浪漫倶楽部(漫画)

登録日:2011/05/26(木) 18:09:38
更新日:2018/05/17 Thu 08:58:25
所要時間:約 6 分で読めます




1995年から約3年間、月刊少年ガンガンにて連載されていた漫画。
タイトルは漢字そのままに「ろまんくらぶ」と読む。
作者は天野こずえ、全6巻。
小説やドラマCDにもなった。


とある中学校を舞台に、土地の霊的な力によって発生する「不思議事件」を解決すべく奔走する少年たちの活動を描いたもので、銘打たれたジャンルは「学園ファンタジー」。
怪奇現象的な騒動もあるが、夏目友人帳のように優しく切ない印象を受けるものが多く、ホラーっぽさはあんまり無いので安心(?)である。


【あらすじ】

小さな頃から人には見えない「不思議なもの」が見える少年、火鳥泉行。
その不思議な何かが本当に存在するものか確かめるため、彼は先輩のウドと二人で浪漫倶楽部として日々活動していた。
活動内容は、生徒からの不可解な体験を検証し、その原因を突き止めるというもの。

そんなある日、泉行は校舎の外れにある岩の上に、自分にしか見えない女の子が居るのを見つけた。
その子は自分を石の精霊と言い、パワースポットと呼ばれるこの土地の力を封じてきたという。

寂しそうな彼女に「一緒にいよう」と泉行は誘うのだが、自分が岩から離れると様々な事件が起きてしまうと泣きながら拒否する女の子。
しかし「ならそれも一緒に解決していこう」という泉行の言葉に女の子は微笑み、泉行と共に居ることを決心。


不思議な女の子「コロン」を共にした、騒がしくも時に切ない、浪漫倶楽部の活躍がここから始まるのだった。


【主な登場人物】

○火鳥泉行(かとり せんこう)
冗談にしか思えない名前の主人公。中学2年。
逆に被った帽子がトレードマークで、明るく活発、また優しい性格の常識人。
第2の眼(セカンドサイト)と呼ばれる力により、普通の人には見えないものを見ることが出来る。
不思議事件ではその力もあって中心的な活躍を果たすことも多い。
月夜とのフラグは成立なるか……?
なお、授業中でも露天風呂でもいつも被っている帽子がカバー下の4コマでハゲ呼ばわりの種にされ、さらに後の本編でも追求されて凹んでいる。
ハゲてないよ。1コマだけ脱いだこともあるし。


○コロン
パワースポットの力を長い間一人で抑えていたという女の子。100年は生きているらしい。
名づけ主は泉行で、その由来はやたらと丸っこいコロコロしたお尻(ズボン?)。
背は幼児なみに低く、性格もお子様チックに活発。騒動の元になることも度々。
しかし、ずっと一人だったことから寂しいのはイヤ。
姿は人に見えるようにも出来るので、その状態で泉行の家に滞在している。


○橘月夜(たちばな つくよ)
序盤に入部する、黒髪ロングをポニーにした女の子。常識人その2。2年。
学校生活で周囲に馴染めず、何人かの女子から友達付き合いを“してもらう”代わりに半ば苛められるような日々を送っていた。
そのせいで引っ込み思案になってしまっていたのだが、浪漫倶楽部に巻き込まれて元の明るさを取り戻した。
カバー下の4コマではそれがネタにされ、蚊を叩き潰した雄姿(?)が泉行とコロンをビビらせている。
火鳥と共にARIAにゲスト出演している。

○綾小路宇土(あやのこうじ うど)
浪漫倶楽部の創設者、兼部長。3年。
他の部員からは部長と呼ばれている。
世界には見えない不思議な物があると子供の頃から信じてきたが、変人扱いされて泉行と会うまでは友達も居なかった。
基本的に暴走気味で、コスプレ行為が普通に見える位のはっちゃけぶり。
泉行たち部員がそれをなだめるのが日常だが、まあ皆楽しそうなので問題無いが。

ARIAに登場するウッディーとまんま同じような容姿、性格。
あちらは51世なので、遥か未来の子孫とも捉えられる。


○火鳥真斗(かとり まと)
泉行の姉で、同じ中学の卒業生。
しょっちゅう両親が仕事で家を空けるため、その分しっかりした性格に育った。
その割りに突然家に居座り始めたコロンを気にせず、むしろ歓迎しているあたり大物?それとも大雑把?なお人でもある。
セカンドサイトを持つ泉行の理解者で、かつて悩んでいた幼い弟には不思議なものが見えるその力を「必ず何か意味がある力」だと諭した。
なお彼女にはその手の力は宿っていない。

作者の最新作『あまんちゅ!』には、成長した彼女が教師として登場する。まじイカス。

○高橋由紀(たかはし ゆき)
風紀倶楽部部長で、綾小路のクラスメイト。
才色兼備の美少女で、校内の男子人気投票で2年連続1位だが、丸いものが好きだったり、なかなかに抜けたとこのある性格。

実は綾小路のことが好きで、彼の気を引くため風紀倶楽部を設立し浪漫倶楽部にちょっかいを出している。_
…なんで部長チカン騒動の時は完全スルーしてたんでしょうねえ…

○ポエミー萩原
担当編集者。詩的でロマンティックな言い回しを好み、作者へのアドバイスや雑誌掲載時のアオリ文からポエミー萩原と名付けられる。
その後アシスタントが編集部に出向いた時フルネームが出ずとっさにポエミー萩原と呼んでから、編集部でも話題になった。
さらにドラマCDのボーナストラックとして、声優がポエミーなアオリを読み上げるコーナーが収録された。

ポエミー萩原 愛のポエム(一部)
「そのシーンはね…幻燈のような青白い焔が漆黒の夏の夜空を光の乱舞で彩るんだ!!舞台は夏の夜…むせかえる土と草の匂いにまどろんで圧倒的な質量で迫る夜なんだ…夜という名の海を泳ぐ魚のように…火鳥達は『素敵』という名の透きとおった水を求めていくんだろうね…」(注:電話での作者へのアドバイス)
「欠けゆく願い…満ちゆく想い。重なり逢った二つの月は、やがて一つの満月になる。」
「冬の青空に響くのは…木枯しが奏でる若葉マークの恋心っ(はぁと)」


ARIA、およびあまんちゅ!のアニメのスタッフに「企画協力:荻原達郎(マッグガーデン)」の名がある。
この人物がポエミー荻原だとすると、例の騒動で作者と共にエニックスを離れ今も作者の担当編集であると考えられる。 


【用語】
★パワースポット(霊的土地)
コロンが封じていた、学校周辺の“力ある土地”。
自分では叶えられない望みを持つ弱い者に力を貸す性質があり、それが不思議事件の発生に繋がる。
ここでいう望みを持つ者とは、恩を返すため人間になりたい虫であったり、既に亡き人の幽霊だったりと種類・生死を問わない。
また無生物にもあてはまり、寂しさから描かれたペンギンの絵が、自分達を描いた女の子を助けるために本から飛び出したりも。

大抵は彼らの望みを叶えてあげることで事件が解決する。
ただしそれは、仮の姿や一時の命を得た者との別れも意味するのだが……。


【作風】
作者の初の連載でありARIA等に比べると随分古い作品なので、絵柄や話の展開は今ほど洗練されてはいない、というかぶっちゃけ荒い。
ただその分作品に純粋な勢いがあり、「クラブ活動」が含む独特の高揚感も手伝って微笑ましい、またどこか懐かしく爽やかな気分になれる。

どちらの作品も作中で季節は移り変わるが、
ほのぼのぽかぽかした雰囲気のARIAをあえて『春』に例えるのであれば、
本作は全てのものに活気が満ちた『夏』のようなイメージ。

しかし『春』が別れを伴う悲しい季節でもあるように、
『夏』の季節にも、遊び終えた夕暮れにはどうしようもない寂しさがやってくる。

泉行たちが出会い、そしていつか終わることとなる「不思議事件」との関わりを、のんびりと楽しんで欲しい。
そんな風にお勧めしたい作品。

追記・修正お願いします。


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