めいさいふく
日本国自衛隊をはじめ、現実世界で殆どの国の軍隊で使用されている戦闘服。
広義での軍服の一種であるが、正装や通常時の制服とは異なり、特に戦闘時や戦闘発生の可能性がある場合に着用されるもの。
概要
歴史
銃器の改良による射程距離の延長や、それに伴う戦術および軍事技術の発展によって、戦場において兵士が遠距離から視覚的に目立たないようにする必要性から生み出されたものである。
そもそも、平時と戦闘時に着る服を分離するという概念が生まれたのは結構最近で、それまではドレススーツといわれる正装のまま戦闘に入ることも、想定していることも多く、迷彩効果があるカーキ色の背広を常装とした植民地部隊のようなパターンもあった。
茶系や緑系を用いた単色の戦闘服(というか軍服)が主流であった19世紀を経て、第一次世界大戦の頃から複数の色を使用した模様をプリントした迷彩の研究が進んだが、大量に必要とされるにも関わらず単色の生地と比較して生産に必要な費用や労力が掛かる等の理由で、いわゆる我々が“迷彩服“と聞いてイメージする戦闘服が兵士に行き渡るのは第二次世界大戦から戦後にかけてのことであった。
それまでは旧日本軍のように『迷彩効果がある単色の軍服を平時でも戦場でも着る』というのが多く、違いは公的行事における礼装ぐらいにとどまる。
それ以降も冷戦期の各地の代理戦争や独立戦争、民族紛争などで需要は絶えることはなく改良を繰り返して現代に至っている。
2000年代以降でも様々な戦場・戦況に対応した迷彩の研究と試行錯誤は続いており、景色に溶け込むことより人間の視覚の印象に残らないことに注力したUCP、それ一着でどんな場所でもそこそこ程度の迷彩効果を発揮するマルチカムなどが開発されている(ちなみにどちらもデジタル迷彩)。
陸上自衛隊では、1992年から迷彩Ⅱ型という日本の地形に合わせた配色の迷彩服が採用されているが、現在は細部を改良したマイナーチェンジ版の迷彩Ⅲ型への置き換えが進んでいる。
特徴
その名の通り、迷彩柄の生地を使用して作られている。
現代ではボディアーマーを上から着用することを想定し、アーマーで覆われない袖などの部分に耐刃性や難燃性のある繊維を編み込んだものもある。
想定される戦場に合わせて使用される色彩は変わる。
森林向けの緑・黒・茶・カーキー、砂漠向けの砂色・黄土色、市街地向けの灰色・白・黒、海上戦闘向けの群青・青・水色、降雪地帯向けの白単色などが主だったところだが、より迷彩効果を高めるためにここに挙げたもの以外の色彩を併用する例も少なくない。
これらの色彩パターンと、時代を経るごとに次々に考案されてきた図柄の組み合わせは膨大な数に昇る。
陸上自衛隊で採用している迷彩服は森林迷彩の施されたものであり、この森林迷彩は日本の国土に溶け込むことを念頭に設計されている。海外での戦闘を念頭に置かず、自国防衛を目的としてきた組織だからである。迷彩服は難燃素材を使用し、赤外線偽装を施されている。ちなみに迷彩服には少なくとも陸上自衛隊では作業服と戦闘服の2種類に分かれている。更に細かく細分することも可能なはずだが、戦闘訓練等は戦闘服の着用を念頭にしているため実戦下では戦闘服を作中の陸上自衛隊員は着用していたと推測できる。
現在は森林迷彩服を採用しているが、それ以前のものでは迷彩ではなく単色のODやモスグリーン系の迷彩を使用している。それと陸上自衛隊で採用している迷彩は森林迷彩だけではない。冬季迷彩として白単色の迷彩を採用しており、迷彩服の上から冬季迷彩の老いを着用する。迷彩服の上から着用する防寒戦闘服では、茶系統の迷彩がほどこされている。
他には中東などの砂漠地帯へのPKO派遣を念頭とした装備として砂漠迷彩のコンバットシャツも陸上自衛隊にはあるらしい。
ただし、
イラクへは国内外へのアピールと『復興支援』という建前のため、あえて緑色を強調する森林迷彩のまま派遣されたらしい。
航空自衛隊ではデジタルパターンの迷彩服を採用している。これは野外で戦う組織でないため、滑走路などの存在する基地のコンクリートと溶け込むことを念頭にした作りである。海上自衛隊でも現在は迷彩服を採用しており、洋上迷彩のような青を基調とした迷彩である。ただ2015年に日本は異世界に転移したとあるため、恐らくは採用していないはず。尚米海軍でも青系迷彩服を採用していたが、海に転倒した際に発見しにくいとのことで現在は廃止したたはずである。
また全体を通して国外の戦場を想定する余裕がないため、国内の植生や地勢を前提とした設計やデザインがなされているので、異世界に転移した劇中では、各地に合わせた軍服の研究が(当然)急ピッチで進められていると思われる。
作中での活躍(?)
現実世界と同様、
自衛隊が着用している。
基本的に、
日本国から彼等が戦闘行為の発生を前提として派遣される場合はこの格好である。
銃や戦車などと違い、戦場における活躍が描写されることはほぼ無い。
しかしながら、異世界各国の住人の多くが自衛隊員を初めて目にした際に抱く、
まだら模様の変な服という第一印象が妙に心に残った読者は少なくないのではないだろうか。
また、この“まだら模様”が泥などが付着した汚れに見えてしまい、
各国の軍の司令官の下へ服の汚れも落とさずにやって来る蛮族などと思われてしまったり、
戦が近いのに甲冑を着用して来ないことに疑問を抱かれたりと、総じて今一つ良い印象を持ってもらえない傾向にあるようだ。
また、戦場では上官だろうと下士官だろうが同じ迷彩服を着るため、特に
文明圏外国では強国の上官は貴族みたいな煌びやかな恰好をイメージしては、その落差に愕然とする描写がある。
これは決して彼らが無能という訳でなく、無煙火薬を用いた射撃戦が主軸になる20世紀以前は剣戟だろうが弓矢だろうがマスケットでも、視界が悪い中の乱戦が日常で、敵味方の判別や自軍の隊や司令官の居場所を把握することが死活問題なため、上級指揮官は基本的に目立つ格好をしているのが常で会戦における隠蔽性がまだ意味をなしていないから。
また、封建社会のような権威=政治的権力である場合は、戦場においてもその存在を敵味方に誇示するのも重大である。
一方、
ガイのように実戦的だと好感を覚えるものもいる。
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〔最終更新日:2023年11月21日〕
最終更新:2023年11月21日 17:36