武則天

武曌

624-705
唐の高宗の皇后であるが、唐に代わって国号を周と称した(在位690-705)。姓名は武曌(曌は武后がつくった照の新字)。諡は則天大聖皇后。744(天宝8)年天順聖皇后と追尊。并州・文水(山西省汾陽県)の人。荊州都督武士彠の娘。美貌の聞こえたかく、637(貞観11)年14才で太宗の後宮に召されて才人となり、太宗没後、感業寺に入って尼となったが、また召されて高宗の後宮に入った。当時、王皇后蕭淑妃とが寵を争い、654(永徽5)年高宗の寵を維持しようとあせる王氏が、武氏を昭儀に引きあげると、武氏は表面よく王氏に仕えながら、高宗の寵をかため、策略を弄して王氏、淑妃を失脚させ、長孫无忌を中心とする外戚勢力の反対をおしきり、李勣許敬宗李義府崔義玄らの反長孫无忌派の官僚や門閥的背景のない新官僚を懐柔し、彼らの支持を背景として、655年10月皇后に冊立され、翌656(顕慶元)年1月彼女の生んだ代王李弘を皇太子とすることに成功した。これより武氏は長孫无忌を殺し、その派の韓瑗来済褚遂良于志寧らを左遷し、また一族の者を用いて勢力をかためるとともに、一族の者でもその利益に反する場合はこれを除くことに躊躇せず、それがため代王李弘、章懷太子李賢は皇太子の位からおわれ、武惟良武弘度および賀蘭敏之はいずれも殺された。660(顕慶5)年高宗が病むと、武氏が代わって万機を決裁し、高宗はそれを不満に思ったがいかんともなしえず、時人は高宗、武氏を二聖といった。683(弘道元)年高宗が没して中宗が即位し、武氏はまもなくこれを廃して弟の睿宗をたてた。この武氏の専権に対し、684年徐敬業が揚州に挙兵したがただちに平定され、以後、武氏は告密の門を開いて唐の宗室、貴族数百人を殺し、迷信や仏教を利用して690年国号を周とかえて聖神皇帝と称し、武氏七廟をたて睿宗を皇嗣として武姓を与え、周の文王を追尊して始祖とした。武氏は中宗の皇后韋皇后とともに唐の政治を乱したので、この両者の事件を合わせて「武韋の禍」といい、ことに武氏は性質残忍で品行がおさまらなかったが、人材を用いて政治につとめ、北門学士に命じて『臣軌』2巻をつくらせ、国内の政治についてはさしたる変化を起こさせなかった。そして武氏の撰と称せられる書はすこぶる多く、『古今内範』100巻、『青宮紀要』30巻、『維城典訓』20巻、『内範要略』10巻(以上から雑載したものが『武后訓記雑載』10巻)、『玄覧』100巻、『列女伝』100巻、『少陽正範』30巻、『紫枢要録』10巻、『百寮新誠』5巻、『鳳楼新誠』20巻、『楽書要録』10巻および、その文集の『垂拱集』100巻、『金輪集』10巻が伝えられている。しかし武氏は晩年には、嬖幸を信任して物議を招き、その老病におよび、705(長安5、神竜元)年宰相張柬之がそれに乗じ、迫って則天大聖皇帝の尊号を奉り、中宗を復位させて国号を復し、武氏は82才(81才、83才説があるが、『資治通鑑』巻195の考異では、呉兢の『則天実録』によって82才とす)で、同年11月に没し、高宗の陵である乾陵に合葬された。武氏は唐の天下を奪うと、官名・地名をかえて周制を復興しようとし、また宗秦客の創意になると伝えられる新字を用いた。このいわゆる武周新字は、一般に19字とされているが、確実と認められるもの17字である。

年号

天授 690-602
如意 692
長寿 692-694
延載 694
証聖 695
天冊万歳 695-696
万歳登封 696
万歳通天 696-697
神功 697
聖暦 698-700
久視 700-701
大足 701
長安 701-704
神龍 705-707

子女



宰相

岑長倩 682-691
武承嗣 689-692
邢文偉 689-690
武承嗣 689-692、697
武攸寧 690-691
傅游芸 690-691
史務滋 690-691
武攸寧 690-691、691-692、698-699
宗秦客 690
楽思晦 691
任知古 691-692
格輔元 691
欧陽通 691
裴行本 691-
狄仁傑 691-692、-700
李遊道 692
袁智弘 692
楊執柔 692
崔神基 692
崔元綜 692-694
李昭徳 692-694
姚璹 692-693、694-697
李元素 692、694-697
王璿 692
婁師徳 693-696、697-699
韋巨源 693-695、700
陸元方 693-695、699-700
豆盧欽望 693-695、697-698、699-700
蘇味道 694-695、698-704
王孝傑 694-696
武什方 694
楊再思 694-699、704-709
杜景佺 694-695、697-699
周允元 694-695
孫元亨 696-697
王方慶 696-698
李道広 696-698
王及善 697-699
宗楚客 697-698、704
武三思 697、698-700
姚崇 698-705
李嶠 698-700、703-704
吉頊 699-700
魏元忠 699-703
張錫 700-701
韋安石 700-705
李懐遠 701
顧琮 701-702
李迥秀 701-704
朱敬則 703-704
唐休璟 703-704
韋嗣立 704
崔玄暐 704-705
張柬之 704-705
房融 704-705
韋承慶 704-705

本紀

『旧唐書』巻六 紀第六
『新唐書』巻四 本紀第四

列伝

『新唐書』巻七十六 列伝第一

外部リンク

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最終更新:2024年12月08日 22:05
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