料理を教えてもらえへん?


【さくや】
あ、マイスはん。
その、手紙のことなんやけど。
えっと……呼んでくれはった?

【マイス】
うん。
僕でよければ力になるよ。

【さくや】
助かるわ。
うち小さな旅館やから、
料理人とかやとわれへんし。
せやから、いつかはウチも一人でここを
切り盛りできるようにならんと
あかんねんけど……。

【マイス】
うーん、じゃあとりあえず
ゆでタマゴでも作ってみようか。

【さくや】
ゆでタマゴか……。
いきなり難問やな。

【マイス】
いや……。
まあ、うん、そうかもね……。
じゃあ、ちょっと待っててくれる?
材料が見つかったら渡すから。


さくやに毎日ケンコー卵を渡す
【さくや】
おお、コレやコレ!
なんや今のウチならなんでもできる
気いしてきたわ!

【マイス】
…………。

【さくや】
ともあれ、
これで準備完了やな。

【マイス】
うん。でも、料理するには、
鍋と火が必要なんだけど……。

【さくや】
おかんの部屋に七輪あるし、
そこで料理しよか。


旅館『都』しののめの部屋に移動


【マイス】
それじゃあ作ってみようか。
まず、水をお鍋に入れて。

【さくや】
ええよ。

【マイス】
次に、水の中に塩を少々。
それから沸騰するのを待って、
卵を鍋の中に入れる。

【さくや】
ほいほい。
……鍋、ちょっと小さいかもな。

【マイス】
そうだね……。
って、何で入れてるの!?
まだ全然沸騰してないのに!

【さくや】
あ……。
ま、これくらいの失敗なら
問題ないやろ。
それより次や。
次はどうしたらいい?

【マイス】
まあ、沸騰させてから入れるかどうかは
割と意見が分かれるところだから
いいけど……。
とにかく、
あとは中火で10分くらい待つだけだよ。
半熟なら短めに。

【さくや】
10分も!?
なんやまどろっこしぃな……。
そうや!
もっとがつっと火い強くしたら
ええんと違う?

【マイス】
いや、そんなことしたら一気に温度が
上がって……って、ちょっと!?


さくやが火を強くして、卵が爆発


【さくや】
爆発……したな。

【マイス】
うん……。

【さくや】
なんでやろ?

【マイス】
原因に思い当たらないところが
原因だと思うよ。

【さくや】
……だから卵は嫌いなんや。

【しののめ】
なにごとですのん!?

【マイス】
あ、しののめさん……。

【さくや】
それがな、
ゆでタマゴ作ろう思てたら、
卵が大爆発してん……。

【しののめ】
そうなん……。
とにかく、まずはお風呂に入ってきい。
ここは私が片しておきます。

【マイス】
すみません……。


時間経過


【しののめ】
しかし、さくやが料理なんて、
どうゆう風の吹き回しなん?
女将は料理なんて
作れんくてもええゆうとったのに。

【さくや】
そ、それはもう過去の話やし。

【しののめ】
立派な女将になるゆう夢は
あきらめたゆうことなん?

【さくや】
ちゃうねん。
むしろ、そのために料理くらいできるように
ならなあかんて思うたんよ。
なにせ、ウチの夢は、
モンスターも泊まりに来てまう旅館を
建てることやさかいな。

【しののめ】
な!?
なに無茶苦茶なことゆうてねん!
そんなん許さへんえ!

【さくや】
な!!
無茶やないやろ!
モンスターにも、
話せば分かるのんがおるやんか!

【しののめ】
それをどうやって、
全部のお客はんに伝えるんや!?

【さくや】
そ、それは……。
…………。

【マイス】
(さくや、もしかして僕のために……)

【しののめ】
どうしてもゆうんやったら、
うちやなくてちゃうとこでやり。
私は付き合いきれへんよ。

【さくや】
な……!

【マイス】
待ってください!
しののめさん、
さくやの言うことを信じてあげてください。

【しののめ】
なんぼマイスはんのお頼みでも、
モンスターをうちの旅館に入れるんは
できまへん。

【マイス】
それって……。


マイスが変身する


【マイス】
……僕もこの旅館に泊まっちゃ
ダメってことですか?

【しののめ】
…………。

【さくや】
おかん、そんなにモンスターが嫌いやったん!?

【しののめ】
マイスはん、
人間の姿に戻ってくれはりませんか?
それができひんゆうなら、
すぐにこの旅館からお引取り願います。

【さくや】
おかん!

【マイス】
(交流祭のときは、全然気にしてないように見えたのに、どうして……)

【しののめ】
マイスはん。
どうかお願いします。

【マイス】
……分かりました。

【さくや】
マイスはん!


マイス、出ていく


【さくや】
おかん、この前までは
何もゆうてなかったのに
そんなんおかしいわ!


さくや、出ていく


都の外
【さくや】
待って、マイスはん!
約束する。
ウチが絶対におかんを説得してみせる。
そやから……。

信じて待ってる・さくやにできる?
▼信じて待ってる
【さくや】
うん!
まかしとき!


▼さくやにできる?


【さくや】
あ、そうや。
これ、今日のお詫びとお礼。
ほんまごめんな。
マイスはん。
ほんなら、待っててな。
絶対におかんを説得してみせるから!


依頼を達成しました!
宝箱の中身は愛の結晶と超失敗作



泊まりに来て

旅館『都』入り口前にいるさくやに話しかける
【さくや】
あ、マイスはん
手紙には目え通してくれたか?

【マイス】
うん。

【さくや】
実は……。
モンスターの姿のマイスはんを、
何の問題もなしにここに泊められたら
考えてもええて、おかんにゆわれてん。

【マイス】
じゃあ、しののめさんが
許してくれたってこと?
良かったね!

【さくや】
ウチの交渉術にかかれば当然や!
ただし、他のモンスターと同じようにて
条件付やから、ウチのペットとしてや。

【マイス】
ペ、ペット?

【さくや】
そや。
楽しそやろ?

【マイス】
え……な、何が……?

【さくや】
ま、覚悟ができたら、
モンスターのままで
ウチに話しかけてくれるか?
ウチはここで待ってるし。


モコモコの姿でさくやに話しかける
【さくや】
覚悟ができたみたいやね。
そしたら行こか!

【マイス】
うん……。
でも、ホントにいいのかな?

【さくや】
あかん。

【マイス】
え!?

【さくや】
今、マイスはんはモコモコなんやから、
人間の言葉をしゃべったらおかしいやん。

【マイス】
あ……ごめん。

【さくや】
何度言うたら分かるん?

【マイス】
も……モコモコ。

【さくや】
よろしい。


旅館『都』ロビー
【客】
きゃ……!?

【さくや】
すんまへん。
部屋、空いてます?

【しののめ】
はい。
何名様でしょか?

【さくや】
人間一人と、
モンスター一匹で。

【しののめ】
ほな、ここにお客はんの
お名前をお願いできます?

【さくや】
はいな♪

【客】
な、なんでモンスターが……?

【しののめ】
…………。


旅館『都』2階右下の部屋
【さくや】
ここがうちらの部屋やね。
いまからしばらく、
ウチらはペットとご主人様やからね。

【マイス】
モコ……。
(不安だ……)

【さくや】
そしたら、下で軽い食事でもしよか。
ウチの料理は、グルテンはんとこに特別に
用意してもらってるのんもあるんよ。
きっとマイスはんも気に入ると思うで。

【マイス】
モコー!
…………。
(ああ、なんか飼いならされてる気が……)


旅館『都』ロビー
【さくや】
ん?
なんかあったんかな?

【しののめ】
どないですか、
マージョリーはん。

【マージョリー】
ふむ。これは……。
モコ綿があれば
なんとかなるだろうがねぇ……。

【しののめ】
そうですか……。

【マージョリー】
とりあえず、
手ぬぐいでも用意してくれるかい?

【しののめ】
はい、ただいま。

【さくや】
……ウチらで取りに行こか、
マイスはん。

【マイス】
モコ。(うん)


旅館『都』入り口前
【さくや】
そしたら、
ウチは誰かにモコ綿を
持ってないか探してみるわ。

【マイス】
じゃあ、僕はモコモコが
落とすのを拾ってくるよ。

【さくや】
あかん。

【マイス】
え?

【さくや】
マイスはん。
モコモコのときは、何やったっけ?

【マイス】
も、モコ……。
(笑顔が怖い……)


依頼中にさくやに話しかける
【さくや】
すんまへん!
モコ綿を持ってる人はいらはりませんかー!?
マイスはん。
モコ綿が見つかったら、ウチに渡してな。
モンスターがモコ綿を
持ってたらおかしいやろし。

【マイス】
も、モコ。


旅館『都』に入ろうとする
【さくや】
マイスはんも
モコ綿探してきてな!
ゆうとくけどふわ毛ちゃうで。


さくやにモコ綿を渡す
【さくや】
あ、マイスはん。
見つけてきてくれたんやな。
そしたら、はよ届けに行こ!


旅館『都』ロビー
【マイス】
モコ……。
(いくらルールだからって、
こんな時までモコモコ姿じゃなくても……)

【さくや】
ん?なんか言うた?

【マイス】
も、モコモコ!

【さくや】
そか。


倒れている客に向かう二人


【さくや】
モコ綿持ってきたで。

【マージョリー】
ああ、わざわざ採って来てくれたのかい?
どれどれ……。

【客】
うーん……。

【マージョリー】
……残念だけど、これではダメなようだね。

【マイス】
モコ!?

【さくや】
なんでや!?

【マージョリー】
よっぽど神経質なんだろうねぇ。
もうちょっと上質な、ふかふかな毛を
選ばないと……。

【さくや】
上質でふかふかなモコ綿……。

【マイス】
モ、モコ……?
(いまちょっと寒気が……)


旅館『都』外
【さくや】
なあ、マイスはん。
モコ綿やって。

【マイス】
モコ。モコモコ。
(そうだね。また森に行って、上質なものを探そう)

【さくや】
よっぽどふかふかじゃないとダメらしいで。

【マイス】
モ、モコモコ。
(うん、頑張って探してあげないと)

【さくや】
ところで……。
マイスはんの毛ってふかふかやんな。

【マイス】
モ!?

【さくや】
行くで!


さくや、マイスを旅館『都』へ連行


【マイス】
モコーーーーー!


旅館『都』ロビー
【マージョリー】
おや?これは?

【さくや】
この子の毛や。
これで薬は作られへんやろか?

【マージョリー】
ふむ。ちょっとお待ちよ。

【客】
うーん……。
ん……。

【マージョリー】
これならよさそうだよ。
すぐに準備するから、
もうちょっと待ってておくれ。

【さくや】
よかったな。

【マイス】
モコ。

【マージョリー】
しののめ。
すぐに枕を作るから、
裁縫道具を貸してくれるかい?

【しののめ】
はい、ただいま。

【さくや】
ま……?

【マイス】
……モコ?
(くら?)


時間経過


【客】
本当にありがとうございました。

【さくや】
例ならこの子に言ってや。
まさに身を削る思いで
協力してくれたんやから。

【マイス】
モコ。
(まさに)

【さくや】
しかし、単なる寝不足やったとは……。

【客】
お騒がせして申し訳ありません。
枕が変わると眠れなくなるたちなもので。
それにしても、素晴らしい枕でした。
初めての感触なのに、
あんなに熟睡できるなんて……!
よろしければ、
家族の分もお願いできませんか!?

【さくや】
いや、実はこの子、
毛を刈られるんがあんまし好きやなくて。

【客】
お代はこれくらいで……。

【さくや】
こんなに!?

【マイス】
モ!?

【さくや】
前向きに検討させていただきます。
あ、詳しいお話は、
後でうかがいに参りますんで。

【マイス】
モフ……。


『都』2階右下の部屋
【さくや】
いやあ、もうかったなあ。

【マイス】
モコ……。
(寒い……)

【さくや】
なんや、冷えるんか?
そんなら、抱いて眠ってあげてもええけど。


さくや、マイスに近づく


【マイス】
モ!?

【さくや】
じょ、冗談や!
そら、どうしてもいうんなら
考えたらんこともないけど……。

【しののめ】
さくや。
入りますえ。

【さくや】
は、はい!?


しののめ、入ってくる


【しののめ】
マイスはん、
先日は試すようなまねをして、
ほんまに申し訳ございませんでした。
せやけど、モンスターと人では、
考え方が大きく違うでしょう。
言葉も通じやしまへん。
そして、ここで起こる問題は、
すべて女将の責任になるんです。

【さくや】
おかん……。

【しののめ】
正直、不安でした。
女将として、母親として、
ほんまにこれでええんかどうか。

【マイス】
…………。

【しののめ】
せやけど、今日の一件で、
モンスターやからこそ
解決できる問題もあるゆうこと、
それと
さくやがマイスはんをどんだけ
信頼してるかゆうことが、よう分かりました。

【さくや】
そしたら……!

【しののめ】
さくや。
これからは、
人とモンスターの女将になれるよう、
きばりや。

【さくや】
……はい!

【しののめ】
マイスはんにはこれからもご迷惑をおかけすると思いますけど、
どうかよろしゅうたのんます。

【マイス】
モコ。

【しののめ】
……モコって?

【さくや】
いや、マイスはんはいま
モコモコになりきってるから。

【しののめ】
そうでしたか。
ほんなら……、
ちょっと抱きしめてもええですよね?

【さくや】
な!?

【マイス】
モ!?

【しののめ】
実は最初に見た時から、
ずーっと思てましたんよ。
えらいかわいい子やなあ。
抱きしめてしまいたいなあて。

【マイス】
モモモ!?

【さくや】
な、なに考えてんねん!
ええわけないやろ!?
はよ仕事に戻りいや!

【しののめ】
さくちゃんのいけず……。
そんなことゆわんと、ちょっとだけ。
ね?


しののめに抱きしめられるマイス
【さくや】
かわいくゆうてもあかんもんはあかん!
こら、くっつくなーっ!

【マイス】
も、モフ……。


『都』外
【さくや】
すまんかったな。
最後はぐだぐだになってもて……。

【マイス】
いや……。

【さくや】
なあ、マイスはん。
いつかウチが立派な女将になったら、
今度はちゃんと泊りに来てな。
もちろん、
人でも、モンスターでも、大歓迎やで!

【マイス】
……うん!

【さくや】
ほなね。
おおきに、マイスはん。
あ、ちょっと待って。
ちょっとだけでも、
その……気分を味わってみてもええかな?

【マイス】

【さくや】
……いってらっしゃい、マイスはん。

【マイス】
……!
いってきます。


さくや、マイスが出て行くのを見届けた後、旅館『都』へ入っていく


依頼を達成しました!



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最終更新:2010年09月27日 00:26