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ゲフレイバール事件 - (2019/01/23 (水) 05:22:44) の編集履歴(バックアップ)


ゲフレイバール事件
年月日:1629年
場所:ロフィルナ連邦共同体、エールミトナ星系、ゲフレイバール
結果:
交戦勢力
ニーネン=シャプチ ロフィルナ連邦共同体
招民院統合遠星系軍艦隊
指導者・指揮官
クヌージェ=イレ=タルノー エレーン・アルヴェンスト
戦力
ニーネン=シャプチ ロフィルナ連邦共同体
カヴマー級主力戦艦 4隻
ウィジャナスラナント級主力戦艦 3隻
セトナーチ級惑星強襲艦 オラム
ヒュー級シュトム 6隻
クワントローフェ級シュトム 2隻
スレトマナン級シュトム タインクナール
SH1級試作シェドゥーチャ 8隻
輸送機母艦 2隻
試作型MSNワープ専用艦 2隻
他補助艦艇 3隻
損害
ニーネン=シャプチ ロフィルナ連邦共同体
負傷1名

 ゲフレイバール事件は、1629年エールミトナ星系第8惑星の軌道上で勃発したニーネン=シャプチロフィルナ連邦共同体双方の軍事衝突である。


経過

 1628年、ニーネン=シャプチは大宇宙銀河内の近傍の星系に知的生命体による星間国家の存在を感知した。間もなくして調査船団が派遣され、ロフィルナ連邦共同体であると判明した。1618年のシ=ギーラム事件で国際的孤立を懸念したニーネン=シャプチ国内世論はロフィルナへの接触と友好関係を強く望む傾向にあった。クヌージェ=イレ=タルノー星衛主席はロフィルナとの接触をすべく、当時創設されて間もない招民院遠星間艦隊の第一艦隊と第二艦隊を統合した統合遠星系艦隊を派遣することにした。
 試作MSNワープ専用艦を2隻率いてニーネン=シャプチ統合遠星系艦隊はエールミトナ星系へ侵入。間もなくして、ロフィルナ連邦共同体連邦議会は当該星系の外縁部のセンサーに大規模な熱源を感知。当初政府は宇宙海賊ゴルヴェドーラによる襲撃であると誤認し、厳戒体制を敷いた。内惑星艦隊ロヴィンエルナ方面軍、ツォルマール方面軍からなる連合艦隊が出撃し、外惑星艦隊も臨戦状態となる。連邦宇宙軍府は第6代常任最高議長エレーン・アルヴェンスト侯爵(当時43歳)政権に対し、更なる防衛予算の拡充を要求して、クーデター実行を示唆した。
 10日後、ロフィルナ政府の予想通り第8惑星ゲフレイバールにてニーネン=シャプチ艦隊と接触した。ニーネン=シャプチ艦隊の構成艦は、ロフィルナ側にとって、これまでのゴルヴェドーラ艦艇の外観とは明らかに異なるフォルムだったために警戒していた。ニーネン=シャプチ艦隊に向けて接近の意図を問う交信を試みるも全く応答がなく、拡散信号弾による意思疎通を試みた。しかし、試作型MSNワープ専用艦(ミェイセン=ダーフ、mieisen-da^f)の至近距離に射出したことが問題となり、強度の警戒を招いてしまう。ニーネン=シャプチ遠星系艦隊提督○○○○は直ちに迎撃発砲許可命令を下し、ニーネン=シャプチ艦隊全艦が対空斉射を行って信号弾を消滅させ、次いでロフィルナ艦隊に対しての砲撃を開始。戦闘に突入し、ロフィルナ連合艦隊旗艦の機能が一時的に麻痺する事態となる。


 時の内惑星艦隊司令部は、明らかにゴルヴェドーラのものとは異なる集団であるとの結論に達するが、敵性であることには変わりなく隷下の全軍に全ての火器の使用を許可した。数の力で当該集団の制圧を試みるも、主力戦艦のフィエシ粒子砲による攻撃を受け、ロフィルナ主力艦は次々に機能が麻痺させられ、更に複数の艦載機が撃墜させられた。遂に全面的な攻勢に踏み切ろうとした時、ロフィルナ連合艦隊旗艦に向けて急速接近してきたヒュー級シュトム艦モラケに横付けされ、ロフィルナ連合艦隊旗艦の艦内にてニーネン=シャプチ側歩兵が侵入した。数発の銃撃戦の後、ロフィルナ側
 侵入してきた敵性の戦闘員は人の形をしており、人類の眷属か何かかと疑われた。が、こちらの防衛部隊に対し手の平をかざすようなジェスチャーをとられたので、意図を問うたところ、微妙なイントネーションのロフィルナ語で『交戦の意思はない』『撃つな』との答えが返ってきた。これを受けて、直ちに全軍に対する停戦の命令が下され当該集団からの攻撃も止まった。両軍の被害は軽微で、接触してから僅か1時間弱の間の出来事である。

国交締結交渉

 まず、彼らが何者なのかを問うて答えを得る―――ニーネン=シャプチ。我が国の劣化プェルクマイスト・ゲートの遥か射程圏外に位置する星間国家であり、新たな先進文明との接触に強い危機感を抱いた。当方の最高司令官は、無用な混乱を避けるために隷下の艦隊に対して緘口令を敷くよう厳命しつつ、本国政府に事件の経過を報告したのである。連邦理事会も話が纏まるまでは様子見に徹することで一致した。次に沸いた疑問は、交戦の意思がないのなら何故撃って来たのか?

 問うてみると、彼らニーネンの使者は憤慨した様子で答えた。あの得たいの知れぬ青く光る実体弾は何か?我らニーネンは、何度も友好関係の構築を求めて貴国の艦隊に双方向の通信を開くよう要請した。それを無視し、あまつさえあのような行動に及んだ貴国の側にこそ攻撃の意図があるのではないか!・・・云々と、激烈な反論を受けた当方の外交官は困惑して事の経緯を説明した―――暫くして、ようやく事件の真相を理解した両者は、双方の異なる通信システムが齎した不幸な出来事であることを確認し、不問に付することで一致。双方の国交締結に向けて協議を継続することに合意した。

 さて、具体的な交渉を行うにあたって、問題となったのはロフィルナの側が鎖国を続けており、安全保障上の懸念から過度な接触を望まなかったことである。しかし、ニーネンの側にも引き下がるわけにはいかない事情があった。これより少し以前に、我が国の存在を認識していたニーネンでは、ロフィルナ語の解析とその政治体制、文化に関する研究が加速して一つの結論を得たのである。(・・・つまり、ニーネンは調査の過程で我が国の民を連れ帰ったり、何度も領域侵犯を繰り返していたことになるわけだが、話を拗らせたくないので当方の外交官は落ち着いて対応することにした)

 それは、ニーネンが他国列強に抗う上で影響圏を拡大する必要があるということ。高まる国内の世論に押されたニーネンの指導部は、やむをえず接触の計画を繰り上げて今回の会談に至ったらしい―――以上の話の流れから大よその事情を読み取った我が国の代表は頭を抱えた。何やら切迫した危機感を抱えていることは理解したが、我が国の立場として、他国文化の流入を許すのは体制の崩壊に繋がりかねない懸念事項であり、慎重な判断を要するからだ。とはいえ、下手に先方の機嫌を損ねるわけにもいかず、国交の具体的な問題点に的を絞って交渉する戦術に出た。

 ニーネンの望みは、単純に我が国との交流を深めて両国の関係を強化することにある。つまり、ゆくゆくは同盟関係の構築を念頭においているものと見られた。鎖国体制を維持したい我が国としては厄介な問題であることに違いはないが、衝突を避ける最善の策として当面は我が国の鎖国を維持すること。その間に両国政府の情報を積極的に交換して信頼関係を深めていく。ことを急ぎすぎると双方の社会にとって無用な混乱を齎す可能性があることに言及し、あくまでも段階的な措置を踏んで各種分野の連携を確立させることを提案した。無論、ニーネンで保護されている当方の民を帰国させることも忘れない。

 ロフィルナ側の思わぬ提案と手渡された芸術品の数々に一定の安堵を得たニーネンの使節団は、先の内容をもう一度確認し、年内にロフィルナ国内の港を限定的に開放するよう求めたのである。連邦理事会は、各種分野における専門家の入国に限ってこれを認めるとの意向を伝え、ニーネン側の同意を得た。交渉妥結後、アルヴェンスト政権は速やかに新たな文明国との接触を報じて混沌とした様相を深める国内情勢の収束を試みたのである。連邦宇宙軍府は、先のニーネン艦隊との戦闘データを事細かく解析して対処法の研究を加速させた。

補足事項

 接触当初の段階で、ニーネンの側がロフィルナ語表記の旗を掲げるなどして対応してれば無駄な犠牲を出さずに済んだかもしれない。とはいえ、ニーネン艦隊もロフィルナ軍の正確な実力を把握しておらず、それがゆえに強度の防衛体制を取らざるを得なかった。一方、ロフィルナ側はニーネン艦隊による軍事的なデモンストレーションとして受け止めており、後の締結交渉の場でそれを指摘するが、ニーネンの使節団は艦隊の至近距離に青の実体弾を発射したロフィルナ側の失策を突いて不問に付するよう要求したのである。先の戦闘において、実力の差を見せ付けられたロフィルナ側に反論する意図はなく、不毛な争いを避けることを確認した上でニーネンとの協議を進めた。

関連項目