黄衣の王
黄衣の王(The King in Yellow)は、
クトゥルフ神話における架空の
魔導書の1つです。
古代都市
カルコサを舞台にした戯曲で、最後まで読むと狂気に陥ると言われています。
概要
黄衣の王は、1895年にロバート・W・チェンバースが発表した短編集『黄衣の王』に初めて登場しました。
この短編集には、謎めいた戯曲「黄衣の王」やそれに関連する超自然的存在が描かれています。後に
H.P.ラヴクラフトがこの作品を取り入れ、
クトゥルフ神話の一部として定着しました。
- 戯曲『黄衣の王』
- この架空の戯曲は、ヒアデス星団に位置する都市カルコサを舞台とし、「黄衣をまとった王」の存在が中心に描かれています
- 戯曲は二幕構成で、美しくも恐ろしい内容が特徴です。特に第二幕を読むと読者は狂気に陥るとされ、そのためこの本は発禁処分となり、上演も禁止されています
- 戯曲を読んだ者は、現実と幻想の境界が曖昧になり、最終的には精神崩壊を引き起こします
- 超自然的存在としての黄衣の王
- 黄衣の王は、クトゥルフ神話内で邪神ハスターの化身またはその従者とされています
- ただし、もともとは別個の存在であり、両者が結びついたのは比較的新しい解釈です
- 描写としては、ボロボロの黄色いローブをまとい、「蒼白の仮面」で素顔を隠した巨大な人間型の姿をしています
- また、その衣装自体が身体の一部であるとも言われています
- 黄衣の王は「黄の印」と呼ばれる歪んだ三つ巴状のシンボルと深く関連しており、この印を持つ者に災厄や狂気をもたらします
- カルコサとの関係
- カルコサは、黄衣の王と密接に結びついた架空都市であり、不気味で異世界的な雰囲気を持つ場所として描かれます
- この都市やその設定は、アンブローズ・ビアスによる短編「カルコサを訪れた男」に由来しており、チェンバースがその要素を取り入れています
- 文学的影響
- 『黄衣の王』はゴシックホラーやデカダン派文学に属し、美と恐怖が交錯する独特な作風が特徴です
- ラヴクラフトやオーガスト・ダーレスらによってクトゥルフ神話へ取り込まれたことで、その影響力が広がりました
- 特に「読むと狂気に陥る本」という設定は、『ネクロノミコン』など他のクトゥルフ神話作品にも影響を与えています
- 関連作品
- 短編集『黄衣の王』には、「名誉修理者」「仮面」「竜の路地にて」「黄の印」など、戯曲や超自然的存在に関連する物語が収録されています
- クトゥルフ神話TRPGや小説作品では、「黄衣の王」や「黄の印」が頻繁に登場し、それぞれ独自の解釈が加えられています
黄衣の王は、美しくも恐ろしい戯曲と、それにまつわる超自然的存在として
ホラー文学や
クトゥルフ神話で重要な役割を果たしています。その謎めいた性質や狂気への誘引力から、多くの創作物で象徴的な存在として描かれ続けています。
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最終更新:2024年12月28日 07:26