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SS64 - (2010/11/18 (木) 10:24:53) のソース
投稿日:2010/02/09(火) 02:48:26 学校が終わって。 いつも通り、りっちゃんと一緒に帰る。 「え、今日お家で一人なの?」 「うん。弟が入院しちゃって、お母さんが付き添いするんだって」 お父さんは明日になったら帰ってくるんだ、ってりっちゃんはいってるけど。 家に帰って、誰もいない。 誰もいないまま、一人で過ごすのは。 とっても寂しいし、ちょっと怖いと思う。 「へ、平気なの?」 「だーいじょうぶ!食べ物の場所知ってるし、戸締まりもできるし!」 りっちゃんは、すごいなあ。 ひとりでも、平気なんだ。 …でも、そう言いながら笑うりっちゃんは。 何時もと何か、違う気がする。・・なんだろう? 「それじゃ、またね!」 「うん、ばいばい」 結局、違う気がする理由がわからないまま、家に着いちゃった。 りっちゃん、本当に大丈夫かなあ、寂しくないかなあ。 でも、私みたいに怖がりじゃないし・・。 「おかえりなさい、澪。・・どうかした?」 「ただいま、ママ。あのね」 分からないことは相談しなさい、って教わった。 ママなら、どうしたらいいかわかるかな。 「・・そうなの。りっちゃんさえ良ければ、うちに来てもらってもいいんだけど・・」 そっか。うちに来てもらえばいいんだ。 なんで気がつかなかったんだろう。 「私、りっちゃんち行ってくる!」 「気をつけてね」 「はーい!」 たったいま歩いてきた道を、少しだけ戻る。 りっちゃんちまでの道は、もう何度も行ったから覚えてるもん。 だけど。 うぅ・・ピンポン、届かない。 これを押さないと、りっちゃんは出てきてくれない。 折角来たのに。 あ、と・・ちょっと・・! えいっ!・・・あ、押せた。 『・・はい』 「あ、りっちゃん?」 『っみおちゃん!え、どうしたの・・あ、待って今開ける!』 家から出てきたりっちゃんは、さっきと変わらない。 やっぱり、平気なのかな。 そういえば私、家に誰かを呼ぶの初めてだっけ。 …い、今になって、急に・・緊張してきちゃった・・。 「どうしたの?」 「えっと、あ、あのね」 「うん?」 「も、もし良かったらだけど。う、うちに、お泊りしな、い?」 「え!」 うぅ。・・は、恥ずかしい。 やっぱり、迷惑かな。 りっちゃん、全然平気そうだもん。 「いいの!?」 「り、りっちゃんさえ良ければ。って、マ・・お母さんも言ってたから」 「いく!みおちゃんち!・・・っと、そーと決まれば、ぜんはいそげ!」 りっちゃんは、お母さんに連絡をして、お泊りの準備をするといって家の中に走っていっちゃった。 とりあえず私は、玄関でりっちゃんを待っていよう。 「みおちゃん、おまたせ!」 「お母さん、良いっていってた?」 「『いいのかしら・・是非お願いしなさい。あぁ後でお電話しておかなくちゃっ』っていってたよ」 りっちゃんは振り付きで声まね?をしてくれた。 …りっちゃんのお母さんってこんな感じ、だったっけ。 「それじゃ、いこっか!」 「うん」 学校の帰り道での変な感じは、もうしない。 気のせいだったのかな? 「あのね、みおちゃん」 「うん?」 「ほんとは、ちょっと、寂しかったんだ」 「え?」 呼ばれたのは聞こえたけど、その先は聞こえなくて。 もう一度言って、と言ってみたけど。 「んーん、なんでもないっ」 りっちゃんは、そういって笑うだけだった。 おわる。 #comment