リヴァイアサン
リヴァイアサン(Leviathan)は、
旧約聖書や
ユダヤ教の伝承、さらには古代中東の神話に登場する巨大な海の怪物です。
その象徴性や描写は時代や文化によって変化し、
神話的存在から
悪魔的なイメージまで幅広い解釈を持っています。
概要
リヴァイアサンは、海や混沌を象徴する巨大な怪物として旧約聖書や古代中東神話に登場し、その後さまざまな文化や宗教で再解釈されてきました。
その圧倒的な力と規模は、人間社会や自然界における制御不能な力への畏怖を表現しており、現代でもその象徴性が多くの創作作品に受け継がれています。
リヴァイアサンの起源と描写
- 語源
- ヘブライ語「リヴヤタン(liwjatan)」に由来し、「ねじれたもの」「絡みつくもの」という意味を持つとされています
- 姿
- 伝統的には巨大な海蛇、竜、クジラ、またはワニのように描かれます
- 後世には蛇や細長い竜の形でも表現されるようになりました
- 旧約聖書での記述
- 『ヨブ記』41章では、リヴァイアサンは神の創造物としてその力強さが語られます
- 硬い鱗に覆われ、口から炎を吐き、鼻から煙を吹き出すなど、圧倒的な力を持つ存在として描かれています
- 『詩篇』74章や『イザヤ書』27章では、神がこの怪物を打ち倒す場面が記されています。この描写は混沌を制御する神の力を象徴しています
神話や伝承での役割
- ウガリット神話との関係
- リヴァイアサンは古代中東のウガリット神話に登場する「ロタン(Lotan)」という7つの頭を持つ蛇と関連付けられています
- この蛇は嵐の神バアルに敗北した存在であり、混沌を象徴する原初的な怪物でした
- ユダヤ教伝承
- ユダヤ教では、リヴァイアサンは雄と雌で創造されましたが、繁殖による世界破壊を防ぐために雌が殺されたとされています
- 終末の日には、その肉が正しい者たちへの宴会で振る舞われるとされています
象徴性と後世での解釈
- 混沌と秩序
- リヴァイアサンは古代では混沌の象徴であり、それを制御する神の力が強調されました
- しかし後世では単なる神の創造物として扱われるようになりました
- 悪魔的な存在
- 現代文化への影響
- リヴァイアサンはファンタジー作品やゲームなどで頻繁に登場します
- 例えば、日本のゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズでは巨大な海竜として描かれています
- また、西洋文学や映画でもしばしば「巨大で制御不能な力」の象徴として用いられます
- 哲学者トマス・ホッブズは著書『リヴァイアサン』(1651年)で、この名前を国家権力の象徴として使用しました
- この作品では、人々が平和と秩序を維持するために作り上げた「人工的な巨人」として国家を比喩しています
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最終更新:2025年01月13日 15:58