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短編142 - (2010/11/19 (金) 13:07:58) のソース

投稿日:2010/09/26(日) 14:49:06 

部活からの帰り道
もう何年も一緒に登下校を共にしているのに新鮮な気持ち。ドキドキする
先日幼なじみから恋人に変わったからかな
慣れない関係にぎくしゃくし、もどかしい距離
[[もっと]]近付きたいな…

「最近寒いなー」
律はそんな事を言いながらブレザーのポケットに突っ込んでいた手を外に出した
「ここのとこ急に気温落ちたからな。もう秋だな」
「秋かー、やっぱ秋は人肌恋しくなる季節だよな」
「そうだな」
律がちらりとこちらを見てきたのが恥ずかしくて視線を下に向けた

「あっ!」
「どしたー?」
「な、なんでもない」
私の影の手と律の影の手がちょうど重なり手を繋いでるみたいに見え、つい声を上げてしまった
こんな風に手繋げたらいいな
なんて考えていると律の影が動き、私の影と離れてしまった
それが面白くなかったので、私は急いで律の影を追いかける
再び二人の影が繋がったところでまた離れる
暫く影同士の追いかけっこに夢中になってからはっとする
勢い良く律の顔を見ればニヤニヤとこちらを見ている
自分の顔が急激に熱くなるのがわかった
「みおちゅわんはそんなにあたしと手繋ぎたいのかなー?」
「う、うるさい」
「影じゃなくてさ、本物なら離れないよ」
律はそんな事を言って私の手を掴んだ
今度は影じゃなく本物
律の手の温もりが伝わってくる
恥ずかしさと嬉しさで律の手を少しだけ強く握った

いつの間にか最初に感じていたもどかしい距離感もなくなった
影も私達もお互いしっかり繋がってもう離れる事はないだろう




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