1975年
09月16日――
黄泉木 聖司 誕生。


1984年
09月16日――
内海 カーリー 誕生。


1987年
04月30日――
黛 鈴 誕生。


1990年
02月22日――
冬川 こころ 誕生。
優希堂 悟 誕生。

同日――
優希堂 沙也香 誕生。

11月27日――
榎本 尚哉 誕生。


1991年
04月30日――
犬伏 景子 誕生。

10月30日――
涼蔭 穂鳥 誕生。


1998年
月日不明――
悟の両親が殺害される。
犯人は、娘の沙也香。
司法鑑定の結果、沙也香はDID(乖離性同一性障害)であると診断。
判決は無罪となるが、沙也香は精神医療施設に収容される。
これと前後して類似の事件が散発するようになり、
後年の刑法改正に影響を与えることとなる。

月日不明――
沙也香 ライプリヒ製薬の研究施設に移送される。

01月14日――
黄泉木 潤一 誕生。

10月19日――
楠田 ゆに 誕生。


2001年
月日不明――
沙也香 その『存在』が永遠に失われる。
悟は、自分が沙也香の『死』に関与していることを知っている。
だが、それはあくまで表象的なこと。
悟は妹の喪失を嘆き悲しむと同時に、彼女の『死』の真の原因――
彼女を『殺』した真犯人を追い求め続ける。


2004年
09月――――
日本の研究グループが三者間の量子テレポーテーションに成功。


2006年
月日不明――
悟 長年の調査の末、人間の精神や意志に他律的な影響を与える
『超越的な意志(あるいは知性体)』の存在を知る。
それは学説と呼ぶには憚られるようなオカルトまがいの概念だったが、
悟はこれこそが、沙也香を『殺』した真犯人ではないかと考える。
何かに取り憑かれたように研究に没頭する悟。


2007年
月日不明――
刑法改正により全国各地にSPHIA(隔離と保護のための特定精神医療施設)が新設される。


2008年
04月――
悟 鳩鳴館大学に入学。
こころ 鳩鳴館女子大学に入学。

月日不明――
悟 在学中に榎本と出会い、親交を深めていく。

夏――――
悟と黛が交際を始める。

月日不明――
DSM-Ⅵ発行。
(精神障害の診断と統計マニュアル・第6版)

月日不明――
夫婦別姓の法案 可決。


2009年
01月14日――
阿波墨市立病院無差別殺傷事件。
死者12名、重軽傷者19名。

潤一 死去。
犯人である犬伏は、逮捕される直前に『セルフはどこ?』という謎の言葉をこぼす。
司法鑑定の結果、犬伏はDIDであると診断。判決は無罪となる。
犬伏は青鷺島のSPHIAに幽閉される。

月日不明――
阿波墨の事件を契機に、悟は自分の考えに確信を抱くようになる。
犬伏の残した言葉を拝借し、『超越的な意志(あるいは知性体)』を『セルフ』と命名。
それは、真に実在した存在だったのか?
それが存在することの妥当性と、存在して欲しいと願う強い願望が見せた幻だったのか?
やがて悟は、ある計画を立案・遂行することを志す。
『セルフ』をこの世界に誘い込む計画、――『ユウキドウ計画』を。

04月――
悟と榎本 一気に2年飛び級して大学4年に。

月日不明――
悟 榎本に『計画』を打ち明け、協力を求める。
(ただし沙也香のことは伏せ、あくまで目的は学術的なものと説明)
悟の考え方や価値観に共感を覚え、半ば心酔していた榎本は快諾する。


2010年
03月――――
悟と榎本 鳩鳴館大学を卒業。
悟 鳩鳴館大学大学院に進学。と同時に、ライプリヒ製薬にスカウトされて就職。
榎本も同様にライプリヒ製薬に就職。
悟と榎本 工学研究部研究第3課に配属。
悟と榎本 ライプリヒ製薬の研究室において、独立したプロジェクトを立ち上げる。
ライプリヒが秘密裏に完成させていた分子レベルの量子テレポーテーション装置をベースに、
時空間転移装置の開発に着手。

夏――――
悟と黛が別れる。

月日不明――
クローン法 改正公布。

秋――――
時空間転移装置 開発難航。


2011年
01月――――
この年、太陽風が観測史上最大級の規模となる。

月日不明――
悟 未完成ながら、時空間転移装置の大規模実験を計画する。
実地におけるデータ収集が目的。

01月11日――
【Remember11/ココロ視点】
こころ 青鷺島SPHIAの犬伏に会いに行くため、稚内行きの小型航空機HAL18便に搭乗。
同機の乗客には、黄泉木・黛・ゆにの姿もあった。

同便の乗客には、穂鳥の姿もあった。

午後04時過ぎ――
乗員乗客31名を乗せたHAL18便が、青森県南部に位置する山岳地帯の上空でレーダーから消失。
警察や関係各局は臨時対策本部を設置、すぐさま機体と乗客の捜索を開始。
だが稀に見る悪天候のため、捜索は難航する。
HAL18便 墜落。

午後04時半頃――
2012年01月の青鷺島サークル&2011年07月の穂樽日サークルとの間で時空間転移発生開始。
最初は、人格の入れ替わらない空転移(朱倉岳サークル内に、こころがいないため)。
この空転移を利用して、2012年のゆにが青鷺島サークルを経由して2011年の朱倉岳へやってくる。
同じ頃、空転移中に2011年のゆにが青鷺島サークルに迷い込む。
2012年のゆには生存者3名(こころ・黄泉木・黛)を朱倉岳緊急避難小屋に避難させる。
この時、2012年のゆには避難小屋に6ヵ月後の新聞『2011年07月04日の新聞』を持ち込む。

午後08時02分以降――
転移が伴う例外的な現象として
こころ・悟(2012年)・双子の胎児の兄(2011年07月)、穂鳥・犬伏(2012年)・双子の胎児の妹(2011年07月)、
それぞれの3者間で、時空間転移の度に人格交換現象が発生する。

月日不明――
悟 18便が東北地方で行方不明になっていることをニュースで知る。
乗客の名前も放送中に読み上げられたが、悟は時空間転移の実験場探しに集中していたため、黛の名前を聞き逃す。
悟らの導き出した仮説上、時空間転移の転移時間(タイムスリップする時間)の長さは、
転移空間(テレポートする距離)の長さに比例する。
長い時間を転移するためには広大な敷地が必要なため、日本のように国土の狭い場所では不可能であると判断。
よって、実験場はオーストラリアに決定する。
オーストラリア行きの航空機を手配と共に、長期滞在の準備を行う。出発日は01月18日。

01月15日――
2012年から朱倉岳に転移してきた悟が、雪原で倒れている少女(穂鳥)を発見。
悟は亡骸と捉えたが、実はこの時点では臨死状態。(肉体の中には犬伏の意識がある)

01月16日――
人為的偶然性により、避難小屋のメンバーがかけた衛星電話が山岳救助隊に繋がる。

01月17日――
2011年07月17日以降の穂樽日サークル内が無人となったため、時空間転移の際に人格交換現象が発生しなくなる。

01月17日早朝――
こころが、雪原で倒れている少女(穂鳥)を発見。この時点ではすでに穂鳥は完全に事切れており、肉体は亡骸と化している。

午前06時53分頃――
X地点で雪崩発生。

午前06時58分頃――
連日の猛吹雪が収まる。
救助隊が事故現場に到着。
乗員乗客31名のうち27人分の遺体が収容される。
時おなじくして、一人の生存者――ゆにが救出される。
付近の避難小屋からは、他にも生存者がいたらしい痕跡も発見。
ゆにらは、11日の墜落時点から17日まで、避難小屋で生き延びていたらしいことが判明する。
当日中に、18便墜落事故のニュースが報道される。

01月17日夕方――
悟 18便墜落事故のニュースを知る。
黛の死を確信する悟。
悲しみを覚えると同時に、時空間転移を用いて黛を救出できないかと考え始める。
また事故の報道は、悟に興味深い『舞台』を連想させるきっかけとなる。
オーストラリア行きを急遽中止。だが、まだ装置は未完成であり、この時点では『計画』の実行は不可能。

月日不明――
悟 手がかりを求め、唯一の生存者ゆにと面会。
当時のゆには、ほとんど心神喪失状態でロクな話を聞ける状態ではなかったが、重要な物品を所持していた。
所持していたのは、1枚のテラバイトディスク。

月日不明――
ゆにからディスクを『譲り受けた』悟は、ディスクの解析を行う。
一部に暗号化された情報も含まれていたが、悟は解読に成功する。
ディスクには実に様々な情報が――
『読み手にしか知り得ない情報』や『読み手の知りたい、あらゆる情報』が収録されていた。

月日不明――
悟 テラバイトディスクの情報を元に時空間転移装置を仕上げ、『計画』の大幅修正を行う。
実験場は、オーストラリアではなく日本国内の3点間(朱倉岳・青鷺島・穂樽日)に変更。
目的は、データの収集だけでなく、黛ら18便墜落事故の犠牲者の救出。それと……
『セルフ』をこの時空内に捕らえ、幽閉すること。

月日不明――
悟 『計画』の遂行のため、ゆにに協力を求める。
ゆにの説得にも、例のテラバイトディスクに収められていた情報が用いられる。
ゆにはこころを救出するために、悟の呼びかけに応じる。

月日不明――
悟 『計画』の準備を着々と進める。
舞台のひとつ、茂枝木村穂樽日鉱山廃坑跡を改造。
鉱山内を丸いドーム状にくりぬき、天井・壁面・地面を真っ白に塗りつぶす。
自分の立ち位置すらあやふやになりそうな不思議な空間に仕上げる。
次いで、ゆにと榎本に事細かに指示を与える。
ただし、作為的にいくつかの情報(=『計画』に支障を来す恐れのある情報)は伏せられる。

07月――――
悟 穂樽日鉱山内に設置していた、時空間転移装置を完成させる。

月日不明――
悟と榎本 ごく小規模の(短距離間、短時間の)時空間転移を発生させ、互いの肉体を交換する。
以降、悟の肉体には榎本の意識が宿り、榎本の肉体には悟の意識が宿る。

07月04日――
07月03日に、雪解け後の朱倉岳の山肌から男女3人の腐乱死体が発見される。
当局はHAL18便に乗っていた乗員乗客のうち、いまだ発見されていなかった残る3人(こころ・黄泉木・黛)と発表。
……という内容の新聞が発行される?

ただし、この記事が真実かどうかは不明。
悟らによって捏造された偽の新聞記事の可能性も考えられる。

07月12日――
内海が穂樽日の地下に幽閉される。
内海の胎内には双子の胎児が宿っている。
時空間転移装置 作動開始。

これらは、悟の手により行われた。

午後04時半頃――
2011年01月の朱倉岳サークル&2012年01月の青鷺島サークルとの間で時空間転移発生開始。
以降の転移現象は、装置の仕様により、停止させるまでは不定期に発生し続ける。
この不定期転移は、設計者でさえ原則的には予測不可能であるが、今回の計画では、
(何度同じ歴史を繰り返しても)完全に同じタイミングで転移は発生する。

午後08時02分以降――
転移が伴う例外的な現象として、
こころ(2011年)・悟(2012年)・双子の胎児の兄、
穂鳥(2011年)・犬伏(2012年)・双子の胎児の妹、
それぞれの3者間で、時空間転移の度に人格交換現象が発生する。

胎児らの『疳の虫』により、惨劇が繰り広げられる。

07月15日――
胎児らの『疳の虫』による戯れは続く。
SPHIAとともに穂樽日サークル内に転移してきた2012年の榎本が、胎児によって惨殺される。

(胎児の肉体は、2012年の榎本のものであり、殺害された榎本の肉体は、2012年の悟のもの)
果たしてそれは予定外の出来事だったのか。それとも……?

07月16日――
翌朝未明――
内海が穂樽日の地下から解放される。

これらは、悟の手により行われた。

07月17日以降――
穂樽日サークル内が無人となったため、時空間転移の際に人格交換現象が発生しなくなる。

07月18日――
時空間転移装置が最終レベルへ。

08月――――
内海が双子を出産する。


2012年
青鷺島のSPHIAに悟と内海がやってくる。
内海は患者として、悟はスタッフとして。

01月11日――
悟 テラバイトディスクをSHPIAのゆにの部屋に『戻』す。
(他人に読まれたくない情報は、悟自身によって再び暗号化される)
ゆに 時空間転移の発生まで、青鷺島サークル外で待機する。

【Remember11/サトル視点】
悟 SPHIAの時計台に登る。
何かに誘われるように、『何者か』の影が現れる。
午後04時過ぎ――
落雷とともに、SPHIAの時計台から悟が転落する。
この時、悟は『悟としての』人格(=俺)と記憶を失う。
空っぽになった悟(=オレ)は以降、『何者か』の記憶を移植されたような不自然な記憶障害に陥る。

午後04時半頃――
2011年01月の朱倉岳サークル&2011年07月の穂樽日サークルとの間で時空間転移発生開始。
最初は、人格の入れ替わらない空転移(朱倉岳サークル内に、こころがいないため)。
この空転移を利用して、ゆにが青鷺島サークルを経由して2011年の朱倉岳に向かう。
同じ頃、空転移中に2011年のゆにが青鷺島サークル内に迷い込む。

午後08時02分以降――
転移が伴う例外的な現象として、
こころ(2011年)・悟・双子の胎児の兄(2011年07月)、
穂鳥(2011年)・犬伏・双子の胎児の妹(2011年07月)、
それぞれの3者間で、時空間転移の度に人格交換現象が発生する。

午後08時40分頃――
ゆにと内海 ゆにの部屋でテラバイトディスクを発見。ディスクの中身を閲覧。
以降、ディスクは2011年のゆにが所持することに。

01月16日――
2011年07月17日以降の穂樽日サークル内が無人となったため、時空間転移の際に人格交換現象が発生しなくなる。

01月17日――
悟らの活躍により、雪崩の危機を乗り切る。全員生還。
青鷺島海岸にて一同(こころ・悟・黛・黄泉木・内海・犬伏・2012年ゆに・双子)が揃う。
(2011年ゆには、時空間転移発生直前に朱倉岳サークルに入り込んでしまったために
2011年の避難小屋内で孤立しており、間もなく救助隊に保護される)

最後の時空間転移(最終レベル)発生。
悟(=オレ)は世界を失う。
辿り着く先は……?

果たして『計画』は成功だったのか?
失敗だったのか?
セルフはどこ?
永遠に抜け出せない記憶の迷路。
悟が時計台から転落する直前に見た人影――
それは、すでに時空内に閉じ込められた『セルフ』だったのかもしれない……。
――infinity loopへ。

最終更新:2023年05月28日 17:41