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短編161 - (2010/11/19 (金) 13:12:58) のソース

投稿日:2010/11/14(日) 22:37:30 

律が、ゲームばっかりやっててかまってくれない。
なんだよ、馬鹿律。

そう思いつつ律の後姿を眺める私の目に、さらさらと動く後ろ髪の隙間から律の首が見えた。
……かまってくれないのが悪い。ちょっとくらい悪戯してやる。

ゲームをしている律に気づかれないように背後にピッタリとくっつく。そして。

「いってえ!!」

すばやく髪を退けて首に噛み付いた。
そんなに強く噛んでないのに、オーバーだなあ。

「ちょ、澪!なにすんだよ」
「ひははい(しらない)」

噛み付いたまま返事をする。
律はそのままゲームやってればいいだろ。

「……わかった、やめるから。離れてちょーだい」

返事の変わりに強く噛む。寂しかったんだからな、そういう抗議も含めて。通じないだろうけど。

「いててて!澪ってばぁ」

言葉じゃ無理だと分かったのか、律の手が私の頭の上にのせてぽんぽんと軽くたたく。
そんなんじゃ許してあげないんだから。

「ごめんって。な、許してよぉ」

ダメなものはダメなんだもん。……でも、流石に顎がちょっと痛いかもしれない。
しょうがないな、噛むのはやめてやる。

「ちょ、澪!なめるな!!」

噛んだところに歯形が残ってしまっていたので丁寧になめる。まぁ取れるわけないけど。

「澪」

しばらく舐めていると、律が振り返って景色が反転。
背中に床が当たってることで押し倒されたのだと気づく。
こういうことだけは素早いんだから、まったく。

「なんだよ、馬鹿律」
「悪かったってば。……今からちゃーんと埋め合わせするから、な?」

律はニカッと擬音がつきそうな笑顔でそう言った。
ばかりつ、ずるいぞ。

「じゃあ、ゆるす」

私のその言葉が、合図だった。




おわる。



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