ダゴン秘密教団
ダゴン秘密教団(Esoteric Order of Dagon)は、
H.P.ラヴクラフトの小説『インスマスを覆う影』に登場する架空の宗教団体で、
クトゥルフ神話における重要な存在です。
この教団は、海の
邪神「父なるダゴン(Father Dagon)」と「母なるヒュドラ(Mother Hydra)」を崇拝し、人間と「深きものども(Deep Ones)」との交配を推進することで知られています。
概要
ダゴン秘密教団は
クトゥルフ神話において、人間社会と異界的存在との接点として描かれる象徴的な組織です。
その信仰や活動は未知への恐怖や禁忌への探求という
テーマを強調しており、『インスマスを覆う影』などラヴクラフト作品で重要な役割を果たしています。その背後には、人間社会への異質性や堕落というテーマが色濃く反映されています。
背景と特徴
- 創設者
- ダゴン秘密教団は、インスマスの交易商人オーベッド・マーシュ船長によって1838年に設立されました
- 彼はポリネシアの島々で「深きものども」を崇拝する現地部族から儀式や契約の知識を得て帰国し、これを基に教団を組織しました
- 拠点
- インスマス中央部のニュー・チャーチ・グリーン広場にある旧フリーメーソン会館が教団の本部として使用されました
- 目的
- 教団はダゴンやヒュドラ、さらにはクトゥルフを崇拝し、彼らを目覚めさせるための活動を行っています
- また、深きものどもとの交配による混血種の増加や、豊漁や黄金と引き換えに住民への恩恵を与えることも目的としています
- 崇拝対象
- 父なるダゴンと母なるヒュドラを信仰しています。彼らは深きものどもの巨大な指導者であり、教団の中心的な崇拝対象です
- クトゥルフも崇拝しており、ルルイエに眠る大いなる存在であり、教団は彼の復活を目指しています
- 儀式と契約
- 教団はインスマス沖の「悪魔の岩礁」で儀式を行い、深きものどもと契約を結びました
- この契約により、教団は豊漁や黄金などの恩恵を受ける代わりに、人間と深きものどもとの交配や生け贄の提供を行っています
- 儀式では星辰が正しい位置になる日まで秘奥が伝えられ、「死せる主が目覚める」ことが教義として掲げられています
誓い
教団には三段階の誓いが存在します
- 教団に危害を加えないこと。
- 教団の計画に協力し、金銭や労働力を提供すること
- 深きものどもとの間に子供をもうけること
歴史と事件
- 設立から拡大
- 教団はオーベッド・マーシュ船長によって設立され、インスマス全体に広まりました
- 住民たちは深きものどもとの交配によって徐々に混血化し、「インスマス面」と呼ばれる特徴的な容貌を持つようになりました
- 1846年の反乱
- 一部住民が教団に反発し、オーベッド船長ら幹部を拘束しました
- しかし深きものどもが上陸して反乱派を虐殺し、オーベッドらを解放しました
- この事件以降、インスマスは完全に教団支配下となります
- 1928年の政府介入
- 『インスマスを覆う影』では、連邦政府がインスマスへの大規模な捜査と弾圧を行い、多くの住民や混血種が拘束されました
- この際、教団も壊滅的な打撃を受けたとされています
- 特徴と影響
- ダゴン秘密教団は表向きには隠蔽されておらず、多くの住民がその存在を知っていました
- ただし、その活動内容や目的は一般には知られていませんでした
- 教団の活動はクトゥルフ神話全体で重要な役割を果たしており、「深きものども」や「クトゥルフ」の復活計画など、多くの物語で関連性があります
関連ページ
最終更新:2024年12月28日 19:59