アザトース
アザトース(Azathoth)は、
H.P.ラヴクラフトが創作した
クトゥルフ神話における「外なる神」の一柱であり、その中でも特に重要な存在です。
彼は「盲目白痴の神」「混沌の核」「万物の王」などと呼ばれ、
宇宙的恐怖の象徴的な存在として描かれています。
概要
アザトースの特徴
- 存在と性質
- アザトースは知性や目的を持たず、単なる混沌そのものとして描かれています
- そのため「盲目白痴の神(The Blind Idiot God)」という異名を持ちます
- 宇宙の中心に位置し、無限に膨張と収縮を繰り返す不定形の存在として表現されます
- 彼の周囲では、フルートや太鼓による単調で狂気的な音楽が鳴り響き、それが彼を慰めるためだとされています
- 宇宙創造との関係
- 一部の解釈では、アザトースが宇宙そのものを創造した存在とされています
- この宇宙は彼の「夢」によって生じたものであり、もし彼が目覚めれば全てが消滅すると言われています
- ただし、この設定はラヴクラフト自身によるものではなく、後世の作家たちによって付け加えられたものです
- 知性の欠如
- アザトースには知性や意思がなく、その行動や存在には何らかの目的や意図がありません
- このことが人間にとって理解不能な恐怖を引き起こします
- アザトースと他の神々
- アザトースは「外なる神」の頂点に立つ存在であり、多くの神々や異形の存在が彼を取り巻いて踊り狂っています
- 「ニャルラトホテプ」はアザトースの使者として登場し、主人であるアザトースを軽蔑しつつもその命令を実行する役割を担っています
- 文化的背景と影響
- アザトースという名前は、「力」を意味する「アザ(Aza)」と、エジプト神話の知恵の神「トート(Thoth)」から派生したと考えられています
- ラヴクラフト自身はアザトースについて詳細な物語を残していませんが、その断片的な描写が後世の作家たちに多大な影響を与えました
- 特に「宇宙そのものが無意味で無秩序である」という哲学的テーマを象徴する存在として位置づけられています
- 批評と議論
- アザトースはクトゥルフ神話における最重要キャラクターですが、その設定や解釈は多くの場合、後世の作家によって拡張されたものです
- 例えば「この宇宙がアザトースの夢である」という設定はラヴクラフト自身ではなく、ヘンリー・カットナーなど他の作家による追加設定です
- このように、アザトースはラヴクラフト作品内では直接的な物語上の役割を果たすことは少ないものの、その象徴性ゆえにクトゥルフ神話全体を支える重要な存在となっています。
アザトースは、
クトゥルフ神話における
宇宙的恐怖そのものを体現した存在です。知性も目的も持たない彼は、人間中心主義への挑戦として描かれ、人類が広大な宇宙においていかに取るに足らない存在であるかを強調します。その不気味さと哲学的深みから、多くのクリエイターや読者にインスピレーションを与え続けています。
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最終更新:2024年12月28日 09:57