宇宙的恐怖
宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)とは、アメリカの作家
H.P.ラヴクラフトが提唱した
ホラー文学の一ジャンルであり、人間の理解を超えた広大で無慈悲な宇宙に直面した際に感じる恐怖や
孤独感を描くものです。
このジャンルは、従来のゴシック
ホラーや怪奇小説とは異なり、未知なるものや人類の無力さを強調する点が特徴です。
概要
宇宙的恐怖は、人間中心主義を否定し、広大で無関心な宇宙との対峙から生まれる恐怖感を描くジャンルです。
その哲学的深みと独自性から、多くの作家やクリエイターに影響を与え続けています。ラヴクラフトによるこのジャンルの創造は、
ホラー文学のみならず、現代文化全般にも大きな足跡を残しています。
宇宙的恐怖の特徴
宇宙的恐怖は、以下のような
テーマや要素を中心に構成されています:
- 未知への恐怖
- 人間が理解できない存在や現象に直面することが主題となります
- これらはしばしば「異星的」または「異次元的」として描かれます
- 禁じられた知識
- 作品内では、人類が知るべきではない秘密や知識に触れることで狂気や破滅がもたらされることがよくあります
- 人間の無力さ
- 宇宙規模で見た場合の人類の取るに足らない存在感を強調します
- 登場人物は通常、圧倒的な力を持つ存在に対して無力であり、その存在は善悪を超越したものとして描かれます
- 狂気
- 真実や全貌を知ることで精神が崩壊するというテーマが頻繁に登場します
- 非人間的な影響
- 人類の道徳観念や価値観が、宇宙的存在には全く通用しないことが示されます
- 起源と背景
- 宇宙的恐怖は、ラヴクラフトが自身の哲学「コズミシズム(cosmicism)」を基盤として発展させたものです
- この哲学では、人間は広大な宇宙において無意味であり、神々やモンスターといった超越的存在も人間に対して特別な関心を持たないとされています
- ラヴクラフトはまた、科学的進歩によって明らかになる宇宙の冷酷さや規模感にインスピレーションを得ていました
- 代表的な作品と影響
- ラヴクラフトの作品群(例: 『クトゥルフの呼び声』、『狂気の山脈にて』)は、このジャンルを象徴するものとして知られています
- また、このテーマはホラー映画(例: 『遊星からの物体X』)、ゲーム(例: 『Bloodborne』)、コミックなど他メディアにも広く影響を与えています
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最終更新:2024年12月27日 12:26