人格転移で沙也香を救うとしても、大きな問題があります。
それは『過去の沙也香の人格と入れ替わりになる人格』
入れ替わりになる人格は誰でもいいわけではありません。
仮に、こころの人格を2001年の沙也香と入れ替えたとすると
どうなるでしょうか?
こころは大騒ぎし、未来の情報を2001年で漏らすでしょう。
それではタイムパラドックスが起きる恐れがある上、
沙也香が死んだとは判断されないのではないでしょうか?
歴史をなぞりながらこころ達を救うために
『身代わりとなる腐乱死体』が必要だったように、
歴史をなぞりながら沙也香を救うために
『身代わりとなる死体のような人格』が必要なのです。
そんな都合のいい人格が・・
・・実は一人だけいるのです。
それは『E人格』です。
犬伏景子の多重人格は、AからKまでで11人格あり、
その内のE人格は、
『エンプティ、意思のベクトルが剥ぎ取られたかのようなからっぽの人格』
とされています。
(ゲーム本編中にE人格の情報はなく、
Prophecy Collection Vol.6のCDドラマ、THE DAY AFTER DAY 第6話でカーリーが解説)
2012年の犬伏の中にあるE人格を、
2001年の沙也香の人格と交換することで、
沙也香が死んだと判断され、
過去に矛盾なく沙也香を救えると思われます。
(これによりE人格は2001年~2012年間をループ?
2012年のSPHIAに迷い込んだゆにが2011年に持ち帰り、
2011年~2012年を巡り続けるテラバイトディスクと同じような存在になる・・?)
そして、それは同時に、
『E人格を持つ犬伏こそが優希堂沙也香』であることを示しています。
E人格でしか彼女を救う(殺す)ことが出来ない、
それゆえにE人格を宿す犬伏こそが優希堂沙也香の肉体。
『犬伏景子は成長した優希堂沙也香』だったのです。
事実、ゲーム冒頭で犬伏の事件が語られた際、
一瞬だけ登場する沙也香の特徴は、
犬伏景子と一致しています。
髪の色、目の色、肌の色は全く同じで、
これは黒髪の本当の悟の特徴とも一致しています。
血液型はどちらもAB型、声を当てている声優、
DIDであることも共通しており、
沙也香と犬伏が同一人物であることを表しています。
そして、ゲーム中の犬伏に関する不自然な部分も、
この真相を持って解決できるのです。
常識的に考えて、
黛達を救いセルフを幽閉しようとする計画の舞台に、
多重人格殺人鬼という、
なにをするかわからない危険人物がいることは不自然ですし、
彼女が人格転移しているのも不自然です。
しかし『犬伏が沙也香』であるのなら、
沙也香の身体が人格転移可能かどうか、
多重人格者でも人格転移が可能かどうか、
という沙也香救済の前段階の実験だった。
という必然の理由になります。
人命の救助とセルフの幽閉計画、
この2つが同時に行われていただけでも驚くべきことなのに、
さらに、中止にしたオーストラリアでの沙也香救済のための実験も
同時に行われていたのです。
優希堂悟は、1つでも困難なことを3つ同時に行っていたのです。
(沙也香の謎を解決するための鍵であるE人格についての情報が
ゲーム中にないことを疑問に思う方もいると思います。
これについては、後々話をさせていただきますので、
今はその疑問を置いて読み進めていただければと思います。)