謎を解いていく前に、まず知っていただきたいのは、

エンディングリストの31番目にある、

『ユウキドウ計画』とはなんだったのか

ということです。


PS2版からでもその計画の内容を推測することは出来ますが、
その後に発売されたPSP版に追加された年表がわかりやすいので
関連部分を抜粋します。

 

2001年
月日不明――
沙也香 その『存在』が永遠に失われる。
悟は、自分が沙也香の『死』に関与していることを知っている。
だが、それはあくまで表象的なこと。
悟は妹の喪失を嘆き悲しむと同時に、彼女の『死』の真の原因――
彼女を『殺』した真犯人を追い求め続ける。


2006年
月日不明――
悟 長年の調査の末、人間の精神や意志に他律的な影響を与える
『超越的な意志(あるいは知性体)』の存在を知る。
それは学説と呼ぶには憚られるようなオカルトまがいの概念だったが、
悟はこれこそが、沙也香を『殺』した真犯人ではないかと考える。
何かに取り憑かれたように研究に没頭する悟。


2009年
01月14日――
阿波墨市立病院無差別殺傷事件。
死者12名、重軽傷者19名。

潤一 死去。
犯人である犬伏は、逮捕される直前に『セルフはどこ?』という謎の言葉をこぼす。
司法鑑定の結果、犬伏はDIDであると診断。判決は無罪となる。
犬伏は青鷺島のSPHIAに幽閉される。

月日不明――
阿波墨の事件を契機に、悟は自分の考えに確信を抱くようになる。
犬伏の残した言葉を拝借し、『超越的な意志(あるいは知性体)』を『セルフ』と命名。
それは、真に実在した存在だったのか?
それが存在することの妥当性と、存在して欲しいと願う強い願望が見せた幻だったのか?
やがて悟は、ある計画を立案・遂行することを志す。
『セルフ』をこの世界に誘い込む計画、――『ユウキドウ計画』を。


2011年
月日不明――
悟 テラバイトディスクの情報を元に時空間転移装置を仕上げ、『計画』の大幅修正を行う。
実験場は、オーストラリアではなく日本国内の3点間(朱倉岳・青鷺島・穂樽日)に変更。
目的は、データの収集だけでなく、黛ら18便墜落事故の犠牲者の救出。それと……
『セルフ』をこの時空内に捕らえ、幽閉すること。


月日不明――
悟と榎本 ごく小規模の(短距離間、短時間の)時空間転移を発生させ、
  互いの肉体を交換する。
以降、悟の肉体には榎本の意識が宿り、榎本の肉体には悟の意識が宿る。

 


ご覧になっていただいた通り、

『ユウキドウ計画』とは、
悟の妹、沙也香を殺した犯人『セルフ』を彼の世界へと誘い込み、
幽閉することを目的に立案された、復讐計画。

その計画がゲームの舞台の陰で実行されていたのです。

沙也香を殺した危険な存在と直接対峙することを避け、
未来の別の自分を現場に送り込み、
安全な場所でその行く末を監視していた。
それが第三地点にいた黒髪の悟と金髪の榎本です。

サトル編のエピローグで、
黛が「あなたは悟じゃない」と否定したのは、
榎本と悟の人格が入れ替わっていたからであり、
それにより『セルフ』を混乱させ、彼のいる世界、すなわち、
ゲームの時空内に幽閉するためと思われます。

 

サトル編エピローグの唐突な終わりは、
制作上の都合で発生した投げっぱなしエンドなどではなく、
悟というゲームキャラによって周到に準備・実行された
復讐計画が成立したために起こったのです。


そう言われても納得出来ないと思われたのではないかと思いますが、
あの終わりの真相は、ここより7つの謎を順に読み解いていかないと
辿り着けない位置にあります。
ひとまず疑問はそのままに読み進めていただけますでしょうか。

最終更新:2024年11月25日 13:26