概要
セルクレム王国は、ミサウェール大陸東部に位置する立憲君主制国家。
セトルラーム共立連邦をはじめとする複国と共に
ロフィルナ連邦共同体を構成し、
ジェルビア星間条約同盟に加盟している。海を隔てた北東に
ロフィルナ王国領ユリーベル島と接し、そのまま東へ進むと
サンリクト公国(エリッツ島)が、更に東へ進むと南中央大陸の
ロフィルナ本土に突き当たる。ミサウェール大陸西側では、
レナムス民主南海連合ゲルムドリア帝国と陸路で接し、交易など活発に続けている。ミサウェール大陸を北側に迂回し、西に進むと、北フリーネア大陸が存在することから、古くより貿易の要所の一つとして発展を重ねてきた。この恵まれた立地条件を生かして
内政不干渉の原則を徹底。ロフィルナ問題も含め、国際社会の紛争には極力コミットしない方針を取り続けている。
星間文明統一機構由来の
変異キメラが増殖して久しく、度々内陸地域に被害が生じていることから一定の軍事強化を図った。総人口の9割が首都圏に集中し、残りの1割が小さな村を形成している。そのため、
事実上の都市国家とも言える。
歴史
皇帝の裏切り
宇宙新暦150年頃。ミサウェール大陸は唯一
ゲルムドリア帝国によって統治されていた。当時のゲルムドリアは
ティンドゲルム帝政連合を構成する加盟国の一つで、最大の敵対勢力たる
ロフィルナ連合王国との緊張が続いたという。中央大陸の争いに巻き込まれたくない時のゲルムドリア皇帝は、再三にわたるインスニア帝国の要請を留保しつつ、ロフィルナ本土に対して特使を送るなどの背信行為を重ねた。同201年。
星間文明統一機構が襲来すると、ゲルムドリア皇帝は関係諸国の結論を待たず、即座に降伏。一定の身分保障と引き換えに早期の行政権移行措置を受け入れた。この行いは時の国際世論にとって裏切りにも等しい過ちとされたが、強大なゲルムドリアの軍事力を前に抵抗路線を挫かれた多くの国が滅亡に追い込まれる事態へと推移した。戦後、星間機構植民宇宙軍は、ゲルムドリアの功績を『理性的かつ模範たるに相応しい』と認定。区分措置を
後にセルクルムとなる東部地域の分断に留め、その他・ゲルムドリアに関わる一切の領域については情報統制以外の介入を控えた。以降、ゲルムドリアは親星間機構に連なる勢力としてイドゥニア各地の恨みを買うことになる。
斜陽の帝国ゲルムドリア
宇宙新暦1290年代。
星間文明統一機構の崩壊に伴う
イドゥニアの春を受けて、ゲルムドリアも国の方針転換を余儀なくされた。ツォルマリア本国の司令が途切れたことで、一斉に分離独立を目指し始めたセルクレムの新体制を壊滅させる方針に舵を切り、間もなく訪れるであろう激動の時代に備えた。同1428年に
新秩序世界大戦が勃発。この戦いにおいては連合国・枢軸国の双方から
『条約違反』を問われ、経済制裁を課される様相となる。最終的には
ユミル・イドゥアム連合帝国の侵攻を受け、以後、暫しの暗黒時代を迎えた。同4000年代にセトルラーム艦隊が襲来すると、西のフリーネア王国は複数国からなる
大陸解放アライアンスを結成。その勢いのままにミサウェール大陸を武力解放し、東の中央大陸へと戦線を押し戻していった。同4500年。国際社会はゲルムドリアの歴史(=先の裏切り・圧政への加担)を指摘したセルクレム使節団の提案に寄り添う形で講和条件を練り直し、
ここに新たな王国が誕生した。
国民
セルクレム王国の国民は明るい肌の色を持ち、白い服装や装飾を好む傾向がある。髪の色は多様であるが、特に白や金髪が多い。春には
「令花祭り」が開催され、
光華薇(ナリス・ヴェリダ)で飾られた静寂の儀式が行われる。
流麗華(サレナ・ルキフローラ)を使った料理や飲料が一般的であり、花のペタルを用いたサラダやデザートが人気である。音楽や芸術においても花が多く用いられ、花をテーマとした詩や歌が数多く存在する。自然との調和が重視されており、環境保護活動が盛んである。
エルドラーム星教ルドラス派の信者が多く、神殿や教会には常に生花が供えられ、美しい庭園が併設された。経済面では、花や薬草の栽培が盛んであり、これらは国内外に輸出されている。観光業も重要な経済の柱であり、美しい花畑や庭園を目当てに多くの観光客が訪れる。学校教育においては、花の栽培や使用法についての教育が行われており、子供たちも自然に対する感謝の気持ちを育んでいる。
政治
セルクレム王国は、独自の憲法のもとに、国民の基本権を保障し、完全な議会制民主主義を採用している。
アリウス公王は
ロフィルナ連邦共同体における唯一の象徴君主とされている。王国の政治体制は、行政府、立法府、司法府、情報府、民衆府の五権分立によって構成された。首相は、立法府における首相指名選挙を経て任命され、さらに民衆府の過半数の賛成を得なければならない。これにより、党派間の調整だけでなく、広範な精査を可能とする仕組みが成立している。裁判所長官の任命も、内閣の指名に基づき民衆府が精査し、アリウス公王が追認する。民衆府は、行政および立法に対して精査権限を持つが、行政権を有せず、法律案を提出することもできない。憲法改正や独立性が求められる人事事項に関してのみ関与し、それ以外の干渉は禁じられている。情報府は、他府の広報精査を担う第三者機関であり、選挙における不正防止や事実に基づかない広報活動の防止を主任務としている。また、情報府は選挙制度における予防装置としても機能する。
経済
セルクレム王国の経済は多岐にわたる産業に支えられている。特に次の分野が主要な役割を果たしている。肥沃な土地が残る南部の農業は盛んであり、特に花や薬草の栽培が主要な産業となった。国内外への輸出が行われ、特に薬草を用いた医薬品や化粧品は高い評価を受けている。肥沃な大地を活用した農業技術の発展により、安定した収穫が可能となった。セルクレム王国の美しい花畑や庭園は多くの観光客を引きつける魅力的な観光資源となっている。花祭りをはじめとする季節ごとのイベントが観光業の活性化に寄与し、観光業は経済の重要な柱となった。国内には伝統的な工芸品の製造が根付いており、特に花をモチーフにした工芸品や装飾品が人気である。また、薬草を用いた医薬品や化粧品の製造も盛んであり、国内外での需要が高まった。セルクレム王国は海を隔てたロフィルナ本土の他、ゲルムドリア帝国と陸路で接しており、古くから貿易の要所として発展してきた。主な輸出品は花や薬草、医薬品、化粧品であり、輸入品としては機械類や工業製品が挙げられる。恵まれた地理的条件を活かし、貿易が経済の重要な部分を占めている。セルクレム・ルムを通貨として用い、安定した金融システムが確立されて久しい。国内の銀行や金融機関は企業や個人の資金需要を支える重要な役割を担っており、特に農業や観光業の発展を支えるための融資が行われている。
外交
基本的に
連邦共同体の総意に従うが、
ロフィルナ問題を巡る加盟国同士の争いに懐疑的で、一定の距離を置いているのが現状とされる。また、セルクレム王国は国際社会において中立的な立場を維持することを重要視しており、他国との外交交渉においても内政不干渉の原則を貫く方針を固めた。このため、連邦内の紛争や対立に直接関与することは避け、
平和的解決策を模索し続けている。セルクレム王国は、事実上第三国としての立場を活用し、国際会議や多国間協議の場で積極的に仲裁のロードマップを提供している。これにより、各国との信頼関係を築き、地域の安定と平和に寄与することを目指した。さらに、セルクレム王国は外交上の透明性を重視し、他国との関係において誠実で開かれた対話を推進する。このような外交姿勢により、セルクレム王国は国際社会において信頼されるパートナーとしての地位を確立している。
軍事
セルクレム王国の軍事は防衛と治安維持を目的に国防軍を設置している。国防軍は陸軍、海軍、空軍の三軍から成り、国防省が運営を担当し、内閣の指導のもとに統率される。防衛戦略を重視し、隣国との協力や情報共有を通じて地域の安定を図る。また、国際平和維持活動にも積極的に参加しており、特に対テロ活動や人道支援任務で重要な役割を果たした。防衛技術の向上と新型装備の導入により、国防軍の戦闘能力は高い水準を維持。予備役制度を採用し、国民は一定の年齢で軍事訓練を受け、緊急時には即応予備役として動員される。軍事費は国の予算に計上され、透明性を確保するため定期的な監査と公開が行われる。セルクレム王国の戦力は次の通りである。陸軍は約50,000人の兵力を有し、最新鋭の装甲車両や歩兵装備を保有。海軍は艦船30隻を擁し、沿岸防衛と海上輸送の保護を担当する。空軍は航空機60機を保有し、空中優勢の確保と防空を任務とする。予備役部隊は約20,000人であり、緊急時には迅速に動員できる体制を整えた。このようにセルクレム王国の軍事体制は防衛と地域の安定を重視し、国際平和維持活動において重要な役割を果たしている。
関連記事
最終更新:2025年09月19日 09:18