ルルイエ

ルルイエ


ルルイエ(R'lyeh)は、H.P.ラヴクラフトが創造したクトゥルフ神話に登場する架空の場所で、主に「クトゥルフの呼び声」において描かれる重要な舞台です。
この島は、クトゥルフ神話の中核を成す要素の一つであり、邪神クトゥルフが眠る場所として知られています。


概要

概要と設定
場所と位置
  • ルルイエは現在、南太平洋の海底に沈んでいるとされます
  • 具体的には、ニュージーランド、南極大陸、南米大陸の中間付近の海域に位置し、その座標は南緯47度9分、西経126度43分とされています
  • この位置は現実世界で「ポイント・ネモ」と呼ばれる海洋到達不能点(人類が最も遠い海域)に近い場所に該当します
外観と建造物
  • ルルイエは「死せる都市」と形容され、その建造物群は非ユークリッド幾何学に基づく異常な形状を持つとされています
  • これらの構造物は、人間の理解を超えた角度や形状を持ち、見る者に強い不安感や混乱を引き起こします
  • 都市全体が緑色の粘液に覆われていると描写されており、不気味な雰囲気を醸し出しています
クトゥルフとの関係
  • ルルイエは、邪神クトゥルフが「死の眠り」についている場所です
  • クトゥルフは夢を通じて人類に影響を及ぼし、信者たちを通じて復活を画策しています
  • 星辰が正しい位置についたとき、ルルイエは再び海上に浮上し、クトゥルフが目覚めて地上を支配するとされています。

作品内での描写
初出
  • ルルイエは1926年執筆の短編小説『クトゥルフの呼び声』で初めて言及されました
  • この作品では、1925年3月23日から約1週間ほど浮上したことが記録されています
引用
  • ラヴクラフトは『クトゥルフの呼び声』で次のように描写しています:
「悪夢じみた死体都市ルルイエ……それは歴史以前の無限とも言える時代に、暗黒の星々から降り立った巨大で忌まわしい形状によって築かれたものだ。」
この記述からもわかるように、ルルイエは人類史以前から存在する超古代都市として設定されています。

象徴性と哲学的意義
宇宙的恐怖の象徴
  • ルルイエは、人間には理解不能な異質性や未知への恐怖を象徴しています
  • その非ユークリッド幾何学的な建築物や異常な物理法則は、人間中心主義への挑戦として描かれています
  • また、「沈んだ都市」という設定自体が、人類文明の儚さや宇宙規模で見た場合の無力さを暗示しています
クトゥルフ神話全体への影響
  • ルルイエは単なる舞台ではなく、クトゥルフ神話全体を支える重要な要素です
  • この都市を巡る伝説や謎めいた設定が、多くの後続作家やクリエイターたちによって拡張されました

関連書籍とメディア展開
ルルイエ異本
  • オーガスト・ダーレスによって創作された架空の魔導書であり、クトゥルフ崇拝者たちによる儀式や教義が記されているとされています
ゲームや映画
  • TRPG『クトゥルフ神話TRPG』ではシナリオや設定として頻繁に登場します
  • また、多くのゲームや映画でも「沈んだ都市」や「邪神が眠る場所」としてインスピレーション源となっています

ルルイエは、クトゥルフ神話における象徴的な存在であり、「未知」「恐怖」「超越」を体現する場所です。その異常性や謎めいた設定は、人間中心主義への挑戦としてラヴクラフト作品全体に通底するテーマを反映しています。クトゥルフ神話ファンだけでなく、多くのフィクション作品にも影響を与え続ける重要な要素です。

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最終更新:2024年12月28日 09:23