アストレイシリーズ(ガンダムSEED)

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アストレイシリーズ(ガンダムSEED) - (2023/12/03 (日) 23:49:55) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/02/12 (金) 07:50:34
更新日:2024/04/21 Sun 20:59:24
所要時間:約 11 分で読めます





アストレイ(ASTRAY)シリーズとは『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』に登場するモビルスーツ(MS)の一種。
原作TVアニメシリーズの他、外伝『ASTRAY』など『SEEDシリーズ』の多くの作品に登場する。


目次



概要

オーブ連合首長国がC.E.70の地球連合とプラント間の大戦の最中、自国防衛用の主力機として開発・建造したMS群。
正式名称は「アストレイ(ASTRAY)」で、この単語は「道に迷って、踏み外して、堕落して」などの意。


元々オーブは代表であるウズミ・ナラ・アスハの下、大戦への関与を拒否し中立としての立場を保っており、積極的な軍事力の保有も避けていた。
しかし、このウズミの方針に反発したサハク家をはじめとしたオーブ上層部の一部は密かに自国の戦力拡充を画策し、
大戦初期から次世代兵器として注目されていたMSの独自開発を目指すようになる。

そして、大戦中期に地球連合軍大西洋連邦が新型MS「Gシリーズ」の開発を行おうとした際に件の上層部の一部は連邦に秘密裏に接触し、
技術協力と秘密建造の場所として、オーブが保有する資源衛星ヘリオポリス及びそこに設けられた半公営企業モルゲンレーテ社の工廠を提供。
こうしてGシリーズの開発に協力する傍ら、モルゲンレーテは密かに地球連合の技術を盗み出し、それを用いて試作機体プロトアストレイの建造に成功。
続いてオーブ本国でも量産機・M1アストレイの増産などが密かに進められた。

ところが、間もなくGシリーズの建造がザフトに露見しクルーゼ隊にヘリオポリスは襲撃され、崩壊。
この事件に前後して連合との取引やアストレイシリーズの開発など諸々の問題がウズミらに知られることになる*1が、既に一定以上の関与と成果は出ており、
大戦の激しさは増すばかりだったこともあって、「万が一の時のための備え」としてアストレイシリーズは開発を追認されることなった。
こうして開発を継続されたアストレイシリーズは地球連合のオーブ解放作戦で初めて実戦投入され、以降同国を代表するMSとして知られるようになっていった。

また、機体そのものや残骸のパーツなどが民間に多数流出するなどしており、C.E.73時点では正式な物以外にも多数の派生機が誕生し、広く運用されるようになっている。



○プロトアストレイ

ヘリオポリスで建造されていたアストレイシリーズの試作タイプ。
オーブの保有するヘリオポリスで地球連合軍の新型兵器「Gシリーズ」建造協力の裏側で一部技術を盗用して完成した。
「アストレイ」という名もこの試作タイプの開発経緯に由来する。

開発・設計はモルゲンレーテ本社のエリカ・シモンズの他、多数のAIが担当。


「G」の特徴であった小型ビーム兵器などを搭載しており、高い攻撃性能を獲得している*2
一方、ブラックボックス化されていたPS装甲の技術は盗めなかった為、装甲を発泡金属という軽量な素材にし、
その面積も最低限にすることで軽量化を計ると共に、フレームは人間に近い動きが可能な程の柔軟性を持った、極めて運動性の高い物を採用。
機動性を向上させることで、敵機からの攻撃は装甲で防ぐのではなく回避するというスタンスで運用することを想定している。
端的に言えば『当たらなければどうということはない!』思考。

この機動性重視の装甲削減により、重要区画(コクピット付近等)以外の腕部・脚部などはフレーム剥き出し(一応表面は装甲化されている)状態であり、
純粋な防御性能や耐久力はMSの中でも低い部類に入る。
ロウが各プロトアストレイを「~フレーム」と名付けたのもこの特異なシルエット故と思われる。


しかし、上記の通りクルーゼ隊がヘリオポリスを強襲。この事態に対し、上層部の穏健派はアストレイの即刻破棄を決断。
これに反発した開発責任者ロンド・ギナ・サハクは、極秘にアストレイを運び出そうとするが、結果的にMBF-P01以外はヘリオポリスに取り残されてしまう。
MBF-Pシリーズはそれらの破壊及び抹消の依頼を受けた傭兵部隊によって人知れず闇に葬り去られるはずだったが、
ザフトのヘリオポリス襲撃から数時間後、あるジャンク屋によってアストレイは発見され、激動の時代を駆け抜ける事になる。

なお、ヘリオポリス崩壊時に完成していたのはゴールドレッドブルーの三機のみだったが、
当時はパーツ状態で後に組立てられて完成したグリーンミラージュの二機も含めて計五機のプロトアストレイが存在している。

ちなみに、先述した通り「〜フレーム」という呼称はロウが勝手に呼び始めたのが広まっただけで、開発当時から存在した正式名称ではない(他の四機も同様)。
また、型式番号の「MBF」とは「Main Battle Figure(=主要戦闘機)」の略で、後続のオーブ軍機にも付けられている。


○共通武装


◇イーゲルシュテルン
連合のGシリーズと同じ武装。普段はカバーで隠れている。

◇ビームライフル
連合の技術を盗用して造った武装。
威力は高いが、エネルギー消費量も相応に多い。
後にM1アストレイに装備された物とは外見が異なる。

◇ビームサーベル
こちらも技術を盗用して製造。
ライフル同様、威力は高いがエネルギー消費量も多い。
連合製との性能差は殆どないが、柄の形が楕円形という違いがある。

◇対ビームシールド
連合のストライクやデュエルのそれと同じ形状・性能だが、どちらとも色が違う。
発泡金属装甲で防御力が低いアストレイには必須の装備。



各プロトアストレイ

□MBF-P01 アストレイ ゴールドフレーム

パイロット:ロンド・ギナ・サハク

最初に完成したアストレイ。フレーム色は金。
他との外見的差異は色のみだが、運び出す際の仕様変更により指揮官用機に仕上がっている。
マニピュレータに連合の武装用コネクタが搭載されており、劇中では本来デュエル用のバズーカを使用している。
何らかの理由でライトアームのみがレッド・ブルーフレームのあった区画に放棄されており、こちらはロウが回収している*3
ロウや劾、彼らのアストレイと何度も戦い、破損してはオーブ本国でその度に改修を受け、
同時に喪失した右腕や破損した頭部も補われていき、最終的には改修元とは似ても似つかぬシルエットに。
漫画版『ASTRAY(無印)』におけるラスボス。

その後、姿と共に幾度も乗り手を変えていき、『天空の皇女』ではボスキャラから一転して神々しさを兼ね備えた主人公機へと進化を遂げた。
ちなみに複製機が2機存在しており、うち1機は改修後、もう1機は改修前のフォルム・武装となっている。


□MBF-P02 アストレイ レッドフレーム

パイロット:ロウ・ギュール

試作型アストレイ二号機。フレーム色は赤で、ナチュラル用を示す識別色である。
ロウによって三号機のブルーフレームと共に発見され、以降彼の愛機として活躍する。
ロウ自身この機体に強い愛着を抱き、「俺の物!」と言わんばかりに自分の名前を書き足したジャンク屋組合のマークを左肩に施した。
代名詞的な装備であるMS用の日本刀「ガーベラストレート」を始めとして、ロウの意向により本来仕様に無い彼の自作装備を装着される事もしばしば*4
ゴールドフレーム同様、運び出しの際に仕様変更が行われ、この機体にはナチュラル用の試作OSが搭載される事になった。
相棒である「8」にサポートしてもらっているのもあるが、ナチュラルのロウがMSを自在に操縦出来るのはこの為である。
もし彼の手元に残されたのがブルーフレームだった場合、後に訪れる数々のピンチを乗りきれなかったかも知れない事を考えると、自称する通り宇宙一悪運の強い男である。


□MBF-P03 アストレイ ブルーフレーム


試作アストレイ三号機。フレーム色は青で、局地戦対応型を意味する。
上述の通り、二号機共々ロウによって投棄されていたところを発見され、彼が初めて乗ったアストレイとなるが、
紆余曲折あって彼から劾に譲渡されることになり、その汎用性の高さから彼の初めての「愛機」と呼べるMSとなる*5
様々なオプションパーツのデータが始めからコンピュータ内に保存されており、劾は依頼内容に合わせてそれらを製造し、運用している。
燃費の悪いビームサーベルの代わりにロウがガーベラストレートをメインの近接武器として使っているように、
劾は対ビームコーティングを施したアーマーシュナイダー(MS用ナイフ)を追加装備し、愛用している*6
ソキウスとの戦いで中破した後、ロウにより修復ついでに様々な新兵装を施された「ブルーフレームセカンド」へと改良される。


□MBF-P04 アストレイ グリーンフレーム

パイロット:トロヤ・ノワレ

ゲリラが所有するアストレイ四号機。
教育型の戦闘支援AIを搭載し、敵の動きを機体が読んで行動する。
後に複合武器『ツインソードライフル』を装備した。


□MBF-P05LM アストレイ ミラージュフレーム

パイロット:ロンド・ギナ・サハク(カーボンヒューマン)

ライブラリアンが所有するアストレイ五号機。
指揮用のコマンダーモードと格闘戦特化のグラディエイターモードの二形態を持つ。
また、特殊ミラージュコロイドにより外見を変え相手を攪乱できる。
後に人型のタイラントモードと獣型のブルートモードの二形態を持つ『セカンドイシュー』、更にファーストの武装を組み込んだ『サードイシュー』へと魔改造を繰り返す。



量産型アストレイシリーズ

□MBF-M1 M1アストレイ

パイロット:アストレイ三人娘、ジャン・キャリー、他オーブ軍一般兵

オーブが建造した自国防衛用量産型MS。通称「M1」。
ヘリオポリスでのプロトアストレイ開発のノウハウを活かして地上オーブ本国のモルゲンレーテ本社で建造された。
試作機(特にレッドフレーム)を元に完成したが、当初はOSが未完成で、とてもナチュラルには扱える代物では無かった。
ジュリが回収(強奪)したレッドのデータとキラ・ヤマトの協力によりナチュラルでも操縦可能となったものの、
ロウ仕込みのクセのあるデータを参考にした為か時折おかしな動きを見せており、後に劾が手直しをして完成した。


□MBF-M1A M1Aアストレイ

パイロット:バリー・ホー、ソキウス、他

M1の派生機種で、同機を無重力下の空間戦闘用にカスタマイズした物。
M1に比べると生産数は少なく、主にアメノミハシラなどで運用されている。



アストレイシリーズの亜種

□MVF-M11C ムラサメ


M1の後継機として開発されたオーブ軍の主力機。
モルゲンレーテ社製でM1で培われた技術も投入され外観の意匠も似ているが、構造や機体特性はかなり異なっておりアストレイシリーズには属していない。


□MWF-JG71 レイスタ


オーブ解放作戦などで流出したM1のジャンクパーツなどを用いて開発された作業用MS。
設計者は元モルゲンレーテの社員でアストレイの設計にも関わっていた技術者であり、
アストレイの設計をベースにしていることもあって、外観はアストレイ系の面影がある。
なお、機体名の『RAYSTA』は『ASTRAY』のアナグラム。


シビリアンアストレイシリーズ


レイスタの後継機としてジャンク屋組合とDSSDが開発した民生MS。
アストレイの名を冠しているがオーブやモルゲンレーテが直接的に関わった機種ではない。
扱いやすく改造も容易なため、プロトアストレイに似せてカスタマイズされた機体などもあったりする。



その他

□YMFーX000A Xアストレイ(ドレッドノート)

パイロット:プレア・レヴェリー

ザフト軍が建造した核エンジン搭載MSの試作機。
建造時の機体名称は『ドレッドノート』で、『勇敢な者』という意味*7
破棄予定のところをマルキオ導師に秘密裏に譲渡され、導師の言う『運命の子』プレアに託された。
後に有線式ドラグーン兵装を追加装備された際、まるで背に巨大な「X」を背負っているかの如き特徴的なシルエットと、
本来殺人・破壊に用いられる兵器でありながら、パイロットのプレアが『人を助ける』ためにこの機体を用いることから、
追加装備ユニットを開発したロウによって『Xアストレイ』と名付けられた。

当然だがザフト製のため、5機の『G』を参考にしているということ以外にオーブのアストレイシリーズとの関係性はない。


□ZGMF-X12 アストレイ アウトフレーム

パイロット:ジェス・リブル、カイト・マディガン

ジェネシスα内部にあったテスタメントの予備パーツからロウが組み上げたMS。
発見時はフレームが剥き出し状態であったこと、連合・ザフト両陣営のMSの特徴を併せ持つ「規格外のMS」だったこと等からロウに「アウトフレーム」と名付けられたが、
「アストレイ」の方は、「アウトフレーム」という呼称がレッドフレーム等と似ているからなのか、ロウによってついでに付けられたに過ぎず、
「連合の『G』を参考にしている」という(薄い)共通点こそあるが、Xアストレイ同様に、こちらもオーブのアストレイシリーズとは無関係である。
本来の型番はフリーダム等のザフト製ガンダムと同様だが、核エンジン搭載機ではないので末尾に「A」は付かない。

最大の特徴は、ザフト製造MSでありながら背部にストライカーパックを装備・使用が可能なだけでなく、
「8」(ハチ)が設計した「マルチパック」というアダプターを使用すれば、ザク等が使用する「ウィザード」や、
インパルスが使用する「シルエット」といったザフト製の換装用装備も装備・使用が可能であるという点(共通して肩部装備は追加パーツが必要)。

また、組み上げる際にロウがジャンク屋組合の規約に則り、作業用MSとして仕様変更したため、
ビームライフルやサーベルなどの一般的な武装をしていない一方で、アンカーやビームサインなどのユニークな装備が搭載されている。
後に戦闘を視野に入れた改修を受け、「アウトフレームD」となる。


□GSF-YAM01 デルタアストレイ

パイロット:アグニス・ブラーエ

火星移住者「マーシャン」が地球圏の技術を使い開発した戦闘用MS1号機。
NJCを標準装備しヴォワチュール・リュミエールを使用することで従来機を遥かに上回る機動力を発揮する。
開発に関わったロウから「アストレイ」の名を付けられる。


□MBF-P0X アストレイノワール

パイロット:ダンテ・ゴルディジャーニ

傭兵であるダンテがアクタイオン・インダストリーに「アクタイオン・プロジェクト」の1つとして作らせたプロトアストレイの複製機。
しかし、ダンテは本機を自分が作りだした傭兵「叢雲劾」と私的な闘いをする為だけに作らせたのが本音である。
頭部のブレードアンテナは特徴のある4本タイプに、ふとももにはダンテのスタイルに合わせた専用装備のソードピストルを装備。
最大の特徴としてアストレイシリーズでは珍しいストライカーシステムを使用可能にするコネクター型パックを持ち、本機の名前の通りにノワールストライカーを装備している。


□MBF-P0XD アストレイノワールD

パイロット:エルザ・ヴァイス

ダンテが劾との決闘後に姿を消した際に、決闘場所に残されたノワールストライカーの無いアストレイノワールをエルザ用に調整した姿。
失ったノワールストライカーに代わり、デスティニーRシルエットを装備しているのが大きな違いである。


□MBF-P02VV アストレイターンレッド

パイロット:ヴァレリオ・ヴァレリ

アクタイオン・インダストリーの技術者ヴァレリオ・ヴァレリが製造したプロトアストレイの複製機。
型式番号やレッドフレームのカラーを反転させたカラーリングなどロウに対する対抗心が窺える。
本人曰くロウのドライグヘッドよりはカッコ良い豪語する独自の頭部を持ち、
専用のバックパックには「2倍だから強い」という理由で装備された2基のタクティカルアームズと4基のバッテリーパックを搭載している。
ちなみに、このタクティカルアームズをブーメランのように投げた際には設計したロウ本人が驚愕していた
また、機体の操縦は戦闘用AI「80」(ロウの8の10倍との意味)が制御している。

レッドフレームと殴り合いを演じ、敗北した。

後にコクピット周りを改造し、「生還することなら宇宙一」と揶揄される機体となった。また戦闘用AIも「800」に改造している。 
その言葉に嘘はなく、パワーローダーで揺らされてもコクピット内部は紅茶をカップ汲んで飲んでも問題ないほどで、高出力のビームにも耐えるみたいである。
この装備が後にダブルブイの運命を左右する。




なお『アストレイ』とは前述の通り暗い意味の言葉であるが、パイロット達は『王道ではない』という意味で使っており、
その名の通り、『人殺し』が王道たるMSを人助けやジャンク屋業等の王道以外で運用している。

この名は、決められた運命に抗う者達に贈られる勇気ある者の証なのかもしれない。





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