予兆詩第11番(旧12番) 1555年10月について
原文
Venus Neptune poursuivra l'entreprise
1.
Serrez pensifs, troublez les opposans.
Classe en Adrie, citez vers la Tamise
2.
Le quart
bruit blesse de nuit les reposans.
異文
(1) l'entreprise : l'entreprinse 1555Br 1605 1628 1649Xa
(2) Tamise : Tamynse 1555Br
英訳版原文
Venus, Neptune shall follow the enterprise,
Closed thoughtful troubles apposing them
Companie in Adrie situate tovvard the taminse,
The fourth noise hurt by night the rester.
(注記)この原文は英訳版『1562年向けの占筮』における英訳である。非正規版での訳ということもあり訳の信頼性は疑問だが、同時代に出された資料的価値を考慮し、掲載しておく。
日本語訳
ウェヌスと
ネプトゥヌスは企てを続行するだろう。
沈思する人々は閉じ込められ、反対する人々は災禍に遭う。
アドリア海の艦隊は、テムズ川の方へと曳かれる。
第四の騒音は夜に休んでいる人々を傷つける。
訳について
3行目は citez(cités)を過去分詞と見るのか名詞と見るのかで意味が異なる。名詞と見るなら、「アドリア海の艦隊、テムズ川周辺の諸都市」といった意味になる。
信奉者側の見解
ジョン・ホーグは1行目「ウェヌス・ネプトゥヌス」を「海軍力に優れた
ヴェネツィア」の意味に捉えている。彼は1555年になんら詩の情景に適合する出来事がなかったとして、1558年にフェリペ2世がトリポリ奪還のためにメッシーナに艦隊を終結させたことと関連付けている。
同時代的な視点
ノストラダムスは「偉大なネプトゥヌス」という表現でしばしば知人の提督
ラ・ガルド男爵を表したとされる。仮にここでも当てはめられるなら、ラ・ガルド男爵がヴェネツィアと結託し、
イングランドを攻めるといったモチーフが展開されたものか。
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最終更新:2009年09月21日 11:37