エルカム交通公団 > 歴史


概要

 当記事ではエルカム交通公団の歴史について解説する。

沿革

  • 遠古代初期:惑星テレステに外界の技術者が渡来し、自動人形(後のルフィアム・アリアンナ)を組み立てる。
  • 遠古代中期:増殖した機械集団は、ルフィアム・アリアンナを総帥とする原始組合(後に交通公団として改名)を成立させた。
  • 遠古代後期:外惑星文明の脅威に対処するための事象変動バリアが形成される。これにより、全ての渡来者を受け付けない体制に。
  • 近古代:近隣空域における諸星系の発熱を観測するも、事象変動バリアの切り替えに問題が発生し、調査隊の派遣には至らなかった。
  • 中近代初期星間文明統一機構と接触。事象変動バリアによって囚われた侵入者の残骸は相互不可侵を条件に返却された。乗組員の返還は行われなかった。
  • 中近代中期:エルカム領内に流れ着いた近隣文明の船を拿捕し、乗組員を連れ去る等の行為を繰り返す。公団の発展のために定着させた。
  • 中近代後期:外界での拉致活動を本格化させ、定期的に実行する。主に恒星間ワープ技術を持たない文明の民が標的となった。
  • 中近代末期ユミル・イドゥアム連合帝国領内のAI反乱を機に事象変動バリアが無力化され、国際共立監視軍の侵入を受ける事態に。組織的な拉致行為を指摘され、帰還を望む一部研究者の解放と一定量の株式発行を余儀なくされた。
  • アリアンナ主導による一度目の改革開放が実行され、敷設のための外資を得た。円滑な取引を促すべく世界経済への適合が進められる。(第1回テレステG8首脳会議)
  • 現代・共立公暦0年:公団による世界敷設構想を宣言。これにより、宇宙鉄道の増設が本格化する。
  • 同750年:セトルラームの要求に端を発する二度目の改革開放。国際社会の需要を満たすため、経営に関する各国の持ち株比率を調整した。(第2回テレステG9首脳会議)
  • 同785年:アリアンナの一極体制に終止符。複数国による事実上の集団指導体制へと移行した。(第3回テレステG4首脳会議)
  • 同800年:一部締約国との越境審査枠組み協定を締結。一部旅券に共通の入国査証機能が付与された。

最高機密指定記録

 公団史上において象徴的存在と目される、始祖技術者の正体に関しては多分に非科学的な記録も含まれており、長らく追求の対象となっていた。共立時代を迎えて、より高度な情報開示を迫られたアリアンナ総帥は、エルカム独自の通信システムであるDer.N.S.(通称:デルドルナ・ネットワーク、二次元.基幹保護網)の仕様書を条件付きにて開放し、平和維持軍との共有を推し進めた。これにより、連合帝国で伝わる思想作船と始祖技術者の関係に一定の繋がりを認めたわけであるが、彼らがフェルフィステル星域にコミットした理由が未だ不明で、これについてはアリアンナですら解明できていない永遠の謎として残された。かつて、運命の選択を迫られた思想作の民が「神の沈黙」に対抗するために種を蒔いた(エルカムを創造させた)とする説、来るべき牙王世界(通称、ドゥルーズ時空領域)との統合に向けて責任世界(現世)における広大な敷設事業計画を実行させた説も浮上した。いずれにせよ、古典古代にまつわる記録の多くが曖昧である以上、事の真相は依然として不明であり、想像の域を出ない話である。現時点で確かなことは、始祖技術者によってプログラムされたアリアンナが強いこだわりをもって広域鉄道の拡大に取り組んでいることであり、国際外交において、ある程度世界の需要を満たしているということである。現在に至っても原理不明とされる事象変動バリアについては、事象災害そのものを盾として用いていたことが判明しており古典古代由来の技術である可能性が高い。よって、神の沈黙による追加制裁の対象となった説(そうでなければ歴史の辻褄が合わない)も浮上し、このことは考察の主体者であるメレザ・レクネール議長をして「新たな研究の幕開け」とも言わしめた。

 本項に関する情報を把握しているのは以下の人物に限定される。(共立公暦1000年現在)
 情報共有クラス「3rd」.役職解除(退任等)をもって記憶消去の対象となる。 共立軍事法 に基づく全体の総意に関わる場合はこの限りではない。
 情報共有クラス「2nd」.事実を恒久的に把握するが、古の契約に従い漏洩できない。脅威内容に応じて即座に対処する権限を持つ。
ルフィアム・アリアンナ(一次情報提供者.エルカム交通公団総帥)
 情報共有クラス「1st」.事実を恒久的に把握し、公表の意思決定権及び安全確保の義務を有する。外交上の懸念から秘匿の継続を確認した。

第1回テレステG8首脳会議

開催時期:宇宙新暦4950年
開催場所:惑星テレステ・エルカム本社

 時は宇宙新暦4761年。ユミル・イドゥアム連合帝国において発生したAI反乱は、イドゥニア星系にも波及し、ギールラング問題で揺れる時の国際情勢を一変させた。そして、ほぼ同時期にフェルフィステル星系の事象変動バリアが解け、惑星テレストを治める交通公団の在り方が問われたのである。唯一絶対の指導者とされた時のアリアンナ総帥は、暫しの間、消失の事実を秘匿し、荒れる国際社会に対して防衛準備のための技術的優位を装った。同4950年当時の主な仮想敵はツォルマリアを中心とする国際共立監視軍であり、長らく拉致行為を続けてきたエルカムは国際社会の追求に抗しきれず、外交による和解の道を模索し始めたのである。結果、致命的な融和条件(企業解体)の免除と引き換えに世界経済への対応に迫られ、外資による内部統制を受諾。一定量の株式発行をもって新たな経営体制を成立させる手続きに入った。それでもアリアンナの優越権は維持され、当時絶大な軍事的影響力を誇ったツォルマリアとの提携強化をもって以下の保有割合を認めたとされる。

●普通株式保有割合

第2回テレステG9首脳会議

開催時期:共立公暦745年~同750年
開催場所:共立人材派遣機構・テレステ軌道上統括支社

 共立公暦734年。各国有志からなる国際法曹団体は、主権擁護原則を根拠とする捜査権限の拡大を共立司法裁に訴えた。これに対し、アリアンナ率いるエルカム本社は提携各国との合意に基づく治外法権の正当性を主張。不当干渉の停止を求め、反訴する手続きを取った。その後は敷設航路の在り方を巡る諸問題の内容が審議され、共立司法裁は同742年に合法とする判決を下した。これにより、エルカムは更なる鉄道路線の敷設を宣言したが、同745年に公団の経営体質を批判したセトルラームの要求を受け、体制刷新を巡る関係各国との交渉が始まったのである。当初の段階では発行株式のうち、40%を有するアリアンナを筆頭に、ツォルマリアが30%、その他の主要国に等しく5%を充てる体制となっていた。この不公正な比率を是正するため、一人(一国)あたりの保有株に上限を定める提案がなされるも、現状の維持に努めたいアリアンナと提携の終了を示唆したセトルラームが衝突。経営状況の悪化を憂いたツォルマリアが折れる形で同国所有の20%を分配する決定がなされた。しかし、同746年にオクシレインが介入すると、普通株の保有割合を巡る合意事項の見直しを余儀なくされ、議決投票権を持たない優先株の発行を検討する動きも加速した。同747年にアリアンナ、ツォルマリア、セトルラーム、オクシレインの四者による新体制を成立させることで合意。この一連の決定に伴って公団は優先株の発行を正式に認めたが、ユピトルの参入とともに購入を巡る国家間の新たな主導権争いへと発展した。先の交渉で普通株を手放した黒丘三国(キルマリーナ、メイディルラング、ソルキア)は、各々独自に優先株の買い占めを試みたが、同盟内での包括的発展を約束したオクシレインの説得に従って完全に手を引く流れとなった。同750年。主たる競争相手の脱落から、優先株式の95%をユピトルが取得し、以後、長きにわたる配当権益の恩恵を享受した。

●普通株式保有割合

●優先株式保有割合
ユピトル学園主権連合体:95%
ラマーシャ公国:5%

第3回テレステG4首脳会議

開催時期:共立公暦785年
開催場所:共立人材派遣機構・テレステ軌道上統括支社

 第二回首脳会議において議論された一連の問題は多くの国の関心を引き付け、静観の姿勢を保つ連合帝国の方針にも影響を及ぼした。共立公暦750年。連合帝国皇帝トローネ・ヴィ・ユミル・イドラムは交通事業を巡る交渉過程において自国との関係を優先したセ連政府の対応を高く評価。同時に自国の権益を脅かそうとしたエルカムへの追加措置を独自に検討する意向を表明し、同779年にオクシレインを交えた水面下の調整を進めた。以上の流れから、セトルラーム国内における帝国宙船の担当航路を縮小させる決定が下され、この成果をもってヴァンス・フリートン大統領は交通公団との更なる提携を打診したとされる。以上の流れから、エルカム、ツォルマリア、セトルラーム、オクシレインによるG4首脳会議の開催が決定し、同785年に株式保有割合を巡る再交渉の席が設けられた。会談の冒頭にて、セトルラーム政府は硬直した現行の経営体制を改めたい従来の立場を強調。一極体制のもとで成り立つツォルマリアの権益を追求しないことと引き換えに株式保有比率の更なる適正化を提案した。アリアンナ総帥の立場としては、自らが要求する自社権益の拡大(絶対に受け入れられないとタカを括っていた帝国宙船との取引縮小)をセトルラームが受諾したことで歓迎以外の選択肢を取りにくい状況にあった。一方のツォルマリアはアリアンナとの連立体制が脅かされる局面にあり、一方の競争相手となるオクシレインとの取引を模索したわけである。しかし、帝国政府の仲介で既にセトルラームとの合意を得ていたオクシレインの態度は、共同歩調を求めるツォルマリアの期待を酷く裏切るものであった。

 センジュ・アン・アクセルン・ヴィン・アンニオ大統領は、エルカムには既に黒丘内での絶大な交通権益を与えていることを補足しつつ、セトルラームの提案に賛成する意向を示したのである。帝国政府の真意を理解できないナスーラ・ヴィ・ラッフィーア議長(ツォルマリア)は本件の提案に至った経緯を問い質し、帝国宙船が契約の縮小に合意した理由の合理的説明を求めた。アンニオ大統領は沈黙を維持。代わりに手を挙げ、説得を担ったのがフリートン大統領とされる。彼は隣に座るアンニオに目配せをすると、「帝国宙船との取引を縮小させるのは国家安全保障を巡る相応の取引があるからだ」と説明。「貿易立国であるセトルラームにとって、交通利権を巡るエルカム及び帝国間の対立は現行秩序を損なう重大な懸念事項であり、事故または偶発的な紛争の脅威を認めざるを得ない」事情も付け加えた。また、今後の更なる緊張を避けるために導き出された結論が「帝国宙船の退場及び帝国宙軍に対する大規模なゲートルート・システムの共有」であること。「この圧倒的な連携強化の成果をエルカムに向けることはしたくない。よって、我が共立連邦としてはエルカム交通公団に対し、その敷設事業を成し遂げるための新たな打開策を準備した。それが今回の提案」というわけである。ツォルマリアとの連携に絶対の自信を持つアリアンナは、「何があろうと絶対に過半数割れを認めない」意向を示し、そこにアンニオ大統領が同調したことで保有割合に関する最終的な交渉段階へと移行した。この一連の合意をもって、長らく続いたアリアンナの一極体制に終止符を打つ流れとなったが、交渉当事者の視点ではあくまでも外形上の改革に過ぎず、総帥自身の指導力が失われたわけではないことも補足された。

●普通株式保有割合

●優先株式保有割合
ユピトル学園主権連合体:95%
ラマーシャ公国:5%

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最終更新:2024年07月10日 00:59