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SS37 - (2010/11/18 (木) 10:05:46) のソース
投稿日:2009/12/24(木) 02:31:26 茹だるような暑さの[[夏の日]]―― 私は親友と共に家路についている 「な、なぁ…澪。」 「ん?なんだ、律?」 「……っ、あのさ、」 いつからだろうか、私がこの幼なじみに恋愛感情を抱くようになったのは 「? どうかしたのか?」 「い、いや!なんでもない!相変わらずデカイ胸してるなぁっt」ゴツン 「この、馬鹿律!!」 「イテテ、ツッコミ強すぎだっての……」 ――まただ。 これまでにも、何度もこの気持ちを伝えようとはしてみた。 今回だって、今日こそは――と決心してきたはずだった。 しかし、『いざ』というときになると、臆病な私は決まって ――引かれたらどうしよう ――嫌われたら嫌だ そんなことばかり考えて、結局言い出せなくなる (なっさけないなぁ、私) あと一歩、たった一歩を踏み出すのが、私にとっては果てしなく遠く思える 「じゃあ、また明日。」 「おう!じゃあなー」 (はぁ……) 結局、今日も告白出来なかった。憂鬱な、しかしちょっとだけ安心したような気持ちで家に入る 「ただいまー」 さっきまでの緊張と暑さで、喉はもはやカラカラだった 真っ直ぐ冷蔵庫へと向かい、冷えたコーラとガラナチョコレートを取り出し、それらを口にしてソファーに身を投げる しばらく寝転がっていると、潤った喉とは対照的に身体は徐々に熱を帯び、私の気分は高揚してきた そういえばカフェインには興奮作用があると聞いた事がある 夏の暑さも相まって、私の思考は加速度的に溶かされていく 澪に私の想いを伝えたい そんな想いは脳の興奮と共に益々強くなっていく ――今なら出来る気がした 考えるよりも先に家を飛び出していた カチューシャで纏めていた髪型は崩れ、吹き出した汗で額に張り付く それでも私は気にせず走り続ける 風に揺れる黒髪が遠くに見える 走り過ぎて息も絶え絶えになりながら、私は必死に呼び止める 「みおー!!」 「……ん? 律! ど、どうしたんだ!?そんなに急いで」 「わ、わた、し、みおに、伝えたい、事が」ハァ…ハァ… ――夏の太陽とガラナの実、私に少しだけ勇気を下さい 「澪、好きだ!!」 fin #comment