アブドゥル・アルハザード
概要
背景と概要
- 別名: 「狂えるアラブ人」「狂える詩人」
- 生没年: 生年不明、738年没
- 出身地: イエメンのサナア
- 主な業績: 「アル・アジフ」(ネクロノミコンのアラビア語原題)の執筆
アブドゥル・アルハザードは8世紀のウマイヤ朝時代に活動したとされる人物で、イスラム教徒でありながらイスラムの教えには関心を示さず、
クトゥルフや
ヨグ=ソトースなどの
旧支配者を崇拝していたとされています。
- 冒険と発見
- 彼は伝説的な円柱都市「アイレム」や無名都市(クトゥルフ神話における古代文明の遺跡)を訪れ、人類以前の種族の秘密を記した年代記を発見したとされています
- こうした冒険や研究によって、彼は宇宙的恐怖や旧支配者たちの存在に触れ、その知識を「アル・アジフ」にまとめました
- 著作『アル・アジフ』
- 「アル・アジフ」というタイトルは、アラビア語で「夜間に虫が鳴く音」を意味し、それが悪霊や精霊の声と解釈されます
- この書物は後にギリシャ語に翻訳され、「ネクロノミコン」という題名が付けられました
- ただし、この翻訳にはアルハザード自身は関与していません
- 最期
- 738年、シリアのダマスカスで白昼、公衆の面前で不可視の怪物に襲われて死亡したと伝えられています
- この出来事は彼が禁断の知識に触れた結果とされています
- 創作上の経緯
- ラヴクラフトは1922年の短編『無名都市』で初めてアブドゥル・アルハザードについて言及しました
- この時点ではネクロノミコンという書物自体は登場せず、その後『魔犬』でネクロノミコンとの関連性が確立されました
- 1927年にはラヴクラフト自身が「ネクロノミコンの歴史」を記し、アルハザードやその著作について詳細な設定を加えました
- 名前の由来
- 「アルハザード」という名前は、英語圏では「危険」「偶然」を意味する「hazard」や赤色(red)を連想させるため、不気味さを強調する効果があります
- アラビア語としては文法的に誤りがあるものの、ラヴクラフト自身が意図的にこの名前を選んだことで独特な響きを持つキャラクターとなっています
- クトゥルフ神話内での役割
- アブドゥル・アルハザードは、クトゥルフ神話全体における知識と狂気を象徴する存在です
- 彼が執筆した「ネクロノミコン」は、旧支配者たちや宇宙的恐怖について記された禁断の書物として、多くの作品で重要な役割を果たします
- 彼自身もまた、禁断の知識を追求するあまり破滅した人物として描かれ、人間が未知なる力に触れる危険性を体現しています
- 関連作品
- 以下はアブドゥル・アルハザードやネクロノミコンが登場する主な作品です:
- 『無名都市』(1922年)
- 『魔犬』(1922年)
- 『ネクロノミコンの歴史』(1927年)
- オーガスト・ダーレスによる『永劫の探究』シリーズ
アブドゥル・アルハザードは、
クトゥルフ神話における重要なキャラクターであり、「禁断の知識」と「狂気」の象徴です。彼が著したとされる「
ネクロノミコン」は、多くの作品や設定で中心的な役割を果たし、その存在自体が
ホラー文学全体に大きな影響を与えています。
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最終更新:2025年01月12日 19:57