沙也香を殺した『セルフ』は優希堂悟でした。
では、沙也香と同一人物である犬伏が病院の事件後に口にした
「セルフはどこ?」という言葉は、
沙也香を殺した犯人のことだったのでしょうか?
ドラマCDの小冊子で、製作監督の中澤氏はこうコメントしています。
ドラマの最終回には、本編でも一瞬だけ登場したE人格が現れます。
犬伏の阿波墨における大虐殺の真意を考える上で、重要なキーとなる要素です。
『セルフはどこ?』 誰かがどこかへ奪ってしまったのでしょうか。
誰が?どこへ?そして・・何を?
>誰が?
『悟が』
>どこへ?
『未来へ』
>そして・・何を奪った?
『沙也香の人格を奪った』
そしてPSP版の特典冊子で中澤氏がこう言っています。
「作中でキャラクターたちが言っている"セルフ"すべてが
イコールで結ばれるわけではないです。」
犬伏景子は、未来へ奪われてしまった沙也香の人格を
『セルフ』と名付け追い求め「セルフはどこ?」という言葉を残した。
のちにそれを知った俺悟は、
それが無差別殺傷事件の直後に発せられた言葉だったがゆえに、
妹の別人格が、妹の人格を殺した犯人を探している。と誤解し、
沙也香を殺したであろう超越的な存在を『セルフ』と命名、
幽閉することを決意し、ユウキドウ計画を立案・実行した。
バッドエンドで犬伏を殺したカーリーが残す「セルフはどこ?」
という言葉は、彼女自身のことだと思われます。
カーリーは、犬伏に息子潤一の命を奪われ、SPHIAに行き着いた。
そのカーリーに会うために黄泉木は飛行機に乗り、命を失った。
犬伏は潤一を殺しただけではなく、間接的に黄泉木の命も奪っていることになる。
自身の人生を台無しにされたカーリーが、
『潤一を返せ』『夫を返せ』『私の幸せをどこにやった』という思いで
犬伏の心臓をえぐり取り、犬伏の言葉を用いて残した言葉が
「セルフはどこ?」だったのだと思います。
犬伏、悟、カーリーの『セルフ』は、
それぞれ違う対象であるにも関わらず、
セルフという名が表すとおり、
いずれも『自分自身』のことであった。
これが「セルフはどこ?」という問いかけより始まる謎の答えです。