「短編157」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
短編157 - (2012/02/11 (土) 22:28:21) のソース
投稿日:2010/11/05(金) 20:05:38 「……澪、なんか、揺れてないか?」 ベッドに寝転んでいた律がむくりと起き上がって言う。 「ほんとだ、地震かな……っと」 そう呟いたその瞬間、ぐらっと突き上げるような揺れが私たちを襲った。 ガタガタと音を立てて揺れる本棚やCDたち。 ……結構、大きいな。 私は持っていた雑誌をテーブルに置くと、揺れの収まらない床を歩いて、律の元へ向かう。 「よっと」 ベッドの端に腰を下ろすのと同時に、律の小さな体が飛び込んでくる。 首に手を回してしがみついてくる律の体を包み込むようにして抱きしめてやると、 「大丈夫、すぐ収まるよ」 「み……みおー……」 律の細い体が小動物のようにガタガタと震えている。 ……実を言うと、律は昔から地震が大嫌いなのだ。 雷とか台風とかは全然平気なくせに、地震だけはどうしても苦手なんだよな。 「……こわいよぉ……」 「うん、[[もっと]]しがみついていいよ」 「ん……」 か細い声がして、律の両腕にさらに力がこもる。 首筋に顔を埋められて、律の息が少しだけくすぐったいけれど、それで律が安心できるのならばそれでいい。 赤ん坊をあやすようにして律の背中をぽんぽんと叩いているうちに、地面の揺れはすっかり収まった。 「律、もう平気みたいだよ」 「……」 「律?」 「……うん」 腕の中の律がもそもそと動いて、私から距離を取る。 律はそのままベッドの上であぐらをかくと、私に背中を向けてしまった。 「……律、どうしたの?」 「ごめん」 「何が?」 「えっと、だから、その」 ごにょごにょと答える律の耳が真っ赤に染まっていて、思わず笑ってしまう。 「ふふ、もう慣れたよ」 「……笑うなよ」 拗ねたような口調の律が、可愛くてたまらない。 いつも守られてばっかりの私だけど、地震のときだけは律を守ることが出来る。 それって、なんかちょっと、嬉しいんだよ。なんて、律には言わないけれど。 「律、かわいいな」 「うるせー」 膨れたほっぺたをつついて律を背中から抱き締めると、律は小さな小さな声で「だいすき」と呟いた。 - あーもうこの二人ほんとかわいい -- 名無しさん (2012-01-21 16:57:32) - 東日本大震災の被災地の皆さんに見せていいのか悪いのか? がんばろ!日本! -- アクティブ (2012-02-11 22:28:21) #comment