2020年9月に、KIDメンバースペシャル座談会にて
衝撃的な内容が公開されました。

Remember11は元々全3章構成だったが、時間がなく
未完の状態で売ることになった。
というものです。


すでにご存じの方は、
このサイトの考察を読んで、
特に『はじめに』や『おわりに』を見て

制作者が未完で出したって言っていただろう?見てないのか?
と思ったかもしれません。

もちろん見ています。
実は『はじめに』や『おわりに』は、見た上で意識してああいう文章にしてあります。
私は、あの一連の未完発言を文字通りには受け取っていないのです。

あの発言についてしっかりとした答えが出せたと思いますので、公開させていただきます。

 

 

さて、この未完発言にはおかしな部分が多々ありますので、
そこから話をさせていただきます。


まず制作者間の矛盾について

市川氏と柴田氏はあのような発言をしましたが、
監督の中澤氏はゲーム特典やご自身のHPで、
『Remember11は完成品として送り出した』
と明言していますし、
ライターの打越氏は、PS2版の特典で
『一切の妥協を許さず、精一杯この作品に取り組んできました。』
と言っています。

おかしいですよね?

なぜ制作者同士でここまで食い違うのか。矛盾した言葉になるのか。
誰かが嘘を言っているのでしょうか?


未完についての一連のやりとりも、色々とおかしいのです。

一連の発言を要点だけ抜き出してまとめてみましょう

市川:元々は全3章だったが、時間がなく3章目が作れず、断腸の思いで未完のままの状態で売ることになった
市川:一生懸命頑張って続編を作ろうとしてたんですけども、いろいろあってできなくなって。
柴田:でも、2章で一応終わる形にしたおかげで、その後に続く3章の部分、
元のネタ自体が割と使えなくなってて。やるとしたら大きく作り変えになっちゃう。
市川:ユーザーが色々終わりを考えてくれて、こっちのほうが面白いかな。って
市川:これよりつまんないとかっこ悪いから(作品が) 出しづらくなっちゃった。
柴田:製作期間は倍
阿保:いろいろ足してって、オープニングなんかも最後の最後に足したり
市川:(ゲーム制作という意味では) 「Remember11」が一番頑張って作った作品じゃないですか、きっと。


まとめて見ると、違和感があることにお気づきでしょうか?


できなくなったと言ったのに、続く言葉で『でも』と言ったり、
出来なくなった理由を述べた後に、出しづらくなったと言ったり、
時間がなくて3章が入れられなかったと言ってるのに、
長い間時間をかけて作って、いろいろ足した。
一番頑張った。と言っています。

文脈がつながってるようでつながっていない、
整合性が取れてないように感じます。


なぜこのような不自然な点があるのか

それは、『ゲームと同じ』だからだと思います。


私は『はじめに』で、このゲームの謎は表面上のことで思い込んでしまうように仕向けられている。
と言いました。

この未完発言も同じだと思うのです。


順に解決していきましょう。

まず未完のままの状態で売ることになった。という言葉ですが、

これは、プレイヤーがトゥルーエンドを見出して初めて完結するゲームで売ることになった。という意味

だから『未完成』ではなく『未完』と言っていたのです。
『完成品として世に送り出した』という中澤氏の言葉と、『未完で売り出した』という言葉は矛盾していない。
制作者は誰も嘘を言っていなかったのです。


もともと全3章だった。というのは初期の企画段階で3章だったという意味
これに関連すると思われるのが、余談 Remember11とEver17 で転載した、中澤氏と打越氏のやりとりです。
初期の企画の段階で、頭を打って思いついたアイディアから、
3章を無くしたかごめ歌のようなゲームが生まれたのではないでしょうか


時間がなくて3章が作れないという言葉は、
3章を無くしてトゥルーエンドの名を呼ばせるかごめ歌のようなゲームに
3章を追加するということは、そのテーマの否定になるからできないという意味
『3章を追加するつもりはないが、もしやるとしたら全面的に作り直しになって時間がかかる。』という意味。


続編を作ろうとしたが、いろいろあってできなくなった。という言葉は、
話の流れから『続編=3章を追加したR11』を連想してしまいますが、これもそう思い込ませるように仕向けられた言葉。
3章を追加した完全版を『続編』と呼ぶのはおかしいでしょう。
『続編』とは『infinityシリーズの続編』のこと
『code_18』のことではないかと思います。
事実、その『続編』にはR11のメインスタッフは関わっていません。
あれは、R11の話をしているように見せかけて別のゲームの話をしていたのです。


ユーザーが色々終わりを考えてくれて、こっちの方が面白いかな。これよりつまんないとかっこ悪い
という言葉も叙述トリックだと思います。
これに関しては関連部を転載させていただきます。

>市川:
>ユーザーが自由にね、終わりを考えてくれるんですよ。
>いろんな人が解釈、たぶんこうだろうというのがバーッといっぱい。こっちのほうが面白いかもってなって。

>市川:
>この後これよりつまんないもの出したらカッコ悪いしなって、だんだん(作品が) 出しづらくなっちゃったんですよ。


おかしなところがわかりますでしょうか?

市川氏の名前が2回出てきます。
同じ話なら、名前を2回出す必要はないはずです。
これは、繋がっている話に見せかけて、上段と下段で別の話をしていたんだと思います。

下段の『これよりつまんないもの』の『これ』とは『ユーザーの考える終わり』のことではなく、
『Remember11』のことだと思います。
ユーザーの考えた終わりの方が、ゲームの終わりより面白いから出しづらい。
と言っていたように見えたあの言葉は
『R11より面白い作品はなかなか出せない』という意味だったのです。


その後の文は、額面通りに受け取っていいと思います。


ここまで真逆の解釈を提示しておいて、
残りはそのまま受け取っていいと言っているのは、
別に私の考えに都合がいいからではなく、
この不自然な発言の『理由』に見当がついているからです。


おそらく、Remember11製作スタッフには『縛り』がある。

『Remember11の謎や真相について語る際は、
 必ず誤解を招く言葉を使わないといけない』
というような、約束や契約があったのではないか、と思うのです。

そう考えると全ての辻褄が合う。

事実、このサイトで度々取り上げている、
中澤氏のコメントは、謎解きのヒントのような言葉は、
全て正解と誤解の入り混じった、相反するものが両立するかごめ歌の主題のような言葉でした。

 

だから一連の未完発言は、ちぐはぐで整合性のない文脈になってしまったのです。


一連の発言をこの考えに基づいて再度まとめなおすとこうなります。


市川:元々は全3章だったが、時間がなく3章目が作れず、断腸の思いで未完のままの状態で売ることになった
『当初は全3章で企画していたが、覚悟を決めてプレイヤーが謎を解いて完結させるゲームとして売ることにした』

市川:一生懸命頑張って続編を作ろうとしてたんですけども、いろいろあってできなくなって。
『infinityシリーズの続編を作ろうとしたが、色々あって参加できなくなった。』

柴田:でも、2章で一応終わる形にしたおかげで、その後に続く3章の部分、元のネタ自体が割と使えなくなってて。やるとしたら大きく作り変えになっちゃう。
『3章のない形で仕上げたかごめ歌のようなゲームに3章を足すということは、かごめ歌のようなゲームでなくなるから、もしやるとしたら全面的に作り変えになってしまう』

市川:ユーザーが色々終わりを考えてくれて、こっちのほうが面白いかな。って
市川:これよりつまんないとかっこ悪いから(作品が) 出しづらくなっちゃった。
『Remember11よりつまらないとかっこ悪いから、同種の作品が出しづらくなった。』

柴田:製作期間は倍
阿保:いろいろ足してって、オープニングなんかも最後の最後に足したり
市川:(ゲーム制作という意味では) 「Remember11」が一番頑張って作った作品じゃないですか、きっと。

 


未完成で出してしまったゲームを『恥じていた』ように見えたこの一連の言葉は、
その真逆
『誇っていた』のです。

時間をかけて、頑張って作ったのだ。と
Remember11以上のゲームはなかなか出せないんだ。と言っていたのです。



その叙述トリックに気づかせるためにも、
後半に『縛り』と無関係の話を持ってきていた。
「時間をかけた。」「頑張って作った。」と
前半の言葉とは矛盾するような言葉を用いて、
意図的に違和感を演出したのでしょう。

 


制作者がそんな事をするはずがない。
ありえない。
妄想だ。
都合のいいようにねじ曲げて解釈してるだけだ。
と笑う人もいるでしょう

それも逆だと思います。

このゲームでは、その
ありえないを
思い込みを
常識を
疑わなければいけないゲーム。


その事を示唆するやりとりが
この未完発言と『同種』の言葉が
『答え合わせつき』で作中にもあったのです。


犬伏が悟を誘惑していたかのような言葉がそれです。


ゲームやドラマCDにあった、犬伏が悟を誘惑しているとしか思えなかった言葉は、
実際は家事手伝いのお願いでした。

あの悟をからかっていただけに思えたやりとりは、一連の未完発言と同じでしょう。
誤解を招く言葉であり、このゲームの本質をついていた言葉であり、ヒントでもあった。

『そうだとしか思えない言葉でも、そうだとは限らない』
ということを言外に伝えていたのでしょう。
 

未完発言は、あきれるくらい『ゲームと同じ』だったのです。

だからこそ、これまでに考察で取り上げてきたキャラクターの言葉も当てはまる。


「全ては誤解だったのだ」

「誰の言葉も信用してはいけない」

「常識という枠に囚われてはいけない」


この非常識なゲームは、制作者すらゲーム外ですらトリックを、誤解を仕掛けてくる。
制作者の言葉すら信用してはいけなかったのです。


そして、Remember11が
『謎が解けなければ未完成』だと
誤解してしまうゲームだったこととも同じ

あの一連の言葉は
『謎が解けなければ未完成』だと
誤解してしまう言葉。


あの言葉は、衝撃的な暴露話ではなく、
何もかもゲームの有り様に沿って投げかけられた『謎かけ』だったのです。
 

この非常識なゲームの制作者に仕掛けられた非常識な謎かけに、
誰も彼もがRemember11は未完成だと誤解させられてしまったのです。

最終更新:2024年03月28日 03:07