トート
エジプト神話におけるトート(Thoth)は、知恵、書記、月、魔法、時間を司る重要な神です。(→
月の神)
概要
トートは古代エジプト文明において知識と秩序、創造性を象徴する存在でした。
その影響力はエジプト国内だけでなくギリシャやローマなど広範囲に及び、現代でもその名前や思想が語り継がれています。
基本情報と特徴
- 名前と起源
- エジプト語では「ジェフウティ(Djehuti)」と呼ばれ、ギリシャ語で「トート」または「テウト」として知られています
- 象徴動物
- トキ(鳥)やヒヒ(猿)が聖獣であり、これらの頭を持つ姿で描かれます
- 信仰の中心地
- 主にヘルモポリス(上エジプト第15州)で信仰されました
- 1. 知恵と学問の神
- トートは文字(ヒエログリフ)の発明者であり、知識や学問の守護者とされています
- 彼は「神々の書記官」として神々の言葉や行動を記録し、人間に暦や文字を伝えたとされます
- 2. 月と時間の管理者
- トートは月の神としても知られ、太陽暦と太陰暦の調整を行い、閏日を発明したとされています
- 夜の時間には太陽神ラーに代わり地上を守護する役割も担いました
- 3. 魔法と医療
- トートは魔術や呪文に精通しており、「トートの書」と呼ばれる42冊の書物にすべての知識が収められていると言われています
- また、病を治す呪文を持ち、医療の神としても機能しました
- 4. 死者の審判
- トートは死者の裁判において重要な役割を果たしました
- 死者の心臓が天秤で計量される際、その結果を記録する役目を担いました
- 外見と象徴物
- トキまたはヒヒの頭を持つ人間として描かれることが多く、頭上には月の円盤が描かれることがあります
- 持ち物としては、書記官として用いるパレットやペン、「生命」を象徴するアンクなどがあります
神話上のエピソード
- 1. 創造神として
- トートは言葉によって世界を創造したとされます
- また、世界が終焉を迎える際には新しい世界を再創造する役割も担うと言われています
- 2. ヌトへの助力
- 天空の女神ヌトが子供(オシリスら)を産むことを禁じられた際、トートは月との賭けに勝ち、新たな5日間(閏日)を作り出しました
- この期間にヌトは子供たちを出産しました
- 3. ホルスとセトの争い
- オシリス神話では、ホルスとセトの争いにおいてホルスの片目(後に「ホルスの目」となる)を癒す役割も果たしました
- この行為から医療や癒しにも関連付けられています
- 文化的影響
- ギリシア神話ではヘルメスと同一視され、「ヘルメス・トリスメギストス(三重に偉大なヘルメス)」として哲学や錬金術にも影響を与えました
- 近代オカルトでは「トートタロット」などにも名が残っています
関連ページ
最終更新:2024年12月31日 21:13