みを浮かべていた。
登場人物
高城一砂(たかしろ かずな)
CV.
関智一
高校一年生。幼い頃に父の友人に預けられる。養子にならないかと言われるが本人は遠慮がち。
中学の頃から八重樫に好意をよせるが美術室で彼女の腕についた血を見て目眩を起こす。
高城千砂(たかしろ ちずな)
CV.
林原めぐみ
一砂の姉。高2。自らを吸血鬼と嘲るが、実際には高城家に伝わる遺伝性の血液病に幼い頃からかかっている。さらに生まれつき心臓も悪い。
長い黒髪で着物を愛用する美人。自分の運命に
絶望しながらもひっそりと暮らしている。
八重樫葉(やえがし よう)
CV.
雪野五月
一砂の友人で美術部員。一砂に絵のモデルを頼む。
目の前で倒れた一砂を心配するが、やがて彼から避けられるようになる。彼女だけは傷つけないようにと…
父さんは泣いていた
声を殺して震えていた
私は…自分のことを忘れ
父さんがかわいそうで泣いた…
おそらく…
それが始まりだった
父さんは母さんに似ている私を必要とし
そして…私には“必要とされている”という充足感が必要だった
(君は人形にすぎなかった)
それでもいいと思った
私を理解してくれる人間は父しかいなかったのだし
私は何の疑問も持たずに父を愛した
例えそれが禁じられたものだとしても
私には関係なかった
だけど…
父さんは私を連れて行ってはくれなかった
私は父さんを憎んだ
まだ終わらない
まだ…父さんは死んでない…
父さんを忘れたくて
二人で住んだ横浜の家を出てここへ帰ってきた
だけど…
この町には一砂がいた
私はまだ父さんの影から逃げられない…
追記・修正お願いします。
- 受験ノイローゼ時には、ボロ泣きしながら読んだな。
今はあの頃ほど、共感できないけれど。
それでも名作。 -- 日菜子 (2013-09-18 23:23:40)
- 映画は??????な終わりだった。 -- 日菜子 (2013-10-24 17:18:25)
- 映画は結末だけ投げっぱって事だよ、まだ原作終わってなかったし -- 名無しさん (2013-10-24 20:30:58)
- ↑まあ、純芸術的な出来としては良かったな(もう二度と見ないけれども)。 -- 日菜子 (2013-12-13 10:03:59)
- CV.が -- 名無しさん (2014-05-12 19:39:49)
- CV.が限りなく豪華すぎるwww -- 名無しさん (2014-05-12 19:40:48)
- 純文学的美しさはあったが、「漫画」として面白かったかどうかは微妙。 -- 茶沢山 (2014-05-12 19:47:04)
- ↑まあ、それが冬目姐さんの持ち味だし。 -- ましゃ (2014-05-27 17:36:06)
- アコニーは面白かったけど、終わり方が若干寂しかった。 -- 名無しさん (2014-05-27 17:42:59)
- 映画は黒歴史。 -- 行幸 (2014-07-01 23:04:00)
- 結局父親は何が原因で自殺したのか、分からずじまいで終わったな。 -- 川浦 (2014-08-11 21:14:22)
- 「最終回が蛇足。一回前で終わってた方が良かった。」て意見があったが、実は同感。 -- 名無しさん (2014-08-11 22:28:29)
- ↑それじゃ八重樫さんが報われないから・・・。 -- 小台 (2014-08-12 11:11:00)
- ↑2ZERO連載時の心情の姐さんなら、最終回前の話(もしくはより鬱に)で締めくくっていたかもしれないな。まぁ、当初は悲劇にするつもりだったらしいけれど、羊のうたを連載しているうちに精神的に落ち着いてきたのか、それともご本人が鬱エンドにするのに嫌気がさしたのか、あの最終回になったようだね。 -- 舞彩 (2014-08-12 11:24:13)
- 悪くはないんだけど、逆に忘れられてしまった姉さんが可哀想で。それに、命を懸ける程に愛した人を忘れてしまう一砂も、ある意味、凄い可哀想…愛に殉じた方が、むしろハッピーエンド…とは言わないが…何か、切ない。*個人的意見です。失礼。 -- 名無しさん (2014-08-12 15:13:20)
- ここまで芸術的に完成度が高く秀逸している鬱漫画もそうそうないよ。 -- 武佐 (2014-08-13 17:28:37)
- ↑うん。全体的に綺麗ではあった。 -- 名無しさん (2014-08-13 21:23:09)
- 桜の木の下には・・・。 -- 仁山 (2014-08-24 19:09:02)
- 海外でリメイク映画化?んっ?何それ? -- 衵 (2014-10-31 09:41:25)
- アニメの心中ENDとEDがいい歌でよかったので個人的に好き -- 名無しさん (2014-12-22 10:54:02)
- いまんとこ冬目作品じゃ一番好き -- 名無しさん (2015-03-24 21:05:40)
最終更新:2024年11月04日 10:06