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短編59 - (2010/11/19 (金) 12:41:18) のソース
投稿日:2009/12/24(木) 21:28:12 私はいま、運命の出会いをしてしまった。 クリスマスイブ、学校の帰り道。律と一緒に立ち寄った雑貨屋さんで。 「……か、可愛い」 小さなマスコットがついたキーホルダー。 見た目が可愛いのはもちろんのこと、さわり心地も最高という反則級の逸品だ。 欲しい。めちゃくちゃ欲しい。 そんな欲求に駆られて思わずキーホルダーを手に取り……すぐにはっとする。 ……こんなの買ったら、律になんて言われるか。 似合わねーと大笑いされるのがやたらリアルに頭に浮かんで、思わずため息が漏れる。 「……やっぱ止めた」 「なにが?」 「う、わ、っと、律」 突然手元を覗き込まれ、私は慌てて持っていたそれを棚に戻す。 「ん? 何か欲しいのあった?」 「べ、別に」 「んー?」 ぷい、と顔を背けた私を、律が訝しげに見つめてくる。 何か[[隠し事]]してないか、と言いたげな視線から必死に逃れていると、 「ねー澪」 「……なに?」 「これ、おそろいで買おっか?」 「え?」 律が手に持っていたもの。あのキーホルダー。 「……お、お前、見てたのか」 「そんなことはいーから。買うの、買わないの?」 「…………いいの?」 「いーよ。一緒に買おう」 にっこりと笑って律がキーホルダーをふたつ手に取った。 とってもとってもファンシーなキーホルダー。 ……律にはちょっと似合わないね。それに、私にも似合わないんだろうな。 でも。 「……ありがと、律」 「どーいたしまして!」 #comment