ケートス
ケートス(古代ギリシア語: Κῆτος, Kētos)は、
ギリシア神話に登場する海の怪物で、「巨大な海獣」や「海の怪物」を意味します。
概要
ケートスは
ギリシア神話において、人間への罰や試練として神々によって送り込まれる海の怪物です。
その姿はクジラや魚類と陸上動物が融合した異形であり、「くじら座」のモデルにもなっています。英雄によって討伐される存在として描かれる一方で、その名前や象徴性は自然界や文化的背景に深く根付いており、現代でも多くの作品でその影響を見ることができます。
背景と特徴
- 由来
- 「ケートス」は元々、クジラやイルカ、アザラシなどの海洋生物を指す言葉です
- ただし、神話においてはこれらの動物を超えた怪物的な存在として描かれます
- ラテン語では「ケートゥス」(Cetus)と呼ばれ、これが現代の「クジラ類」(Cetacea)という分類名の語源となっています
- 外見
- ケートスの姿は伝承によって異なりますが、一般的には以下のように描写されます:
- クジラやイルカに似た膨れた胴体
- 犬やライオン、イノシシなど陸上動物を思わせる頭部
- 下半身は魚で、扇形の尾びれを持つ
- 胸びれはアザラシやアシカのようであり、全体的に異形の混合生物として描かれます
神話での役割
- ポセイドンとカッシオペイア
- エチオピア王国の王妃カッシオペイアが、自らの美貌を誇り、「自分は海のニンフ(精霊)や女神ヘラよりも美しい」と吹聴しました
- この発言がポセイドン(海神)の怒りを買い、ケートスがエチオピア王国を襲うことになります
- アンドロメダの生贄
- ケートスを鎮めるため、エチオピア王ケーペウスとカッシオペイアは娘アンドロメダを生贄として差し出すことを決意しました
- アンドロメダは鎖で海岸の岩に縛り付けられ、ケートスに喰われそうになりますが、英雄ペルセウスが通りかかり彼女を救います
- ペルセウスはメドゥーサ退治で得たゴルゴンの首を用い、ケートスを石化させて討伐しました
- ヘーシオネとヘラクレス
- 別の伝承では、トロイ王ラーオメドーンがポセイドンへの不敬を働き、その罰としてケートスが送り込まれました。
- ヘラクレスがトロイ王女ヘーシオネを救うため、このケートスを討伐したという逸話もあります
象徴性と影響
- 星座「くじら座」
- ケートスは星座「くじら座」(Cetus)のモデルとなっています。ただし、この星座名が「クジラ」と訳されているものの、本来は「海の怪物」を指します
- 星座絵では実際のクジラとは異なり、怪物的な姿で描かれることがあります
- キリスト教との関連
- ギリシャ語訳聖書(七十人訳聖書)では、「ヨナ書」に登場する「巨大な魚」が「ケートス」として記されています
- このため、ケートスはキリスト教文化でも言及されることがあります
- 現代文化への影響
- ケートスはファンタジー文学やゲームなどで「巨大な海洋モンスター」の原型として頻繁に登場します
- 特にドラゴンやリヴァイアサンなどと関連付けられることがあります
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最終更新:2025年01月13日 15:13